チートだけど過労死枠な人の書記官のお話   作:みさりつ

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夏読み小説おすすめと書店に並べられた一冊の本。




(なんか新訳のやつ、一巻目が百合系のイラストレーターが書いた表紙になっていて、BLクセェwwwってバズってたけど、買ってみるか…、電子書籍…いや妹も読みたいかもしれないから…実物にしとくか)


イラスト 

(これ、ヨヨンと美佐子の漫画書いた人のか…百合系以外のBL臭いのも書けるのか…うわ、これとか男の娘やん、ありだわ)





書記官と魔術師の友情の物語。





裏表紙





本書では稀有な歴史証言が克明に残されている。


話を急かして聞いてくる孫にもう耄碌しておぼえてはいないのではないかと心配された。
おぼえていないことなどはない、しかして語り切れないのでおぼえている限り綴ろう。


その一文から始まる個人的な日常を語る彼の回想録は当時の世相を語るには大変貴重な私文書となり、そしてこの文書が見つかるまで謎に包まれていた、大鴉の魔術師の言動も多く記録されており、多くの研究に貢献したことは言うまでもない。
私たちの先祖である、アスカリド・マクマロイが1400年代のオルヴィニス帝国の内乱期時代に生まれ、8歳の時から以後30年に渡ってフォティア王国の宮廷魔術師である
かの1400年代に存在した伝説の大鴉の魔術師と雇用契約を結び、フォティア王国おろか、大陸全土に渡る彼の伝説と足跡を書記官として共にしたことが記録されている。
帝国の内乱によって戦災孤児になり、人身売買に遭い家族も故郷もすべてを失うことで始まる彼の波乱に富んだ人生。

未来の子孫の私たちにとってはそれは空想や夢幻のように感じるだろう。

彼の綴る日誌は、彼自身を含め、当時の人々がこの世界に息づいていたことを確かに描かれている。

現代では彼の私文書の発見を期にこの時代を題材にした、物語も多く再び作られるようになった。





麓新社学術文庫



1 別れと出会い

2 新しい生活

3 最初の冒険

4 吸血鬼

5 妻との出会い

6 魔術師の苦悩

7 帝国へ

8 盗まれた神々の遺産

9 あとがき



著者紹介


ジョン・ヴィクトワール・アスカリド・マクマロイ

1412年~1489


訳者紹介


ホワイト蛇・瀧澤・よっしー

城新大学外国語語学フォティア王国語科卒業(1956)

現在城新大学部フォティア語文学科名誉教授


主な訳書に「鴉の学院の食卓」「鴉は斃された」「美食愛好詩篇」「ジョージ・フォティアとエミリアと恐ろしき魔龍」「フォティア王国温泉集」「鷲鼻」などがある。

本人著書

「異界の人々」

「たぬきの妖怪ときつねの妖怪」

「白い蛇」

「大鴉の魔術師は女の子?」






(新訳だけど、内容は前と変わらんが、前のは実家に忘れてきたし、ブックカバーを付けたから、しばらく通勤の暇つぶしにはいいな、スマホでゲームもいいけど、たまにはこういう厚い文庫も風情があっていい、帰りは喫茶店で読むのも良いかもな)














1 後世ではよくTSさせられたり、BLのネタにされる。

 

 

 

チート異世界魔術師の書記官

 

 

 

 

 

 

 

 

これは私がとある魔術師の御方にお仕えした時の思い出を綴ったものです。

 

 

 

 

北オルヴィのマクマロイのソーン家といえば、主に染料や絹織物などを担う町の商家のひとつとしてオルヴィで代々続き、私も次男ながら、それなりに裕福な生活をさせていただいたものでした。

物心がついて一番古い記憶は、私の家が周りの家の子たちよりも少し裕福で、後継ぎでもない次男の私があれこれと少しわがままを言ってもあまり殴られたり怒られないな、と思ったことでした。

両親はこどもを深く愛しており、持てる者の余裕か、当時珍しく兄弟姉妹分け隔てなく扱っていました。

とりわけ今でも幸せだった思い出として心に温かく残るのは、普段どんなに忙しくても安息日には家族全員で近くの湖に小舟を浮かべて釣りをしながら昼食や軽食をとったことです。

暖かい日差しがきらきらと反射する湖、小舟の上で母が美しい歌声で流行り歌を妹たちによく教えていて女性陣で合唱をして楽しんでいました。

父と兄と私は、彼女たちに魚が逃げるからやめてくれとよく言ったものです。

 

 

それは私が8歳の時、北オルヴィの商家のソーンの家の次男として兄を将来助けるためにと多少の物書きと計算を習い始めたばかりのことでした。

 

北オルヴィのマクマロイ地方の赤い染料で染められた旗は帝国中にはためいており、まだそれが燃えてしまうなんて思ってもいませんでした。

 

 

ある日のこと、私が暮らしていた小さな世界が唐突にすべてががらりと変わってしまったことは、今でも心の傷として深く残っています。

昼餉まえに小腹が空いた兄が私や姉妹に隠れて水菓子を頬張っていたのを見つけて私が自分や妹たちの分をねだった時、それはやってきました。

 

