ハティになっちゃった   作:生体部品3

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主人公視点ではない回はタイトルがn話表記ではない方針で行きます。


生存ストレートアップ

捨てられて、歩き回って、食べられるものがなくて、お腹が空いて……。

 

生きたい。

 

そう思って食べられるものを探し、歩き回りました。

食べられないものでも価値があるものなら他のニンフに出会えることがあれば売ることができます。

だんだん無事な武器などの価値があるものを見つけるのも、敵から隠れるのもうまくなってきました。

始めはどんどん下に下に進んでいくごとに、かつてどこかのコロニーだった場所で、今は誰のものでもない物を見つけることが増えていったんです。

 

ガーディナに焼かれた炎のにおいから異形に分解された土のにおいに。

重装甲で貫通力に優れた武骨な中層の自動機械から生物的なフォルムの下層の自動機械に。

 

ただ一人で生き延びるだけという、通常型にはあまりにも難しいことに成功し続ける、それだけで見かけるものも風景も徐々に移り変わっていく。

そうして生きていると、恐ろしい浸食を与えてくる下層の虫のような自動機械もいつの間にか見かけなくなり、単純な銃撃をしてくる自動機械をよく見るようになったことに気が付きました。

 

ここはどこなんでしょう……。だんだん暗いところが増えてきて。だんだんこれまでのようにニンフにもコロニーだったところにも出くわさなくなってきて。だんだんこれまでのように物資が拾えなくなってきて……。

 

途中で何度も自動機械に追われて逃げ回ったり、狭いところに潜り込んで先に進んだせいで、もう戻る道もわからなくなってしまいました。……戻るところなんてないのですけれど。

 

しばらくうろついていると、動いているセル増殖炉と変換炉を初めて見つけました。

たくさんセルを入れると少しずつ増える状態にしてくれる増殖炉*1はどこのコロニーでも持っている数が力になるので普通丸ごと持っていかれちゃうか、戦いで壊れたとしても使えるところは整備とか部品交換用に持っていかれちゃうので動いてる状態のものは全然見かけないです。よそ者が入れるところに置いてることもないですし。

 

変換炉の方は増殖炉で増やした直後の状態みたいな加工しやすいセルを補給剤や修復剤に加工するものです。

生体部品とか白珠みたいな使いやすいセルがあればここで暮らせそうなんですが……手持ちがないですし炉も空みたいなので動いているのに使えないのが残念です。

分解炉もあれば拾ってきた武器とかその辺にあるものを入れてここで暮らせたのに。

 

でも場所を覚えておいたのできっと、絶対戻ってきてお腹いっぱい補給剤を食べて見せます!

 

そう意気込んでいたのですが、補給剤も炉にくべるのにちょうどいいものもなかなか見つからなくて、とうとうさっき食べたのが手持ち最後の補給剤になりました。

お腹すきました……

それで、ちょっと遠出して探索していたのですが、お腹が空きすぎて早く走れなくて、クラゲ型の異形から逃げきれないまま追われているうちに何かの残骸が積んであるだけの袋小路に追い詰められてしまって。

お腹がすきました

隠れてやり過ごすしかなくなったので残骸の下に潜り込んだのですが床に穴が開いていて……。

落ちた先の部屋を見回して私は絶望しました。

出口が、ありません。

一か所だけ出入り口になりそうなところは大きなプレートでふさがれていて、通れそうな穴にも中身の鉄棒がしっかり走っていて隙間が小さくて通れそうにありません。

何本かは動きそうですが、それでもこの小さな体が通れるほどの隙間にもならなそうです。

 

 ──────────

おなかすいた おなかすいた! おなかすいた!!

もうだめかもしれません。部屋にあった木箱にもコンテナにも食べられるものはありませんでした。

さっきから空腹を知らせるアラートが限界だと騒ぎ立てています。

体に力もあまり入らなくてよろよろと出口になるかもしれないところを確かめます。

おなかすいた おなかすいた! おなかすいた!!

やっぱり動かせる棒もありそうですが間は抜けられなそうで、かといって曲げたり折ったりする力はとっくに残っていません。

 

金棒をつかんでゆすってもびくとも……おなかすいたしなくて……おなかすいたしなくて……おなかすいたて、手*2……?

生体部品ってそのままでは()()()()()()()()()食べることなんでありえない、おなかすいたなら少しくらいなら?おなかすいた傷はふさがるけど空腹は紛れすらしない修復剤ならまだ普通のもとっておきも残ってて。欠損は元に戻らなくても傷がふさがるなら一本や二本くらいおなかすいた

はっヨヨは今何を考えて……。気が付くと金棒を握ったまま膝から崩れ落ちてその場にへたり込んでいました。このままじゃ飢えで死んでしまう前にどうにかなってしまいます。

おなかすいた

一か八か、これまでこのあたりで聞いた自動機械の足音以外の音が聞こえたら、例えばニンフの足音とかが聞こえたら、を解除条件にして聴覚センサー以外すべてスリープに。そうすればスリープ中におかしくなることもないし、これ以上の消耗の大部分を抑えることができます。

……もう二度と目覚めないかもしれないことを除けばこれしかない完璧な選択肢に私は賭けることにしました。

そういえばこのあたりに降りてきてからニンフって一回も見かけてない……。

 

 ──────────

目が覚めました。誰かが近くにいる?助けを、呼ばないと。チャンスを、つかまないと。

 

生きたい。

 

*1
セルには増殖する性質もありますが、建材みたいな素材とか何かしらの道具に加工されたものがそうなると歪みが出て壊れるじゃすまないので、加工したものはそういった性質がないか、少なくとも抑えられていると考えられるため、なら増える状態にするものがあるよな。というところから出てきた設定。

*2
新鮮な生体部品2がたくさん




Q.ドカ食いダイスキ! もちづきさんを見た?
A.ちゃ、ちゃうねん。某所で白珠たべて至るシャラなんて呪いを受けたわけではないんや。信じてくれ。

ちなみにストレートアップはルーレットの一点賭けのことです。
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