瑞希の話を書く時は前回含めて、自傷ダメージを負っています。ここでは、絶対に幸せにしてやるでな。
荊棘によってメンタルバッキバキに砕かれ、傷だらけの手でぐちゃぐちゃに掻き回された男の言葉
告知通りタイトルを変えました
「あっはは!それ本当?服屋から逃げてきたって面白すぎるでしょ!」
「……むぅ」
「ごめんごめん、草薙さん。馬鹿にしてるわけじゃないんだよ。確かに、服屋さんって初めて入る時は緊張しちゃうもんね」
「暁山さん、今更フォロー入れても遅いと思うな?寧々ちゃんが怒っちゃってるよ」
「馬鹿に……しやがって……!」
「ほら」
「ごめんって!」
私たち三人は、近くにあったカフェに入って飲み物片手にお喋りをしている。話題は寧々ちゃんが華やかな魔境ことセレクトショップから逃げた時の話。で、それを聞いた暁山さんの反応はご覧の通り。
これには、寧々ちゃんもブスッと不満そうな色を全面に押し出している。ただ、本当に怒っている訳ではなくて、頬っぺたを膨らませて唇をツンと尖らせているいかにもな演技感があるもの。本気で寧々ちゃんが怒ったらこんなことしないから、きっと寧々ちゃんなりに暁山さんに馴れようと努力した結果なんだと私は思う。
「ふふ……冗談。別に怒ってない……よ、暁山さん」
「わーお、草薙さんって笑うんだね」
「……本当に怒るよ?」
「違う違う!冗談だから!冗談返し!冗談返しだからノーカン!」
ほらね?小さく笑いながら、暁山さんと打ち解けるべく言葉を崩そうと頑張る寧々ちゃん。……私は夢でも見ているのかな?あの寧々ちゃんが他の人と軽口を叩いて仲良くなろうとするなんて……。あ、類くんとか司くんは例外ね。
まぁ、私が暁山さんに助けられたってところが、寧々ちゃんの中で大きくプラスに動いているみたいだね。何故かって?私も同じだからだよ。
そんなことを考えながら、なんだかんだで楽しそうな二人の会話に混ざる。
「そう言えば、暁山さんは今日何をしにきたの?」
「うん?ボク?ボクも二人と一緒で今日は洋服を見に来たんだ。……あ、そうだ!二人さえ良ければなんだけど、このあと古着屋に行かない?」
私の質問に答えた暁山さんは流れるようにこれからの行き先についての話へと繋げてくる。これが陽キャの力かと、私と寧々ちゃんは内心戦々恐々としていた。と言うか、それよりも。
「古着屋?」
「そーそー。古着屋はセレクトショップに比べて大分静かで落ち着いた雰囲気だからね。あそこなら、草薙さんでも入れると思うんだ。それに値段が安いから学生の財布に優しい!」
「なるほど、確かに寧々ちゃんにはぴったりかも」
「……うん、それならわたしも大丈夫……だと思うな」
「じゃあ決定!ボクが二人をカワイくしてあげよう!」
「え……それはいい、かな」
ここで大丈夫って言い切らないところが流石だよね(褒め言葉)。と言う訳でこれからの予定が決まり、私たちは約束通り暁山さんの分のお会計も済ませて店を出た。
「それにしても、草薙さんも白百合さんも肌キレイだよね。何の化粧水使ってるの?」
「……化粧水?」
「私たちは使ってないよね。日焼けには気を付けてるけど、それくらいかな?」
「……うん」
「え!スッゴ!?それでこんなにモチモチ卵肌なの!?」
暁山さんの案内で古着屋さんへ向かう道中にそんな話をした。私のほっぺをぷにぷにつんつんと弄くる暁山さん。ある程度親しくなったとは言え、寧々ちゃんには不用意に触らない辺り、暁山さんってそこら辺しっかりしてると思うよ。
「ボクの知り合いとか嫉妬して怒りそうだねー、余り他の人には言わない方が良いかも。余計なトラブル起こしちゃうよ」
ついでに、そんなことを随分と真剣な顔で言われたから頷いた私たち。でも、確かに自慢っぽく聞こえるかも。
「到着ー!ここがさっき言ってたお店だよ!」
「へぇ、ここがそうなんだ」
「……」
そんなこんなで、古着屋に着いた私たちは暁山さんを先頭にお店の中へと入る。寧々ちゃんはやっぱり緊張しちゃっているのか、私の背中に張り付いておっかなびっくりといった様子で着いてくる。店内は、静かな感じでBGMで流れてるバイオリンのデュオとよく似合う感じ。
あ、このBGM何処かで聞いたことあるって思えば奏ちゃんのお父さんが作った曲だ。この店はなかなか良いセンスをしていらっしゃる。古臭いだとか宣う世間サマとは違って分かってる側だね。私はこのお店が気に入ったよ!
