何にでも乗れる騎操士くん(予定)   作:黒髪赤目の男の娘これが大好き

24 / 44
衝撃の事実

「もう嫌だぁ………もう王様になんか謁見したくないよぅ………」

 

僕は王都の宿屋で机に突っ伏していた。

 

ラウリさんはいない。どうも陛下に呼ばれたらしく、僕らは兵士の人に送ってもらった。

 

………あの謁見は僕にとって酷に過ぎた。はっきり言って死ぬかと思った。

 

「レイは大げさ………というのはさすがに違いますよね」

 

エル君が僕の肩をたたいて言った。僕は身を起こしてエル君に八つ当たりする。

 

「エル君は何であんな落ち着いていられるの!王様なんだよ!というかエル君はよくあんなこと言えたね!幻晶騎士(シルエットナイト)好きすぎでしょ!」

 

「まあまあ、まずは強気に要求してみろともいうじゃないですか。それよりも僕は話したいことがあってですね」

 

机には紅茶のはいったカップが二つ置かれている。僕は自分側の一つを手に取って飲み、心を落ち着かせる。

 

「ふぅ………。で、何。話したいことって」

 

幻晶騎士(シルエットナイト)についてですよ。これから作る幻晶騎士(シルエットナイト)

 

「変わんないねエル君!?何、僕にも意見しろって?」

 

僕が聞くとエル君は笑みを浮かべて頷く。

 

「そうです。レイはグゥエールが壊れた原因、わかりますか?」

 

「うん。たぶん、結晶筋肉(クリスタルティシュー)かなにかがエル君の操縦に耐え切れなかったんだよね?」

 

「そう!そうですよ!これがわかるならレイもいろいろ幻晶騎士(シルエットナイト)の改良が思いつくんじゃないですか!?」

 

「そういわれてもなぁ………。なんでもいい?」

 

「なんでもどうぞ!」

 

「そうだね………たとえば、幻晶騎士(シルエットナイト)の足に車輪をつけて、ガーっと滑走させる………とか?推進力は………大気圧縮推進(エアロスラスト)を応用する、とか」

 

幻晶騎士(シルエットナイト)は歩くか走るしか移動手段がない。僕は、足の動きを減らせば結晶筋肉(クリスタルティシュー)への負担が減るんじゃないかと考えて言ってみた。

 

エル君の顔が一段と輝く。いや、ほんとに美少女だなぁ、エル君。だが、男だ。

 

「ほっほう、ローラーダッシュ………いやブーストダッシュと来ましたか!いいですねぇ!」

 

そんなことを考えていたから、次の言葉への反応が遅れた。

 

「ああ、それそれ………えっ?」

 

エル君、なんて言った?

 

「ふふふ、やはりそうでしたか………。レイ、次の言葉の続きを言ってください」

 

ローラーダッ………え?

 

「………しかし体は闘争を求める」

 

「………アーマードコアの新作が出た」

 

「出たんですかッッ!?」

 

「出たよ」

 

「あ、遊びたかった………ッ!」

 

やっと僕も理解が追いついた。

 

エル君、僕と“同郷”だ。

 

 

 

「いつからわかってたの?」

 

僕はとりあえず訊いてみる。

 

「レイの銃杖(ガンライクロッド)と、その使い方を見てからそうなんじゃないかと思ってました。特に陸皇亀(ベヘモス)が出てくる前の日、かなり派手に撃ちまくってましたよね?」

 

言われて思い返す。

 

「確かに………あの時はほぼアサルトライフルとかで援護射撃してる気分だったかも」

 

「ですよね。構え方が完全にそうでしたし。と言うか、レイは気づいてなかったんですか?僕のウィンチェスターを見たらわかると思ったんですけど」

 

「あ、エル君の銃杖(ガンライクロッド)ってそんな名前だったんだ………。僕、エル君のことをブローニングみたいな一人で革新をもたらすタイプの偉人か天才だと思ってたよ」

 

エル君、銃杖(ガンライクロッド)の名前を自慢するようなことしてなかったんだよね。それでもあの、九割がたレバーアクションライフルな見た目で気づかなかった僕って、相当な間抜けなのでは?

