スターウォーズ:シスの遺産   作:yumui

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ダース・ネヴォラ

前方に立ちはだかるのは、身の丈三メートルはある巨体のベサリスク。

四本の腕と燃えるような赤黒い肌。

そして、鋼鉄の仮面に包まれた顔の奥から響く嗤い声。

 

ダース・ネヴォラ。

 

「ジェダイの亡霊よ……お前も焼け残った残骸か」

 

「黙って斬られろ、化け物」

 

挑発の言葉と共に突撃したが、次の瞬間——

重たい手甲に弾かれ、瓦礫に叩きつけられる。

 

「強すぎる……!」

フォースの動きすら“力”でねじ伏せるその存在。

セーバーを振るう腕の一本を切り落としても、残り三本でなお襲いかかってくる。

 

そして——

 

ネヴォラが腹を開くと、そこには巨大な“口”があった。

シスの魔術で作られた異空間。リナは抗えず、光と共に吸い込まれた。

 

 

目覚めた先は、歪んだ“腹の中の異空間”。

 

赤黒い霧が渦巻き、地面には何千という骨。

かつて吸い込まれたジェダイたちの末路——

 

「……ここは……」

 

「お前か」

 

振り返ると、尋問官の仮面。

そして、赤いクロスガード・ライトセーバーを手にした女。

 

「尋問官…?」

 

#

 

ネヴォラの腹の中には、シスの力の源たる古代の遺物があった。

それを破壊することで、腹を内側から裂くことができる——

 

リナと尋問官は背中を合わせて戦った。

 

骨の中から湧き上がる影。

死者の残響。

セーバーの刃が何度も交錯し、リナの青と尋問官の赤が共に道を切り拓く。

 

「出口を見つけたら、また敵対関係だ。それまではな」

 

遺物を叩き割った瞬間、空間が収縮し始めた。

 

腹の口が開かれ、リナと尋問官は吐き出されるように外へ飛び出した。

気を失いかけながらも、ダスクフレイム号に救助される。

 

尋問官の姿はどこにまなかった。

 

#

 

船内に戻ったリナとマシュー、そしてBD-4は、簡素な食堂スペースに座る。

 

「とりあえず……お疲れ、リナ。飯作っといたぞ」

マシューが皿を差し出す。

 

焦げすぎたルートチューブ、溶けかけのバンパ・ミルク、謎の緑色ソース。

 

「……………ありがとう」

一口食べたリナは、目を見開き、机に突っ伏した。

 

「お、おい!?し、死んだのか!?」

 

失神から目を覚ましたリナは、つぶやいた。

 

「これは…いい案かも」

 

#

 

「……また来たのか、小娘。前回は“私の中”に招いてやったが、今日はどうして欲しい?」

 

ダース・ネヴォラは、四本腕を組み、不敵に笑う。

 

リナは微笑み返した。

 

「私たち、実は……銀河一の美食家なんだ。前回の無礼を詫びに、究極の料理をお持ちした」

 

マシューも頭を下げ、キャンプコンロを地面に設置する。

 

「ダース・ネヴォラ様。今日は“あなたのためだけ”に腕を振るわせてください」

 

「……ふん。まあいいだろう。私の胃袋に耐えられる食材があればな」

 

 

リナが用意したのは、精製されたナス・フェロ毒を仕込んだ焼き肉プレート。

一口で神経が鈍り、フォースの集中を阻害するという禁制毒。

 

マシューは……“いつものやつ”だ。

焦げたクラントリート、青く変色した海藻、謎のジェル状タレ。

全てに共通するのは——致命的にまずい。

 

「まずは我が逸品、“グラナト風シス煮込み”をどうぞ」

リナが手渡す。

 

ネヴォラは毒肉を一口、二口……三口と平然と食べていく。

 

「……フン、少し辛いが……なかなか……」

 

(効いてない!?)

 

リナが焦ったその時——

 

「さあこちら、独特の…“創作料理”です」

 

シオネですら食べたことのない恐怖の料理を、マシューが笑顔で差し出す。

 

ネヴォラは一口。

 

次の瞬間。

 

「……ぐ……グウウゥゥ……ッ!」

 

胃が悲鳴を上げた。

皮膚の色が変わり、口元から黒煙が上がる。

 

「こ、これは……美味い……ッ!!」

 

「えっ?」

 

困惑するリナを横目に

マシューが誇らしげに言った。

 

「俺の魂を込めた“ラストランチ”さ。体調悪くなるのは……成功の証拠だ」

 

 

「今しかない!」

 

リナはフォースで飛び込み、ライトセーバーを抜こうとしたネヴォラの右腕を斬り落とす。

 

毒で弱った身体、そして胃袋が裏切った衝撃で動きが鈍る巨体。

 

「小癪な……だが……まだ……!」

 

マシューの投げた閃光弾で視界を奪った。

 

そして最後、腹の“口”に剣を突き刺した。

 

「これは……料理人からの、デザートだ」

 

ネヴォラは咆哮をあげて倒れた。

 

瓦礫の中、瀕死のネヴォラがかすかに笑った。

 

「愚か者ども……よく……やった。

ジェダイでも……シスでもない……新たな……味だ……」

 

彼は震える腕で、残ったマシューの料理の一欠片を口に運んだ。

 

「まずい……いや……これは……うまい……ッ」

 

——そう言い残し、

シスの巨影は崩れ落ちた。

 

ダスクフレイム号に戻り、リナとマシューは疲れた体を椅子に預けた。

 

「まさか、あんな倒し方があるとはな……」

 

「まさか、あんな食べ方があるとは思わなかったわよ」

 

BD-4がピピッと呆れたように鳴き、シオネが小さく笑った。

 

「一人目は倒した。残り三人。

でも忘れるな。これから出会う敵は、料理じゃどうにもならないかもしれない」

 

リナは青いライトセーバーを見つめた。

 

「でも、私たちには仲間がいる。

戦い方は、ひとつじゃない」

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