リハビリ投稿
汝、草薙寧々を愛せよ
私には、幼稚園に通っていた頃からずっと一緒の幼馴染みがいる。出会いは今でも覚えている。周りの子達が元気に外で遊んでいるのを、喘息のせいで動き回ることのできない私が子供ながらに疎外感を感じながら『人魚姫』の絵本を読んでいる時のことだった。
「ちょっといいかな?
「……?けほっこほっ……なぁに?せんせい」
幼稚園の先生が一人ぼっちだった私のところにやってきた。一人の女の子を連れて。
「この子は、天音ちゃんと同じで絵本を読むのが好きだから、一緒に絵本を読んだらどうかなって思うんだけど、どう?一緒に読める?」
「…………」
先生に話し掛けられた私は、パタンと絵本を閉じてから先生と先生が連れてきた女の子の方へと目を向ける。先生が連れてきたのは、緑色のふんわりとした長い髪をした女の子。癖毛なのか左右が動物の耳のように跳ねているのが、先生の服の裾を掴みながら私のことを恐る恐る伺うような仕草と合わさって、何処か小動物を思わせた。
「うん、よむ。こほっ……わたしはね、
「……ぁ、えっと……その……」
私が女の子へと自己紹介をする。でも、女の子は視線を右往左往とさせながら口をもごもごと動かして言葉を詰まらせていた。当時幼かった私でも、彼女が緊張しているのだろうと言うことはうっすらとではあったが分かった。
幼稚園児と言うのは、良くも悪くも元気一杯だから彼女の緊張しいは他の子ども達からすれば、つまらないものだったのだろう。だから、喘息のせいで他の子と一緒に遊ぶことのできない所謂『つまらない』私と同じくハブられている。だから、あぶれ者同士をくっつけようと幼稚園の先生は動いたんだと思う。でも、当時の私にはそんなことなんて関係ないほどに、彼女の口から小さく漏れるその声に強く惹かれていた。
私は、絵本を置いてから立ち上がると、先生の方へ歩いていき、彼女の手を掴んで目を見つめる。
「わたし、あなたとおともだちになりたいの。なまえ、おしえてくれる?」
「わ、わた、わたし……」
私が手を握ったからか、目に見えて挙動不審になった彼女。おどおどと何を言っているのか分からないくらいに混乱しているのか、目がぐるぐると回っていた。それでも、私は彼女の手を放さずに待ち続けた。
「わ、わたし……は、く、
「ねねちゃんっていうんだ。これからよろしくね、ねねちゃん」
やがて、少女の口から放たれた彼女の名前に私は笑みを深めたのだった。これが、私と寧々ちゃんの出会いだった。
――――――――――――
「ん……」
私が目を覚ますと見慣れた白の天井と、閉められたカーテンの隙間から漏れる僅かな日の光。そして、私の目の前で眠る幼馴染みである寧々ちゃんが目に入る。中学の卒業式を終えたからだろうか、とても懐かしい夢を見た。
私の大切な幼馴染みと出会いを果たしてから十二年。本当に色々なことがあった。それはもう、言葉に尽くせないと言う表現がぴったりなほど濃い十二年だった。艱難辛苦の連続とも言う。
「ん……ぁ、天音?」
脳裏を廻る思い出の数々に思考を持ってかれていた私は、不意に聞こえた声に思考を現実へと引き戻す。目の前には、先ほどまで閉じられていた瞼が開かれており、アメジストにすら負けないほどキラキラと輝くキレイな紫紺の瞳が私の顔を覗いていた。
「…………」
無言でお互いの顔を見つめ合う。数秒か、数十秒か、はたまた数分か――流石に十分は経ってないと思う――それだけの時間が過ぎた頃、私は寧々ちゃんの耳元へ顔を寄せるように動き、寧々ちゃんはそんな私の動きを読んでいたかのように頭の位置をすっと私の方へ寄せる。
私は、寧々ちゃんのほっぺと私のほっぺをぴっとりとくっ付けてから、耳元でちゅっと小さくリップ音だけを鳴らす。そうすると、寧々ちゃんも私の耳元で小さくリップ音を鳴らす。そんなチークキスの後は、どちらからともなく互いの背中に手を回して軽く抱擁を交わす。
そして、私たちは刹那の違いすらなく同時に口を開いた。発される言葉も全く同じ。
「おはよう」
異口同音。私と寧々ちゃんの声がぴったりと重なって聞こえる。それが何処かおかしくて、私たちはくすりと小さく微笑む。
「今日も揃っちゃったね、寧々ちゃん」
「……当たり前でしょ。何年続けてきたと思ってるの」
そんないつも通りのやり取りを交わして、私たちはおでこ同士をこつんと合わせ、背中に回した腕に力を込めてお互いの体温を感じながら目を閉じ、春休みと言う言葉を免罪符に二度寝をする。これが、今の私たちの朝のルーティンになっている。
「天音、ケチャップ取ってくれない?」
「はい、寧々ちゃん」
「ありがと」
時刻は9時を少し回った頃、私と寧々ちゃんは漸くベッドから降りた。そして、スクランブルエッグにベーコン、サラダ、マーガリンを塗ったトーストと、簡単なものではあるけど、二人で一緒に作ってテーブルに並んで座り食べていた。