それは当時のオルヴィの継承権を巡り、大きな戦火が灯される前の小さな炎でしたが、その小さな炎は私が住んでいたマクマロイ市内に絶望と苦痛の叫びを呼び込むには十分でした。

帝国内で起きた神々の遺産を巡った継承戦争、そこから波及した群雄割拠の争乱時代。

多くの武勲とそれに伴い、帝国中で悪行の限りを尽くした彼ら、バンドと呼ばれる傭兵集団によって行われる略奪行為のひとつがマクマロイ市内を襲ったのです。

彼らは戦があれば優秀で精強な戦士として、戦がなければ大陸中で暴力や強盗を行って日銭を稼ぐ暴虐三昧の悪魔のような存在でした。

当時、帝国の戦乱も始まったばかりであり、いつも戦争を行っているわけではないのです、こうした行為は常日頃彼らは行っている。

 

帝家の血を引く彼らが神々の遺産を得るために帝王の座を求めあい、ばらばらに分かれて戦い始めた中でも最も勢いがあった東側の軍勢に雇われた傭兵集団だったのでしょう。

戦さえ始まれば傭兵集団は常に正規軍よりも最前線で戦う存在で捨て駒としてもよく使われる、一番早く戦い、一番早く死ぬ、その中で生き残ってきた傭兵集団というのはとにかく強い。

そんな軍隊集団はどんな警察集団も取り締まることはできない、雇い主側もその暴力の矛先に恐れて、どんな悪事を行っても知らんふり。

そんな存在が帝国を跋扈するようになりました。

 

 

 

 

街は焼かれ、すべてが半日も経たずに奪われました。

 

 

 

 

 

「マクマロイは帝国北部でも外れに位置した小都市であり、北部でも特に戦略的にも守る価値がないと判断されたのだろう」

 

その一言でマクマロイに起きた悲劇を表すことができます。

 

 

戦時では役に立たない、美しい染料といった贅沢な品物しか誇るところがない町、それがマクマロイ。

 

そういった理由で戦略的にマクマロイ市内は北オルヴィから見捨てられていたのか、傭兵団を中心とした1000人ほどの兵数の軍勢にあっさりと取り囲まれ蹂躙されました。

碌に守られもせず、小さな反抗しかできずに陥落するのですが、戦うことよりも奪うことに一生懸命な傭兵は多いものです。

傭兵によって村は焼かれ、焼かれた人々もまた、ほかの村を焼く傭兵になる、それは生きるため。

 

そういう人々だったのでしょう、日常を奪われ、奪われた日常の中でも生きる彼らは地獄の中で生きる存在です、生きるためなら、なんでもやるのです。

そして良心を捨てて生きていくうちに退廃的で醜悪な欲望にも目覚めます、獣性に目覚めた彼らは奪い犯すことで楽しそうに笑う。

 

笑って笑って、壊して奪っていきます。

 

 

 

私がにこにこと水菓子を口にしていた頃には、あと100歩ほど近くにそんな地獄の集団が戦いが始まる前から居たのです。

 

市内で戦闘が始まった瞬間に特に裕福だった私の家を様々な人間たちが手を伸ばして引きちぎっていきました。

 

 

 

 

兄が最後に笑ってくれた、まだ酸っぱく、しかしほのかに甘かったプラムの味は記憶に残り、思い返すだけで未だに私の舌から苦しい思い出を呼び起こさせ、今でも口にする気が起きません。

 

まずは大きく狙い、そして小さなものから、大きなもの、最後に女子供、何も残すな、施すな、それが略奪の合言葉。

裕福な大きな家を狙い、隠しやすい指輪や宝石といった貴金属から奪っていくのです。

 

気づけば、私は全てを奪われました。

 

まずは家紋が彫られた、首にぶらさげた聖銀の匙。

当時オルヴィでは子供が生まれた際、子供が一生の間に飢えないことを願って3つの神々の祝福を授かった聖なる銀や聖なる大樹によって削り出された匙を贈るのが習わしでした。

その匙の内側に家族の証である紋章を刻むことで家格などを証明の品物となるので、鎖や紐で結んで身に付け、片時も外さない一生ものの大事な品です。

 

毎年、その子供が生まれた日に、その匙を使って子供の好物を食させる行事は未だに微笑ましい家庭の行事として大切にされています。

初めて目が開いた時からきらきらと光っていたそれ。

今でも片時も忘れられません、いまだに私の首元に影として残っているかのような気さえします。

 

それを、何も言わずにやってきた、まるで獣ような臭いを放ち、片手に血に濡れて錆びついた戦斧を持って、静かにそして荒んだ冷たい目の大男が私の首元から首が折れる勢いで鎖ごと引きちぎり、のどが急に絞められ私は倒れ、気を失いかけていました。

その瞬間、兄が私や妹たちを守るために大男に声を上げて叫んでいるのを覚えています。

鈍い殴打の音、家じゅうに響いた悲鳴、顔がつぶれた兄が気を失いかけていた私の傍に倒れこんできて私は起きた出来事に対し恐怖で凍ってしまいました。

続いて他のたくさんの人間が家に押し入ってきて嬉しそうに奪える金品に目を輝かせ、凶器から涎を垂らしていました、その涎は赤く、私の家の使用人の血液でした。

 

