日曜日。
多樹はいつものように、スプライモンと部屋でゆっくり休んでいた。
「ねえねえ多樹ちゃん、今日は日曜日でしょ! お出かけしようよ!」
「うーん、生憎だけど私、あまり外に出ないタイプだし」
多樹は人付き合いが苦手なので、スプライモンや家族以外とはあまり付き合わない。
しかし人見知りではなく、つい冷たい言葉を口にして相手を困らせてしまうからであり、
要するに多樹は言葉の使い方が下手なのだ。
成績優秀な多樹だが、こればかりは直そうにも直せなかった。
「もう! 多樹ちゃん、ダメだよ! たまには外の空気を吸わないと!」
スプライモンの必死な説得に、多樹は観念したように溜息をついた。
「分かったよ。少しだけだよ」
「やったー!」
スプライモンは多樹の周りを飛び回り、嬉しそうにしている。
渋々家を出た多樹は、スプライモンと一緒に町を歩いていた。
すると、街角の大きなポスターが二人の目に留まった。
「○月○日、人気アイドル雲雀紗耶香のライブ開催決定! だって」
ポスターには、笑顔のアイドルが写っている。
多樹も、テレビで名前だけは知っていた。
「なあ知ってるか? ライブチケットが高額で転売されているらしいぜ」
「ふーん……大変だね」
多樹は他人事のように呟き、帰ろうとした。
しかしその時、ポスターの裏から、緑の服を着たデジモンがひょっこりと顔を出した。
「待ってくれ、そこの君!」
そのデジモンは、弓を携えたパペット型デジモン、ロビンモンだった。
「チケットを転売している男を、一緒に懲らしめてはくれないか?」
「えっ?」
多樹は困惑した。
自分の意思とは無関係に事件に巻き込まれる事に、うんざりしていたからだ。
「俺はロビンモン。弱きを助け、強きを挫くデジモンだ。こんな悪党、放っておけない!」
「でも、私には関係ないし……」
多樹は、いつものように冷たい口調で突き放そうとする。
しかし、ロビンモンは多樹の瞳をじっと見つめて言った。
「君は、そんな事を思っていないだろう?
君の瞳は、困っている人を見捨てられない、そう言っている」
ロビンモンの言葉に、多樹は胸の奥を突き刺されたような気持ちになった。
「……分かったよ。少しだけなら」
「ありがとう、助かるぞ!」
多樹は渋々ロビンモンと協力し、転売している男を追い詰める事にした。
ロビンモンの情報をもとに、二人は男が潜んでいる廃ビルへと向かった。
廃ビルの屋上には、たくさんのライブチケットを抱え、不敵な笑みを浮かべている男がいた。
「てめぇ、俺の稼ぎの邪魔をする気か!」
男は多樹達に気づくと、手に持った奇妙な装置――ダークヴァイスを構えた。
「この俺が、最高のデジモンで相手をしてやるぜ!」
男がダークヴァイスを掲げると、恐ろしく発達した筋肉を持つ鬼のようなデジモンが現れた。
「俺に逆らう奴は、デジモンハンターのオーガモン様が皆殺しだ!」
「多樹ちゃん! あれは、ゴブリモンが進化したオーガモンだよ!」
スプライモンが多樹に警告すると、多樹は息を呑んだ。
自分達が以前に戦ったゴブリモンが、こんなにも強大なデジモンに進化したというのか。
しかし、ここで怯むわけにはいかない。
「行くよ、多樹ちゃん!」
「分かったよ、スプライモン!」
多樹はデジヴァイスを構え、スプライモンを呼び出した。
「ユーシュート!」
ロビンモンは愛用の弓「フォレストボウ」から矢を放ち、オーガモンに攻撃する。
ワクチン種のロビンモンなら、ウィルス種のオーガモンに効果がある。
だが、オーガモンはそれを巨大な腕で簡単に弾き返した。
「覇王拳!」
オーガモンが両腕から強烈な一撃を放ち、スプライモンとロビンモンを攻撃する。
スプライモンとロビンモンは必死に避けるが、その衝撃波で吹き飛び、追い詰められていく。
「くっ……強い!」
「多樹ちゃん、どうしよう……!」
ロビンモンと協力しているのに、倒す事ができない。
このままで倒されてしまう……と思った、その時だった。
「多樹! 大丈夫か!」
屋上のドアが開くと同時に、北斗が駆け込んできた。
「北斗!」
「多樹だけに大変な思いはさせられねぇからな!」
北斗はそう叫ぶと、デジヴァイスを構えた。
「行くぜ、フルーモン!」
「任せるざんす!」
フルーモンが現れ、風の力でオーガモンの動きを封じる。
スプライモンとロビンモンもその隙に反撃を開始した。
「ライトニングボルト!」
「ウッドレイン!」
「トルビヨン・エペ!」
三体のデジモンの必殺技がオーガモンに次々と命中し、ついにオーガモンは倒れた。
オーガモンが光のデータに変わると同時に、男の手にあったダークヴァイスも砕け散る。
「う、うわああああ!」
男は茫然自失となり、転売していたチケットをまき散らす。
「行くぞ、多樹!」
多樹と北斗は、チケットを転売していた男を捕まえた。
これで一件落着かと思われたその時、男の後ろから一人の男が現れた。
「やれやれ、みっともないですね」
黒いスーツ姿の男はそう言うと、チケットを転売していた男を蹴り飛ばした。
そして、男は不敵な笑みを浮かべると、多樹達にこう言った。
「あなたは……!」
「私は『ウィザード』の幹部の一人、タイガと申します」
やっぱりデジモンのアニメには敵組織がいないとね! と思って出しました。
オリジナルデジモンは、他の方が使っているか確認してから作りました。
弓を使うデジモンは原作では非常に少ないので、ロビンモンを作ったのです。
~オリジナルデジモン図鑑~
ロビンモン
レベル:成熟期
タイプ:パペット型
属性:ワクチン
必殺技:ユーシュート、ウッドレイン
デジタルワールドの自然を守っている、弱きを助け、強きをくじくデジモン。
どんなデジモンにも愛用の弓「フォレストボウ」を手に果敢に立ち向かう、反骨精神の持ち主。
必殺技は弓からデジモンの身体を貫く矢を射る「ユーシュート」と、
森の力を借りて広範囲に雨を降らせる「ウッドレイン」。