遺跡の奥深く、黒曜石でできた回廊を抜けたリナたちは、巨大なドーム状の広間へとたどり着いた。
中央に浮かぶ石柱はまるで心臓のように鼓動しており、低いうなり声が空気を震わせていた。
「これが……遺産の中枢……」
シオネが口を閉ざし、目を細める。
リナは前に進み、石柱の根元に刻まれた古代文字に手をかざした。
その瞬間、フォースが反応するように石が脈打ち、空中に赤い文字が浮かび上がった。
それは血のような光で、宙を裂くように文字が浮遊する。
“彼らを滅せよ。
遺産は真に求める者にのみ、牙を向ける。
四つの刃、四つの意志——”
空気が急に重くなる。
次の瞬間、四体の黒い幻影が広間に現れた。
—
ダース・ネヴォラ ナー・シャダー
ダース・ルクシオ コルサント
ダース・ネルヴァン ダソミア
ダース・マリス ムスタファー
文字はやがて消え、代わりに石柱の中心から黒く鈍いクリスタルが浮かび上がった。
リナが手を伸ばしかけた瞬間、シオネが遮る。
「触れないで。これは……試練。
彼らを滅ぼさねば、この遺産は目を開かない。」
リナは小さくうなずき、青いライトセーバーを握り直した。
「でも、私はもう逃げない。……四人、全部倒して、終わらせる」
BD-4が小さくピッと鳴き、マシューがライフルを肩にかける。
「いいぜ。旅に出るなら俺も付き合う。なんせ帝国に追われてる身だしな」
—
カーヴェスの遺跡を背に、ダスクフレイム号は再び星の空へ舞い上がる。
かつてジェダイだった少女は、
いまや闇の遺産を追う巡礼者となった。
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銀河のスラム、ナー・シャダー。
かつてのハット領域に属したこの月面都市は、今や帝国の目すら届かぬ犯罪の巣窟となっていた。
高層ビルが錯綜するその地下、リナは情報屋を巡り、ダース・ネヴォラという名のシスの痕跡を探していた。
いずれの情報も、曖昧で恐怖にまみれていた。
だが、確かなことが一つ。
ネヴォラは美食を好むということだった。
リナはマントの下にセーバーを隠しながら、薄暗い通路を進んでいた。
そのときだった。
「やめろよ!離せって!」
甲高い叫び声。
振り向くと、数人の風の男が、痩せた少年を殴りつけていた。
「おい、やめてやれ」
男たちが振り返った瞬間、青いセーバーが閃く。
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少年は地面に座り込んでいた。
ボロボロの布服に、短く刈った髪。片目に打撲の跡がある。
「大丈夫?名前は?」
「……ケイン。誰……あんた……ジェダイ?」
「昔は。今はそうでもない。なぜわかった?」
「フォースの動き……わかった。だから、逃げなかった。
あんたの光が、感じられた」
リナは驚いた。その言葉は、かつて自分が言った言葉と、まるで同じだった。
「君……フォースを感じてるのか?」
ケインは静かに頷いた。
「怒ると、ものが壊れる。悲しいと、夢の中が現実になる。誰にも言ってない。怖がられるから」
リナは膝をついて、彼と目線を合わせた。
「私も同じだった。君のような子に、出会ってたらきっと私は変われてた」