デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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ランサムウェアの後に迫る危機、なお話。
三人パーティーになってから、敵もなかなか強くなっておりまする。


第24話 町に迫る危機

 ウィザードがランサムウェアでデジモン研究所を攻撃してきた。

 ランサムウェアの原因のデジモンはヴォレモンが降参させたものの、

 この事件は北斗が強く危機感を抱くきっかけとなった。

 この事件について、はっきり覚えているのは北斗のみ。

 ウィザードがこれ以上悪事を働かないように、何としてでも町を守ろうと北斗は思った。

 

「大変だ、ヴォレモン。急いで多樹と零に知らせるぞ!」

「分かってるざんす。ウィザードは絶対に放っておかないざんす!」

 

 朝食を食べ、歯磨きをした後、北斗とヴォレモンは大急ぎでデジモン研究所の外に出て、

 多樹と零に事情を知らせようとした。

 しかし、そんな北斗の前に、ルドモンとメラモンの群れが姿を現した。

 

「ここから先は通さない!」

「ウィザードの邪魔はさせない!」

「くそっ! こんな時に……! ヴォレモン、やるぞ!」

「やってやるざんす!」

 

 ヴォレモンはルドモンとメラモンの群れを8分で倒したが、町はパニック状態になっていた。

 クワガーモン、オーガモンなど、ウィルス種のデジモンが、人々の携帯電話を支配していく。

 通話できなくなったり、急に大量のポップアップが出てきたり……。

 

「何よこれ!」

「変な生き物が出てる!」

 

 事件を解決すれば、皆の記憶がなくなり、リセットされる。

 しかし、ここまで事件が広がり、人々がパニック状態になると、北斗は焦りを見せ始めた。

 

「ウィザードがここまでやるなんて……!」

「北斗、さっさと事件を解決するざんす。終わったら全部リセットされるざんす!」

「そうだな……ヴォレモン!」

「絶対にウィザードの思い通りにはさせないざんす!!」

 

 一方、多樹も、今日は休もうとしていたが、騒がしくなった町を見て居ても立っても居られず、

 デジヴァイスを持って自宅を出て行った。

 

「一体何が起こったの? 町の人達がみんな、おかしくなってる……」

「十中八九、ウィザードの仕業だよ。多樹ちゃん、北斗と零を探そう!」

「うん! ……どうしてこんな目に……」

 

 多樹は町の人達を落ち着かせようとしたが、パニック状態になっている人達には届かない。

 なので、町の人達は放っておいて、まずは仲間の北斗と零を見つけようとした。

 そして7分後、多樹はデジヴァイスを持った茶髪に茶色い瞳の少年――北斗を発見した。

 

「北斗!」

「多樹!」

 

 北斗は、デジモン研究所のパソコンにウィザードがランサムウェア攻撃を仕掛けた事を

 多樹に知らせると、多樹の顔が真っ青になった。

 

「ランサムウェア……デジモンの仕業だよね?」

「ああ。ファイルを元に戻すのに大変だったんだぞ。

 ウィザードめ……オレ達が目障りだから、こんな事をしたんだな」

「私達を逆恨みするなんて……そんな事、絶対に許さない!」

「町の混乱を止めるために、零も探して、ウィザードを止めるぞ!」

 

 一方、零とテリアモンは、ウィザードがよこしたと思われる

 炎属性のデジモン・フレアリザモンの群れと戦っていた。

 成熟期のフレアリザモンと成長期のテリアモンでは力の差はあり、しかも属性の相性も悪い。

 テリアモンの身体は、ボロボロになっていた。

 

「ハーッハッハッハ! やっぱりガキのデジモンはこんなものか!」

「くそっ! ウィザードの脅威がこんなものだなんて……!」

「モーマンタイなんて言えないね」

 

 テリアモンはフレアリザモンの群れにダメージを与えたとはいえ、まだ一体も倒せていない。

 あと一発攻撃を食らえば、テリアモンはデリートされてしまうだろう。

 しかし、フレアリザモンが零とテリアモンを逃がすはずはなく、

 じりじりと迫り、テリアモンにとどめを刺そうとした、その時。

 

「助けに来たよ!」

「友達に手を出さないで!!」

 

 多樹と北斗がそれぞれのパートナーデジモンを連れて、零とテリアモンを助けに来たのだ。

 

「君達も……ウィザードが町を襲った事を知ってるのか?」

「当たり前だぜ! ウィザードがランサムウェアで攻撃したからな!」

「テリアモンを数でボコボコにするなんて卑怯だよ! わたしがお仕置きするから!」

「カラムモン、正しくは『達』ざんす。さあ、テリアモンは下がるざんす」

 

 ヴォレモンはテリアモンを下がらせようとするが、テリアモンは首を横に振った。

 テリアモンは身体を引きずりながら、カラムモン達の前に立つ。

 

「ううん、僕は逃げないよ。零がいる前で、逃げたくはないから!」

「強いざんすね……テリアモン。もちろん、ミーも負けたくないざんす」

「わたしも同じ気持ちだよ。ウィザードを止めるために頑張る!」

 

 カラムモン、ヴォレモン、テリアモンは、フレアリザモンの群れに突っ込んでいった。

 まず、先手を取ったのは、ヴォレモンだ。

 

「スフレ・バットル!」

「フレイムヒット!」

うわぁぁぁぁぁっ!

