何にでも乗れる騎操士くん(予定)   作:黒髪赤目の男の娘これが大好き

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嫌味な人、再来

キッド君とアディちゃんが手合わせをしている。

 

二人ともエチェバルリア式身体強化(フィジカルブースト)を使っていて、その動きはふつうの人間とは思えない速さがある。

 

キッド君の銃杖(ガンライクロッド)は大剣型で、キッド君はそのリーチを活かして攻める。対してアディちゃんのものは二振りの細剣型。その手数はリーチの差を感じさせない。互いに相手の隙を攻めようとしているけれど、それを許すこともない。結果的に千日手の様相を呈しながら魔力切れまで戦う。二人の手合わせはだいたいそんな感じだ。

 

「まったく………二人ともあきれたものね。エル君はあなたたちに何を教えているのかしら」

 

僕と一緒に手合わせを眺めていたセラーティ先輩が言った。

 

「うーん、魔法とか、剣とか?」

 

そんな風に答えるキッド君たちに思わず僕はつっこんでしまう。

 

「それでここまで上達するのは普通じゃないからね」

 

ところが、セラーティ先輩は僕にも呆れた様子だ。

 

「貴方も大概よ?今のあなたたちには、私も敵うかどうかわからないわ」

 

「大げさですよ。キッドくんたちはともかく」

 

「姉さんって騎士学科の成績最優秀者のうえ生徒会長に抜擢されてるし、そうそう敵うとは思えないけどなぁ」

 

「感覚狂ってないかしら………エル君とレイ君のせいで」

 

「えっ」

 

間が悪くてエチェバルリア君にはまだ会ったことがないけれど、彼の横に並べられるような人間ではないと思う。

 

「変なこと言わないでくださいよ、セラーティ先輩。僕ってほとんど魔法一辺倒で、剣術を交えたらキッド君たちに敵わないんです」

 

「それを言うなら、俺たちが剣の間合いまで近づく方が難しい気がするんだけど」

 

「そうだよ、レイ君。レイ君ってすぐ逃げるんだから」

 

「マトモに当たったら押し負けちゃうからね………身体強化(フィジカルブースト)、キッド君とアディちゃんより下手だし」

 

僕らの会話を聞いていたセラーティ先輩は一言呟いた。

 

「うん、やっぱり感覚狂ってるわね」

 

「そうなのかなぁ」

 

だとしても、僕としては魔法を磨く他ない。次は何から取り掛かろうか、と考え始めた僕をセラーティ先輩とアディちゃんが撫でに来たので、僕はキッド君に目線で助けを求めた。

 

 

 

 

キッド君とアディちゃんはいつも、揃って授業を受けている。

 

ところが今日はおかしい。アディちゃんが授業に来ないのだ。キッド君も僕も不審に思って、探しに行こうとした。

 

するとそこに現れたのがバルトサールだった。

 

「おや、教室にいたか………探す手間が省けたよ」

 

バルトサールの雰囲気が異様だ。嫌味な笑みはそのままだけど。

 

「先輩、今日は何の御用でしょうか」

 

キッド君が訊くなりバルトサール先輩は高らかに言う。

 

「君に決闘を申し込みに来た!」

 

「決闘、ですか。何が目的です?」

 

動揺しているキッド君の代わりに訊いてみる。

 

「誰だ、君?君には用はない」

 

「キッド君の友達ですよ、バルトサール先輩」

 

「名前を言え」

 

「レイ・カルザス」

 

「では引っ込んでもらおうか。矮小なお前に用はない」

 

とりつく島もない。相当、頭に血がのぼっている。

 

「何を言うんですか、先輩」

 

キッド君が聞き返すと、バルトサールは堰を切ったように喋りだす。

 

「わからないか?そうだろうなぁ………これまでは目溢ししてきてやったが、最早許しておくわけにはいかないのだよ」

 

僕は傍観者にされた身として、バルトサールの目的を推測する。バルトサールは多分、キッド君の腕前の上達ぶりを何処かで見たのだろう。以前もキッド君の存在を危ぶむ様子があったことだ。キッド君に強くあられると困る理由があるに違いない。だから、決闘という形で叩きのめしに来た。

 

「意味わかんねぇが………決闘?いいじゃねぇか、受けて立ってやるよ!」

 

キッド君は応じることにしたらしい。でも、バルトサールの雰囲気を見るにただの決闘とも思えない。戻らないアディちゃんのことも考えると、嫌な推測が成立する。

 

「なんと口汚ない………品性を疑うね。その威勢、どこまで持つか楽しみにしておこうじゃないか」

 

バルトサールの悪役じみた台詞を聞きながら、僕はやるべきことを考えていた。

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