 

人の姿をした悪魔の軍勢。

伝説に聞く、魔族なんてものよりも、地獄に近い人々だ。

 

もう、恐ろしくて耳も眼も塞いで、これから始まる嵐を耐えることしかできませんでした。

泣きながら引きずられていく妹たちも自身もすべては嵐の中、目の前を暗くすることで心を守ることしかできなかった。

 

 

嵐が収まったころ、私は凍ったまま、何もできずに何もわからずに、町であった廃墟の広場に立たされ、しばらくすると人がぎゅうぎゅうに詰まった馬車に乗せられ運ばれました。

 

これは当時よく帝国で行われていたことでした、当時の傭兵の主な稼ぎのひとつの人身売買であり、反抗心を削ぎ落して静かに運ぶために親兄弟を別々にされるといいます。

 

私は親や兄弟姉妹、親族から遠く離されていくのもわからぬまま、泣き声が響き渡る馬車の荷台の中、まだ怒りも悲しみも感じず、ただ喉の渇きと空腹に苦しめられていたような気がします。

その時、私が出来ることなんてなにひとつなかったでしょうけれど、家族の命と家族の行方の情報を少しでも手にすることができる可能性がまだあったと今でも後悔しています。

あの時、恐怖によって凍った私にはそれがわかっていなかった。

もう2度とその瞬間から彼らには逢えなくなってしまったというのに。

幼かった己の無知と機転の無さのせいで、大人になっても何も取り戻せなくなってしまったのです。

 

似たようなことは大陸全土で起きていました。

ありふれたことで、その中でも命があるだけマシだった、そう思うしかないことだったのでしょうか。

それと父が殺され、母が犯されているのを目にせず済んだことも。

 

 

「このとき帝国はこれまでの歴史の中でも、もっとも悲惨な時代にある」と人々が口にする。

 

その後のことはよく覚えていない。

 

もう唯一私に残されていた、両親が残してくれた愛の最後の欠片であった、教育の成果が私を助けてくれたのでしょうか。

物書きと計算ができることで奴隷として将来性が見込まれたのか投機目的で転がすように様々な人間に何度か売り買いされていくうちに故郷の国を離れ、戦乱のない隣国の地方都市まで運ばれて行きました。

周囲から聞こえる声が帝国の言葉と違い、西側の隣国の特徴的な話し声であると気づき始めてからある程度、状況は把握していましたので、恐怖は終わり、ただ絶望の諦観に私は浸っていました。

きっと些細なことで奴隷を虐待する主人に買われて死んでしまうのだろうな、なんて思いながら茫然とその地方都市の市場の広場に私は立たされていました。

 

そこで気づきました。

私は一人で立っていました。

 

いつの間にか、どうしてか、それは今でもわかりません。

 

 

浅黒い肌のぎらぎらとした瞳をもつ商人の男に手を引かれ歩いていたような気がしたのですが、どうしたのか分かりませんが、その男と逸れて私は置き去りにされているような状態でした。

隣国では人身売買による奴隷は表だって許可はされていませんので、手枷や首枷も付けずに運ばれていたので、この時、私には何処かに逃げる絶好の機会があったと思います。

 

しかし、私は逃げずに、ひとり立っていることしかできなかった。

 

たまたま商人の男がどこかで休んでいるのかもしれないし、もしかしたらすぐ近くにいるのかもしれない、逃げるのを見つかって、殴られたりするのを怖がったのもあります。

それよりも私には逃げて、ひとりで生きる自信が全くなかったのです。

逃げても、なにもわからない場所でひとり寂しく野垂れ死ぬだけだとわかっている。

 

だから動けませんでした。

 

不思議なもので、どんなにつらい目にあっていても、不自由な目にあっていても生きていたいと本能が働いていたのです。

 

手枷の無い縛られない誇りある自由な死よりも、首も回らないように縛られた不自由な生を人は意思すら持たずに選択してしまう。

死んだ方がマシかもしれない、なんて思っても死ねない、死ぬ勇気が湧いてこない。

そんな自分にますます絶望が深まり、涙が止まらなかったのをよく覚えています。

多分殴られて死んでしまった兄のように死ねなかった自分の不甲斐なさに私は地面に身を投げ出して泣きました。

 

もう、死にたい、死にたいと、失ったものを数え始めて声に出して、泣いていました。

ひとりになって自由になった途端にこうやってようやく泣くだなんて。

そんな卑怯な自分に涙はますますとまりませんでした。

 

つらくて耐えられないことがあるならば、それに立ち向かうために恥もなく泣くべきだった。

もしかしたら、何もしないよりも意味があったのかもしれない、なんて思ってしまったのです。

家族と別れていままで泣かないなんて、兄を目の前で殺されて泣かないなんて、なんて弱虫だったのだろうか。

 

男なら、次は自分が死ぬ順番だった。

次男から次の長男の役目として家を守るために死ぬべきだった。

 

 

 

自分自身を守ることしか考えてない臆病者め、なんて生きる価値のない大バカ者なのだろうかとわんわんと私は泣きました。

拳が砕けるくらいの力で私は悔しくて地面を叩き始めました、そこで私は初めて血を流し始めました。

 

