極東大迷宮学園へようこそ   作:超高感度エルフ

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物語の登壇者

20✕✕年、極東を始めとした国々は突如として半壊した。それは極東だけに収まらず東欧や西欧、極北すら巻き込み世界は混乱に陥った。

何故か。それは世界各地に出現した大迷宮。そこから現れた怪物や未知の資源による秩序の崩壊が原因だった。

各地の政府や指導者は原因解決に向けて流石に団結し、〝大迷宮踏破隊〟を設立。数年後、〝大迷宮踏破隊〟は大迷宮出現の原因を突き止めた。

それは異なる世界、異世界の指導者〝魔王〟による侵略だった。

世界はキレた。いい加減、世界中火種だらけなのに余計なもん持ちやがって。もう、許さんからな。

しかし、それは異世界側の〝魔王〟も同じだった。

考えてみてほしい。世界に王や指導者、国は一つなのか。

否、世界中に国や指導者は存在する。

今回の侵略は一人の〝北の魔王〟による独断だった。

たった一人の愚か者のやらかしにより、両世界はしっちゃかめっちゃかになり、後の大迷宮学園の理事長となる〝東の魔王〟がブチキレた。

そして、自分達の世界の技術とこちらの技術を掛け合わせ、〝世界越境隊〟を設立。

〝東の魔王〟が見出だした〝世界越境隊〟隊長の〝勇者〟の手により、〝北の魔王〟は討ち倒された。

そうして、世界に平和が訪れた。

 

なんて事もなく、次は世界中に点在する大迷宮の処遇についてだ。残る東西南の三魔王の尽力により、小規模な大迷宮は消滅したが、極東に残る最大の大迷宮だけは消滅させられなかった。

これは両世界の楔で錨。これを消滅させれば、繋がり混ざった両世界が消滅する。

困り果てた指導者達は、ある打開策を打ち出した。

 

そうだ。極東に押し付けよう。

 

今回の始まりは極東、つまり責任は極東と異世界にある。あ、でも、大迷宮から出てきた資源はちょうだい。と、言ったもん勝ち理論全開と多数決で大迷宮の処遇を極東に押し付けた。

これには流石の極東もキレた。もうブチキレた。

ブッチブチにブチキレて、そんならやったるわい。でも、やり方はこっちが決めるから口出すなよ。

資源? 市場価格の三倍で売り付けてやるよ。

おう、〝東の魔王〟。ちょっと手伝えや。

嫌じゃねえんだよ。元はテメエんとこのバカのやらかしだろうがよ。

 

と、まあ、こんな感じの流れで色々ありながらも、〝東の魔王〟とキレた〝勇者〟主導による大迷宮探索を主としながら、独自の治安を有する組織。

〝極東大迷宮学園〟が設立されたのである。

 

 

 

 

 

 

 

「はー、デカイ……」

 

背丈ではない。世界だ。

極東の首都近郊に出現した極東大迷宮、それを中心にリング状に拡がる学園都市。 

そこに繋がる門を潜れば、そこは最早別世界。異世界転生でもしたのかと言える世界が広がっている。

所狭しと並ぶ屋台や露店、極東特有の木造建築の隣に異世界的な石造りの鍛冶屋があったり、樹木をそのまま家屋にした建物まである。

それだけでなく、町行く人々も多種多様だ。

普通と基準される人間、それに角や翼、尻尾が生えた者。膝から下が無く揺らめいて見える者や、分かりやすく人型の牛や馬、犬や猫。中には触手やスライムまで居る。

 

「ちょっとごめんよ」

「あ、すみません」

 

こちらの股を潜る小人、空には有翼人種が空を飛び、建物の補修を巨人が行っている。

ここは〝極東大迷宮学園〟、ありとあらゆる人種の坩堝にして、世界の中心となった大鍋の中だ。

 

「おーい、こっちだ。こっち」

 

誰かが呼ぶ声がする。

見ると尖った長い耳の少女、学生服だ。

 

「迷う前に見付けられてよかった」

「え、地図だとこの通りを真っ直ぐなんですが?」

「いやいや、ここは大迷宮の傍だからね。外の地図は役に立たないよ」

「はい?」

「理事長先生が地理を誤魔化してるのさ」

 

少女が語るには、ここは学生中心自治が認められた都市国家であり、人種の受け皿。

外からの迫害から逃げ延びた人々の安息の地である。

故に追いやってきた連中が余計な真似をし辛くなる様に外観の規模や造りにはなっておらず、害意や敵意ある者は幻覚でそのまま外に出ていく仕組みになっているらしい。

 

「ま、流石に犯罪者はお断りだけど」

 

他にも外観以上の広さがあるのは、理事長である〝東の魔王〟が空間を操作しているからで、実際の面積はちょっとした大都市四つ分程。

 

「インフラ整備もがっつりしてるから、住民登録すればネットも使い放題だよ」

 

言って目の前に出したのは、空間ディスプレイ。通信端末さえあれば、どこでもフリーハンドで出せる情報端末画面だ。

 

「君は?」

「あ、外で出来る仮登録なら」

「オッケオッケ。じゃあ、学生課に行って登録しちゃおうか」

 

曲がりくねった道を迷わず歩く後ろ姿は、本当に異世界に来たのではないかと錯覚しそうになる。

 

「極東大迷宮学園は経歴不問。男だろうが女だろうがそうでなかろうが、生きて様が死んでようが誰でもOK」

 

つまり

 

「君が誰であろうと、何処でどう産まれて様がここでは君は君でしかない。レッテル? 思想? ビジュアル? そんなもの関係無い、君は君。すなわち、ここでは基本自己責任。まあ、治安とか法はあるからそこは守ってね」

 

だから

 

「ここで君が求めるものは君が決める。それが君が求めていたものとは違っても、手に入れた以上は君が求めるものだ。君が君の意思で全てを決める場所」

 

という訳で、

 

「ようこそ、極東大迷宮学園へ。君の意思が君の決定になる事を願っているよ」

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