03
「やっぱスッゲーーーな!!!隼人の必殺サーブッ!!!」
「マジでこのまま勝てるんでない!!??」
第一セットを先守して、皆大盛り上がりである。
観客も無名の中学が優勝候補から第一セットをもぎ取ったとあって、かなりざわめいている。
しかし、影山たち北川第一がこのままスンナリ勝たせてくれるとは思えない。
特に影山。現在進行形で集中力がヤベーのである。
先ほどのスピンサーブに飛びついたのは影山なのだが、あと数センチで確実にボールを拾えていた。
ボールを上げられず落ち込むどころか、更に迫力が増した気がするのだ。要警戒である。
悪いニュースはまだ続くのだが、俺個人で使える武器はほぼ全て使いきってしまった。使用可能なサーブも第一セットで出しきった。
…………半分賭けではあるが…………。
「ん?どうしたんだよ隼人?」
翔陽に第二セットで試合を決める為、途中から「アレ」を試す事を伝えると………。
「うぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!」
謎の奇声を叫び始めた。やかましいわ。
そんなこんなやってたら、あっという間に第二セット開始。
サーブはよりによって影山から。視線が自分に向いているのを感じ、集中力を高める。
第一セットまではただのジャンプサーブだったのに対し、やはり打ってきたのは強力なスパイクサーブ。
なんとか上げるもAパスとはいかず、影山が自分に狙いを定めていなかったら、サービスエースを献上していたかもしれない。流石と言う他ないな。
影山は自分のサーブを上げた自分を見て、悔しさと嬉しさが混ざったような複雑な表情を浮かべる。
なるほど、面白い!!!
泉にトスを要求し、高いトスに合わせて跳躍。相手も跳躍に合わせてブロックに飛ぶが充分「開いている」。
渾身の「キワキワストレート」を打ち込み、第二セットの先取点も頂く。
呼吸を落ち着かせ、影山に「全力でかかって来い!!!」の意味合いで笑みを向けると、影山も「望むところだ!!!」と言わんばかりの笑みを返して来た。
その後も点を取れば取られる試合展開が続くが、やはり手数が少ない自分たちが押され始め、先に二桁取られた。14対20。
日向のスパイクもブロックされるのが多くなり始めており、フラストレーションが貯まっている状態だ。やはり成功確率は低いが、「あの速攻」をやるしか俺たちが勝つ手段は無さそうだ。
隣の日向に耳打ちをし、ボールが上がったら「コートの横幅めいっぱい」に動くように指示すると目をキラキラさせ、はしゃぐ子供のように腕をブンブンさせている。
相手のアンダーサーブを幸治がレシーブし、トスを上げる為、俺がボールの下へ。そして日向が左端から右へ素早く走る。そう、「ブロード」だ。
相手はいきなり速く動いた日向に必死で追い付こうとするが、もう遅い。
今の日向に追い付けるのはボールだけだ。
── 今
この位置、
このタイミング
この角度で !!
ドンピシャ !!!
トスは「目を瞑った」日向の手のひらに一直線に走り、本来なら日向、影山コンビが最初に成功させる筈だった「変人速攻」が決まった。
日向はスパイクを放った右の手のひらを見つめ、勢いよくガッツポーズした。
観客も影山たちも、まぐれか意図的か解らず、考えがこんがらがっているだろう。
これで15対20。逆転と行こうかな。