何にでも乗れる騎操士くん(予定) 作:黒髪赤目の男の娘これが大好き
ライヒアラの入学式の日を迎えた僕は、そこで初めて
「でっか………」
だいたい10mくらいかな、と思いながら上から下へ見ていると、その足元に変な人がいた。僕と同年代だろうか。いや、僕と同じくらい小さいけど、ライヒアラの入学式に来ているのだから同年代なんだろう。
その子は幻晶騎士を拝んでいた。友達らしき2人がいいから行くよとばかりに引っ張っている。
綺麗な銀髪に飾られた顔や良い仕立ての服を見て、凄く可愛いなと思った。それによく見たら友達の二人は黒髪の美少女と美少年だ。目が幸せだな。
見ているとどうも、銀髪の子は学園のことを知っているらしい。スイスイと進んでいく。友達の二人は慌てた様子でついて行くので、僕もそれとなくついて行ってみることにする。
僕の推測は当たっていたらしく、入学式の行われる大講堂についた。
式典が始まる。どこもこういうものなのかな、という感想だった。何せ話が長い。流石に聞き疲れて、入学式を終えた生徒の流れが食堂に向かう頃には少しうんざりしていた。
そして、愕然とする。
「席がない………」
食堂は混雑している。考えてみればこれもお決まりのことだ。トレーを持ったまま席を探していると、また例の銀髪の子を見つけた。黒髪の二人と、ドワーフらしい一人も一緒。目立つせいで逆に遠巻きにされているのか、近くの席が空いている。人生二回目ともなればこういうところは図太くなれる。これ幸いと一席だけ離して座らせてもらう。するとそこにもう一人やってきた。
これまた美少女だ。伸ばした金髪が綺麗だし、歩く姿勢が美しい。なるほどこれは年上、そしてたぶん貴族だな、と考える。彼女の目的は銀髪の子達らしい。
傍観者気分は気楽なものだ。銀髪の子とドワーフの子は純粋に誰なのかな、といった感じだけど、黒髪の2人からは気まずそうな雰囲気が漂っている。金髪の先輩の自己紹介曰く、彼女はステファニア・セラーティと言うらしい。そして彼女が続けた言葉で、黒髪の2人はアーキッドとアデルトルートと言うらしいとわかる。たぶん、女の子の方がアデルトルートだろう。
黒髪の男の子、推定アーキッドの方から「姉様」と聞こえてきた。どうやら家族か、血縁か。どちらにせよ関係は良くなさそうだ。緊迫してるな、と食事の手が止まっている四人を眺めながら静かにクレープをかじる。
すると銀髪の子がむしゃむしゃとクレープを食べ尽くし、それから食堂の混雑を理由にして、場所を改める提案をしていた。セラーティ先輩は了承して立ち上がり、銀髪の子の頭を撫でてから………撫でてから?とにかく歩いていった。その時こちらの方も見てきたけど、僕は何も知らないとばかりに首を傾げてみせたら何も言われずに済んだ。盗み聞きしたかった訳じゃないもんね、と僕は自分の心に言い訳した。
セラーティ先輩が来ていっそう目立っていた四人は、そのまま食事を終えて去っていく。僕は何だかんだ言って食べ進んでいなかったクレープを食べきってから、騎士学科の授業へと向かうことにした。
そう、騎士学科。先生が騎操士だったというのもあるけれど、魔法と短剣術を学んで余裕が出来た僕は、
たぶん騎操士にはなれないと思う。身長の問題で。だから商業とかも独学なりで学ぶつもり。騎操士になれないことがハッキリ分かるまでの間に、少しくらいは触りたいなと考えていた。
とはいえ、今日はただのオリエンテーション。これからの授業内容や学生生活の説明を受けたら、それで終わり。僕は学生寮に戻ることにした。