皆さん、お久しぶりです。黒川 優です。
Last Jahrは短編(の予定)なんで章分割はしませんが7月突入です。
これのせいで夏編書き換えなきゃならなくて半年以上更新できなかったんですよ。
書いてて面白かったですけどね。えへへ。
では本編をどうぞ。
◇
(優side)
――ブルルルル
一旦乗っているスカイラインを脇に止め、電話にでる。
「はい。こちら黒川」
『私です。これから指示する所に向かって下さい』
通常、任務の話は隊長から来る。
しかし、日本本部に限り第一報が長官から副隊長に直接指示が来ることがある。
なぜなら俺が多少の法は無視できるアインスだからだ。
この時は必然的に緊急事態を意味している。
「例の武装集団ですか?」
この武装集団とは前から世界で銀行強盗を繰り返している謎の組織だ。
強盗以外目的が分からず、組織名、構成、他の組織とのパイプも分からない。
そして困ったことに躊躇なく人を撃つこと。
『今回は警察と偶然通りかかった霊烏路 空のご活躍のおかげで相手に重症を与えているようです。これはチャンスです。この機に逮捕にありつけて下さい』
「了解」
再び車を発進させる。
が、角を曲がるとまた停まらざる負えなかった。
「うわ…。これはひでえな」
どうやら武装集団は今の場所に逃走する間にかなり発砲したらしい。
その内何発かが車に当たり炎上。何発かは人に当たり血を流している。
勇気ある人達の行動で怪我人を安全な場所に移すことはできているが、統制された指示の元でないこの行動は避難効率の点では良くはなく、一般市民は避難できなくて混沌としている。
救急車も俺の車の前で進めなくて立ち往生している。
(まずは車をどうにかしないと……)
レヴァの装甲に合った仮面を付けて顔を隠し、オーディンの瞳を開眼する。
「コピーナイト―ミスティル」
炎上した車は風によって周辺にある消火栓のホースを使い消火し、炎上していない車は歩道寄りに移動させて一部はPower Wallを地面代わりに使って立体収納。
その間、市民をコピーナイトで展開したサイバーで地下鉄やデパートへ誘導した。
「「「――!?」」」
「アンタらは怪我人の救助よろしく」
一瞬だけ救急車を浮かしそのまま空いた中央を車で走り抜けた。
「ったく……」
今でも紙幣の中軸はドルだろ……。
せめてアメリカでしてくれ。あそこの方が早く殲滅してくれるから。
――キキィ!
場所は美術館のようだ。石柱にはいくつか弾痕が残っている。
ここでも激しい銃撃戦があったようだ。
ここではまだ機体を展開していないので仮面を着けず、一般職員が駆け付けたような形で合流する。
「お空、状況は?」
「向こうは機体を持ってないよ。人質も解放した。後は制圧するだけ」
後は制圧するだけ、と言うがそれが一番難しい。
特に、今回は情報を引き出したいこともあって極力殺したくはない。
「ホントはこいし様の方が適任なんだけど……」
「今、こいしは日本にいない……。
ここは俺が何とかする。お空は近隣の人達の避難を行ってくれ」
「了解」
俺はレヴァをローモードにしミリータから警官と同じUSPを展開し潜入を試みる。
相手が機体の探知ができる場合に備え完全展開は避けた。
一人の女性がまだ玄関に立っていた。
怪我はしていないらしく、ただ突っ立っているだけのようだった。
「何をしてるんです。早く避難を」
「二階の化学コーナーにまだ人質に取られた人がいます」
「とにかく貴女は早く避難を」
俺は概ね予定通り中に潜入する。
二階の奥に人質か…。さっきの人が仲間じゃなければいいが。
いや、罠にしてもそこには俺を殺すために立て籠った奴等がいるはず。
この装備なら返り討ちにできる。
『止まれ!さもなくば人質を撃つ』
武装集団の男3人は母親とその娘に銃を突き付けていた。
いやーやり方が汚い。流石テロリスト汚い。
「あらあら物騒で。そちらの要求は何かしら?」
ミリータから展開したUSPを地面に置き、両手を相手に見えるように挙げる。
『1億だ』
「1億ね……。はっ、無理に決まってるだろ」
さっきまでの困ったような顔から一転しテロリストを冷笑する。
テロリストの指示に従う馬鹿がどこにいる。
そんなことしたら信用が底に落ちるだろうが。
「貴様!?」
「舐めた真似を…!?」
「ミスティル―Power Wall」
――カチカチ
連中は引き金を引くが銃弾が放たれる様子はない。
レッティングと呼ばれるジャムの1種だ。
ミスティルで弾を固定させ、擬似的に弾がシリンダーに固着して状態にした。
この手のジャムは鉛が固着していることが原因でなるものだ。
さっきまで撃っていた銃ではなり得ない。
「な…!?」
テロリストどもが異常事態に動揺している間に走って一気に接近する。
同時にPower Wall で親子を運び近くの窓から外に逃がした。
(最悪、殺してもいいか)
俺の時も似たような対応されてたらしいし、俺を咎められる人もいないし。
テロリスト一人の手を蹴ることで銃を弾き、後ろに飛び回る。
その時に掴んだ腕を曲げてはいけない形に曲げた。
「がああっ!」
「この―!?」
銃が使えないと判断した二人は脚部からダガーナイフを抜く。
「殺すならご自由にどうぞ」
俺はさっき関節をやった奴を二人に向け投げる。
ソイツの脚部からダガーナイフを引き抜き、一人の眼球に突き刺した。
「があぁぁぁあ!!」
「――!?」
眼に突き刺さったダガーナイフを引き抜き、残った一人の懐に入ろうとする。
残った一人は投げた奴をキャッチせず、俺からも距離を取った。
やはりこの背で男とのタイマンするのは厳しい。
しかし、アインスとミリータがある今、押し負けることはない。
――キン!キン!
