異世界ざまぁ配信局   作:@ななしの配信者さん

6 / 22
石にされたはずの仲間そっくりの石像を持ってこられたら、その仲間たちは気づく? 気づかない? ざまぁ編5

 そうして、彼女から魔力が放出されました。

 途端、三人はくずおれて、マチルダの姿が消えました。

 おそらく認識改変と、転移魔法でしょう。

 

 性格は最悪ですが、技術だけは一級品です。

 私は認識されていなかったので対象外だったようですが、三人はまともに受けてしまいました。

 

「……なぜクレアの石像をこわしたのですか?」

 

 突然賢者様を責めるような物言いをするロイド。

 残る二人も、敵意のこもった目で賢者様を睨みつけます。

 

「あぁー、最後っぺを残して行ったのか。まぁ、解呪できないわけないけどな」

 

 賢者様がパチンと指を鳴らすと、三人はまたもや頭を抑えてひざまづきました。

 思わぬ次第に、コメントは大荒れです。

 

 :どういうことだ? マチルダはなにをしたんだ

 :え、あいつパーティー見捨てたの?

 :性悪女はマチルダだったか

 

 コメントを眺めている間に三人は正気を取り戻したようで、ロイドとシローネはパニックになりました。

 

「くそっ、やられた! まさか堂々と持ち逃げするなんて!」

「クレアさんは! クレアさんはどうなるんですか!?」

 

 ダグラスだけは冷静に、虚空へ……いえ、私に向かって、言葉を発しました。

 

「もういいんじゃないか。やりたいことはできただろう?」

「……そうですね。もう充分かもしれません」

 

 私が姿をあらわすと、二人は劇的に反応しました。

 

「クレア!? どういうことだ?」

「え、なんで……? 幻……?」

 

 ここまで驚かれると、さすがに申し訳なさが勝ります。

 

「……ごめんなさい。実はもう、賢者様に戻してもらっていたんです。あの石像は、賢者様お手製の偽物でした。私は無事です」

「よかった……! 本当に無事でよかった……!」

 

 泣いて抱きついてくるシローネを抱き止めながら、私も謝ります。

 

「本当にごめんね……すぐに顔を見せればよかったよね。でも、どうしても仕返しがしたかったの」

「……見捨てて置いていった俺たちにか?」

 

 ばつが悪そうにこぼしたダグラスの言葉を、一部同意しながら否定します。

 

「少しは心配してくれたらと思いましたが、本命は違います。マチルダの所業を暴きたくて、今回の計画を実行しました」

「たしかにあいつは許されないことをしたが、ここまですると読んでいたのか?」

「いえ……もしかしたら何もしないかもと思っていました」

 

 私が否定すると、賢者様は意見をかぶせてきました。

 

「俺は何かやると思っていたよ。この子をこけさせて囮にするくらいだからな」

「なんだと? どういう意味だ?」

 

 訝しげなダグラスに、賢者様は答え合わせをします。

 

「そのままの意味だよ。たまたま近くにいて様子を見ていたら、魔力の波動を感じた後に、この子がこけたんだ。明らかに人為的なもので、誰がやったのかと思ったが……まぁ、状況から察するに、一人しかいないだろうね」

 

 その暴露に、コメントは大盛り上がりです。

 

 :マジでクソだなあいつ

 :拡散しまくって特定しようぜ。許せねぇわ

 :そういう理由なら、この企画したのもわかる

 :マチルダのファンやってたのがショック

 :俺はお前のこと嫌いだけど、今回ばかりは味方してやる

 

 そのほとんどが、私に肯定的な意見ばかりでした。

 実際にその目でマチルダの所業を見たからでしょう。

 ただ暴露するだけではこうはいかなかったはずです。

 作戦は成功と言っていいでしょう。

 

 でも、やったことはやったことです。残ったメンバーには謝らなければなりません。

 

「マチルダに仕返しがしたかったとはいえ、皆を騙した上に、無断で配信してしまい……本当に申し訳ありません」

「……配信してたのか?」

 

 戦々恐々とするロイドに、私は小さくなって謝ります。

 

「本当にごめんなさい。謝っても許されないとは思いますが、自分の欲を優先してしまいました」

「……私は、クレアさんが無事だったならそれでいいです。本当は、すぐにでも教えて欲しかったですけどね」

「シローネ……」

「俺は途中で気がついたから別に構わん。まぁ、二度は勘弁してほしいがな」

「二度目なんてやりませんよ。する理由がないです」

「それもそうだな。やり返す相手はどっかに逃げちまったし。どうする? ギルドに依頼して指名手配するか?」

「いえ……それには及びません。既に、全世界に居場所がバレているみたいですから。私が何もせずとも、彼女は生きにくくなるでしょう。だから、もうこれ以上は望みません」

 

 先ほどから見ていたコメントによると、マチルダの足取りは既に捕捉され、情報がばら撒かれています。

 せめて命の危険がなければいいなぁと思いながらも、気持ちがスッとするのでした。

 

「そっか。それで、クレアはどうするんだい? パーティーに戻ってきてくれるのか?」

 

 ロイドの問いには、すぐに返事をしました。

 

「それはもちろん。こんなことをした私が戻っていいのなら、是非。あ、でも一つだけお願いがあります」

「なにかあるのか?」

「賢者様もパーティーにいれていただきたいのです。地上にあこがれを持っていたようですし、いろんな所を案内したいなと思って」

 

 そう告げた時の賢者様の顔と言ったら、写真に残しておきたいくらい傑作なのでした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。