ハティになっちゃった   作:生体部品3

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仕事も始まったので年明け初投稿です。

前回のあらすじ:大型がいるところとか、罠地域とかを上から覗きこんでたらエイジャがいた。降り始めてから気が付いたんだけど話すより、どうせ渡すつもりだったんだし上から情報入れたメモリ*1投げ込んで終わりでもよかったかもしれないな。とか書き始めた時の私は思っていた。

*1
ヨヨのところで買ったやつ




10話 大森林3-3 子羊と牧羊犬

それは突然上から降ってきた。

前触れはあった、近くにニンフの気配がしたけど、中層のニンフのものじゃなかったからあたりを探し始めたところだった。

それは、私にとって雷だった。

 

 

さて、無事に降りたはいいけど、なんかすっごく見てくるな……。

いつまでも見つめ合ってるわけにもいかないしとっとと用事を済ませよう。

あぁ、そうか。ここ中層で上層のニンフと話しているのが他のニンフに見られたら実際の正体が何者であっても不都合か。

 

「やぁ。僕はハティ。見ての通りだが心配しないでほしい。さすがに辺りに他のニンフがいないかくらいは確認してから降りているさ。」

「君は……()()()()()()()()()()()()()()()()()のかな?着ているそれがガーディナが鹵獲したものなら前線の鎧化兵がトロフィーにしている以外では型が新しすぎるように見えるからね。」

 

「え、っと、あ、はい。」何もかもわけがわからない。こんなの、あの戦場以来、いや、それ以上の混乱だ。

 

見ての通り?鎧殻からアルカンドの巡礼者様かと思ったが頭環は領邦巡察士(粛清騎士)様のそれで、その上素体はD型*1だ。

最初のころの気持ちが浮ついていた頃しか上のコロニーには長居してないから、そんなもの全部資料でしか見たことがない。見てもなんかえらいニンフらしいということしかわからないんだけど……!

 

今の間*2は何かの念押し?これは緊急の連絡?いや、本物ならこれほどのニンフが私なんかへの伝令に出るわけがない。

そうだ、ここまでそろっているニンフがこんなところにいるのは逆に怪しい、私はガーディナの罠にかかった?尋問されている?今までこんなことはなかった。

 

わ、わからない!私はこれから何をされる!?鎧殻もなしでは逃げられない、今何ができる!?

たとえ鎧殻を失っても私は戦闘型だぞ。最後の戦場でもこんな思考ノイズ感じたことはない……私は今、()()している……!?

 

なんか、すごく戸惑ってる……?

「大丈夫だよ。何もしないから。ただちょっと上に運んでほしいものがあるだけなんだ。別に中身を検めてもらっても構わない。」と彼女の方に歩いていくとぷるぷる震え始めたのが見える。敵か味方かわからない鎧化兵の前でろくな武装もなしで不安を感じているのかもしれない。安心させてあげないと。

 

と思ったがこれはむしろ、とっとと用事を済ませてここからいなくなった方がいいかな?と思い直してその手にデータチップを渡して下がる。

「中身を見てもらえばわかるけど*3、内容が内容だから少しでも高い確率で情報が届くようにしたかっただけなんだ。君も上層に()()だろう?*4わき目もふらずとは言わないけど、やることを済ませたらなるべく急いだほうがいい。このあたりもじきに探されるだろうから。」

 

「あぁ、それと、重要なのは内容だけだから、僕の署名ごと中身だけ隠せるところに持ってそのチップは処分してしまって構わないよ。帰ってから中身を適当な書類に貼り付けて提出してくれればいい。判断は出された先がするだろうから。」

「じゃあ、頼んだよ。」と言ってワイヤーを巻き上げて上へのルートに戻る。

……生き延びてくれるといいけど。そういえば名前を聞き忘れたな。

 

──────────

なんなのよ!まだ何が起きたのかよくわからない。

わかったのは相手は私の帰る先がアルカンドだと確信してることと、それが中層(ここ)でバレたらマズいことが向こうも十分にわかっているってことだけだ。

私の身に何が起きたにせよ行動しないと。気になる情報が処理しきれていないがこのままボケッとしていたらマズいことだけはわかる。

 

チップの検疫確認……問題なし、これ自体は罠じゃない。それで中身は?

報告メモ 巡礼者ハティ

 

以前より不確定ながら確度高しとされていた霧の代替わりは確実。

先代の霧はガーディナを出奔して中層に潜伏した模様。

当代の霧はそれを捜索ついでに他脱走兵など潜伏するもの全てを対象に狩っている。

また、当代の霧はニンフのにおいが全くしない特異体質である可能性が非常に高く、視覚・聴覚以外で捉えられないものと思われる。

また、正常な光学視覚を持たないようであるが(要確認だがおそらく正しい)嗅覚と聴覚だけで問題なく戦闘できるレベルでそれらが鋭く、通常わからないような、例えば嗅覚だけで出身だけでなく個体の判別まで行えるレベルのようである。

いずれにせよそれ専用の対策が必要。

またガーディナの基本戦術がギプロベルデから継承した火力による正面突破というのは欺瞞情報で

……──────────

 

 

途中まで見ただけでわかる。こ、これは

爆弾!!あまりにも爆弾!!

 

というか、近寄られてもこっちはわからないのに、それだけで向こうにはこっちの正体までわかる目の無い化け物がこのあたりをうろつき始めた……ってコト?

真偽も対応も私じゃ判断できない、こんなの。勘弁してよ……。

*1
アルカンド戦闘型素体D型はゲーム内の説明では「中央教会が認めたモノのみが着用を許されるため、アルカンド全邦が羨望する。」つまるところ、相手はアルカンドの見るからにえらいニンフである。

*2
()()()()()()()()()()()()()()()のかな?の直前

*3
無意識にわかることを強要していくニンフ(二回目)

*4
これは圧を加えているのではなく、単に知っている情報が漏れているだけのポンコツムーブである。全く悪意は敵意はない。




頭に追加された情報をぶちまけて羊を追い立てる牧羊犬の図。

このわんこ、本編浄水層で種子ちゃんに「アルカンドはいつでも君を歓迎する」とか言ってたあたり、種子ちゃんのこと、ここに忍び込んでる侵入者だ!ってその辺の自律機械に撃たれまくる立場である可能性なんて全く考えてなくて、ここに来れてるならちゃんと正規ルートでお客さんとして入ってきてる、と思い込んでそうなんですよね。
良くも悪くも思い込んだらまっすぐ疑わないやつ……。

次回、上層の前に中層の思い悩むやつです。こっちも好きなキャラなんだよな……。
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