遠く銀河の果て、クローン戦争が激化するなか、パダワンたちが惑星イラムの雪原に立っていた。その中の1人、氷に閉ざされた洞窟を不安げに見る茶髪の少女がいた。少女の名はリナ・ソレイユ。まだ十代半ばの少女だった。
——これは、彼女のライトセーバーを得る試練だった。
師であるベサリスクのマスター・ポング・クレルは、洞窟の入口でただ一言だけ告げた。
「フォースが導くだろう。だが、お前自身と向き合う覚悟を忘れるな」
吹雪の中、リナはローブに身を包み、カイバー・クリスタルが眠る洞窟へと足を踏み入れた。
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洞窟の中は静寂に満ち、風の音すら届かない。淡い青い光が氷壁に反射し、まるで星々の中を歩いているようだった。だが進むにつれて、温度ではない冷たさがリナの心を刺し始める。——内面からの寒さ。
日が落ち、入口が閉じれば戻れなくなる。クリスタルを探して歩き回るがそれらしき光は見つからない。
「リナ……」
振り向くと、そこに見覚えのある女性が立っていた。端正な顔立ち、長い黒髪。——リナの母だった。
「母さん……死んだはずじゃ……」
「死んでなんかいない。あの時、私たちは——お前を捨てた」
声が重く響き、足元の氷が軋んだ。次に現れたのは、屈強な男。リナの父だ。彼もまた、冷たい目でリナを見下ろしていた。
「ジェダイに育てられて幸せか? リナ」
「お前はフォースに選ばれた、それで私たちを忘れられるのか?」
リナは後ずさった。呼吸が浅くなる。心に空いた穴が痛んだ。幼い頃、両親に見捨てられたことは記憶の底に沈めていた。だが今、それが目の前に幻影として立ちはだかる。
「やめて……!」
リナは叫んだ。怒りが体内をかけ巡る。光と闇がせめぎ合う。母の幻影が冷たく微笑んだ。
「お前が捨てられたのは、お前が弱かったから。誰にも愛されない、力のない——」
「違う!!」
リナは両手を広げた。フォースが膨れ上がり、周囲の氷壁を震わせた。
「たとえ捨てられたとしても……それが私のすべてじゃない。私は……ジェダイの道を歩く。愛されなかったことよりも、私がどう生きるかが大事なんだ!」
幻影は一瞬たじろぎ、やがて氷の粒となって砕けた。心の闇を乗り越えた瞬間だった。
静けさが戻ると、洞窟の奥に淡く光る一点が現れた。リナは導かれるように近づく。それはまるで、彼女の心に呼応するように光を放つ青白いカイバー・クリスタルだった。
彼女が手を差し伸べると、クリスタルが自然と浮かび上がり、彼女の掌にすっと納まった。
「ありがとう……」
それはもう、恐れではなく、受容と決意の言葉だった。
洞窟を出た時、ポング・クレルは目を細めてうなずいた。
「お前は過去に打ち勝った。次は、自分の未来を築く番だ」
リナはカイバー・クリスタルを胸に抱き、雪原を踏みしめた。惑星イラムの冷たい風が、まるで祝福のように彼女の頬を撫でていた。
彼女は、もう迷わない。
ジェダイとして生きていく。
そしていつか、自分のように傷を抱えた誰かの力になれるように。