デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

2 / 47
アニメデジモンの主人公がまた男子だなんて、私はがっくり……。
なのでアニポケに倣って、女子の主人公にしました。
多樹の活躍を、どうぞ楽しみにしていてください。


プロローグ

 かつて、人間とデジモンはお互いに共存し、現実世界とデジタルワールドも融合していた。

 しかし、時代が下るにつれて人間はデジモンを道具のように見るようになり、

 デジモン達が住むデジタルワールドは徐々に現実世界と疎遠になっていった。

 最後まで人間を信じていたユスティアモンもとうとう失望し、

 現実世界とデジタルワールドは完全に離れていった。

 今はデジヴァイスを介さなければ、デジモンと出会う事はできなくなっていた。

 

 物語は、そんな世界の日本という国に住む少女が通う小学校から始まる。

 

「……あれは一体、何だったんだろう」

 眼鏡をかけた黒いショートボブの少女が、窓を見ながら呟く。

 彼女の名は遠山(とおやま)多樹(たき)、星海小学校に通う6年生である。

 教師受けが良く、校内では優等生としてクラスメートから頼られている。

 

「ねえ多樹、どうしたの? 考え込んじゃって」

 多樹は基本的にしっかりしているが、今日は珍しくぼーっとしていた。

 そんな彼女に声をかけたのは、クラスメートで親友の一ノ瀬(いちのせ)明日香(あすか)

 大人しい多樹とは正反対に、明朗活発な性格で友達も多い。

「あ、ごめんね。なんか今日、おかしな事が起きてないかなって思っちゃって」

「そうかぁ。多樹はいつも大人しいんだけど、今日はいつになく大人しすぎるよ?」

「そんな事は言わないでほしいよ。私はいつもこうだから」

 多樹はお世辞にも人付き合いは得意ではなく、今日は明日香にも冷たくしてしまう。

 そのため、親友と言える人物は、明日香以外にいなかった。

 

「明日香、何だか今日は空が揺れてるみたいだよ」

「空が、揺れてる?」

 多樹は何となくだが、不安を感じ取っていた。

 地震でもないのに空が揺れるというのはほぼあり得ず、

 何らかの異変だろうと思っていたが、多樹はその原因を知りたくて考えていた。

「私の見間違いじゃなきゃいいんだけど……」

 多樹が溜息をつこうとした時、担任教師が多樹達の前に立つ。

 

「みんな、今日からこのクラスに新しい仲間が来るぞ」

 担任教師の言葉に、クラス中がざわめき立つ。

 新しいクラスメイトが来る事は、ちょっとしたお祭り騒ぎのようだ。

 多樹も明日香も、不安げだった表情を少し和らげ、教室の入り口に目を向けた。

 

「入ってきなさい」

 先生に促され、教室の扉がゆっくりと開く。

 現れたのは、多樹達と同じくらいの、活発そうな男の子だった。

 男の子は青い瞳と少し癖のある茶色い髪をしていて、見るからに活発そうな印象を受ける。

「みんな、この子が今日からこのクラスに来る、星野(ほしの)北斗(ほくと)君だ」

 先生が紹介すると、北斗は少しはにかんだような笑顔を浮かべ、前に出てきた。

「星野北斗です。今日からみんなと一緒に勉強する事になりました。よろしくお願いします!」

 元気いっぱいの声でそう言うと、北斗はぺこりと頭を下げた。

「可愛い!」

「ねぇ、多樹! 転校生の子、かっこいいね!」

 その屈託のない笑顔に、クラスの女子達からは黄色い声が漏れる。

 明日香も例外ではなく、興奮気味に言った。

 多樹はちらりと北斗に視線を向けた。

 北斗がこのクラスに来る事に、特に何の感情も抱かなかった。

 ただ、何故か彼の顔を見た時、胸の奥で小さなざわめきを感じたような気がした。

 それは、先程、空が揺れているように見えた時に感じた、あの奇妙な感覚とどこか似ていた。

「星野君の席は……ああ、遠山さんの隣が空いているな。そこに座りなさい」

 先生の言葉に、多樹は小さく目を見開いた。

 まさか、自分の隣の席になるなんて。

 多樹の隣は窓際の一番奥の席で、

 クラスでは地味な印象のある多樹の隣は空いている事が多かった。

「はい!」

 北斗はにこやかに返事をすると、多樹の隣の席へと歩いてきた。

 多樹は慌てて鞄を机の下に置くと、北斗が腰を下ろした。

「よろしくね、遠山さん」

「多樹でいいよ」

 北斗が屈託のない笑顔で話しかけてくる。

 その瞳は、多樹の心の内側を見透かしているかのように感じられた。

 

 授業が始まり、教師の声が教室に響く。

 しかし、多樹の耳にはその内容はほとんど入ってこなかった。

 隣に座る北斗の存在が、多樹の心をざわつかせ続けていたのだ。

 

(どうしてだろう……。この子といると、何かが起こるような気がする……)

 多樹は再び窓の外に目をやった。

 先程と同じように、空は微かに揺らいでいるように見える。

 そして、その揺らぎの向こうに、一瞬だけ、虹色の光が煌めいたような気がした。

 それは、まるで失われた世界への扉が、少しだけ開いたかのような……そんな予感だった。




毎週日曜日に連載するので、楽しみにしていてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。