警報が鳴り響いたのは、朝の整備ドックだった。
帝国のシンボルを掲げたシャトルが次々と降下し、ストームトルーパーの小隊が市場や発電施設を制圧していく。
「リナ!おいリナ、奴ら——帝国軍だ!」
マシューが整備作業台を蹴り倒して走ってくる。
「また税査察?」
「俺ら、レジスタンス関係者として通報されたらしい。逃げるぞ!」
「BDは!?」
「先に貨物列車に積んだ!急げ!」
リナとマシューは雑踏を抜け、ブラスターを撃つストームトルーパーをかいくぐりながら貨物ターミナルへと走る。
列車が動き出す直前、リナは最後尾の扉を跳び越えて中に転がり込んだ。
直後、ストームトルーパーたちが飛び乗り、車内にブラスターの光線が交差する。
マシューが柱に身を隠し、応射する。
リナは懐から、シオネに渡された青いライトセーバーを取り出す。
静かにスイッチを入れた瞬間、淡く光る刃が轟音とともに起動する。
車内に踏み込んだトルーパーに向かって前転し、セーバーでブラスターを叩き落とし、床を跳ねて斬りつける。
マシューもカバー射撃を続けながら叫ぶ。
「リナ、先頭車両に指揮官がいるはずだ!止めなきゃやばいぞ!」
—
列車が山間部に差しかかった時、前方車両のドアが開いた。
そこに立っていたのは、漆黒のドレスのような服にと仮面を被った尋問官。
そしてその手には——赤いクロスガード・ライトセーバー。
だが尋問官は無言で赤刃を振るい、応戦する。
リナの青い剣と尋問官の赤い剣が激しくぶつかり合う。
(どこかでこの“動き”を知ってる……このフォースの揺らぎ……)
だが思い出せない。
名も、顔も、ただ“何か大切なものを失った”という感覚だけが胸を刺す。
「誰……!」
尋問官は冷たく呟いた。
「かつての名前に意味はない。お前は力を捨てた者だ、ソレイユ」
尋問官の攻撃が激しくなり、リナは後退させられ、セーバーを弾かれそうになる。
(まずい)
そのとき、車体が揺れた。
車窓の外、ボロボロの船が列車と並走していた。
搭乗口が開き、見慣れた姿が現れる。
「リナ、飛び乗って!!」
——シオネだった。
BD-4が先にジャンプし、マシューも荷台から跳ぶ。
リナは最後の力で尋問官の刃をいなし、車体を蹴って飛び移る。
直後、列車はトンネルに突入し、尋問官の姿が闇に消えた。
「急上昇!後ろからタイ・ファイター!」
シオネが操縦桿を叩き、船体がきしむ。
ブラスターが機体をかすめ、爆発音が響く。
リナはコックピットに倒れ込み、マシューが無理やり座席に座らせた。
船は攻撃をかいくぐりハイパースペース空間に飛んだ。
#
シオネの宇宙船〈ダスクフレイム〉の船内、仄暗い戦術ルーム。
リナはコンソールの前に立ち、ホログラムに映る一つの惑星を見つめていた。
それは、惑星カーヴェス。
辺境惑星。
かつてリナが、フラナと共に遺跡を調査した地だった。
「まさか、またこの名前を聞くなんて」
シオネが隣に立つ。
「シスの遺産がなんなのかは正確にはわからない、けどここ最近古代のシス達が復活する事件が起きてるの」
「……それがシスの遺産と関係があると?」
「まずは行ってみましょう」
#
惑星カーヴェスの大気圏に入ると、宇宙船が不安定に揺れ始める。
「重力フィールドが乱れてる……これは自然じゃないな」
マシューが操縦桿を握り直す。
「遺跡が何かを起動したのかもしれないわ」
シオネが警戒を強める。
リナは窓から、かつて見たあの遺跡を探していた。
(……。)
「彼女が、あのとき遺跡を封印したのは、ただの偶然じゃなかったな」
「何かを“知っていた”んだな。フラナって子は」
マシューがぽつりと言った。