何にでも乗れる騎操士くん(予定)   作:黒髪赤目の男の娘これが大好き

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救援部隊

アールカンバーに乗り込もうとするエドガー先輩を呼び止める。

 

エドガー先輩がこちらを見るのを確認してから、エル君が呼びかけた。

 

「僕たちもお供していいですか?」

 

「二人とも?何故だ?」

 

僕も行きたい理由を示すために、叫んだ。

 

「森の中にいる先輩たちを助けたいんです。中には、僕らの友達の家族もいるんです!」

 

エドガー先輩は悩む様子を見せた。当然だ、エドガー先輩からすれば僕らはまだ子供。向かうのは魔獣の群れの方だ。

 

それでも返答までの時間は短かった。

 

「よし!エルネスティはアールカンバーの腕に乗れ!」

 

「僕はどうしますか!」

 

「トランドオーケス………そこの茶褐色のサロドレアの方へ行け!ヘルヴィ、頼んだぞ!」

 

「え、私!?仕方ない………ほら、乗って!」

 

ヘルヴィと呼ばれた先輩は、褐色肌の女性。トランドオーケスと呼ばれた幻晶騎士(シルエットナイト)の腕を差し出している。

 

「はい!」

 

僕は大気圧縮推進(エアロスラスト)でひょいと飛び上がって、その手のひらに大気衝撃吸収(エアサスペンション)で着地する。ヘルヴィ先輩は少し感心した様子だった。

 

「やるわね。少しは安心」

 

エル君を手に乗せたアールカンバーを先頭に、トランドオーケスとほか三機の幻晶騎士(シルエットナイト)が隊列を組む。森へ突入だ。

 

 

 

突入して程なく、前方の方に人の集団が見えた。先輩たちだ。セラーティ先輩らしき姿も見える。その集団に迫るあれは………刺頭猿(メイスヘッドオーガ)

 

瞬間、アールカンバーの方から徹甲炎槍(ピアシングランス)が飛んだ。撃ったのはエル君だ。幻晶騎士(シルエットナイト)魔導兵装(シルエットアームズ)では巻き込む危険があるだろうし。そしてこうなればきっと、彼は飛び出して行くに違いない。

 

「行きます!」

 

「え!?」

 

僕も飛び上がる。まずはアールカンバーが射線に入らないよう、上昇するとその高さでホバリング。そのままエル君が斬りかかっているものとは別の刺頭猿(メイスヘッドオーガ)へと徹甲炎槍(ピアシングランス)を連射。胴体に集中砲火で内側を焼く狙いだ。

 

命中を確認しつつ前進し、エル君に遅れて先輩たちの前に降りる。

 

「………エル君、それにレイ君まで………」

 

「お待たせしました、生徒会長。協力な助っ人を連れてまいりましたよ」

 

僕は近寄りそうな魔獣にとにかく射撃。距離に多少の余裕があるので、足を狙って真空衝撃(ソニックブーム)を。

 

周囲の先輩たちには負傷者も多い。当然だ、幻晶騎士(シルエットナイト)もなしに魔獣の群れを凌いでいたのだから。

 

彼らは、駆け込んできて魔獣を蹴散らし始めた幻晶騎士(シルエットナイト)の姿を見て歓声を上げている。

 

あとは撤退だ。魔獣の群れは幻晶騎士(シルエットナイト)に任せられるだろう。

 

それでも、僕は油断せずに銃杖(ガンライクロッド)を構え続けた。

 

 

 

ベースキャンプまでの撤退は上手くいった。僕は急に飛び出したことで、ヘルヴィ先輩に少し怒られたけど。

 

幻晶騎士(シルエットナイト)の力があれば、小型の魔獣を蹴散らすことはできる。

 

しかし小型だ、時に幻晶騎士(シルエットナイト)たちをすり抜けて柵の方へやってくる。

 

そんな魔獣たちを僕は片っ端から処理していたのだけど、エル君や教官たちに止められた。他の生徒も防衛に参加するから、と。確かに、あまり魔力を消耗するのも良くない。まだ余裕はあるけれど、それでもいざという時に動ける力は残すべきだ。

 

代わる代わる討ち漏らしを迎撃している内に、魔獣たちは積極的に攻めてこなくなった。日が落ちてきている今は、むしろ僕らを避けている。

 

それ自体はいいことだ。だけど、僕はまだ事態が収まったようには思えない。

 

魔獣の群れが襲う対象は、クロケの森に僕らライヒアラの一行しかいない。それなのに魔獣は僕らを避けていく。あれだけ襲いかかって来たのに、目的は僕らじゃなかったというのか。なら、何故この魔獣の流れは存在している?

まるで、何かから逃げているような………。

 

「あ、姉さん………怪我してない?中等部は大変だったってきいたんだけど!」

 

アディちゃんの声だ。姉さん………セラーティ先輩か。 

 

「見ての通り私は大丈夫よ。それより、あなた達も無茶をするわね」

 

座っていた僕は顔を上げて、セラーティ先輩を見る。先輩の表情は呆れ気味だが、同時に疲れも見える。魔獣の襲撃が止んだから、緊張が途切れたのかもしれない。

 

「っつってもよ、あん時は戦えるの俺たちだけだったしな。多少の無茶はするってもんだ」

 

「四人で部隊一つに匹敵する活躍を見せるのは、多少どころじゃないと思うのだけれど………」

 

確かに客観的に見たらそうなのかもしれない。

 

「まぁいいわ。それより、エル君!」

 

切り替えるように言ったセラーティ先輩は、アディちゃん達の後ろにいたエル君に抱きついた。

 

「あぁ〜やっぱり癒されるわ〜。私、エル君がいればまだ戦えちゃう」

 

それどころか頬擦りまでしている。先輩なりのストレス解消法なのかもしれない。そのまま好き放題し始めるのを見ていると、エル君が僕のことを手招きする。

 

「え?何?エル君」

 

何か相談でもあるのかと寄っていくと、エル君はセラーティ先輩に囁いた。

 

「ほら、レイが来ましたよ」

 

「あら、いい子ねエル君!じゃぁ、遠慮なく」

 

「え、待って」

 

セラーティ先輩、素早く僕の方にも腕を回す。何せ僕らは小柄なものだから、普通に先輩の腕の中に二人収まってしまう。

 

「あぁ〜、幸せ………」

 

仕方ない。頬擦りだろうが何だろうがされてやる。されるがままでいると、アディちゃんのぼやきが聞こえてきた。

 

「姉さん、ずるい」

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