デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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デジモン二次創作なので、オリジナルデジモンも登場します。


第9話 義賊の困り事を解決せよ

 日曜日。

 多樹はいつものように、スプライモンと部屋でゆっくり休んでいた。

 

「ねえねえ多樹ちゃん、今日は日曜日でしょ! お出かけしようよ!」

「うーん、生憎だけど私、あまり外に出ないタイプだし」

 多樹は人付き合いが苦手なので、スプライモンや家族以外とはあまり付き合わない。

 しかし人見知りではなく、つい冷たい言葉を口にして相手を困らせてしまうからであり、

 要するに多樹は言葉の使い方が下手なのだ。

 成績優秀な多樹だが、こればかりは直そうにも直せなかった。

「もう! 多樹ちゃん、ダメだよ! たまには外の空気を吸わないと!」

 スプライモンの必死な説得に、多樹は観念したように溜息をついた。

「分かったよ。少しだけだよ」

「やったー!」

 スプライモンは多樹の周りを飛び回り、嬉しそうにしている。

 

 渋々家を出た多樹は、スプライモンと一緒に町を歩いていた。

 すると、街角の大きなポスターが二人の目に留まった。

「○月○日、人気アイドル雲雀紗耶香のライブ開催決定! だって」

 ポスターには、笑顔のアイドルが写っている。

 多樹も、テレビで名前だけは知っていた。

「なあ知ってるか? ライブチケットが高額で転売されているらしいぜ」

「ふーん……大変だね」

 多樹は他人事のように呟き、帰ろうとした。

 しかしその時、ポスターの裏から、緑の服を着たデジモンがひょっこりと顔を出した。

「待ってくれ、そこの君!」

 そのデジモンは、弓を携えたパペット型デジモン、ロビンモンだった。

「チケットを転売している男を、一緒に懲らしめてはくれないか?」

「えっ?」

 多樹は困惑した。

 自分の意思とは無関係に事件に巻き込まれる事に、うんざりしていたからだ。

「俺はロビンモン。弱きを助け、強きを挫くデジモンだ。こんな悪党、放っておけない!」

「でも、私には関係ないし……」

 多樹は、いつものように冷たい口調で突き放そうとする。

 しかし、ロビンモンは多樹の瞳をじっと見つめて言った。

「君は、そんな事を思っていないだろう?

 君の瞳は、困っている人を見捨てられない、そう言っている」

 ロビンモンの言葉に、多樹は胸の奥を突き刺されたような気持ちになった。

「……分かったよ。少しだけなら」

「ありがとう、助かるぞ!」

 多樹は渋々ロビンモンと協力し、転売している男を追い詰める事にした。

 

 ロビンモンの情報をもとに、二人は男が潜んでいる廃ビルへと向かった。

 廃ビルの屋上には、たくさんのライブチケットを抱え、不敵な笑みを浮かべている男がいた。

「てめぇ、俺の稼ぎの邪魔をする気か!」

 男は多樹達に気づくと、手に持った奇妙な装置――ダークヴァイスを構えた。

「この俺が、最高のデジモンで相手をしてやるぜ!」

 男がダークヴァイスを掲げると、恐ろしく発達した筋肉を持つ鬼のようなデジモンが現れた。

「俺に逆らう奴は、デジモンハンターのオーガモン様が皆殺しだ!」

「多樹ちゃん! あれは、ゴブリモンが進化したオーガモンだよ!」

 スプライモンが多樹に警告すると、多樹は息を呑んだ。

 自分達が以前に戦ったゴブリモンが、こんなにも強大なデジモンに進化したというのか。

 しかし、ここで怯むわけにはいかない。

 

「行くよ、多樹ちゃん!」

「分かったよ、スプライモン!」

 多樹はデジヴァイスを構え、スプライモンを呼び出した。

 

「ユーシュート!」

 ロビンモンは愛用の弓「フォレストボウ」から矢を放ち、オーガモンに攻撃する。

 ワクチン種のロビンモンなら、ウィルス種のオーガモンに効果がある。

 だが、オーガモンはそれを巨大な腕で簡単に弾き返した。

「覇王拳!」

 オーガモンが両腕から強烈な一撃を放ち、スプライモンとロビンモンを攻撃する。

 スプライモンとロビンモンは必死に避けるが、その衝撃波で吹き飛び、追い詰められていく。

「くっ……強い!」

「多樹ちゃん、どうしよう……!」

 ロビンモンと協力しているのに、倒す事ができない。

 このままで倒されてしまう……と思った、その時だった。

 

「多樹! 大丈夫か!」

 屋上のドアが開くと同時に、北斗が駆け込んできた。

「北斗!」

「多樹だけに大変な思いはさせられねぇからな!」

 北斗はそう叫ぶと、デジヴァイスを構えた。

「行くぜ、フルーモン!」

「任せるざんす!」

 フルーモンが現れ、風の力でオーガモンの動きを封じる。

 スプライモンとロビンモンもその隙に反撃を開始した。

「ライトニングボルト!」

「ウッドレイン!」

「トルビヨン・エペ!」

 三体のデジモンの必殺技がオーガモンに次々と命中し、ついにオーガモンは倒れた。

 オーガモンが光のデータに変わると同時に、男の手にあったダークヴァイスも砕け散る。

 

「う、うわああああ!」

 男は茫然自失となり、転売していたチケットをまき散らす。

「行くぞ、多樹!」

 多樹と北斗は、チケットを転売していた男を捕まえた。

 これで一件落着かと思われたその時、男の後ろから一人の男が現れた。

「やれやれ、みっともないですね」

 黒いスーツ姿の男はそう言うと、チケットを転売していた男を蹴り飛ばした。

 そして、男は不敵な笑みを浮かべると、多樹達にこう言った。

 

「あなたは……!」

「私は『ウィザード』の幹部の一人、タイガと申します」




やっぱりデジモンのアニメには敵組織がいないとね! と思って出しました。
オリジナルデジモンは、他の方が使っているか確認してから作りました。
弓を使うデジモンは原作では非常に少ないので、ロビンモンを作ったのです。

~オリジナルデジモン図鑑~
ロビンモン
レベル:成熟期
タイプ:パペット型
属性:ワクチン
必殺技:ユーシュート、ウッドレイン
デジタルワールドの自然を守っている、弱きを助け、強きをくじくデジモン。
どんなデジモンにも愛用の弓「フォレストボウ」を手に果敢に立ち向かう、反骨精神の持ち主。
必殺技は弓からデジモンの身体を貫く矢を射る「ユーシュート」と、
森の力を借りて広範囲に雨を降らせる「ウッドレイン」。
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