「じゃあ、ドンドン見ていこー!」
「まずは草薙さんから!草薙さんは半袖よりも長袖かなー。カーディガンとかニットとかいいんじゃない?それか、髪を纏めるなら半袖のワンピースとかで涼しげな感じを出すのでもいいと思うんだ!」
「……あ、あまね……たすけて……っ」
「が、頑張って寧々ちゃん」
まず、暁山さんは寧々ちゃんをマネキンにして、色んな古着を漁っては寧々ちゃんの身体に当てていく。暁山さんはササッと目にも止まらぬ速さで手首に巻いていたヘアゴムで寧々ちゃんの髪を一纏めにしてポニーテールを作ると、また古着を漁っては身体に当てていく作業に戻る。
そして、暁山さんは大きく頷くと、暁山さんの勢いにぐるぐるおめめになった寧々ちゃんに選んだ古着を持たせるとそのまま寧々ちゃんを試着室の中へと叩き込んだ。
「……えっと、ど、どう、かな……?」
「おー、かわいい」
「うん、こんなところかな。よく似合ってるよ!草薙さん!」
暁山さんと雑談をしながら寧々ちゃんを待つこと暫く。シャッとカーテンが開く音を立てて寧々ちゃんが姿を表す。上は淡い緑のシャツに白のカーディガンを羽織っている。下は亜麻色と茶色のチェック柄のロングスカートを履いている。全体的に落ち着いた大人な雰囲気と言うか、知的な感じ?と言うのかな。そんな感じで寧々ちゃんの物静かな雰囲気とも大分あってると思う。……かわいい。
「じゃあ次は白百合さんね」
「お願いするね、暁山さん」
「まっかせてよ!」
寧々ちゃんの次は私の番になった。寧々ちゃんと同じく、マネキンへと変えられた私はとにかくジッとしていた。因みに、暁山さんはフローラルのとても良い香りをしておられましてよ。
「草薙さんはボリュームのあるふわふわな髪質だったけど、白百合さんは柔らかくて、猫っ毛なのかな?さらさらしてるね」
「そう?」
「うん!それに、髪色だって草薙さんの落ち着いた緑色、白百合さんの儚さの感じる薄い水色が二人の雰囲気にピッタリだし!」
「寧々ちゃん、寧々ちゃん、私たち凄い褒められてるよ」
「う、うん……ちょっと……だいぶ、恥ずかしいかな」
これが陽キャの誉めちぎりか……。恐ろしい距離感の破壊力を持っていらっしゃる。寧々ちゃんが眩しい物を見るような遠い目になってしまった。詰められた距離が少しだけ開いた音が聞こえた。でも、合計では距離を詰められてるけどね。
因みに、実際には私の髪色は白縹色って名前らしい。前に寧々ちゃんが調べてくれた。イメージ的には奏ちゃんの髪色に青をほんの少し足した感じかな?これのせいで、奏ちゃんとお出かけすると時々姉妹に間違えられたりするんだよね。
と、まぁそんな話は置いといて。どうやら暁山さんの中で私へ着せる服は決まったらしく、暁山さんは選んだ服を片手に私の背中を押して試着室へと手に持った服と一緒に私の身体を押し込んだ。
「じゃ、白百合さんはこれに着替えてね!」
「うん、分かった」
「よし!草薙さんはボクと一緒にお話でもして待ってよー!」
「……え?」
私がカーテンで視界が閉ざされる前に見た光景は、寧々ちゃんが私に救いを求める悲痛な想いがありありと込められた視線だった。……南無。
「それにしても、暁山さんって凄い……」
私は取り敢えず渡された服に袖を通した。試しに鏡を見てみる。
手の半分が隠れるくらい袖余りをするちょっと大きめの白のセーター。肩紐がリボンになっている白と黒のチェック柄のショートドレス。それらを身に纏った私の姿(151センチ)があった。
でも、これって――
「――ちょっと子どもっぽい気が……気のせいかな?」
まぁ、この大きめのセーターとか寧々ちゃんでも着れそうだしこれでいっか!子どもっぽいってのは気のせいである。……きっと、恐らく、めいびー。
「着替えたね。おー、似合ってるじゃん!凄くカワイイよ!」
