ハティになっちゃった   作:生体部品3

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前回のあらすじ:シラスが破門になるまでのあれこれ
多分イーデンはシラスがのんびり小教会復興し始めたあたりで、なんか面白いことが起きたら教えてモードで半分監視と保護切ってる。

本当は二話に分けようかと思ってたんですが一話一話が短くなりすぎそうなのでセットにしてラストです。前半は母の前でかしこまってるハティ、後半はどんぶりの上で新鮮そうな名前のあいつです。後おまけのエンドロール後カット。

そういえばハティに限らず目上にかしこまったしゃべり方する正気のニンフってゲーム本編には出てきてないんですね……?

本編と違いハティはシラスと同じ立場なの分かってるので言葉遣いとか対応も変わってきます。


11話 暗転、底へ

「めずらしいね。戻って最初に私の方に来るなんて。」

「ちょっと事情がありまして。母よ、相談事があるのです。これからする報告を数日経ってからイーデン様に上げてはくれませんか?」

そう、僕は今アルカンドの母樹の前にいる。一対一で内緒話だ。

 

「ふぅん?いつもみたいに自分で中央教会に報告しないのはその相談事のせい?別にいいけど。なんで?」

「報告の中身を見てもらえばわかると思います。」

そういうと僕は今回の巡礼の報告と、別添えにした中央大洞窟で見た物の記録を送った。

 

「聖典にある根の国を見つけました。これがかつて下層から始まったというアーヴド*1を記述したものなら、現在の下層を指す地域と当時の下層を指す地域が違うのは当時を知っているニンフは分かっていたはず*2ですよね。」それを聞いて感心したような女王に僕は続ける。

 

「中央教会が当時を知るニンフたちに口止めしているとして、それを公にするなら報告を握りつぶされた上で僕は粛清されるでしょう。だから、それでもイーデン様にお伝えしないといけない話だけ伝えられればあとは捕まる前に逃げてしまおうかと思います。」

 

「伝えないといけないこと……これ?確かにニンフの寿命なんて考えたことなかったな。*3

「後は見つけた種子*4のこともですね。逃げるついでに現状を見てこようかと。」

「いいね。女王になると動けないし、こうしてみんながあげてくれる報告でしか外のことを知れないから、そういうのを聞くと自分で空の果てを見に行ったころが少し懐かしくなるよ。」

 

「それは……いつか、もし機会があったらきっと帰って来ます。次に話すことをいっぱい集めて……。アゥラム。」

「うん。アゥラム。」

報告を終え、母に背を向ける。帰れるときが来るのかはわからない。

それまで生きているのかも、お互いにね。

 

──────────

――ということ*5があったんですよ。」

とシラスは神智院を追われたときのことを僕に話す。

 

どうしてこうなったのかというと、完全に僕のうっかりだった。そういえば小教会って今どうなってるんだろうと思った僕は、アルカンドの母樹に報告したりすぐ報告を上げないように口止めしたり色々した後、特に何も考えずに小教会の様子を見てから中央大洞穴に戻ろうと思ったんだ。

 

そうしたら当然向こうは僕の身元が気になるし、なんでそんな警戒を……探られてる?と思った僕は同じ立場のはずだって説明することになる、お互いイーデン様に色々言いたいことがある身だからね。意気投合してしまって……。

 

「もしかしたらイーデン様は元々ニンフを女王にするものがなんなのかを知っていたからそこまで反対したのかもしれないね。」

「先の話にあった種子というやつですか……。まさか女神の恩寵が文字通り女神の作ったニンフのことだとは思いませんでしたが。」

「しかし、師も知っていたなら教えてくれればよかったのに一体何をお考えに。」

 

そう言ってぷんすかと怒るシラスにこれを言ったら火に油を注ぎそうだなと思いながら続ける。

「自分がアルカンドから離れるわけにはいかないから、自分でそこまで至ったニンフに期待してアルカンドから追い出してる、とかじゃないかな。そのニンフが確認した内容だけ後で持ち帰れればそれでいいと思っているとか。」

 

「そうだ、君もずっとここにいるわけにもいかないだろう?一緒に根の国に種子を見に行くかい?」

「行きます!なるべく足を引っ張らないように、とは思いますが……。」むっとしていた顔が晴れたり曇ったりするのを見て僕は続ける。

 

「出るときに持ち出したのは主力航空鎧殻(Faluracan)追尾放電機関銃(Hall)って言ってたじゃないか。大丈夫、通常型を戦力として期待はしてないさ。」

「非戦闘中にまっすぐ飛んでついてこれるだけの機動ができればいいし、武装も何かあった時の自衛も拡張頭環に任せれば細かい狙いをつけなくてもいいものを選んだのはいい選択だったと思うよ。熱量武装だから弾薬を作れなくてもバッテリーのチャージだけどこかでできれば補給できるから、もしものことがあってはぐれても実弾武装より通常型には向いてるしね。」

 

「ともあれ、それなら準備ができたら出発しよう。これからいくらでも話せるんだし。」

「そうですね。少し待っていてください。」

「ちなみにルートはバウカーンの手前あたりから中層に入ってガーディナ手前まで行って、そこからは上がってきたさっきの話*6のルートを逆順で下っていく感じになるかな。ちょっと気になるニンフがいてね。もし中層から上がってくるならこのルートのはずなんだ。*7

 

 

──────────

周囲の水を通して音が歪んで聞こえる。

下に鎧殻を着たニンフが二体見える。

「これが……。すごい光景ですね。」

「そうだろう?僕も最初見たときは驚かされたよ。さて、そこのがもうすぐ生まれそうだね。」

頼むぞ……君がホドを救ってくれよ……?

「すいません、少し呆けていました。今、なにか?」

「僕も初めて見たときは驚いたって言っただけさ。さて、彼女が生まれるまでしばらく待とうか。」

*1
Tropaion - HS 「下層に発生した弱小種族でしかなかったニンフ」より、発生した場所が国になった場所と同じならアーヴド跡地である現在の深層周辺も下層扱いされている。まぁアーヴド崩壊前は上層のアルカンドまで含めてアーヴドだったわけだが。

*2
にもかかわらずハティの降積地帯の台詞によるとアルカンドは根の国の所在を研究している。少なくとも大部分の女王とイーデンは知っているはずなので女王たちが黙っているのは多分全部イーデンのせい。

*3
6話 降積地帯2-1 阻止限界点 より

*4
3話 中央大洞穴1-3 種子って より

*5
前話「出アルカンド、または約束の丘へ」の話

*6
これまでの本編の話

*7
「誰か手を振ってますよ?行商人のようですが……。」

「中層で会ったニンフだ。もう一方は知らないニンフだけど多分亡命者を連れてるのかな。よかった、無事だったみたいだね。」




もしこの終わりにつなげられる状況でこの話書きたいな、が今度出る漫画とかの新情報見て発生したら番外が追加される可能性はありますが、今のところそういった予定はないのでこれにて完結です。
終わってみると、本編外の閑話がスタート時の予定より倍の話数に増えてましたね……。

2025年6月末の突然のコラボ武器実装で予定より早い書き溜め段階でスタートしてしまったこの話ですが、なんとか最後まで行くことができました。
始めることは力ですね。

余りにも今更何ですが、タイトルがタイトルだしそういう要素なくはないので必須タグの憑依つけてるんですが、なにかが元のものと混ざった、って憑依なんですかね……?
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