地面に打ち付けた手から流れる血液と痛み。

これは恥知らずの血と痛み、なんて罪深いのだろうか。

 

もちろん、泣き叫びも暴れもせず、大人しくしていたのでこの時まで私は商品としての価値を高め、商人たちに寝床と食事をそれなりに与えられ、暴力を振るわれず、傷つけられなかった。

 

それはわかる。

 

生きるためなら、しょうがないけれど。

しかし、人らしく生きるためには失ってはいけないものがあるのではないか、なんて思ってしまって止まりませんでした。

 

そうやって自分が、自分のすべてを奪った獣たちとと同等の存在まで堕ちたのだと自分自身を私は決めつけてしまった。

 

本当に憎むべきなのは私のような彼らのような獣を生み出す社会と世の中、そして、兄を殴り殺し、命を奪い取った仇達でしたが、まだそんな考えに至るような年頃でもありませんでしたので、自分自身を憎むことしかできませんでした。

 

 

そうして泣いていると、私の頭上に大人の体ほどの影が差しました。

一瞬、商人が戻ってきたのか、と固まりましたが、違いました。

顔を恐る恐る上げてみると。

 

 

「親と逸れたのか…?君は迷子かな」

 

どこか甘く優しげな声で話かけてきた男は初めてみる様相の人間でした。

珍しい白でも浅黒くもない中間の肌色の男で、表情にはまだ若さが濃く、眉は薄く、まっすぐに引かれており、眼窩は浅く、細目といってよかった。

綻んだ笑みを浮かべた口も小さく、顎もどこか丸みを帯びた柔らかな形をしており、女性的な顔つきで、ことに鼻も低く、すべてが大人しい。

声も棘がなく大人しいので実は女性なのかもしれない、髪も艶やかに垂らしていて黒真珠のように光を放っている。

きっと学者か何かなのだろうと誰もが言いそうな、全体的に男として薄く、一切の便りげのない相貌。

しかし、不思議と妙に記憶に残るだろう印象的な顔つきをしていた。

自分を見る黒い瞳は見ているだけでまるで吸い込まれそうな気がしてしまう。

 

 

思わず顔をまた伏せて私が涙を流しながら黙って首を横に振ると、男は困った顔をして、ああ、という。

 

 

「ああ、そういうことか……たまたま仕事で来ていてね、そろそろ昼ご飯をここの知り合いの家で食べることにするんだが、一緒に来る?とりあえず何か甘いものでも食べたほうがいい」

 

見も知らない子供に甘いものを食べさせるなんて言って何処かに連れて行こうなんて、寝物語でよく聞く童話の魔女か人浚いの文言過ぎて驚いてしまった。

 

「きっと帝国の北側のお菓子もある、大丈夫だ」

 

さらりと私が帝国の北側の子供であると言い当ててますます胡散臭くなったので、何が大丈夫なのだろうかと私は思った。

よく見ると、真っ白な長衣を重ねて着ており、裾や袖も長く、足先と手先以外は隠されており、右肩につけた鋼の肩当てだけがそぐわないが、どことなく、おとぎ話で聞く魔法使いのような服装をしていた。

 

 

そうして私を立たせて埃を母親のように払うと「おんぶとかする?大丈夫?…いらない?」と声をかけて大丈夫という私の手をつないで連れて歩き始めた。

 

「いたた、ちょっと左手に手を変えていい?」

 

右手でつないで歩いてる途中、男は繋いでいる手を左手に交換した。

 

「だいぶ前に矢が刺さって怪我をしてね、それからずっと痛いんだった……いてて」

 

細い目をさらに細めて笑ってこんな情けなく言うのだから戦場ではなく、事故か何かで、もしくは、この男の不手際で刺さったような言い方であった。

その道化師のような情けなさになんだかおかしくて笑いそうになった。

 

 

これからのことを思うと上手く騙されたものである。

ただひとつ、私の心に少し、そこはかとなく、小さな光が差したようであった。

 

 

 

 

連れていかれた場所はこの地方都市の領主が住まう屋敷であったのです。

帝国の城主と違い、絶対的に強い王を持つ平和な王国の領主たちは横に広い邸宅に住まいを持っていた。

 

 

 

本当に此処が曰く「知り合い」とやらが住まう、目的地なのか、騙されたのではないか、と疑いが私の中で膨らんだものでした。

 

 

 

 

 

「ちゃんと終わったか?なら飯食うぞ」

 

「これが楽しみで来る、地方都市の金持ちの家でも一番飯が旨い」

 

豪奢な白い食卓にいくつもの御馳走と果物を並べ、一番奥の玉座のような長椅子に座って待っていた男、多分この地方都市の領主だろう、手で頬をつき、豊かに蓄えた白髭をテーブルに垂らしていた。

年齢も身分も違うように見えるが、不思議と領主と対等のような口を聞いても、私や私を連れてきた男が泥や砂で汚れた靴で屋敷内の綺麗に磨かれた床を踏んで鳴らして歩いても周囲の家臣たちは眉ひとつ動かさなかった。

 

