デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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次はヒーローの実家を書きます。
デジモンといえばこういうのは欠かせないと思って書きました。


第3話 謎の装置を調査せよ

 デジモンを連れていた男から女性を守った多樹と北斗は、

 男が落とした装置を北斗の家に持っていこうとした。

 北斗の家はデジモン研究所であり、デジタルワールドやそこに住むデジモンの研究をしている。

 

「あいつ、柄からしてパートナーデジモンは連れていないような気がするが、

 この装置と関係あるんじゃないか?」

「鋭いね、北斗。……多分、私も関係してるんじゃないかって思った」

 女性を襲った男はクワガーモンを連れていた。

 しかし、性格からして明らかにパートナーデジモンというわけではなかった。

 なのにどうしてデジモンで戦えるのか、多樹と北斗は疑問を抱いていた。

 空は相変わらず、いつも通りの青だったが、多樹と北斗の心は曇り空だった。

 

 こうして二人はデジモン研究所に辿り着いた。

 デジモン研究所の厳重な扉の前に、多樹と北斗は立ち尽くしていた。

 金属製の重厚なドアは、まるで二人の抱える不安を象徴しているかのようだ。

 

「北斗! 遅いわよ!」

 その時、研究所のドアが内側から開き、中から屈託のない笑顔の少女が顔を出した。

 北斗とよく似た明るい茶色の髪をポニーテールにまとめ、快活な雰囲気を纏っている。

「姉ちゃん!」

 北斗は嬉しそうに駆け寄った。

 彼女は北斗の姉で、この研究所で研究助手をしている、星野七香だった。

「多樹ちゃんも一緒みたいね。いらっしゃい!」

 七香は多樹にも優しく微笑みかける。

 多樹は軽く頭を下げた。

「姉ちゃん、見てくれよこれ!」

 北斗は抱えていた装置を七香に差し出した。

 七香は興味深そうにそれを受け取ると、まじまじと観察し始めた。

「これは……見た事がないわね。どこで手に入れたの?」

 北斗は多樹と顔を見合わせ、言葉を選びながら話し始めた。

 デジモンが現れた事、スプライモンやフルーモンをパートナーデジモンにした事、

 そしてこの装置を持った男がクワガーモンを操っていた事……。

 七香は北斗の話に耳を傾けながら、徐々に表情を真剣なものに変えていく。

「そう……デジモンが現実世界に……そして、こんな装置でデジモンを操っていたのね」

 七香は、装置を手に取ったまま、研究所の奥へと二人を促した。

「さあ、中に入って。詳しい話は、お父さんに聞いてもらいましょう」

 

 研究所の内部は、無数のモニターや配線、奇妙な機械が並び、

 まるで未来の秘密基地のようだった。

 案内された部屋の中央には、白衣を着た男性が、

 いくつものモニターに映し出されたデータを見つめている。

 彼こそが七香と北斗の父親であり、このデジモン研究所の所長を務める、星野有雄だった。

「父さん!」

 北斗が声をかけると、有雄はゆっくりと振り返った。

 彼の目は、研究に没頭している科学者特有の鋭さと、どこか優しい光を宿している。

 多樹の母である鳥絵とはまた違う、知的ながらも穏やかな雰囲気を感じた。

 

 七香が手にした装置を有雄に見せながら、北斗は先程の出来事を説明する。

 有雄は無言で装置を受け取ると、その奇妙な形と材質を注意深く調べ始めた。

 多樹と北斗の緊張感が最高潮に達する中、有雄はゆっくりと口を開いた。

 

「この装置は……やはり、そうか」

 有雄の呟きは小さかったが、その言葉には深い重みが込められているようだった。

 彼は顔を上げ、多樹と北斗をまっすぐに見つめた。

「これはダークヴァイスだ。

 デジモンを無理矢理操り、その力を引き出すための、非常に危険な装置だよ」

 有雄の言葉に、多樹と北斗は息を呑んだ。

 自分達が思っていた以上に、深刻な事態が起きている事を悟ったのだ。

「ダークヴァイス……だから、デジモンを使えたんだね」

「なあ父さん、それ、誰が作ったんだ?」

「すまないが、調べたばかりでは分からなかった。

 だが、これが広がると、あの悲劇がまた起きてしまう事は確かだよ」

「あの悲劇……?」

「いや、君達に言うとショックを受けるから、今は言わないでおくよ」

 有雄は首を横に振った。

 何か情報を隠しているかもしれないと多樹は思ったが、

 有雄に無理に問いただすのはやめておこうと思った。

「とにかく、君達にやってほしい事は、ダークヴァイスを止める事だ」

「そう……」

 ダークヴァイスが広がれば、あの悲劇がまた起きると有雄は言った。

 それは、現実世界とデジタルワールドが繋がってゴブリモンが襲撃した時より、

 より大規模で恐ろしいものかもしれない。

 それだけは起きてほしくないと多樹は心の底から思った。

 北斗も多樹に同調したのか、頷いてこう言った。

 

「私、スプライモンと一緒に、ダークヴァイスを止めます。そして、この街を守ります」

「オレだって、フルーモンはパートナーだ。見捨てるわけにはいかねぇよ」

 二人の返事を聞いた有雄は、微笑みながらこう言った。

「素晴らしい、君達ならこの街を任せられそうだ」

「ありがとうございます!」

「父さん! オレ、絶対にこの街を守って見せるから!」

 有雄はこの時から、あの悲劇を止められるのは、多樹と北斗しかいないと感じた。

 それほどまでに、二人に希望を感じたのだ。

 

 その頃、街の影では、一人の少年がある人物と連絡を取っていた。

 少年は中性的な容姿をしており、どちらかというと女の子のような顔立ちだった。

「……はい。ダークヴァイスの手渡しは完了しました」

『よくやった。後はそのまま、誰にも見つからずに撤退するんだ』

「了解しました」

 少年はスマホの電話を切った後、周りを見渡し、誰もいない事を確認する。

 ダークヴァイスが人の手に渡った事を確認すると、忍び足で郊外を出て行った。

 

「すまないが……こうするしかないんだ。

 現実世界とデジタルワールドを繋げるためには、こうするしかないんだ……」

 少年はどこか後悔したような表情になる。

 しかし、元の無表情に戻ると、そのまま郊外を去るのだった。




ラストシーンはアニメデジモンらしく、ライバルキャラを出しました。
ただ、女の子向けにするために綺麗な見た目にはしていますが。
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