デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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デジモンビートブレイク放送まで残り1週間……ですが、アストリアの連載は続きます。
タイトル通り、ついに敵組織の幹部と激突します。


第13話 氷の魔術師を倒せ!

「ライトニングボルト!」

「ヴァン・ド・クロウ!」

 多樹のスプライモンと北斗のフルーモンが、ソーサリモンに先制攻撃を仕掛ける。

 二体のデジモンは、二人のテイマーの期待を一身に背負い、全力を込めて必殺技を放つ。

 スプライモンの放った電撃の球と、フルーモンの風の刃が、ソーサリモンに迫った。

 しかし、ソーサリモンは微動だにせず、ただ冷静に杖を構え、呪文を唱える。

「アイスイリュージョン!」

 ソーサリモンの杖の先端が淡い光を放つと、そこから無数の鋭い氷の礫が放たれた。

 氷の礫は、まるで意志を持っているかのように正確に二体の攻撃と衝突し、

 甲高い音を立てて相殺していく。

 スプライモンとフルーモンの渾身の一撃は、泡のように消えてしまった。

 

「くっ……!」

「嘘ざんす……!」

 二体のデジモンは、自分達の攻撃が全く通用しなかった事に愕然とする。

 ソーサリモンには、かすり傷一つついていなかった。

 

「おやおや、その程度の力では、私に勝つ事はできませんよ」

「そうだ。お前達のような未熟なデジモンに、私を倒す事はできない」

 タイガは柔らかな笑みを浮かべ、多樹と北斗を嘲笑うかのように言った。

 ソーサリモンも冷たく言い放つ。

 彼らは、苦戦している多樹と北斗を完全に下に見ているようだ。

 その態度に、北斗が燃え上がった。

「ふざけるな! フルーモン、もう一回だ!」

「承知ざんす!」

 北斗の指示で、フルーモンが再び風の刃を放つ。

 スプライモンも、電撃の球を連続して放ち、ソーサリモンを攻撃する。

 しかし、ソーサリモンは優雅な身のこなしでそれを避け、反撃に出た。

「アクエリアスフィル!」

 ソーサリモンが杖から、強力な水の塊を放つ。

 その水の塊は、まるで生き物のようにスプライモンとフルーモンを追いかけ、二体に直撃した。

 水はスプライモンとフルーモンに直撃し、二体を吹き飛ばした。

「スプライモン!」

「フルーモン!」

 多樹と北斗が叫ぶが、二体のデジモンはボロボロになり、起き上がれない。

 その姿を見て、タイガは満足そうに微笑んだ。

 

「さあ、これで終わらせよう」

 ソーサリモンが杖を構え、強力な呪文を唱え始める。

 杖の先端から、冷たい光が放たれ、空へと昇っていく。

「クリスタルクラウド!」

 呪文と共に、晴れ渡っていた空に雪雲が現れ、激しい吹雪が巻き起こった。

 吹雪は、スプライモンとフルーモンを凍えさせ、

 二体のデジモンはデリート寸前まで追い詰められていく。

 

「くそっ……! このままじゃ、スプライモンもフルーモンもやられる……!」

 北斗は悔しそうに拳を握りしめ、多樹はデジヴァイスを握りしめたまま、何も言えずにいた。

 二人の心は、悔しさと無力感でいっぱいだった。

 

「もういいでしょう。大人しく降伏なさい」

 タイガは微笑んだまま、多樹と北斗に迫る。

「嫌だ! そんなの嫌だ!」

 多樹の脳裏に、スプライモンと出会ってからの思い出が蘇る。

 自分を叱咤激励してくれたスプライモンの言葉、

 煮込みハンバーグの温かさを一緒に感じた事、そして、北斗との友情。

 それが消えるのは、絶対に避けたかった。

「オレだって、お前に従うのはまっぴらごめんだ!」

 北斗も必死に、タイガに抵抗しようとする。

 しかし、スプライモンとフルーモンはボロボロで、とても起き上がれそうにない。

 どうあがいても、タイガのソーサリモンに勝てるはずがなかった。

 

「お願い……起きて、スプライモン!」

「フルーモンも……起きてくれ!」

 多樹は強く願い、スプライモンの名前を叫んだ。

 北斗もまた、多樹の叫びに呼応するように、フルーモンの名前を叫んだ。

 

 その時、奇跡が起きた。

 吹雪に凍えそうになっていたスプライモンとフルーモンが、

 二人の声に反応するように光を放ち始めたのだ。

「多樹ちゃん……! わたしの力が……!」

「ミーの体が……! 熱いざんす!」

 二体のデジモンの体が、眩い光に包まれていく。

 そして、光の中から、新たな姿を現した。

 

 スプライモンは、人型に進化したデジモン、カラムモンへと姿を変えた。

 全身から放たれる電撃はさらに強力になり、その瞳は決意に満ちていた。

 フルーモンは、翼が立派に成長したデジモン、ヴォレモンへと姿を変えた。

 漆黒の翼は、より大きく力強くなり、その姿はまるで空の王者のようだった。

「カラムモン、だね!」

「ヴォレモンになったざんす!」

 成熟期に進化したカラムモンとフォレモンは喜び合い、多樹と北斗は、ほっと一安心する。

 