「……ッ」
私が試着室から出ると、暁山さんは即座にお褒めの言葉を投げ掛けてくれる。その後ろで全力の縦ノリで暁山さんの言葉に続いてくれる寧々ちゃんはかわいいね。
「じゃー、次はどこに行こっか?」
その後、一時間ほど暁山さんのマネキンになって、春服をある程度買った私たちは古着屋を出て再び街へと繰り出す。
「そう言えば、ボクずっと気になってたんだけど、お二人さんって恋人だったりするの?」
暁山さんが私たちの少し前を歩きながらそんなことを言う。にしても恋人って……。
「ううん、私たちはただの幼馴染みだよ」
「……うん、幼稚園からだから、期間は結構長いけど」
「え?幼馴染み?」
私たちが答えると、暁山さんは心底理解できない物を見るような訝しさ満載の視線を向けてくる。その視線は私たちの手へ向かって、そこから徐々に上へと向いていく。
繋がれた手と絡められた計10本の指。互いの長髪が風で顔に当たりそうなくらいピッタリと隙間なくくっつく肩。
「それでただの幼馴染み?近すぎない?」
「「……?」」
私は暁山さんの言葉の意味が分からず、寧々ちゃんと目を合わせてみる。でも、寧々ちゃんも私と同じようであまり思い付かないようで、疑問符が頭に浮かんだまま私の顔を見つめている。結局、私たちは二人揃って小首を傾げるに終わった。
「あー……オーケーオーケー、分かったよ。君たち、もしかしなくても小中続いて友達がいなかったタイプかな?」
突然に暁山さんが私たちをぼっち扱いしてきた。なんで?でも、まぁ。
「……えっと、天音はトモダチいたよね……?」
「寧々ちゃんも
私たちが答えると、暁山さんは鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔をした。え?そんなに私たちって友達いなさそうに見えてたの?私たちが二人だけで完結してる感じの退廃的な関係にでも見えたのかな……。
「え?じゃあ、おかしいのはボクの方ってコト……?確かに、ボクは友達そんなにいないけど……。流石にいくらなんでも距離が近すぎるんじゃ……?」
後半の言葉はぼそぼそっとしてて聴こえづらかったけど、寧々ちゃんのちっさい小声と比べれば十分聴こえる声だった。私って音楽特化型みたいなステータスしてるから耳がいいんだよね。勿論、寧々ちゃんも。にしても、私は暁山さんに言いたいことがある。
「暁山さん……」
「……わたし達、友達じゃないの……?」
あれ?私が言おうと思った言葉を寧々ちゃんに取られてしまった。……………………は?え、ちょ、ちょい待ち。い、いま寧々ちゃんが初めて会った人を友達って言った、だと?あ、あり得ないっ。理解できぬ。理解できぬ。理解できぬ。理解できぬ。
「…………」
……ふぅ、ビックリし過ぎてキャラ崩壊どころかナニかが憑依した気がしたよ。暁山さんが何か葛藤している表情を見せなかったら戻ってこれなかった。
「……暁山さん?……どうかしたの?」
「……へ?いや、何でもないよ草薙さん!まさか、二人に友達なんて思って貰えてたとは思わなくてさ!」
寧々ちゃんの言葉に返事を返すけど、どこか表情とか声音とかに翳りというか、違和感を感じた気がする。寧々ちゃんも同じみたいで、暁山さんを見た後に私を見る。
……取り敢えず、今の私たちがその違和感に踏み込むものじゃない。と言った意味を込めて寧々ちゃんを見ると、寧々ちゃんは小さく頷いてくれる。
「……じゃあ、ボクたちはこれからお友達だね!改めてよろしく!天音ちゃん、寧々ちゃん」
私たちが幼馴染み特有の無音のやり取りをしていたら、空元気さを感じる声で暁山さんがそんなことを言ってくる。当然、私たちの返事は決まっていた。
「こちらこそよろしくね、瑞希さん」
「……うん、こちらこそよろしく、暁山さん」