何となく付けたテレビで少し遅めにやってる主婦向けのニュース番組の音をBGMに食事を続ける。気になるニュースは、やっぱり音楽のトピックで、パパのいる楽団の話をしていたり、私が個人的に気になっているバンドの話題があったりした。
音楽のトピックが終われば、次第に私たちの意識はお互いへと向いていく。
「そう言えば、天音。わたし達のチャンネルって登録者どれくらい増えたの?」
「えーと、ちょっと待ってね。……8万人かな。昨日よりちょびっと増えてる」
「……そう」
私の言葉に寧々ちゃんは少しむすっとした表情をした。今の話から分かる通り、私と寧々ちゃんは二人で動画配信をしている。元々は、中学の時に寧々ちゃんが大好きな歌から離れそうになっていたのを引き留める為に始めたもの。
過去に色々あって、人前では歌えないし上手く話せないと言うトラウマを抱えてしまった寧々ちゃん。でも、心の何処かでは歌を諦めきれていないのが見えたから、私は寧々ちゃんに配信を勧めた。そして、自分たちからは他の人が見えないけど、相手からは私たちが見えると言うオンラインの環境は寧々ちゃんにとって最適だった。
だから、インターネットを使う動画配信は寧々ちゃんのトラウマを多少は気にせずに歌えるのではないか。そう、思っていたんだけど……。
「……うーん、じゃあ今日も配信する?」
「……わたしはやりたい、かな。でも、天音の体調は大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。なんか最近は調子がいいんだよね」
「よかった……。無理だけはしないでよね?」
「もちろんだよ、寧々ちゃん」
寧々ちゃんは動画配信に大ハマりしてしまった。歌配信から始まって、寧々ちゃんが得意なゲームであったり、私と軽く即興の劇をしたり、果てにはあの寧々ちゃんが雑談配信をしたりしているのだ。これには、私もびっくりして喘息の発作が起きた。
因みに、寧々ちゃんと出会って12年経った今でも、私の身体を蝕み続けている喘息は健在である。とは言え、よっぽど大きい発作でも起きない限り通院はしなくていい程度までには落ち着いている。でも、発作が起きる時は起きちゃうんだよね。奏ちゃんのお部屋とか埃っぽいところはちょっと苦手な私です。
「じゃあ、早速配信の準備をしちゃおっか」
「うん、そうだね」
朝ごはんを食べ終えた私と寧々ちゃんは、揃ってごちそうさまをしてから席を立つ。並んで後片付けをしてから、二人で配信をする時に使う防音室へと入った。
防音室の中には、私と寧々ちゃんの二人用の二台のパソコンとヘッドセットなどの配信機材から、アコギとエレキの2本のギターにピアノ、アンプと色々な機材が用意されてある。
因みに、ここはブースの部分で部屋の壁が一面だけガラス張りになっていて、ガラスの奥にはコントロールルームがある。コントロールルームには当然ながらミキシングコンソールが用意されていて、前に寧々ちゃんの歌ってみた動画を作るときに使ったことがある。レバーが一杯あって使い方が凄く難しかったけど、意外となんとかなったんだよね。
そんなミキシングコンソールくんのことも、今ではかなり巧く使いこなせている自負があるよ。やっぱり世界一の歌姫には世界一のサポーターが必要だよねって思って頑張った私です。
「そう言えば、来週だね。神高の入学式」
「うっ……見ず知らずのキラキラ陽キャ……今から憂鬱……行きたくない」
私と寧々ちゃんは肩を並べて座ってパソコンに向かい、前の配信や投稿した動画で貰ったコメントを確認して、改善点とか良かった点をまとめながらそんなことを話す。
まぁ、寧々ちゃんは元から緊張しいな子だったからねー、あの事件が起きてから拍車が掛かっちゃったけど、この人見知りは生来の気質だから仕方ないかなって思っちゃう。だから、寧々ちゃんの為にはならないと分かっていながらも、つい甘い言葉を吐いてしまう。
「大丈夫、寧々ちゃんの側には私がいるから。だから、怖くないよ。一緒にゆっくり、ゆっくり一歩ずつ頑張っていこうね」
私は椅子のキャスターを転がして、寧々ちゃんの側に近づくとぴとっと頭を傾けて、寧々ちゃんの肩に頭を乗っける……にはちょっぴり身長が足りなくて二の腕に寄り掛かるような感じになっちゃった。ちょっとはずかしい……。
「天音……ありがとう。これからも、よろしくね?」
寧々ちゃんが嬉しそうに目尻を少しだけ下げて微笑む。そして、私の頭の上にこつんと優しく重さが加わる。寧々ちゃんの緑色の髪が視界に入り込む。私は目を閉じて、こう返すのだった。
「こちらこそ、よろしくね。寧々ちゃん」
寧々のここがかわいい
着せ替えで、少し恥ずかしがりながらポーズをとってくれるところ(個人的解釈を多分に含む)
混沌ブギ、指ペロ(バレンタインのヘアスタイルでやると尚よし)
おなじく混沌ブギ、3000体の桑田
いーあるふぁんくらぶ、羞恥心に勝つぞ
おこちゃま戦争、アナボのよっしゃぁ
その他諸々含めてかわいい