平民がこんなことをしたら普通、切り殺されます。

そして食卓に座ったまま領主は問う。

 

「うるせぇ、で、もう終わったのか?」

 

「褒めてるが?褒めてるけど?……ああ、終わったよ、ほれ」

 

そう言いながら男が懐から小さな革袋を取り出し領主に投げた。

それを受け取った地方領主はその中身を見て眉を顰めた。

 

「これで終わりか?こんなものくらいしかないのか」

 

「だからいったろう、こんなものしかない、と、それよりもだ…家鴨のパイ包み焼き、しっかりとクロモジで燻された大海老の燻製と燻製チーズ、豚肉のなんか豆ととろとろに煮込まれたやつ…」

 

指を立てて男は食卓の料理を数えていく。

 

「うむ、果物や野菜といった食材の色も瑞々しく新鮮できれいだ、井戸水でよく冷やしたエールもある、あるな絶対、やったー!」

 

食卓に並べられた、出来上がったばかりだろう、宝石のような料理を眺めて男は弾むように喜んでいた。

そして美男子を見つけた若い年頃の少女のように声を高くして笑っていた。

帝国では「こんな風に食事ひとつで小躍りするのは男としてみっともない」なんて母に叩かれそうな様子だ。

 

「あるから安心しろ、飯が原因で人様を簡単に呪うと言われてるやつに手は抜かん」

 

「人様に嫌がらせで悪態たっぷりの唾をいれた飯を出す奴は呪っても良いさ!」

 

 

「ところでなんだそのガキ?…それに御守りの女と教会の爺さんは来てないのか?」

 

 

「ああ、コブレ殿とユウコさんは先に帰ってうちの弟子の食堂で気軽な感じで飲みたいらしい、この子は多分帝国北側から人浚いで連れてこられた子供だな、勿論、うちに連れて帰るから帰りは馬車を用意しておくれ、あとこの子にも食わせる」

 

 

じろり、と私を一瞥すると、いつものことか、と白髭を男は撫でながらそう言う。

 

「いいが、すこしばかり穢れが多いな、飯を食わせる前に風呂だな、用意させる、女どもは歌ってやれ」

 

蠅が私の周囲を飛びまわってるのをみて領主は手を叩く。

 

「少し腫れてるから医者も、じゃあ、先に食べて飲んでるけど、残しておくからゆっくり入ってきなよ、ここの家、金持ちだから、湯舟を汚しても気にしなくていいから、しっかり洗ってきなよ」

 

私を囲むように領主の使用人が集まってきます、ここ数週間、確かに私は生きていただけで、体を拭くことも川で水に入ることはしていませんでした。

王国は特に不浄を嫌う三麓神の信仰が厚い国家であり、国内でよく湧く温泉を神聖な物として大事にしている。

地方領主でも余裕があれば温泉を引いた湯舟を持っているらしく、身を清めるために共同浴場以外に入るという贅沢に思わず私は目を輝かせてしまいます。

 

単純なもので、暖かい湯につかれるというだけで、絶望に渇いていた心に潤いが戻るような気がしました。

 

 

「じゃ、飲みますか!」

 

「いいけど、なんでほんとに午前中に終わるんだよ……なら最初から来いよ…お前…」

 

「朝早くから頑張ったから……あと、最初から来てほしいなら、最初に呼べ…!みんな、なんか手が付けられなくなって、どうしていいかわからなくなってから呼ぶな…!私を!」

 

言っておくが、あんなもん、探しても碌なもん出ないからなと、男は領主をにらんだ。

 

「わかった、今度からすぐ、そうするよ、飲むぞ」

 

「ああ、もう朝から…疲れて…ほんと肩痛い…飲む、そこのお姉さん…すぐ空にするから多めにじゃんじゃん持ってきて…」

 

「久しぶりだが、大分、昔から変ったな、お前」

 

「大分ね、苦労したから……なんかもう吹っ切れた、他人の事情なんか知らんと好きにすることした、もう、人前ではこんくらいで振る舞うことにした、こう、手伝ってくれるよね?みたいな感じできたのは無視、無視することにした」

 

「たとえ振る舞いを変えても、これからも苦労は変わらんぞ、きっと、まぁ少しは減るかもな…」

 

「少し減るくらいか、世の中クソだわほんと、最近なぁ、殺しに来るやつ最近、なんか肩ばっかり狙うんだよ、どいつもこいつも」

 

「まぁまぁ、酒でも飲んで、忘れようぜ……」

 

「陛下も陛下だ、嬉々として小さなころから私の肩を狙って小突いてくるんだ、今も王宮に上がるとたまに人目を気にせずやってくる……そのせいで最近、殿下も真似してくるようになった」

 

「将来有望だな、殿下も…まぁ飼ってる動物の触られたくない場所をつい触るようなものか…?ちゃんと飼い主が懐かれているか確認するみたいなもんだ」

 

「お前飼ってる動物にそんなことするのか、やめてやれよ」

 

「ははは……まぁ飲め、では乾杯…今回でいくつめだ?」

 

 

「今回10個目…乾杯!攻略完了いえーい!」

 

「いえーい!…でいいのか、どういう意味だ?」

 

