タイトル通り、ついに敵組織の幹部と激突します。
「ライトニングボルト!」
「ヴァン・ド・クロウ!」
多樹のスプライモンと北斗のフルーモンが、ソーサリモンに先制攻撃を仕掛ける。
二体のデジモンは、二人のテイマーの期待を一身に背負い、全力を込めて必殺技を放つ。
スプライモンの放った電撃の球と、フルーモンの風の刃が、ソーサリモンに迫った。
しかし、ソーサリモンは微動だにせず、ただ冷静に杖を構え、呪文を唱える。
「アイスイリュージョン!」
ソーサリモンの杖の先端が淡い光を放つと、そこから無数の鋭い氷の礫が放たれた。
氷の礫は、まるで意志を持っているかのように正確に二体の攻撃と衝突し、
甲高い音を立てて相殺していく。
スプライモンとフルーモンの渾身の一撃は、泡のように消えてしまった。
「くっ……!」
「嘘ざんす……!」
二体のデジモンは、自分達の攻撃が全く通用しなかった事に愕然とする。
ソーサリモンには、かすり傷一つついていなかった。
「おやおや、その程度の力では、私に勝つ事はできませんよ」
「そうだ。お前達のような未熟なデジモンに、私を倒す事はできない」
タイガは柔らかな笑みを浮かべ、多樹と北斗を嘲笑うかのように言った。
ソーサリモンも冷たく言い放つ。
彼らは、苦戦している多樹と北斗を完全に下に見ているようだ。
その態度に、北斗が燃え上がった。
「ふざけるな! フルーモン、もう一回だ!」
「承知ざんす!」
北斗の指示で、フルーモンが再び風の刃を放つ。
スプライモンも、電撃の球を連続して放ち、ソーサリモンを攻撃する。
しかし、ソーサリモンは優雅な身のこなしでそれを避け、反撃に出た。
「アクエリアスフィル!」
ソーサリモンが杖から、強力な水の塊を放つ。
その水の塊は、まるで生き物のようにスプライモンとフルーモンを追いかけ、二体に直撃した。
水はスプライモンとフルーモンに直撃し、二体を吹き飛ばした。
「スプライモン!」
「フルーモン!」
多樹と北斗が叫ぶが、二体のデジモンはボロボロになり、起き上がれない。
その姿を見て、タイガは満足そうに微笑んだ。
「さあ、これで終わらせよう」
ソーサリモンが杖を構え、強力な呪文を唱え始める。
杖の先端から、冷たい光が放たれ、空へと昇っていく。
「クリスタルクラウド!」
呪文と共に、晴れ渡っていた空に雪雲が現れ、激しい吹雪が巻き起こった。
吹雪は、スプライモンとフルーモンを凍えさせ、
二体のデジモンはデリート寸前まで追い詰められていく。
「くそっ……! このままじゃ、スプライモンもフルーモンもやられる……!」
北斗は悔しそうに拳を握りしめ、多樹はデジヴァイスを握りしめたまま、何も言えずにいた。
二人の心は、悔しさと無力感でいっぱいだった。
「もういいでしょう。大人しく降伏なさい」
タイガは微笑んだまま、多樹と北斗に迫る。
「嫌だ! そんなの嫌だ!」
多樹の脳裏に、スプライモンと出会ってからの思い出が蘇る。
自分を叱咤激励してくれたスプライモンの言葉、
煮込みハンバーグの温かさを一緒に感じた事、そして、北斗との友情。
それが消えるのは、絶対に避けたかった。
「オレだって、お前に従うのはまっぴらごめんだ!」
北斗も必死に、タイガに抵抗しようとする。
しかし、スプライモンとフルーモンはボロボロで、とても起き上がれそうにない。
どうあがいても、タイガのソーサリモンに勝てるはずがなかった。
「お願い……起きて、スプライモン!」
「フルーモンも……起きてくれ!」
多樹は強く願い、スプライモンの名前を叫んだ。
北斗もまた、多樹の叫びに呼応するように、フルーモンの名前を叫んだ。
その時、奇跡が起きた。
吹雪に凍えそうになっていたスプライモンとフルーモンが、
二人の声に反応するように光を放ち始めたのだ。
「多樹ちゃん……! わたしの力が……!」
「ミーの体が……! 熱いざんす!」
二体のデジモンの体が、眩い光に包まれていく。
そして、光の中から、新たな姿を現した。
スプライモンは、人型に進化したデジモン、カラムモンへと姿を変えた。
全身から放たれる電撃はさらに強力になり、その瞳は決意に満ちていた。
フルーモンは、翼が立派に成長したデジモン、ヴォレモンへと姿を変えた。
漆黒の翼は、より大きく力強くなり、その姿はまるで空の王者のようだった。
「カラムモン、だね!」
「ヴォレモンになったざんす!」
成熟期に進化したカラムモンとフォレモンは喜び合い、多樹と北斗は、ほっと一安心する。
「な、何だと……!? 進化した、だと!?」
「そんなはずは……!」
「そうだよ! 私達は絶対に、諦めないんだから!」
「その心がデジモンに通じたんだぜ!」
