IF―変革のLast Jahr   作:黒川 優

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Mysterious lady

(楯無side)

 

 

 

「まったく。呼んでおいて待たされるなんてね…」

 

山奥にある倉持技術研究所。

話があるって言うから来たのに肝心の本人が姿を現さないのである。

まぁ以前は近くで釣りをしていたし、どこか軽く潜っているのだろう。

 

「―――――」

 

不意に疚しい雰囲気を感じた。

 

――パシッ

 

「こんなことやめてくれませんか?」

「ありゃりゃ、やっぱり更識家の人間はガードが固いね~」

 

篝火ヒカルノ。

倉持技研の第二研究所長で私の機体と簪ちゃんの機体の担当をしている。

因みに簪ちゃんはこの人が苦手。理由はさっきの通り――

 

「あーあ…。せっかくの未成年のお尻が」

「………………」

 

この通り変態だからである。

簪ちゃんはこの人と関わる時は必ず壁にピッタリとくっついている。

 

「それでお話しのものはできたのですか?」

「んにゃ。これが新しい機体」

 

シャッターが上げられ、その奥に一機が膝を付いた状態で置かれている。

パッと見た感じ、絶対防御があるからなのか装甲が少ない。

いつも通り、試運転も兼ねて展開する。

 

「性能は前とそんなに変わらないですね」

「実は機体は7割程度しかできてないんだにゃー」

 

7割って第2形態まで持ってった『モスクワの深い霧』より悪いんだけど。仕事してよ……。

 

「ほら、君の機体は日本、イタリア、ロシアの技術提携モノじゃない。

だから、自国の技術をどこまで導入したりオープンにしたりするのか悩んでいるのさ」

 

特にロシア側がイタリアの技術を応用する技術があるらしい。

しかし、基礎技術はイタリア持ちなので公開し過ぎるとイタリアに技術がバレてしまう。

純自国でないために水面下で暗躍しているようだ。

対して日本は本当に基礎の基礎の部分しか手掛けていないから技術を横取りされることはない。

それでも2国から参加を求められたってことはそれだけ日本の基礎技術が高いのだろう。

 

「せっかく学園にいるんだし実戦データ集めてくださいにゃあ。

それに君なら今のままでも大丈夫じゃない?」

「まぁ、ほとんどの人が訓練機を使うことになるから大丈夫だと思うけど」

 

今年は専用機持ちは私を含めて二人だったはずだし。

 

「さぁそれじゃあソォーマットとフィッテイングを行うよん。まずは裸になって」

「お断りします」

「ちぇ」

 

 

 

 

(楯無side)

 

 

(当然と言えば当然ね)

フォルテやサラとは別のクラス。

クラス対抗で行われるものをあるし候補生達の力も分散しているようだ。

 

それで私達を担当するのが……。

 

「諸君、私が織斑 千冬だ。君達新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。

私――」

「キャーー!!千冬様ーーー!!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

「私、お姉様の為なら死ねます!」

 

(うわぁ…。予想よりスゴい人気)

元より日本代表。モンド・クロッソで世界最強となった彼女。

 

今では国際IS委員会を組織する警察に当たるAIF(正式名はAgainst Infinite Stratos:意訳すると対亡国機業)の実行部隊の隊長。

最近、ドイツでの不祥事を解決してきたという情報もある。

この人が歩けば世界がスポットライトを当てると言っても過言ではないだろう。

 

「静かにしろ。そして私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。

出来ない者には出来るまで指導してやる」

「「「はい!」」」

 

まるで軍隊の指揮官のような言い方。ドイツ軍にいたのは確実だろう。

それにしてもそれに順応してしまうクラスメイトも何て言うか……流石である。

まぁ――

 

「zzz………」

 

全員とはいかないらしいけど。

 

窓側に座る子は気持ち良さそうに寝息を立てている。

結っていない髪は無造作にダラーん机から垂れ床につきそうだった。

髪のせいで顔は見えないがこの容姿、入学式の時の子に似ている気がする。

 

「んん……羊さん…――ふみゅう!?」

 

持っていた出席簿を当てられた彼女はその強烈な一撃にイスから転がり落ちた。

 

「私のことが気に入らないならそれでもいい。

だが、私の言うことは聞け。いいな」

「はい………」

 

出席簿を当てられた彼女は額を抑えながら答えた。

 

「お前もだ更識。代表生だろうとここでは私の管轄内だ。私に従ってもらう」

「えぇ。承知していますわ」

 

意味ありげに答える。それに織斑先生も気付いたようだった。

 

「そうか。なら更識。お前がクラス代表になれ」

「はい?」

「“人たらし"で有名なお前ならこのくらい大したことないだろう?」

 

織斑先生は意地悪くニヤリと笑っていた。

この人は指揮官じゃない。ただの暴君だと、そう思わされた瞬間だった。

 

 

 




皆さんこんにちは。黒川 優です。

早くも第2作。私の首が木綿で締め付け始めますね(笑)
今回のタイトルですが、恐らく皆さんが分からない語は最後のJahr
Jahrはドイツ語で「年」なので「変革の去年」となりますね。
アルファベットを使ったのは語呂が良いのとカッコいいからです(笑)

そして、タイトルから分かる通り、今作では原作沿いの「切り開かれる現在、閉ざされる未来」とは違い、ほぼオリジナルに近い1年をお送りすることができると思っています。

ただし優先度は「切り開かれる現在、閉ざされる未来」>「Last Jahr」です。
同時平行はツラいです…アシスタントさん欲しいです。。(〃_ _)σ∥ネェテツダッテクレナイ?

なので「切り開かれる現在、閉ざされる未来」の方を楽しみつつ、思い出した時にでも読んで下さい。

では、また次回お会いしましょう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。

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