 

何処か空元気な調子っぱずれな声が響き渡り、男たちは酒杯を煽っていた。

 

 

 

その光景を尻目に湯殿に使用人の女性に連れていかれる。

使用人の中でもひときわ年を重ねた婦人のふたりが私を優しく連れながら口々に言う。

 

「もう昼餉とはいえ、良いお年をした大人たちがああもみっともない」

 

「ええまるでフケた牛馬か山賊のようだわ……ああなってはだめよ、坊や、ああならないようにおばさんたちがしっかりと神様にお祈りしながら清めてあげますからね」

 

「こんなに汚れて、あら手枷のあとも……つらかったでしょう、メニィ、湯の香草を増やして」

 

「喉は乾いてないかしら?蜂蜜をとかした新鮮なミルクもあるわよ」

 

「ぬるいお水のほうが良いかしら、おなかが驚いてしまうかも」

 

そういって女性たちに頭を撫でられる。

 

私はきっと神に愛され、翻弄された人々の気持ちがよくわかる。

神はこのようにして地獄の中に、人に唐突に光を与えるのだと神話ではよく語られる。

 

なにが起きてるのか、何が始まるのか、理解できなくなって、黙り込み、静かに泣くしかできなかった。

 

婦人たちが泣いて湯に浸かる私を精一杯慰めるように、三麓神教が湯舟で歌う、不浄を清める歌を朗朗と歌ってくれた。

まるでお貴族の王子様のような扱いで、ただただ優しくされた。

 

 

まるで私は帝国で死んで、新たにこの王国で生まれ変わったようであった。

 

母の歌声のように優しい温度の湯で洗われた私は、その時、ひとつの不幸への区切りがついたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を拾い上げた男は、キタカ・アベイと名乗る魔術師であった。

私が知る限り、魔術師という人種は厄災を持ち運ぶとされ、恐れられ忌み嫌われた人種だ。

帝国では亜人たちと同じく隠れ潜んで存在している被差別身分の人間である。

王国ではどうやらしっかりとした市民権があり、帝国とは違い知識階層として高い身分が保証されているようであった。

 

 

 

 

彼の本来の名は安部井貴明と言う。

 

20年程前に異界から大陸の西部に位置するフォティア王国に現れ、現在も王国に仕えている魔術師である。

このように簡単に一書記官に真の名を書くことを許す魔術師なんてまず存在しないのだが、彼はそのようなことを一切気にしない。

なんと王都の宮廷にも呼ばれたような大人物であり、大陸でも随一の魔術師として既に名を轟かせており、過去に伝説的な偉業を何度も達成している。

龍を殺し、魔道士を日頃から狩り殺し、迷宮を踏破し、時には精霊や魔族すら滅ぼす、王国内をもちろんのこと大陸の行く先々で様々な異変を解決して歩いていた男である。

帝国では見つかり次第、即刻絞首刑になるような真似もしているので、善の存在とは言い切れないが、おおよそは悪に遠く、善に傾いた人物であった。

 

私が出会った頃にはいくつもの冒険を終え、厳しい冒険の果てのせいだろうか、既に人としての心が壊れていて、どこか気の狂った言動を行うようになっていた。

彼は人種も老若男女分け隔てなく対等な会話を楽しむことを好んでいた。

また、男のくせに女子供、奴隷、または猫にすら、王に対する礼のような真似をすることもある。

 

まるでそれは道化師のような振る舞いであり、しかし、どことなくその振る舞いは災いの兆しを感じさせられ、不気味でさえあった。

 

きっと彼には葛藤がなかったわけではないのだろう。

しかし、自分を苛む様々な災いと常日頃から戦ってきた彼は、善だの悪だの、そんな迷いのもととなる価値観は捨て去る必要があり、逆に自らが災いのようにあることで身を守っていたのだろう。

常に笑っているような顔をしていたが、それは絶望と悲嘆によって顔に歪んだ一文字を消すためにであり、そのためにいつも泣いているかのように笑っていた。

 

忠誠を誓ったフォティア王国、特に国王以外に対しては誰であろうと礼には礼を尽くすが敵であれば躊躇せず容赦なく神ですら殺す、何物も恐れない豪外不遜の魔術師。

 

 

彼はフォティア王国のかつて一度、邪悪な死霊術を用いる魔道士よって滅び、死肉を荒らす鴉の群れが常に飛び交う廃墟になった小都市を王家から預かっていた。

そこに新たに名前を変えた都市として復興させており、私はその彼の領地の屋敷に使用人として住まうことになる。

 

常に鴉の群れが未だに空を黒く染めるのが不気味だが、その屋敷は新しく、どれも目新しい設備が整っていた。

三麓神の教会も敷地内にあり、そこに務める神父様もいらっしゃるのでどうやら邪悪な魔術師の住処ではないようだった。

 

 

素性は違えど、彼の屋敷の使用人たちはまだ子供だったものが大半だった、流行り病で親を失ったもの、飢饉のため口減らしに家を追い出されたもの、私のように戦災孤児になったもの。