タイガは、二体のデジモンが進化した事に、驚きを隠せない。
ソーサリモンも、目の前の二体のデジモンから放たれるプレッシャーに、顔色を変えた。
「わたし、負けないんだから!」
「多樹の願い、ミーが叶えてみせるざんす!」
カラムモンは、タイガとソーサリモンに言い放つ。
ヴォレモンも、負けじとタイガに向かって叫んだ。
「サンダービーム!」
成熟期に進化した二体のデジモンは、その圧倒的な力でソーサリモンに反撃を開始した。
カラムモンは両手を前に突き出し、そこから極限まで圧縮した強力な電撃のビームを放った。
雷鳴のような轟音と共に放たれたビームは、一直線にソーサリモンへ向かう。
ソーサリモンは、その威力を侮り、魔法の杖でビームを防ごうとした。
しかし、ビームの威力はソーサリモンの想像を遥かに超えていた。
ソーサリモンはビームに貫かれ、地面に叩きつけられた。
カラムモンは両手から強力な電撃のビームを放ち、ソーサリモンに攻撃する。
ソーサリモンはそれを杖で防ごうとするが、ビームの威力は圧倒的で、
杖はソーサリモンの手から離れ、ソーサリモンは吹き飛ばされた。
「スフレ・バットル!」
その隙を逃さず、ヴォレモンが巨大な翼を力強く羽ばたかせた。
ヴォレモンの翼から巻き起こった暴風は、
台風のように激しく渦を巻き、ソーサリモンを直撃する。
ソーサリモンは抵抗する間もなく、風に翻弄され、再び地面に叩きつけられた。
「この私が……!」
ソーサリモンは苦しそうに呻く。
その体からは、データの光が少しずつ漏れ出していた。
多樹と北斗は、とどめを刺せばソーサリモンをデリートできる事を理解していた。
「逃げるが勝ち、だな……」
ソーサリモンは、残された僅かな力で、地面から這い上がろうとする。
どうやら、ダークヴァイスに逃げようとするようだった。
「そうはいかないよ! パラライズウェイヴ!」
しかし、カラムモンは逃げようとするソーサリモンを許さなかった。
両手から無数の雷の嵐を放ち、ソーサリモンを麻痺させる。
ソーサリモンの体力は既に限界に近かったため、その攻撃はあっさりと命中した。
「とどめざんす! プリューム・タンペット!!」
ヴォレモンが空から舞い降り、巨大な翼を広げた。
翼から放たれた無数の羽根は、鋭い刃となってソーサリモンの身体を容赦なく貫いていく。
ソーサリモンは断末魔の叫びを上げ、データの光となって消え去った。
そして、タイガが持っていたダークヴァイスは、粉々に砕け散った。
「ま、まさか……! この私が、こんな子供達に……!」
ダークヴァイスを失ったタイガは悔しげに顔を歪ませ、逃げ出そうとする。
しかし、その時、公園の入り口からパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
「えっ……!?」
タイガが驚いて振り返ると、そこには複数の警官と、デジモン研究所の所長・有雄、
有雄の妻で北斗の母親・美紗紀、そして北斗の姉の七香が立っていた。
「お前は終わりだ」
有雄は、タイガを指差して言った。
「これ以上の抵抗は、私達が許しませんよ」
「後始末、私達に任せてね!」
「父さん! 母さん! 姉ちゃん!」
北斗は家族を見て、ぱっと明るくなる。
最早タイガは積んだと見ていいだろう。
「くっ……! こうなったら、お前らの首を絞めて……!」
「お前は犯罪者だ。よって逮捕する」
タイガは最後の抵抗をしようとするが、時既に遅し。
警官達がタイガを取り囲み、逮捕した。
「終わった……みたいだね」
タイガが逮捕され、平和が戻った公園で、
多樹と北斗は、進化したカラムモンとヴォレモンを改めて見ていた。
「カラムモン……。スプライモンがこんなに強くなって……」
「かっこいいだろ、ヴォレモン!」
多樹と北斗は、進化したデジモンを見て、改めて絆をもう一度確認し合った。
この絆こそが、デジモンを強くする力なのだと。
「タイガは捕まったけど、ウィザードの幹部は、まだ残っているんだよね」
「ああ。でも、大丈夫だぜ、多樹。
オレと、カラムモンと、ヴォレモンがいれば、どんな敵にだって負ける気はしねぇ!」
「そうだね! 今度は、私達が勝つ番だよ!」
多樹は笑顔でそう言うと、カラムモンの手を握りしめた。
その手からは、確かな温かさが伝わってきた。
「わたし、頑張るよ! 多樹ちゃん!」
「ミーも、もっともっと頑張るざんす!」
二体のデジモンも、多樹と北斗の決意に呼応するように、そう叫ぶのだった。
ウィザードの幹部のデジモンは、それっぽい感じにしました。
別所でもアストリアは連載しますので、楽しみに待っていてください。