何にでも乗れる騎操士くん(予定) 作:黒髪赤目の男の娘これが大好き
僕らが向かった工房の一角には、二メートル半ほどの身長の手足の長い鎧が並べられている。
これが
バトソン君や、ほかの中等部の鍛冶師見習いの人たちが整備してくれている。
エル君はこの
「では今日も訓練、張り切って頑張りましょー」
「おう!」
「うん!」
「よーし」
エル君にの号令に三人で応じる。実践訓練、やってると楽しいから気分も上がる。エル君もウッキウキだ。パワードスーツだって、ロボットみたいなものだしね。
パワードスーツなので、
エル君は
「好きなのはわかるけどよ、
「そんなことはありません。愛情を込めただけ、よく動いてくれるのですよ」
エル君の目つきが怪しい。あれはメカを摂取してトリップしてる目かな。
「愛機の癖を把握すれば、もっとよく動かせる。そういうことだよ」
「そりゃぁ、そうかもしれねーけど」
キッド君は納得できてなさそうだ。まあエル君のアレは、ね。
「うぬぬ………エル君が
「え?お、おう………」
アディちゃんに急かされてキッド君が乗り込んでいる。エル君もいつもの愛でルーティンを終えて乗り込み始めた。
僕も乗り込む。まず後ろ向きに入り込んでから足を定位置に置いて、それから前面の装甲を閉じる。
腕の内側には、
膝立ちの姿勢から、
工房の裏手には訓練場がある。そこに到着すると、他にも
「こんにちは、エドガー先輩。どうですか、使い心地は」
エル君が声をかける。
「ああ!エルネスティか………よっと!それ!………見ればわかるだろう」
確かにそうだなと思う。僕から見ても、エドガー先輩の
「なるほど、とても楽しそうですね!」
「さすがに、その感想はどうかと思う………」
エル君からすると、
エドガー先輩はそのまま立ち止まって、腕を組んだ。
「なぁエルネスティ。前から思っていたんだがな。この
この
でも、
エドガー先輩の騎操士としての実力は低くないはず。それは
そんなエドガー先輩ですら、
「やはり必要な制御が複雑すぎる。
訓練場の、僕らの周りにはぽつぽつと数人がいるだけ。エドガー先輩の言葉からすると、最初はもっとたくさんいたみたいだ。
「うーん、そうなのですよね。そこは少し見積もりが甘かったです」
エル君自身、グゥエールを直接制御で動かせてしまったんだ。そこで感覚が狂ったに違いない。
「そこは努力で補うとか!ね、ほら。私たちだってこんなに動かせているのよ」
アディちゃんも感覚が狂ってしまっている。彼女とキッド君も魔法に関しては、入学の前から授業の先を突っ走ってきたからね。
エドガー先輩は僕ら四人を見て溜息をついた。
「あまり無茶を言うな。一朝一夕でどうにかなるものじゃないだろう。まったく………とりあえずお前たちが何かおかしいのは十分に理解させてもらった。今さらそこはどうこう言わんが、せめてそれを普通の人間に求めるな」
エル君が唸る。
「んーむむむ………それでは残念なことに、これは使えないことになってしまいます」
「
「そうだな。これは
「やはり、それしかありませんか………そうすると製作費が上がってしまうのですが、背に腹は代えられませんね」
製作費がかかるというのは、単に
「小型化しないと積めないだろうけど、積んだ方が
「僕も
「まずは学ばないと、か………」
解決には時間がかかるだろうね、これは。
「ふっ、情けないなエドガー!騎操士学科筆頭騎士ともあろう君が、そんなに簡単にあきらめるとはね!」
そこに別の声が聞こえてきた。ディートリヒ先輩だ。
「………ディー、珍しく随分とやる気を出しているんだな」
ディートリヒ先輩も
「ふん、これくらいたやすい………あれ?何だこれやばい、やばいぞ止まらなアーッ!?」
何かゴリっとした音がして、ディートリヒ先輩の
「ちょっ、ディートリヒ先輩!?えっこれ、ちょっと回りすぎてない!?医務室に」
その瞬間、ひねられた上半身がまたぐいんと正面向きに戻って、ディートリヒ先輩は何かのポーズを決めた。
「いっ、医務室はいけない!こ、これくらいなんでもない!!それにはまったくこれっぽっちも及ばないとも!」
「いや汗すごいですよ!?ちょっと、いったん甲冑を外してみた方が………!」
僕の言葉に耳を貸さず、ディートリヒ先輩は高笑いをしながら工房の方へ歩き去ってしまう。
「………あー、私が見ておこう」
「よ、よろしくお願いします………大丈夫なのかな………」
エドガー先輩が後を追っていった。すくなくとも歩けるということは、重症じゃないのかもしれないけど………。
ディートリヒ先輩、医務室に何のトラウマがあるんだろう………?
「………えーと、まぁ、大丈夫そうですし、僕たちも訓練を始めましょうか」
エル君たちはそのまま訓練を始めた。僕はディートリヒ先輩が心配だったけど、危なかったらエドガー先輩が医務室に連れて行ったりしてくれるだろうと考えることにする。
「
「無茶言ってくれるぜ!」
エル君はキッド君とアディちゃんの二人を相手にした戦闘訓練をしている。キッド君とアディちゃんの連携は上手いけれど、
最初は僕も参加していたのだけど、上達がキッド君たちより早かった。三人で挑むとさすがのエル君もキツいというか、僕とエル君でキッド君たちを置きざりにしかけた。そこで、キッド君とアディちゃん対エル君、または僕という二対一の訓練か、僕とエル君、キッド君とアディちゃんが敵対する形の二対二の形での訓練をしている。
余った時の僕は、もっぱら
「せーのっ!」
まずは
「ブーストっ!」
そのまま
次は宙返りだ。前に脚力だけで跳んで、勢いのまま一回転して着地。目指すはエル君が乗ったグゥエールのようなアクロバティックな動きだ。
「よっ、ほっ、そいっ!」
猛ダッシュしたり、地上すれすれの
地上で空中で、
「ひゃっほーう!………あれ?」
楽しくなってきたところで、大きな衝突音が聞こえてきた。
エル君たちの方へ戻ってみると、キッド君とアディちゃんの
「少し小ぶりとはいえ、やはり人型兵器は素晴らしい………。力とやる気がみなぎって仕方ありません!さぁ二人ともいつまでも寝てないで、続きを始めましょう!」
「エル君、抑えて抑えて。さすがに正面衝突したあとは少し休んだ方がいいと思う」
言いながら歩み寄って、キッド君たちの様子を見る。なにかげっそりした様子だけど、特に怪我とかはなさそうだ。
「ねぇ、魔法を習ってた時よりエル君が厳しくなってる気がしない?」
「気のせいじゃねーよ。
「大丈夫そうだね。エル君は………」
「まだまだやれますよ!」
「さすがに元気だね」
僕が離れると、また戦闘訓練が始まった。僕は訓練を眺めにきていたバトソン君に声をかける。
「バトソン君、お疲れさま。
「ああ、うん………。訓練はいいけどさー、直すの俺なんだから、あまり盛大に壊すなよな………」
「戦闘訓練はどうしても壊れるよね………」
「いや、レイが跳ね回ってるのも見てて怖いんだけど」
「あー、うん。気を付けるね………」
バトソン君に言われて、僕は苦笑いしながら頭をかいた。