デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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やっとテングモンの必殺技が公式発表されました。
なので加筆修正をしていました。
今回の敵デジモンはこいつらしくしてみました。


第30話 洗脳された人々

 デジモン研究所の秘密のエリアにも、ウィザードがデジモンをけしかけてきた。

 つまり、どこにも安全な場所はないと、ウィザードが思い知らせたらしい。

 

「ウィザードを止められるのは、私達しかいないみたい」

 多樹はデジヴァイスを持ちながらそう言う。

 住民のほとんどは、事件が解決すればデジモンの事を綺麗さっぱり忘れてしまう。

 しかも、今はウィザードの悪事がリセットされないまま残ってしまっている。

 つまり、ウィザードに対抗できるのは、多樹達「特別な子供」とパートナーデジモンのみだ。

「幹部はタイガとミシルを逮捕したのに、まだいるって事なのか?」

「間違いなくそうだよ。でも、どこに幹部がいるんだろう……」

 デビモンをけしかけた幹部の居場所が分からない以上、迂闊には動けない。

 今まで以上にウィザードを警戒しなければならない。

 多樹、北斗、零は、そう考えながら、星海小学校に通う道を歩くのだった。

 

―キーンコーンカーンコーン

 

 学校にチャイムが鳴り、担任教師がいつものように6年2組の教室に入る。

 しかし、担任教師の様子が、どこかおかしかった。

 

「みんな~、おはよ~」

「おはよ~」

「先生……?」

 担任教師の目は虚ろで、焦点が定まっていない。

 周りの生徒達も、担任教師と同じような目をしていた。

「明日香、何だか変だよ。みんな、ぼーっとしてるみたいで」

「え?」

 幸い、明日香はまだ、みんなと同じ状態にはなっていないようで、多樹は安心する。

 すると、担任教師は、ゆっくりと明日香に駆け寄る。

「みんなも私と一緒になろうね~」

 そう言って、担任教師は、明日香に向かって大きく口を開ける。

 その口には、鋭い牙が生えていた。

「明日香、逃げて!」

「えっ!?」

 多樹は急いで明日香の手を引いて、その場から逃げ出した。

 これは授業どころではない。

 

「まずい、逃げるぞ!」

 北斗も、大急ぎで6年2組の教室を出て行った。

 しかし、様子がおかしい担任教師と生徒達が、北斗を追いかけていく。

 

「これは一体どういう事なの!?」

「分からねぇ……!」

 多樹、北斗、明日香が6年2組の教室を出ると、隣の6年1組から零が慌てて飛び出してきた。

 どうやら彼も、様子がおかしい教師や生徒から逃げてきたらしい。

「零! どうしたの!?」

「教室のみんながおかしくなったんだ!」

「私と北斗の教室も同じだよ! 早く急いで、逃げないと!」

 

 多樹、北斗、零、明日香は、大急ぎで星海小学校を脱出した。

 しかし、町の人々は、あの担任教師と生徒達と同じように、ふらふらしている。

「捕まったら終わりだ……!」

 もしも捕まったら、あの人々と同じ目に遭ってしまうだろう。

 町の人々を傷つけるわけにはいかないし、今は逃げるしかなかった。

 

 四人が走っていると、ふと、一匹の蝙蝠を明日香がちらっと見た。

「ねえ、あの蝙蝠、何?」

「ダメ、明日香!」

 明日香は興味津々そうに、蝙蝠に近づこうとする。

 しかし、罠だと思った多樹は、慌てて明日香の手を掴んで止めた。

「な、何するの!?」

「多分、罠だと思うか……」

 多樹がそう言いかけた瞬間、洗脳された人々が一斉に明日香に襲い掛かってきた。

「明日香ーーーーーっ!!」

 多樹が明日香に手を伸ばすが間に合わず、人々は明日香に群がり、彼女の首筋に噛みついた。

 

「そんな……明日香……」

 多樹は親友が噛まれてしまい、呆然とする。

 すると、明日香がふらりと立ち上がり、多樹に向かって手を突き出した。

「多樹……私と一緒に……」

「嫌だ!!!」

 明日香の目は、洗脳された人々と同じ目をしていた。

 多樹は恐怖して、明日香だけでなく、北斗や零からも逃げ出した。

 

「多樹!!」

「まずいぞ零、一人じゃ危ない!」

 北斗と零は、大急ぎで逃げ出した多樹を追いかけた。

 