教会の修行の途中で逃げ出し行き倒れたもの、貧困から逃げて地方から働き口を探して訪れたもの。

皆、明日のパンにも困るような輩であり、地獄に落ちるよりはほんの少しマシだと踏んで、私のように彼にとぼとぼと歩いて付いていき仕えていた。

王国でも魔術師は市民権はあるが、それなりに魔に近い者として恐れられていたので好んで彼に仕えようとする大人は少なかった。

彼の屋敷には何十人もの子供が集まっており、皆、必死に働いていた。

そのせいか主人である彼は小児性愛者として何度か王国の魔術師に対して懐疑的な貴族に疑われ、顔をよく引くつかせていた。

働いている子供の中の数人は夜部屋に呼ばれたりするのではないか、と未だに思っている子もいたし、逆に行こうとする子もいたので、疑いは消えない。

 

 

 

 

大変意外なことだが、魔術師という天の道から外れた存在でありながら、彼の使用人に対する扱いは、とてもよかった。

まず、使用人に対し、彼は体罰の類を一切行わなかった。

逆に使用人の中で、経験が長い子供が、経験の浅いこどもの失敗を見咎めて主人の代わりに殴っているのを見かけると顔を青くして走ってくる。

基本的に使用人として、主人に対して悪意を持って屋敷にある物を盗んで金に換えたりしない限りは殴ったりはしないでほしい、と口を酸っぱくして言う。

殴られた子に向いてない仕事だったら言ってくれ、別の仕事はたくさんあるから、という。

使用人の間ですら、暴力が起きることは稀であった。

 

次に賃金だ。

 

当時の児童労働者では一般的に住み込みの場合、住まわせて飯を食わせるだけ温情であり、基本無給が多かった。

ある程度大人になり仕事が任されるまで、せいぜいお祭りの日に、何かつまめる程度の小遣い程度が一般的である。

毎日、大きな菓子を買っても余るくらい児童に支給していた。

しかも、契約書をどんな年齢の子供でも用意しており、大人になって独立したくなったときの転職のための紹介状も用意してくれる。

大貴族の若手の使用人と同等の扱いであった。

 

主人曰く

 

「もっと渡しても良いが、お金を多くもって歩いて犯罪の標的にされて奪われたり、身代金目的の人質にされたりもしくは殺されてしまうことがあるので、これ以上は渡せない」とのことだ。

 

それに魔術師に仕えるという風評被害代も含まれているそうだ。

 

 

そして驚くのは食事だ。

 

なんと主人が食べるものと同等のものが使用人に出される、そして皆で食卓を共にする。

一日三回屋敷では鐘が鳴る。

それは食事の合図だった。

分けて作るなんて非効率だし、わざわざ粗末なものを用意するのもおかしな話だ、なんて主人は言うが。

これは当時の様々などんな国でも聞いたことがないことであった。

 

食事は身分によって様々であり、庶民のものを貴族や身分が高い者が口にすることは恥とされている。

 

貴族階級の人間が使用人と同じものを一緒に食べるだなんて人が家畜小屋で首を揃えて家畜の餌を食べるようなものなのだ。

 

 

主人からすると、貴族の見栄のための飯は旨くない、飯は温かくて旨い方が良い、それだけであり、皆が食うから、作るものもまじめに作る。

食材自体は貴族の見栄のための高級な食材は普段は使われないが、どれもこれも粗末ながらに腐っていたり、カビていない本当に新鮮なものを用意し、とりわけ不浄な物は口にせず、絶対に捨てるようにと厳命していた。

芋、小麦、雑穀、が中心の食事であり、食べ盛りの子供が腹いっぱい食べてもなくならない量を用意していた。

 

たまに聞いたことも見たこともない食事を少し出されて、驚いたり、食べずに逃げたりすることもあったが、子供たちは夢にみたように贅沢になれて、いつも食事時は幸せそうだった。

薬のような変な食べ物もでるし、きっと豚のように太らせて生き胆を抜くためだ、なんて、疑ってそんなことを怖がりながら言う子もいるが、今のところ、抜かれた子供はいない。

 

 

 

そして最後に

 

 

子どもたちは才能があり、心から望めば、彼や彼の屋敷に住まうほかの魔術師に弟子入りすることもできた。

仕事の合間にだが、当時、基本的に魔術は一子相伝で魔術を習うには職業的な代々魔術師の家に生まれるか、高い授業料と入学金を出して、王国立の大学院に入学をする必要があった。

大学院なんて遠い世界の話で、貴族かよほど儲けた商家の子息しか入学できない場所であった。

 

 

まぁ皆、血筋が良い子どもなんていないので、教えてもらえても、運がよくてひとつかふたつ程度使えれば良い程度であったが。

 

主人としては魔術が使えるようになって私の仕事を分担してくれれば、今の20倍は賃金を出すと公言しており、すぐに契約書も用意すると常日頃言っているが。

主人のような魔術師になりたい、という子共は今のところいなかった。

 

 

長く務めるほど主人が普段からどんなものと王国からの命令で戦っているのかよく知っているもので、本当に願い下げであった。

 

 

過去には有望視された子供が二人ほどいたが、今では夫婦で独立して大衆食堂を営んでいるそうだ。

 

 

