何にでも乗れる騎操士くん(予定)   作:黒髪赤目の男の娘これが大好き

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終局

陸皇亀(ベヘモス)へ攻撃を加え続けていたグゥエールが、体勢を崩した。そのまま転びそうになりつつも、なんとか膝立ちで機体は安定させている。

 

「どうした!?」

 

エドガー先輩が焦っている。僕も同じだ。見ると、グゥエールの足が歪んでいて、その装甲の隙間から内側が見えている。

 

「動かしすぎたのか………!」 

 

僕は何が起きたか理解した。グゥエールはエル君の銀線神経(シルバーナーヴ)を通した直接制御で、通常の操縦桿とペダルよりも機敏に、高出力を発揮して長時間戦っていた。それはグゥエール、いや普通の幻晶騎士(シルエットナイト)が想定しないような強い負荷を機体が受けることだったんだ。

 

「どうする………!」

 

僕は法撃を続けつつグゥエールを見る。あの中にはエル君とディートリヒ先輩がいる。機体を捨てて二人で逃げるべきだ。そのためには陸皇亀(ベヘモス)を足止めしなければならない。

 

でも、それを考える余裕はなかった。

 

陸皇亀(ベヘモス)はグゥエールの動きが止まったことを察したか、法撃に耐えながらグゥエールへ向き直って走り出した。

 

その突撃を止めるために、僕は陸皇亀(ベヘモス)の足を集中的に狙う。騎士団の法撃も続いているけれど、それでも陸皇亀(ベヘモス)は止まらない。いくら傷ついて速度が落ちていても、グゥエールには致命傷になる。

 

グゥエールから二人が脱出する様子はない。それどころか、陸皇亀(ベヘモス)に向き直って両腕を向けている。

 

そして陸皇亀(ベヘモス)が、グゥエールにぶつかる直前。グゥエールから、大きな空気の塊が放たれる。それは陸皇亀(ベヘモス)の速度を確実にさげて、グゥエールも後ろに飛ばした。相対速度が下がって、グゥエールは陸皇亀(ベヘモス)の頭を抱えるような形になる。

 

次の瞬間、まだ前進を続けようとする陸皇亀(ベヘモス)の左目に、グゥエールの右腕が打ち込まれる。

 

「っ、あ!?」

 

光と爆音。雷撃魔法か。それが頭に流し込まれて脳を焼かれたか。陸皇亀(ベヘモス)は大きく全身を震わせ、グゥエールをはね飛ばし………そのまま、力なく地面に体を落とした。

 

「グゥエールは!?」

 

「エル君、ディートリヒ先輩………!」

 

飛んでいったグゥエールを見る。全身が分解してしまっているように見えたけれど、それでも胴体は。

 

操縦席のあたりは、原型を留めていた。

 

「ッッッ!」

 

「おい待て、レイ!」

 

瞬間、僕はアールカンバーの操縦席を開けて飛び出していた。

 

全力でグゥエールの残骸に飛んでいく。そのまま操縦席の正面装甲を魔法で切り裂いて、中を覗いて叫ぶ。

 

「エルっ!エル君っ!」

 

僕の目に入ったのは、グゥエールのシートで気絶しているディートリヒ先輩と。

 

「………ああぁぁぁぁ………ばらばら、グゥエールが、ばらばらになってしまいました………。ああでも悲しんでばかりはいられません。グゥエール、僕がちゃんと修理してあげますから、待っていてくださいね!」

 

ほとんど無傷で、何か的外れなことを言っているエル君の姿だった。

 

 

 

 

 

グゥエールの残骸へと、三機の幻晶騎士(シルエットナイト)が歩く。

 

先を行く二機はヤントゥネン騎士団長のフィリップ機、装飾とマントのような追加装甲が特徴的なソルドウォートと、カルダトアをベースに重装化された副団長、ゴトフリートのカルディアリア。

 

その後に、ライヒアラ騎操士学園の実習機、純白の装甲のエドガー機、アールカンバーが続いている。

 

グゥエールの残骸へ近づいた彼らが見たのは、既に残骸から地面に降り立っていた銀髪の子供と、それに抱きついて泣いている黒髪の子供だった。

 

「エル君………ぐすっ、無茶………ひぐっ、しすぎだよ………!」

 

「え、え~と………」

 

グゥエールを操っていたのはあんな子供だったのか、もう一人の子供はどこから。

 

フィリップとゴトフリートは混乱しつつも、グゥエールの騎操士がおそらく生存しているという様子に安堵の息を漏らす。

 

一方でエドガーは、グゥエールの中身がエルネスティだったことを理解して、頭痛の錯覚を起こしていた。

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