――バン!バンバン!
こうしてる間にも周りが騒がしくなる。
親子の安否を確認した機動隊が突入し、他の武装集団と戦っているのだろう。
一気に形勢が変わったことにテロリストの表情は険しくなった。そして、一瞬視線が俺から外れる
俺はナイフを持つ利き腕へ切りつけようとする。
テロリストは俺の一撃を大袈裟に、飛び込みの要領で避けた。
その勢いのままゴロゴロを転げ回る。
俺は相手が体勢を立て直す前に足でタガーナイフを弾こうとした。
しかしテロリストは横になりながらも勝ち誇った笑みを浮かべていた。
その手には俺が最初に落としたUSPが握られている。
「死ね」
「―ミスティル」
―バン!
USPから急速回転する鉛の弾が放たれる。
しかし逆風、逆回転の風が銃弾を襲い鋭さが無くなり、俺の元に来る時には問題なく銃弾を挟むことかできた。
「てめぇ…まさか……」
「お返しだ」
銃弾をダーツの要領で投げる。
ミスティルの風によって回転を得た銃弾はUSPから放たれたのと遜色なく残るテロリストの足をえぐった。
これで3人の無力化に成功したと言えるだろう。
「さぁ逮捕だ。洗いざらい吐いてもらうぞ」
◇
(優side)
「もう大丈夫よ。明日からも普通に学校に行けるわ」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
手でちびっこの頬をむにむにしてあげる。
さっきあんなことがあったのに…芯の強い子だ。
「先程はありがとうございました」
「いえいえ。仕事ですから。お大事に」
母親はもう一度俺達に頭を下げて病院を後にした。
「普通にお姉ちゃんって言われたね」
「悪意はないんだ。仕方ない。
それはそうとあの親子の居場所を知っている人がいたが」
「うにゅ~?優が入るまで知らなかったよ。
そもそもこっちは人質はいないって思ってたし」
「だよな。まぁ結果オーライか。お空、さっさと報告書書こうぜ」
「うん。あっ優。近くにミスチー亭があるから先に昼食にしよ。お腹ペコペコ」
「ちゃんと自分の分は自分で払えよ?」
「今日はちゃんとサイフ持ってるから大丈夫」
俺達は車に乗り、遅い昼食を取ろうとした。
◇
「ん……?」
学園の駐車場に停める。
―新着メール―
知らないアドレスからのメール……。
はぁ。どうなってるんだコイツのセキュリティ。
よく見るとアドレスは大手キャリアのものだ。
なら、これは個人的なメッセージ?
パソコンタイプの端末に接続しファイアウォールを展開しつつメールを開いてみることにした。
「な………!?」
手紙の文面は明らかに俺に対するものだった。
何しろ最初の一文が
――拝啓 アインス様――
で始まっているのだから。
『拝啓 アインス様
貴方の御活躍、いつも影ながら拝見しております。
亡国機業から世界の平和を守る正義の化身。
けれど、私はそんな貴方が好きになれない。むしろ憎しみすら感じるのです。
次の日曜日、レゾナンスの@クルーズで1度お会いしませんか?
少なくとも私にはその権利があると思います。
この一時が有意義な時間になることを祈って。
方中 ミエル』
今回見慣れない用語に補足を…。
USPとは銃の1種です。今回は9mmものです。
多分、軍とか自衛隊で使ってる。
お空やお燐は自衛隊なので入手は楽になるはずなので今回使用。きっともう出番はない(笑)
肉盾を使う(腕を捻った奴を投げる)辺り、あまりきれいな戦闘じゃないですし、若干殺しかけて主人公の行為じゃないかもしれません。
しかし、IS終了後バッシングを受けた優からしたら「これぐらいされて当たり前。されたくなかったら犯罪なんか起こすな」に尽きます。本編で言った通り似たような対応をされたので。
決して優は犯罪者予備軍じゃないことは理解して下さい。
それではまた次回。
ここまで読んで頂きありがとうございます。