 

「なるほど、ブローニングですかぁ………。彼みたいに幻晶騎士(シルエットナイト)の開発史に名を残すのもいいですね」

 

「僕はそうなりそうな気がするよ。なにせ異次元の発想を持ってるもの。文字通りの」

 

「レイもそうなりましょうよ!同郷のよしみですし………そういえばどこの国の人だったんですか?」

 

「………日本」

 

「ですよねえ!」

 

ここまで楽しそうなエル君を見るのは久しぶりかもしれない。いや、エル君のことだから幻晶騎士(シルエットナイト)について学んでいる時はこんな顔してそうだけど。

 

「そうそう、レイがベヘモスに撃ってた魔法、なんていうんですか?」

 

これは命名センスを試されているんだろうかと思いながら答える。

 

超高圧縮渦(コンプレッション・ヴォルテクス)って名前をつけてたんだけど………」

 

「なるほど、超兵器ですね!」

 

元ネタ当てだったか。

 

「あっうん。エル君も好き?」

 

「大ッ好きですとも!あの小さな画面に広がる操縦席、ロマンですよね!」

 

「わかる」

 

同郷なのがわかった時点で察したけど、エル君、ロボット大好き人間だ。

 

「………前提があっても思うけど、エル君って凄いよね。あの場でグゥエールの制御術式を書き換えたんでしょ?まるでアレだよね」

 

「言われてみれば!そうですよね、アレですね!ふっふふ、これいいですねこれ」

 

「通じるって、こんなに嬉しいことだったんだね」

 

「ですねぇ!でも僕のこと言えます、レイ?アールカンバーの右腕だけ乗っ取ったんですよね?」

 

「とても頑張ったよ、本当に。頭爆発するかと思った。………あ、エル君ひょっとしてプログラミングとかやってたの?」

 

「その通りです!プログラミングは割とできますよ!」

 

「それ多分相当デキる人だよね。ワタシ魔導演算機(マギウスエンジン)チョットデキルとか言うの?」

 

「シャツ作ったら着ますか?」

 

「着ない着ない。それよりエル君、幻晶騎士(シルエットナイト)の話に戻ろう」

 

「あ、そうでした。さっき、レイはブーストダッシュを提案しましたよね。あれ、理由はなんですか?」

 

盛り上がっていたエル君はいったん勢いを抑えて、僕に訊いた。

 

「うん。エル君、ベヘモス相手に走ったり飛んだり跳ねたり、足を酷使してたよね?足の動きを減らせないかなって」

 

「そういうことでしたか。確かに、結晶筋肉(クリスタルティシュー)の疲労を減らせるかもしれませんね。それに、うまくいけば走るより早いかもしれません」

 

「うん。でも、これだけだと一時しのぎ的なものになりそうだよね」

 

「はい。だから、結晶筋肉(クリスタルティシュー)の強化は必須だと思っています」

 

「それくらい基本から改良しないと、国王陛下は満足しなさそうだよね………」

 

あの様子からして、エル君にめちゃくちゃ期待してるし。

 

「そうですよ!僕のゴールは魔力転換炉(エーテルリアクター)から作り上げる理想の幻晶騎士(シルエットナイト)ですから」

 

「そこはゴールなの?」

 

「暫定ゴールですね!」

 

「だろうね」

 

ロボ好きが実際に機体を作り上げるのなら、そりゃあ作っただけで満足するはずはない。

 

「レイの機体も作ります」

 

「ひょっとして確定事項?」

 

「はい!」

 

エル君の笑顔がまぶしすぎる。まあ、僕が騎操士になれると思ってくれていると考えておこう。

 

それからも、僕らの幻晶騎士(シルエットナイト)についての話は続く。

 

こうなると僕も楽しみだ。エル君は、どんな幻晶騎士(シルエットナイト)を作るんだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。