何にでも乗れる騎操士くん(予定)   作:黒髪赤目の男の娘これが大好き

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嫌味な人、現る

魔法学基礎の授業でオルター兄妹に話しかけてから、仲良くさせてもらっている。やっぱり二人とも、魔法の使い方は参考にできる部分が多くてありがたい。

 

「それにしても、二人とも魔力が多くていいなぁ。僕も訓練はしてきたはずなんだけど、エチェバルリア式の訓練がよかったのかな」

 

空き時間にオルター兄妹と訓練していた僕は、そう聞いてみた。

 

「そうかもな。最初はしんどかったけど、メキメキ上達するのがわかったし」

 

「レイ君はどんな訓練してたの?」

 

「僕?走りながら空気弾丸(エアバレット)を的に当てる訓練とかかな。動きながら正確に放てるようにって先生から教わったんだ」

 

「へぇー、先生って?」

 

「孤児院の先生だよ。元騎操士なんだって」

 

「なるほどなぁ、実戦的って感じだ」

 

「特に僕はまともな剣が使えないからね………。身体強化(フィジカルブースト)でもしないと振り回されちゃうけど、魔力を考えたら身体強化(フィジカルブースト)で使い尽くすのもね」

 

「戦い方、色々考えてるんだね。えらいえらい」

 

「やめてやれよ。レイのやつむすっとしてるぞ」

 

そんなふうに色々と話している中で、エチェバルリア式のオリジナル魔法にどんなのがあるかを教えてもらった。空気弾丸(エアバレット)を改良して推進力にしたり、着地するときにクッションにしたり。なんとエチェバルリア君は身体強化(フィジカルブースト)とこの空気魔法を使って屋根の上を駆け回っていたらしい。更に言うと、この身体強化(フィジカルブースト)も術式が改良されてて、必要なときに必要な部位を強化する低燃費型になってるそうだ。

「コワ………天才どころか鬼才だ」

 

「凄いよなぁ」

 

「凄いよね」

 

で、当のエチェバルリア君が魔法学基礎の代わりに何の授業を受けているのかとも聞いてみた。中等部に交じって幻晶騎士(シルエットナイト)のことを学んでいるらしい。僕も図書館の本から多少は学んでいるけど、エチェバルリア君はどうやら自分の幻晶騎士(シルエットナイト)を作りたいようだ。

 

エチェバルリア君の凄い理由がわかる気がする。幼い頃から目的を定めて、日々邁進………もはや爆進かな。しているからだろう。

 

魔法の術式改良に熱心なのも、幻晶騎士の制御系が術式で構成されているからだと思う。そもそも幻晶騎士(シルエットナイト)って、大きくした人みたいなもののようだし。結晶筋肉(クリスタルティシュー)はその名の通り。動力炉の魔力転換炉(エーテルリアクタ)は人がエーテルを魔力にする機能の再現で、制御系の魔導演算機(マギウスエンジン)は術式を組んで動作させる人間の脳の再現。人間よりも大きくて強い魔獣に対抗するための、叡智の結晶なんだろう。

 

何はともあれ、気持ちはわかる。幻晶騎士(シルエットナイト)ってカッコいいからね。僕もちょっとは触れたいなんて下心で騎士学科を志願したのだし。

 

 

 

 

別の日。オルター兄妹とは両方から愛称呼びを許してもらえるくらいに仲良くなった。けど、やっぱりキッド君とは性別が同じだから話しやすい。今日はアディちゃんとは別行動だ。

 

キッド君と雑談しながら歩いていると、上級生に声をかけられた。キッド君が。

 

「おや、これはこれは誰かと思えばアーキッドじゃないか。久しぶりだなぁ?」

 

うわ、性格悪い人だ。僕の第一印象はそれ一色だった。第一声からして嫌味だし、観察してみてもそこそこ整った顔立ちより嫌味な表情が目立つ。

 

キッド君は初日にセラーティ先輩に接していたような硬い態度で、「お久しぶりです、バルトサール兄様」と返事をした。

 

バルトサールさん(先輩と呼びたくなるような感じはしない)の方はキッド君の返事を聞いているのかいないのか、嫌味な口調で言葉を続けた。

 

曰く、今年の新入生に凄いのがいると噂で聞いた。しかも、その周りには誰かさんにそっくりな奴がいるらしい。

 

性格が悪い人だという第一印象は事実だろう。

 

その後もキッド君の態度が気に入らないのか圧力をかけてくる。

 

バルトサールが続ける中で妾の子、という言葉も出てきた。これはどうやらキッド君とアディちゃんの事らしい。嫌味な笑みから威圧を強めるような表情に変わっていくのを見て、僕は腰に下げた杖をそれとなく握る。

 

バルトサールはまだ続ける。ここが本題らしい。

 

妾の子が優秀な騎士になって本家に帰り、自分の立場を奪うつもりかどうか危惧して釘を刺しに来た。おおかたそんな所だと思う。多分、バルトサールの動機は保身だけじゃない。あれは多分、キッド君たちのことが単純に嫌いなんだ。

 

威圧するだけして、バルトサールは去っていった。

 

「………僕、いないもの扱いされてたね」

 

「………嫌なこと聞かせたな、ごめん」

 

「いいよ。キッド君が悪いはずないしね。ところであの嫌味な人、貴族?」

 

「ああ。セラーティって家だ」

 

「なるほど、大体わかったよ。キッド君、大変だね。何かできることがあったら言って」

 

「………悪いな」

 

キッド君が気まずそうにしているから、僕はつとめて明るく振る舞うようにした。こんなこと、気にしても仕方ないからね。

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