子共たちの大半は屋敷の様々な家事労働や家畜の面倒をみたりする仕事をのんびりこなしていた。

大体は昼と夕方の間から特に用もなければ子供たちは好きに遊んでも許されていた。

領地の森に行って川で泳いだり、魚をとっても、時には決まりとしては必ず半分は森を住処とする鴉に半分を与えることと鴉に悪態をついたり危害を加えないことが原則として特に罠を仕掛けて鹿や兎を捕まえても何も言われなかった。

 

そのほかにも休日が用意されていたりと彼の使用人に対する扱いを頗る良いので、大人になっても転職したり独立せず生涯彼の屋敷に仕えたものが多かった。

使用人同士の結婚や出産も許されており、そのための住居も別に用意もしてくれるので主人を裏切らず仕え続ける限りは此処はひとつの楽園であり理想郷であった。

 

殴られたりもせず、おなかいっぱいに食べることができる、そして体を毎日清めることができる。

 

 

魔術師であるというのに三麓神への信仰が厚いのか、敷地内に大きな清浄な冷泉と温泉を引いた湯殿を備えており、子供たちにも好きに使えるように開放されていた。

そこで常に誰かしら祈り捧げているのを見て取れて、ここはお貴族様のための修道院か何かなのだろうか、なんて思う日もあった。

 

子共たちに人気な仕事はやはり、人の安息をつかさどる湯殿の管理であった。

清浄な水や湯に触れて神の愛にいつだって触れることができて不浄からほぼ遠い生活ができる。

しかし、湯殿仕事を選んだ子は不浄な仕事も一手に任されるので、一長一短といったところであったが。

 

そんな労働環境の中、私は物書きと計算が得意ということ、そして残された故郷について求めることがあるという心を見られたのか。

 

 

「従事書記官でしょうか?」

 

職業選択だね、と主人は言った。

 

職業名としては適当に作ったものだ。

 

 

いやならそれでいい。

 

魔術ことさら異端な力とは自分自身が感じる以外の事柄をよく把握しておくべきで、いつも私は多くの眼と記録が必要になる。

それと利き手が痛むのであまり自分で文字が書きたくないのもある。

それ以外だと領地の屋敷の家政の書記官でもいいよ。

もちろん、大人になったら領地経営の内政官として雇うよ、うちはとにかく金はあるが人手が足りない。

 

あまり危険なところには連れていかないようにはするが、絶対に安全とは言わないが、やるかい?

たまに帝国方面も密偵として歩くこともあるから、気になるなら、望むなら、そこに連れても行く。

 

そうだな、頑張れば、危険手当として、家族が生きていたとして、そのとき家族を買いなおせる程度にはお給料を用意するし、貸しても良い。

 

だが、命の保証はしない。

 

そこはあきらめてほしい。

 

私には未来を見通す力はない、過去に矢じりが肩を貫き、いまだに痛みに苦しむ日々だ。

 

無理であったら途中で辞めても結構。

 

魔術師は言った。

 

 

どうする?

 

 

 

 

 

使用人で主人を陰で不遜にも彼を父と慕い、親父殿と呼ぶ子もいたが、やはり魔術師というのは恐ろしい。

 

 

私が望むことすべてを理解したうえで、契約を持ちかけてきたのだった。

 

 

 

 

 

 




わかりやすい設定。
フォティア王国 温泉いっぱい湧く平和な国。
オルヴィニス帝国 めっちゃ戦争中で超危険な国。
三麓神 三柱でひとつの神様 作中に登場する大体の国が信仰してるよ。
きれい好きの神様「水とか温泉は神聖なものだから、それで人間さんは体をきれいにすると、災いや病から身を守れるよ、でも粗末扱ったらだめね、祟るからね!あとちゃんと汚いものは掃除しないとだめだからね!」

「かってに王様がわたしをりゆーに人をたくさん殺したりするとわたしが汚れるから絶対やめてね、そうはいっても、いうこと聞かないから、きみたちに力をあげるから見張ってね!」

教会「え、神様を信じて政治にかかわらず祈ってるだけで、力をくれるんですか!かみさまマジでいるじゃん、すげー」

王様「マジ、じゃあ、やめとくわ」

神様「えらい!じゃあ魔族っていう穢れた存在に最近困ってるんだって?それをぶっころす力もいくつかあげる、世界をきれいにね!」

魔術師「いうて、かみさまくれた祈りパワーって守ったり綺麗にしたり怪我とか病気を癒したりくらいしか役にたたん、せやから似たような力を開発したで」

神様「すごい、頭いいね」

教会「どうなん神様、これ」

神様「うーんわかんないから、べつにいんじゃない?負けそうなの事実だし」

王様「魔術師とか魔族の力やろ、役に立つうちはいいけどいらんくなったら迫害したろww」

教会「ちょっと、そういうのよくないよ魔術師さん頑張ったでしょ」

王様「悪の魔術師を倒した俺が王なんだよ!口出しスンナ!」

魔術師「迷宮とかモンスター作って守ってもらって一生隠れるぞい、めんどい」

神様「結果的になんも解決してないから、よし、時間指定と日にち指定できないけどタイ〇ーさんよんじゃお!」



みたいな世界観です。


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