「こ、ここは……? あ、デジヴァイスはちゃんとあるね……」

 一方、無我夢中で逃げ出した多樹は、いつの間にかボロボロの小屋の中に入っていた。

 デジヴァイスを確認すると、ちゃんと持っていて、多樹は安心した。

「お嬢ちゃん、よく一人で来たね」

「だ、誰!?」

 すると、小屋の中から、紳士的な男性の声が聞こえてきた。

 多樹が慌てて辺りを見渡すと、多樹の前に吸血鬼のようなデジモンが姿を現した。

「私はヴァンデモン。この小屋を見つけて、素晴らしいよ」

「……」

 多樹はヴァンデモンの姿を見て、恐怖で硬直した。

 しかし、ここで何もしないわけにはいかず、思い切って多樹はヴァンデモンにこう言った。

「もしかして、町をおかしくしたのは、あなたの仕業なの!?」

「ああ、そうだとも。あの景色は、とても素晴らしいと思わないかね?」

「全然、思わない! みんなを元に戻して!」

 そう言って多樹はヴァンデモンを倒すべく、デジヴァイスを構えた。

 しかし、それに気づいたヴァンデモンが、ゆっくりと多樹に近づいた。

「おお、お嬢ちゃんは随分気丈だね。その血こそ、私が求めていたものだよ。

 さあ、大人しく私に、その血をくれたまえ」

「た、助けて……!」

 多樹はデジヴァイスを使ってカラムモンを呼び出そうとするが、

 ヴァンデモンに掴まれて動けない。

 そのまま、ヴァンデモンの牙が多樹の首筋を捉えようとした、次の瞬間。

 

「多樹!」

「助けに来たぞ!!」

 北斗と零が、パートナーデジモンと共に、多樹が入った小屋に辿り着いた。

「来たんだね!」

「蝙蝠を追いかけていたらね。町が混乱したのは、お前のせいだったのか」

「おお……敵か」

 ヴァンデモンは優しく多樹を離した。

 このデジモンにとって危機的な状況ながら紳士的な態度を崩さないのは、ヴァンデモンらしい。

「うっ……」

「君の血は、こいつらを倒してから後でいただくとしよう」

「わ、私だって負けないんだから!」

 多樹は立ち上がると、デジヴァイスからカラムモンを呼び出す。

 ヴァンデモンを倒せば、洗脳された人々は元に戻るだろう。

 

「まずは先制攻撃といこうか。ブラッディストリーム!」

「そうはいかないよ! パラライズウェイヴ!」

 ヴァンデモンは赤い稲妻をカラムモンの前に落とす。

 カラムモンはヴァンデモンの攻撃をかわし、パラライズウェイヴでヴァンデモンを痺れさせる。

「うっ、やるね! でも、私は痺れないよ! ナイトレイド!」

 ヴァンデモンはマントを翻してカラムモンの麻痺を解除し、

 蝙蝠を呼び出してカラムモンを攻撃しようとする。

「危ない!」

 ガルゴモンはカラムモンを庇って、感情を表に出さずに代わりにダメージを受ける。

「わたしを守ってくれるの?」

「仲間だからだよ」

「ふふ……仲間か。何とも美しいね」

 ヴァンデモンは含み笑いを浮かべる。

 カラムモン達は決して怯まず、ヴァンデモンに立ち向かっていった。

「ガトリングアーム!」

 ガルゴモンは両腕のバルカンから弾丸を放ち、ヴァンデモンを攻撃する。

 ヴァンデモンの隙を狙った弾丸はヴァンデモンの身体に傷をつけていく。

「プリューム・タンペット!」

「サンダービーム!」

 ヴォレモンは翼から羽根を発射する。

 これもヴァンデモンにギリギリで命中し、

 カラムモンがギリギリで電撃の光線でヴァンデモンを貫いた。

 

「今日のところは、ここまでにしておくよ」

 すると、不利と悟ったヴァンデモンがマントを翻して逃げようとする。

「逃がさないよ! パラライズウェイヴ!」

「そんな攻撃は効かないと言っただろう」

 ヴァンデモンはカラムモンの攻撃をかわすが、その隙にヴォレモンがヴァンデモンを拘束する。

「卑怯者は許さないざんす! プリューム・タンペット!!」

ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 至近距離から大量の羽根の攻撃を受けたヴァンデモンは、叫び声を上げながら消滅した。

 

「これでみんなは元に戻ったはず……だよね」

「ああ……ヴァンデモンはもういないからな」

 何とかヴァンデモンを倒して町の異変を解決したが、幹部の姿はどこにもなかった。

 しかも、ヴァンデモンはウィザードについて全く話さなかった。

 

「一体どこに隠れてるんだ?」

「分からない……。でも、異変を少しずつ解決していけば幹部の居場所も分かるんじゃないかな」

「そりゃ、そうだな」




次回は2月早々に投稿します。
社会風刺を容赦なく入れていきますので、ご注意ください!
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