「えー……寧々ちゃんもボクのこと名前で呼んでよー」
寧々ちゃんの暁山さん呼びに文句があるみたいだけど……それは無理じゃないかな。だって、寧々ちゃんが名前呼びしてるのって、私と類くんと司くん、それと咲希ちゃん(司くんが一緒にいる時のみ)だけだからね。
通話してる時とか、たまに咲希ちゃんが寧々ちゃんに名前呼びを要求するけど断ってるし。で、その断り方ってのが。
「……それは、親密度の要求レベルが高いから……無理。……努力はしてみる」
これ。因みに、努力はちゃんとしているんだよ?ただ、ねぇ……?寧々ちゃんだからさ。致し方なし。
「要求レベルって何ッ!?名前呼びは何レベで解禁されるの!?」
「……えっと、101レベ、かな?」
「100越えてるし……。レベルキャップは?」
「……99」
「無理じゃん!?どんなに足掻いてもボクは寧々ちゃんに名前を呼んで貰えないの!?」
「……うん」
と言うか、瑞希さんって結構ゲームが分かる人なんだね。見た目からは想像できないや。やっぱり、人は見た目によらないんだね。……本当に。
「そんな……!早くキャップ解放のアプデ来てよ!……って、そうだ!天音ちゃんのことは名前呼びしてるじゃん!天音ちゃんとの親密度は何レベなの?」
「999」
「全然余裕で上限解放しちゃってるじゃん!なんで!?」
「幼馴染みだから……」
「また幼馴染み……」
いや寧々ちゃん、大分瑞希さんに慣れてきたね。そんなドヤ顔まで見せちゃって……。これ、別に頑張らなくても、もう名前呼びくらいできるでしょ。
と、こんな感じのことを話ながら私たちは歩いた。と言っても、その後はキッチンカーでクレープを買って食べたくらいで、後は連絡先を交換して解散なんだけどね。
因みに、私と瑞希さんはチョコバナナで、寧々ちゃんがみかんといちごのクレープを食べました。
「あ、おいしい……。天音、はい」
寧々ちゃんが私へクレープを差し出してきた。私は、それに口を寄せてパクッと一口。
「んむ……あ、本当だ。寧々ちゃん、こっちのチョコバナナもおいしいよ」
今度は私は寧々ちゃんにクレープを差し出す。寧々ちゃんはそれをパクッと一口。
「ん……ありがとう、天音。これもおいしい」
「…………」
「あ。ふふ、寧々ちゃんほっぺにクリームついてるよ?」
「え、どこ?……って、天音も付いてるよ」
「本当?」
私と寧々ちゃんの指が互いの頬に付いたクリームを掬い、そのまま自分の口へ運ぶ。うん、甘い。
「取れたよ、寧々ちゃん」
「……うん、ありがとう。天音も大丈夫」
「えへへ、ありがとう」
「……………………本当にこれがただの幼馴染み?絶対違うと思うんだけど。そこら辺にいる量産型の恋人よりもナチュラルにイチャついてない?なんならボクが凄い邪魔じゃない?」
そんなことないよ?瑞希さんはお友達ですので。
Tips:寧々は小学生の頃に一度転校しているぞ(原作通り)。一駅離れただけだけど。別の小学校になったことで、一時的(平日のみ)に離れたから余計に距離が近づいているんだぞ!土日はお互いにべったり(物理的にも精神的にも)だったらしい。中学は寧々が天音に合わせたことで同中だぞ。
実は、寧々と天音が類卒業以降に瑞希が最初に長めの交流を持った人だったりする。それでも、完全に二人へ心を開かない。仮に、二人が瑞希に会ったのが二人目だったり、出会い方が違ったりしたら、絶対ここまで上手くいかない。それだけの信頼が瑞希にはある。
あ、限定寧々60連で出ました。ついでで、司と類とえななんも来ました。あと恒常彰人も。ダブりはクリ寧々でした。60連で星4が6枚、やったぜ。カイト兄さんは見なかったことにします。
今回の寧々の髪型は今回のえななんの衣装がラフな感じでめちゃんこ似合う。かわいい。
なお、来週は寧々の誕生日の模様。……石が、ない……!