前方に立ちはだかるのは、身の丈三メートルはある巨体のベサリスク。
四本の腕と燃えるような赤黒い肌。
そして、鋼鉄の仮面に包まれた顔の奥から響く嗤い声。
ダース・ネヴォラ。
「ジェダイの亡霊よ……お前も焼け残った残骸か」
「黙って斬られろ、化け物」
挑発の言葉と共に突撃したが、次の瞬間——
重たい手甲に弾かれ、瓦礫に叩きつけられる。
「強すぎる……!」
フォースの動きすら“力”でねじ伏せるその存在。
セーバーを振るう腕の一本を切り落としても、残り三本でなお襲いかかってくる。
そして——
ネヴォラが腹を開くと、そこには巨大な“口”があった。
シスの魔術で作られた異空間。リナは抗えず、光と共に吸い込まれた。
—
目覚めた先は、歪んだ“腹の中の異空間”。
赤黒い霧が渦巻き、地面には何千という骨。
かつて吸い込まれたジェダイたちの末路——
「……ここは……」
「お前か」
振り返ると、尋問官の仮面。
そして、赤いクロスガード・ライトセーバーを手にした女。
「尋問官…?」
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ネヴォラの腹の中には、シスの力の源たる古代の遺物があった。
それを破壊することで、腹を内側から裂くことができる——
リナと尋問官は背中を合わせて戦った。
骨の中から湧き上がる影。
死者の残響。
セーバーの刃が何度も交錯し、リナの青と尋問官の赤が共に道を切り拓く。
「出口を見つけたら、また敵対関係だ。それまではな」
遺物を叩き割った瞬間、空間が収縮し始めた。
腹の口が開かれ、リナと尋問官は吐き出されるように外へ飛び出した。
気を失いかけながらも、ダスクフレイム号に救助される。
尋問官の姿はどこにまなかった。
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船内に戻ったリナとマシュー、そしてBD-4は、簡素な食堂スペースに座る。
「とりあえず……お疲れ、リナ。飯作っといたぞ」
マシューが皿を差し出す。
焦げすぎたルートチューブ、溶けかけのバンパ・ミルク、謎の緑色ソース。
「……………ありがとう」
一口食べたリナは、目を見開き、机に突っ伏した。
「お、おい!?し、死んだのか!?」
失神から目を覚ましたリナは、つぶやいた。
「これは…いい案かも」
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「……また来たのか、小娘。前回は“私の中”に招いてやったが、今日はどうして欲しい?」
ダース・ネヴォラは、四本腕を組み、不敵に笑う。
リナは微笑み返した。
「私たち、実は……銀河一の美食家なんだ。前回の無礼を詫びに、究極の料理をお持ちした」
マシューも頭を下げ、キャンプコンロを地面に設置する。
「ダース・ネヴォラ様。今日は“あなたのためだけ”に腕を振るわせてください」
「……ふん。まあいいだろう。私の胃袋に耐えられる食材があればな」
—
リナが用意したのは、精製されたナス・フェロ毒を仕込んだ焼き肉プレート。
一口で神経が鈍り、フォースの集中を阻害するという禁制毒。
マシューは……“いつものやつ”だ。
焦げたクラントリート、青く変色した海藻、謎のジェル状タレ。
全てに共通するのは——致命的にまずい。
「まずは我が逸品、“グラナト風シス煮込み”をどうぞ」
リナが手渡す。
ネヴォラは毒肉を一口、二口……三口と平然と食べていく。
「……フン、少し辛いが……なかなか……」
(効いてない!?)
リナが焦ったその時——
「さあこちら、独特の…“創作料理”です」
シオネですら食べたことのない恐怖の料理を、マシューが笑顔で差し出す。
ネヴォラは一口。
次の瞬間。
「……ぐ……グウウゥゥ……ッ!」
胃が悲鳴を上げた。
皮膚の色が変わり、口元から黒煙が上がる。
「こ、これは……美味い……ッ!!」
「えっ?」
困惑するリナを横目に
マシューが誇らしげに言った。
「俺の魂を込めた“ラストランチ”さ。体調悪くなるのは……成功の証拠だ」
—
「今しかない!」
リナはフォースで飛び込み、ライトセーバーを抜こうとしたネヴォラの右腕を斬り落とす。
毒で弱った身体、そして胃袋が裏切った衝撃で動きが鈍る巨体。
「小癪な……だが……まだ……!」
マシューの投げた閃光弾で視界を奪った。
そして最後、腹の“口”に剣を突き刺した。
「これは……料理人からの、デザートだ」
ネヴォラは咆哮をあげて倒れた。
瓦礫の中、瀕死のネヴォラがかすかに笑った。
「愚か者ども……よく……やった。
ジェダイでも……シスでもない……新たな……味だ……」
彼は震える腕で、残ったマシューの料理の一欠片を口に運んだ。
「まずい……いや……これは……うまい……ッ」
——そう言い残し、
シスの巨影は崩れ落ちた。
ダスクフレイム号に戻り、リナとマシューは疲れた体を椅子に預けた。
「まさか、あんな倒し方があるとはな……」
「まさか、あんな食べ方があるとは思わなかったわよ」
BD-4がピピッと呆れたように鳴き、シオネが小さく笑った。
「一人目は倒した。残り三人。
でも忘れるな。これから出会う敵は、料理じゃどうにもならないかもしれない」
リナは青いライトセーバーを見つめた。
「でも、私たちには仲間がいる。
戦い方は、ひとつじゃない」