灼熱の惑星、ムスタファー。
大地を裂く溶岩の河が流れ、空は永遠に赤く染まっていた。
その中心に、黒い尖塔がそびえる——尋問官の城。
リナは船内で最後のチェックを終え、腰に緑のライトセーバーを装着した。
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尋問官の城は異様な静けさを保っていた。
だが、警報の発令と共に白き軍勢が現れる。
「ストームトルーパー部隊! 第12中隊!」
リナは一陣の風のように飛び込む。
緑の刃が描く軌跡は流麗で、寸分の狂いもない。
かつてネルヴァンと死闘を演じた身体は、もはや“動き”そのものが鍛え抜かれていた。
だが、次に現れたのはフォースの気配をまとった男——
「帝国の命により、貴様を処断する」
尋問官ーシックス・ブラザーはダブルブレードのライトセーバーを高速で回転させながら襲いかかる。
だがリナは怯まず、剣閃を繰り返しながら地形を利用して追い詰め、壁を蹴りつけて一閃、ブレードを弾き飛ばし、喉元に刃を突き刺した。
—
重い扉を開けた先、最奥の広間。
赤黒く染まった床に、一体の遺骸が横たわっていた。
その装束、兜の文様、そして手に握られた古いホロレコーダーが語っていた。
——ダース・マリス。
かつてジェダイ評議会にいたが暗黒面の知識を求めて反旗を翻した古代のシス。
彼は既に死んでいた。
そして、その遺骸の前に立つ一人の尋問官。
黒い装束に、赤いクロスガードライトセーバー。
その仮面がゆっくりと外され、リナは言葉を失う。
「……そんな気はしていた」
赤髪、青白い肌、沈黙の瞳。
かつての姉の面影を残しながらも、まったく別の“存在”がそこにいた。
「久しぶりだな、リナ。私のことを、まだ姉と呼んでくれるか?」
リナは一歩踏み出す。
フォースが震えていた。愛と憎しみ、希望と絶望、すべてが揺らぐ。
「なぜ、ここに? なぜ帝国に」
レナは静かに微笑んだ。
「あの時お前が私を見捨てたにその問いをするのか?」
リナの緑の刃が灯った。
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ムスタファーの最奥、尋問官の城の玉座の間。
赤い溶岩が窓の外を染め、二本のライトセーバーが交差する。
リナの緑の刃と、レナの赤いクロスガードセーバー。
「この刃は、お前が過去に縛られている証だ」
レナの言葉は鋭く、だがその瞳には深い影が宿っていた。
「違う……」
リナの声は震えていた。
剣戟は火花を散らし、広間の床を灼き、柱を砕く。
かつて同じ道を歩んだ姉妹が、今は命を懸けてぶつかり合っていた。
剣と剣が噛み合い、二人は息を切らしながら互いを見た。
「私は、帝国に全てを捧げた。お前が去ったあの日から、私は信じられるものを“力”しか持たなかった」
レナは低く呟く。
「それでもあの時が……お前が手を伸ばせば、私は……!」
その瞬間、レナの動きが一瞬鈍った。
リナの刃が、レナの胸を貫いた。
レナは崩れ落ち、赤い光刃が虚しく空を裂いて消えた。
レナの身体を抱きかかえながら、リナは涙をこらえきれなかった。
レナの唇が、かすかに動いた。
「…最後の戦いの前……あのときあなたが私を置いていったこと、ずっと……」
リナは目を見開く。
だが、レナは微笑んだ。
「でも……もういいの……許すわ。
私の中の怒りも……悲しみも……今、ようやく静かになった……」
レナの目が閉じる。
その口元には、かすかな安堵の色が浮かんでいた。
リナの震える指が、彼女の目をそっと閉じた。
—
その時だった。
溶岩の流れを裂くような重低音の呼吸。
黒きマントを纏い、仮面の奥に機械の呼吸を響かせて——
ダース・ベイダーが、音もなく姿を現した。
「……すべてを捨てながらも、なお未練を断ちきれぬとは……ジェダイの性か」
リナは立ち上がる。
瞳は涙で濡れていたが、フォースは澄んでいた。
「レナは、最後に帰ってきた。貴様のようにはならなかった」
ベイダーはゆっくりとライトセーバーを構える。
赤い刃が、城の空気を裂いた。
リナも緑の刃を点す。
緑と赤の光が交錯する。
リナの剣筋は鋭く、今や恐れも迷いもない。
だが──ベイダーの力は、次元が違った。
重力を捻じ曲げるようなフォースの圧。
一振りで床が砕ける剣撃。
攻撃をかわすたび、リナの骨にまで衝撃が響く。
(強すぎる……! まるで……!)
そして、ふとした隙にベイダーの手が伸び、リナの喉元をフォースで締め上げた。
「お前に選択肢を与えよう。
このまま死ぬか、あるいは尋問官として生きるか」
リナは苦しみながらも睨み返した。
その瞬間、天井が爆発した。
砕けた瓦礫と共に、複数のワイヤーが降りてくる。
「お嬢さん、ピンチか?」
マシューの声が、上空から響いた。
「リナ!!」
ルミの叫びと共に、ランチャーが閃光弾を放つ。
ベイダーの動きが一瞬鈍る。
リナはその隙をついてフォースで自らの身体を引き寄せ、ワイヤーを掴む。
ベイダーが手を伸ばすが──
仲間たちが操縦する輸送艇が、爆炎の中から脱出する。
リナは、ベイダーの姿を振り返る。
黒いマスク。その奥に、かすかに見えた苦悩。
(あの人は……まさか)
(…そんなはずはない)