デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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ここで本作の敵キャラが登場します。
名前とか設定とかは色んなものを参考にしていますが、とにかくクズとは言っておきます。


第10話 謎の魔術師タイガ

 チケットを転売していた男を止めたその時、

 「ウィザード」という謎の組織の幹部・タイガが現れた。

 

「ウィザード……!」

「お前、何が目的なんだ? 犯罪者とはいえ、こいつを用済みと言うなんてどうかしてるぜ!」

 多樹は突然現れた男に困惑し、北斗はタイガに怒りの矛先を向ける。

 スプライモンとフルーモンは、沸々と怒りが湧いてきている。

 しかし、タイガは多樹と北斗の態度を見ても、微笑みを崩さなかった。

「お二人とも、落ち着いてください」

 タイガは柔らかな口調でそう言うと、まるで教育番組の司会者のように、穏やかに語り始めた。

「私は、あなた達と同じく、より良い世界を望んでいる者です。

 ウィザードは、この社会に満ちた不満を解消するために存在しています」

「不満を解消する? 犯罪者を増やして、デジモンを無理矢理戦わせるのが?

 お前の言ってる事は全部間違ってるぜ」

 今までに戦ってきた相手は、ダークヴァイスを使って犯罪をしようとした人達ばかりだった。

 それが社会の不安を解消するなんてどうかしている、と北斗は思い、タイガを否定した。

 すると、タイガは肩を竦めてこう言った。

「犯罪、ですか。それは、この社会が一方的に定めたルールです。

 私達は、社会に不満を持つ人々に力を与えているだけです。それは犯罪とは言えませんよ」

 タイガの言葉に、多樹は首を横に振った。

「違うよ! 誰かを傷つけて、勝手に満足するなんて……そんな事は絶対にいけない!」

「多樹ちゃんの言う通りだよ! 犯罪をなくすのが、本当の正義でしょ!」

「そうだぜ! お前みたいな奴のやり方なんて、絶対認めねえ!」

「その通りざんす!」

 スプライモンとフルーモンも、多樹と北斗の意見に同調し、タイガに憤りをぶつけた。

 すると、タイガは微笑みながらこう言った。

 

「そうですか……残念です。あなた達にはウィザードの素晴らしさがまだ分からないようですね」

 タイガは笑顔のまま、手に持ったダークヴァイスとは異なる、

 より洗練された特別なダークヴァイスを掲げた。

「ならば、今すぐに消えなさい!」

 タイガのダークヴァイスが光ると、白いローブを着た魔法使いのようなデジモンが現れた。

 成熟期の魔人型デジモン、ソーサリモンだ。

 

「我が名はソーサリモン。ウィザードの力、存分に味わうがいい」

 ソーサリモンは静かにそう言うと、杖を構えた。

「あ、アイツ、強いざんす……!」

 フルーモンがソーサリモンから感じるプレッシャーに、声を震わせる。

 ロビンモンも、その圧倒的な力に危機感を覚えてこう言った。

「俺は一旦逃げるぞ!」

 ロビンモンはそう叫び、空間の歪みから姿を消した。

 

 スプライモンとフルーモンは、ソーサリモンに果敢に戦いを挑んだ。

 多樹と北斗は、初めての強敵を前に、それでも諦めずにデジヴァイスを握りしめている。

「スプライモン! やるしかないよ!」

「行くぜ! フルーモン!」

 北斗の叫びに応えるように、フルーモンが宙を舞う。

 スプライモンもまた、ソーサリモンに突っ込んで電撃で攻撃する。

 しかし、ソーサリモンの攻撃は強烈で、二体の攻撃はまるで歯が立たない。

 ソーサリモンは余裕の態度で、杖を掲げた。

「クリスタルクラウド!」

 ソーサリモンが杖を掲げると、上空に雪の結晶を纏った雪雲が現れた。

 不気味な雲は、瞬く間にあたりを覆い尽くし、そこから激しい吹雪が巻き起こる。

「きゃっ!」

「うわっ!」

 視界は真っ白になり、二体のデジモンは視界を奪われる。

 その冷気は、全身の動きを鈍らせ、体力を奪っていく。

「ライトニングボルト!」

 スプライモンは、吹雪の中で索敵を諦め、周囲に電撃の球を放つ。

 しかし、ソーサリモンはそれを杖でいとも簡単に打ち消した。

「トルビヨン・エペ!」

 フルーモンも、風の刃を繰り出すが、ソーサリモンは身を翻して軽やかにかわす。

 その優雅な動きは、まるでダンサーのようだった。

 そして、ソーサリモンはスプライモンとフルーモンに向かって無数の氷の礫を放った。

「やばいざんす!」

「くっ……! 全然効かない!」

 氷の礫は、スプライモンとフルーモンの身体を容赦なく貫く。

 かなりのダメージを受けたスプライモンとフルーモンは悲鳴を上げた。

「ミー達、このままじゃ、やられるざんす!」

 フルーモンの言葉に、多樹と北斗は焦りを覚えた。

 このままでは、スプライモンとフルーモンは、いずれ消されてしまう。

「そうだ、デジモンブーストだ!」

「うん!」

「「デジモンブースト!」」

 多樹と北斗の叫びと共に、デジヴァイスが強く光を放つ。

 その光は、スプライモンとフルーモンの身体を包み込み、

 二体のデジモンは、パワーアップした力でソーサリモンに反撃を開始した。

「ライトニングボルト!」

 スプライモンの放った電撃は、ソーサリモンを直撃し、ソーサリモンは僅かに怯んだ。

「トルビヨン・エペ!」

 フルーモンは、その隙を逃さず、風の刃を放つ。

 風の刃は、ソーサリモンの体を切り裂き、

 ついにソーサリモンに僅かなダメージを与える事に成功した。

 

「ほう……やりますね。今日のところは、この辺で失礼します」

 タイガはそう言うと、ソーサリモンをデジヴァイスの中に戻し、悠然と歩き去っていった。

「待て!」

 北斗が追いかけようとするが、タイガは既に姿を消していた。

 

 静寂が戻った廃ビルで、多樹と北斗は呆然と立ち尽くしていた。

「ウィザード……」

 タイガという男と、彼の持つ特別なダークヴァイス、そしてソーサリモンの圧倒的な強さ。

 多樹は、自分達がただのデジモン事件ではない、

 巨大な組織との戦いに否応なしに巻き込まれていく事を悟った。

 

「これから、どうなるんだろう……」

 多樹の不安げな声に、北斗は何も答える事ができなかった。




ウィザードとの戦いは長くなりそうです。
余談ですが、作中で土曜日と日曜日に当たる話の内容が思いつきません。
リコロイだってそういうシーンがあったのですから何とか絞ろうと思いますが。
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