デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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今回も引き続き、ライバルキャラがメインの回です。
これを書いて思い出しましたが北斗ってゴーストゲームの主人公の父と同名なんですよね。
でも、もう後がないと思って突っ走りたいと思います。


第20話 さらわれた少年

「昨日のバスケ、楽しかったな!」

「うん、いい運動になったね」

 

 火曜日、多樹と北斗は星海小学校に通う道を歩いた。

 昨日のクラス対抗バスケットボールで、多樹は零の心を少しだけ開いた。

 やはり、零はウィザードに渋々従っているらしく、

 何としても多樹は零をウィザードから解放しようと思った。

 

「……零、ホントにウィザードは嫌い?」

「ああ、嫌いさ。父さんも母さんもあいつに利用されたからな。だが、あいつらは強すぎる!」

「……そうだね。私もスプラ……カラムモンも最初、タイガに勝てなかったよ。

 でも、どうしても町を守りたいと思ったから、タイガに勝ったんだよ」

 

 多樹は思い切って零に声をかけた。

 ウィザードの幹部、タイガは非常に強く、スプライモンとフルーモンでは勝てなかった。

 しかし、多樹と北斗の思いがパートナーデジモンに通じて、二体のデジモンは進化した。

 その力でソーサリモンを倒し、タイガに勝利したのだ。

 

「零もウィザードを倒すために協力しよう?」

「……多樹、話はいいのだが、まだ僕は決心がついていない。またにしてくれ」

「……零……」

「ホント、素直じゃないな」

 

 一度、零と戦った北斗は複雑な感情になる。

 渋々ウィザードに従う零を解放するチャンスを逃したくはないが、

 零自身がそれを拒んでいるように見えたからだ。

 

「早く学校に行こう。間に合わなくなるよ」

「おっ、そうだな」

 

 多樹と北斗は無事に学校に着き、いつも通りの授業を終えた。

 放課後になり、多樹と北斗は下校の準備をしていた。

 教室を出て、下駄箱に向かおうとすると、校舎の裏手から、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「離せ! 何をするんだ!」

 その声は、零のものだった。

 多樹と北斗は、急いで声のする方へ走った。

 校舎の裏手には、零がスーツ姿の男達に取り囲まれていた。

 男達は零の腕を掴み、どこかへ連れて行こうとしている。

 着ているスーツは、タイガが着ていたものと同じだった。

「あなた達は誰! 零から離れて!」

 多樹が叫ぶと、男達は多樹達を一瞥し、冷たい視線を向けた。

「お前達には関係ない。邪魔をするな」

「くそっ……! テリアモン、何とかしろ!」

 零は、テリアモンをデジヴァイスから出そうと手を伸ばした。

 しかし、その前に男の一人が零の首筋に薬を打ちつけ、零は意識を失った。

「零!」

「あぁっ!」

 零はそのまま、男達に車へと押し込まれてしまう。

 多樹と北斗は、急いで男達を追いかけるが、車は既に発進した後だった。

「待って! 零をどこに連れて行くの!?」

 多樹の叫びは、車を追う事ができなかった。

 悔しさと無力感が多樹と北斗の胸を襲った。

 

「くそっ! ちくしょう!」

 北斗が足で地面を強く叩いた。

「どうしよう、多樹……。零がウィザードにさらわれた……」

「落ち着いて、北斗。まだ、諦めるには早いよ。絶対に零を助けよう」

 多樹は、震える声で北斗を励ました。

 二人は、零の行方を知るため、町の人々に聞き込みを始める事にした。

 

「すみません、この辺りで、女の子みたいな男の子を見かけませんでしたか?」

 多樹は、零の特徴を話しながら、町の人々に質問していく。

 なかなか情報は得られなかったが、一人の男性が足を止めてくれた。

「ああ、女の子みたいな男の子? 見たよ。

 さっき、スーツを着た男達と一緒に、あのビルの方へ歩いて行くのを見たよ」

 男性が指差した先には、見覚えのある廃ビルが建っていた。

 かつて、多樹と北斗がウィザードの幹部、タイガと遭遇した場所だった。

「やっぱり……! ウィザードの仕業なんだ!」

「行くぞ、多樹!」

 北斗が駆け出そうとしたその時、三体のメラモンが多樹と北斗の前に立ち塞がった。

 全身に紅蓮の炎を纏ったメラモンは、多樹と北斗を鋭い眼光で睨みつけていた。

「ミシル様の邪魔はさせない!」

「……ミシル様?」

 メラモン達は、ウィザードから多樹と北斗を足止めするよう命令を受けていたのだろう。

 しかし、ここで足を止めるわけにはいかない。

 

「カラムモン! あいつらを倒すよ!」

「ヴォレモン! とっととやっつけるぜ!」

 多樹と北斗は、デジヴァイスからパートナーデジモンを呼び出した。

「スフレ・バットル!」

「サンダービーム!」

 カラムモンとヴォレモンが先制攻撃を仕掛けるが、

 メラモン達はその炎で攻撃を防ぎ、反撃に出た。

「バーニングフィスト!」

 メラモンが両腕を燃え上がらせ、ヴォレモンに殴りかかる。

 ヴォレモンは間一髪で攻撃をかわしたが、その熱気で体がふらついた。

「熱いざんす……!」

 別のメラモンがカラムモンに迫る。

 カラムモンは電撃の球を放つが、メラモンの炎に阻まれてしまう。

「くっ……! 攻撃が当たらない……!」

 三体のメラモンは、連携して多樹と北斗に襲い掛かる。

 カラムモンとヴォレモンは、三体の連携攻撃に苦戦を強いられた。

 しかし、多樹と北斗は、零がウィザードにさらわれた事を思い出し、再び闘志を燃やした。

「ヴォレモン、暴風で敵を吹き飛ばして!」

「承知ざんす!」

 ヴォレモンが巨大な翼を羽ばたかせ、暴風を巻き起こす。

 メラモン達は、その暴風に吹き飛ばされ、体勢を崩した。

「今だよ、カラムモン!」

「サンダービーム!」

 カラムモンの強力な電撃ビームが、メラモン達を直撃した。

 メラモン達は、悲鳴を上げながらデータの光となり、消えていった。

 

「北斗、急いで零を助けないと!」

「ああ!」

 

 多樹と北斗は、急いで廃ビルへと向かった。

 零が待っている場所へ、一刻も早く辿り着くために。




道に立ち塞がるといえばこういうデジモンしかいないと思って出しました。
次回は多樹達の前に、また新たな敵が立ち塞がります。
さっきから立ち塞がってばかりだな。
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