名前とか設定とかは色んなものを参考にしていますが、とにかくクズとは言っておきます。
チケットを転売していた男を止めたその時、
「ウィザード」という謎の組織の幹部・タイガが現れた。
「ウィザード……!」
「お前、何が目的なんだ? 犯罪者とはいえ、こいつを用済みと言うなんてどうかしてるぜ!」
多樹は突然現れた男に困惑し、北斗はタイガに怒りの矛先を向ける。
スプライモンとフルーモンは、沸々と怒りが湧いてきている。
しかし、タイガは多樹と北斗の態度を見ても、微笑みを崩さなかった。
「お二人とも、落ち着いてください」
タイガは柔らかな口調でそう言うと、まるで教育番組の司会者のように、穏やかに語り始めた。
「私は、あなた達と同じく、より良い世界を望んでいる者です。
ウィザードは、この社会に満ちた不満を解消するために存在しています」
「不満を解消する? 犯罪者を増やして、デジモンを無理矢理戦わせるのが?
お前の言ってる事は全部間違ってるぜ」
今までに戦ってきた相手は、ダークヴァイスを使って犯罪をしようとした人達ばかりだった。
それが社会の不安を解消するなんてどうかしている、と北斗は思い、タイガを否定した。
すると、タイガは肩を竦めてこう言った。
「犯罪、ですか。それは、この社会が一方的に定めたルールです。
私達は、社会に不満を持つ人々に力を与えているだけです。それは犯罪とは言えませんよ」
タイガの言葉に、多樹は首を横に振った。
「違うよ! 誰かを傷つけて、勝手に満足するなんて……そんな事は絶対にいけない!」
「多樹ちゃんの言う通りだよ! 犯罪をなくすのが、本当の正義でしょ!」
「そうだぜ! お前みたいな奴のやり方なんて、絶対認めねえ!」
「その通りざんす!」
スプライモンとフルーモンも、多樹と北斗の意見に同調し、タイガに憤りをぶつけた。
すると、タイガは微笑みながらこう言った。
「そうですか……残念です。あなた達にはウィザードの素晴らしさがまだ分からないようですね」
タイガは笑顔のまま、手に持ったダークヴァイスとは異なる、
より洗練された特別なダークヴァイスを掲げた。
「ならば、今すぐに消えなさい!」
タイガのダークヴァイスが光ると、白いローブを着た魔法使いのようなデジモンが現れた。
成熟期の魔人型デジモン、ソーサリモンだ。
「我が名はソーサリモン。ウィザードの力、存分に味わうがいい」
ソーサリモンは静かにそう言うと、杖を構えた。
「あ、アイツ、強いざんす……!」
フルーモンがソーサリモンから感じるプレッシャーに、声を震わせる。
ロビンモンも、その圧倒的な力に危機感を覚えてこう言った。
「俺は一旦逃げるぞ!」
ロビンモンはそう叫び、空間の歪みから姿を消した。
スプライモンとフルーモンは、ソーサリモンに果敢に戦いを挑んだ。
多樹と北斗は、初めての強敵を前に、それでも諦めずにデジヴァイスを握りしめている。
「スプライモン! やるしかないよ!」
「行くぜ! フルーモン!」
北斗の叫びに応えるように、フルーモンが宙を舞う。
スプライモンもまた、ソーサリモンに突っ込んで電撃で攻撃する。
しかし、ソーサリモンの攻撃は強烈で、二体の攻撃はまるで歯が立たない。
ソーサリモンは余裕の態度で、杖を掲げた。
「クリスタルクラウド!」
ソーサリモンが杖を掲げると、上空に雪の結晶を纏った雪雲が現れた。
不気味な雲は、瞬く間にあたりを覆い尽くし、そこから激しい吹雪が巻き起こる。
「きゃっ!」
「うわっ!」
視界は真っ白になり、二体のデジモンは視界を奪われる。
その冷気は、全身の動きを鈍らせ、体力を奪っていく。
「ライトニングボルト!」
スプライモンは、吹雪の中で索敵を諦め、周囲に電撃の球を放つ。
しかし、ソーサリモンはそれを杖でいとも簡単に打ち消した。
「トルビヨン・エペ!」
フルーモンも、風の刃を繰り出すが、ソーサリモンは身を翻して軽やかにかわす。
その優雅な動きは、まるでダンサーのようだった。
そして、ソーサリモンはスプライモンとフルーモンに向かって無数の氷の礫を放った。
「やばいざんす!」
「くっ……! 全然効かない!」
氷の礫は、スプライモンとフルーモンの身体を容赦なく貫く。
かなりのダメージを受けたスプライモンとフルーモンは悲鳴を上げた。
「ミー達、このままじゃ、やられるざんす!」
フルーモンの言葉に、多樹と北斗は焦りを覚えた。
このままでは、スプライモンとフルーモンは、いずれ消されてしまう。
「そうだ、デジモンブーストだ!」
「うん!」
「「デジモンブースト!」」
多樹と北斗の叫びと共に、デジヴァイスが強く光を放つ。
その光は、スプライモンとフルーモンの身体を包み込み、
二体のデジモンは、パワーアップした力でソーサリモンに反撃を開始した。
「ライトニングボルト!」
スプライモンの放った電撃は、ソーサリモンを直撃し、ソーサリモンは僅かに怯んだ。
「トルビヨン・エペ!」
フルーモンは、その隙を逃さず、風の刃を放つ。
風の刃は、ソーサリモンの体を切り裂き、
ついにソーサリモンに僅かなダメージを与える事に成功した。
「ほう……やりますね。今日のところは、この辺で失礼します」
タイガはそう言うと、ソーサリモンをデジヴァイスの中に戻し、悠然と歩き去っていった。
「待て!」
北斗が追いかけようとするが、タイガは既に姿を消していた。
静寂が戻った廃ビルで、多樹と北斗は呆然と立ち尽くしていた。
「ウィザード……」
タイガという男と、彼の持つ特別なダークヴァイス、そしてソーサリモンの圧倒的な強さ。
多樹は、自分達がただのデジモン事件ではない、
巨大な組織との戦いに否応なしに巻き込まれていく事を悟った。
「これから、どうなるんだろう……」
多樹の不安げな声に、北斗は何も答える事ができなかった。
ウィザードとの戦いは長くなりそうです。
余談ですが、作中で土曜日と日曜日に当たる話の内容が思いつきません。
リコロイだってそういうシーンがあったのですから何とか絞ろうと思いますが。