「な、何だと……!? 進化した、だと!?」

「そんなはずは……!」

「そうだよ! 私達は絶対に、諦めないんだから!」

「その心がデジモンに通じたんだぜ!」

 タイガは、二体のデジモンが進化した事に、驚きを隠せない。

 ソーサリモンも、目の前の二体のデジモンから放たれるプレッシャーに、顔色を変えた。

 

「わたし、負けないんだから!」

「多樹の願い、ミーが叶えてみせるざんす!」

 カラムモンは、タイガとソーサリモンに言い放つ。

 ヴォレモンも、負けじとタイガに向かって叫んだ。

 

「サンダービーム!」

 成熟期に進化した二体のデジモンは、その圧倒的な力でソーサリモンに反撃を開始した。

 カラムモンは両手を前に突き出し、そこから極限まで圧縮した強力な電撃のビームを放った。

 雷鳴のような轟音と共に放たれたビームは、一直線にソーサリモンへ向かう。

 ソーサリモンは、その威力を侮り、魔法の杖でビームを防ごうとした。

 しかし、ビームの威力はソーサリモンの想像を遥かに超えていた。

 ソーサリモンはビームに貫かれ、地面に叩きつけられた。

 

 カラムモンは両手から強力な電撃のビームを放ち、ソーサリモンに攻撃する。

 ソーサリモンはそれを杖で防ごうとするが、ビームの威力は圧倒的で、

 杖はソーサリモンの手から離れ、ソーサリモンは吹き飛ばされた。

「スフレ・バットル!」

 その隙を逃さず、ヴォレモンが巨大な翼を力強く羽ばたかせた。

 ヴォレモンの翼から巻き起こった暴風は、

 台風のように激しく渦を巻き、ソーサリモンを直撃する。

 ソーサリモンは抵抗する間もなく、風に翻弄され、再び地面に叩きつけられた。

 

「この私が……!」

 ソーサリモンは苦しそうに呻く。

 その体からは、データの光が少しずつ漏れ出していた。

 多樹と北斗は、とどめを刺せばソーサリモンをデリートできる事を理解していた。

「逃げるが勝ち、だな……」

 ソーサリモンは、残された僅かな力で、地面から這い上がろうとする。

 どうやら、ダークヴァイスに逃げようとするようだった。

「そうはいかないよ! パラライズウェイヴ!」

 しかし、カラムモンは逃げようとするソーサリモンを許さなかった。

 両手から無数の雷の嵐を放ち、ソーサリモンを麻痺させる。

 ソーサリモンの体力は既に限界に近かったため、その攻撃はあっさりと命中した。

「とどめざんす! プリューム・タンペット!!」

 ヴォレモンが空から舞い降り、巨大な翼を広げた。

 翼から放たれた無数の羽根は、鋭い刃となってソーサリモンの身体を容赦なく貫いていく。

 ソーサリモンは断末魔の叫びを上げ、データの光となって消え去った。

 そして、タイガが持っていたダークヴァイスは、粉々に砕け散った。

 

「ま、まさか……! この私が、こんな子供達に……!」

 ダークヴァイスを失ったタイガは悔しげに顔を歪ませ、逃げ出そうとする。

 しかし、その時、公園の入り口からパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。

「えっ……!?」

 タイガが驚いて振り返ると、そこには複数の警官と、デジモン研究所の所長・有雄、

 有雄の妻で北斗の母親・美紗紀、そして北斗の姉の七香が立っていた。

「お前は終わりだ」

 有雄は、タイガを指差して言った。

「これ以上の抵抗は、私達が許しませんよ」

「後始末、私達に任せてね!」

「父さん! 母さん! 姉ちゃん!」

 北斗は家族を見て、ぱっと明るくなる。

 最早タイガは積んだと見ていいだろう。

 

「くっ……! こうなったら、お前らの首を絞めて……!」

「お前は犯罪者だ。よって逮捕する」

 タイガは最後の抵抗をしようとするが、時既に遅し。

 警官達がタイガを取り囲み、逮捕した。

 

「終わった……みたいだね」

 タイガが逮捕され、平和が戻った公園で、

 多樹と北斗は、進化したカラムモンとヴォレモンを改めて見ていた。

「カラムモン……。スプライモンがこんなに強くなって……」

「かっこいいだろ、ヴォレモン!」

 多樹と北斗は、進化したデジモンを見て、改めて絆をもう一度確認し合った。

 この絆こそが、デジモンを強くする力なのだと。

「タイガは捕まったけど、ウィザードの幹部は、まだ残っているんだよね」

「ああ。でも、大丈夫だぜ、多樹。

 オレと、カラムモンと、ヴォレモンがいれば、どんな敵にだって負ける気はしねぇ!」

「そうだね! 今度は、私達が勝つ番だよ!」

 多樹は笑顔でそう言うと、カラムモンの手を握りしめた。

 その手からは、確かな温かさが伝わってきた。

 

「わたし、頑張るよ! 多樹ちゃん!」

「ミーも、もっともっと頑張るざんす!」

 二体のデジモンも、多樹と北斗の決意に呼応するように、そう叫ぶのだった。




ウィザードの幹部のデジモンは、それっぽい感じにしました。
別所でもアストリアは連載しますので、楽しみに待っていてください。
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