 

 ヴォレモンは身体から暴風を起こすが、フレアリザモンは素早く動いて攻撃をかわす。

 フレアリザモンは手負いのテリアモンを炎の柱で攻撃し、テリアモンは叫び声を上げる。

 

「テリアモンはわたしが守る! パラライズウェイヴ!」

「ありがと……プチツイス……うっ!」

「「「フレイムヒット!!」」」

うわぁぁぁっ!!

 

 カラムモンは細かい雷の嵐を発生させてフレアリザモンの群れを麻痺させる。

 テリアモンは両耳を回して竜巻を起こそうとするが、疲労から途中で攻撃が止まる。

 その隙を逃さず、フレアリザモンの群れが一斉にテリアモンに火炎弾を放ち、戦闘不能にした。

 

「ごめん……零……」

「そんな……テリアモン……! 目を覚ましてくれ、テリアモン!」

 

 零が倒れているテリアモンに呼びかけるが、テリアモンは目を覚まさない。

 既にボロボロの状態で何度も攻撃を受けたらしく、テリアモンは動かない。

 フレアリザモンは勝ち誇ったような笑みを浮かべている。

 

「私達は……ウィザードに負けた……?」

「テリアモン……消えちゃうの……?」

「くそっ……くそ……! なんでだよ……なんで、こんな目に遭うんだよ……!」

「間に合わなかったざんすか……」

 

 多樹とカラムモンは悲しそうな表情をし、北斗とヴォレモンは悔しそうな表情をする。

 テリアモンは零に抱きかかえられながら、データの光となって消えようとしていた。

 

「消えるな……消えるんじゃない! テリアモーーーーーーーン!!

 

 零が泣きながら叫び声を上げ、その涙がテリアモンの身体にかかる。

 いつも冷静な零が、珍しく感情を露わにした瞬間であった。

 すると、テリアモンの耳が立派になり、爪は鋭く、身体を機械が覆い、姿が変化した。

 進化したデジモンの両手には、大砲を装備してある。

 零の涙が奇跡を起こし、テリアモンがガルゴモンに進化したのだ。

 

「テリアモンがガルゴモンに進化した!」

「大丈夫なのか? ガルゴモン」

「僕はモーマンタイ! 零、君が呼んでくれたおかげだよ」

 

 ガルゴモンは笑みを浮かべながら、両腕のバルカンを構える。

 しかし、その眼は、フレアリザモンを仕留めようとしている眼なのは明らかだった。

 

「この力で、零を守る! ガトリングアーム!!」

 

 そして、ガルゴモンが両腕のバルカンを乱射し、フレアリザモンを蜂の巣にする。

 あっという間にフレアリザモンはデータの光となって消滅するのだった。

 

「ありがとう、ガルゴモン。僕を守ってくれて」

「零が無事ならいいんだよ!」

 

 戦闘が終わると、ガルゴモンはデジヴァイスの中に戻った。

 これで零を救い、多樹、北斗、零と三人揃ったわけだが、まだ町の騒動は治まっていなかった。

 いや、フレアリザモンは多樹達を足止めしようとしただけかもしれない。

 

「それにしても、こんなに騒動が広がったんじゃ、

 たとえリセットされたとしても、心が覚えているのかもしれないね」

「そうかもしれないな。だが、ここで諦めるのは僕の(さが)じゃない」

「早くウィザードをとっちめないと、町が町じゃなくなっちまうからな!」

 

 ウィザードはフレアリザモンで足止めしている間に、

 町の機能を麻痺させようとしているかもしれないと三人は危機感を抱く。

 しかし、騒動を起こしているウィザードの幹部、ミシルがどこにいるのか分からない。

 

「私達が今までに出会ったウィザードの幹部は、タイガと……ミシルだね」

「ミシルの野郎、どこに隠れやがったんだ?」

「早めに探さないと……町が終わる!」

 

 多樹、北斗、零は、ウィザードの幹部を探し、町を奔走するのだった。




創作でも強い敵より、しぶとく逃げる敵の方が厄介なのです。
無○しかりモ○ゴスしかりディ○しかり。
ウィザードもそんな感じの敵として決めました。
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