イラムでの試練を終え、リナは他のパダワンたちと共に、輸送船《クルーシブル》へと乗り込んだ。
船内は静かで、多くの棚が並んでいた。その棚にあるライトセーバーのパーツをパダワン達の前に並べていたのが、ヒュイヤン——千年を超える時を生きる、マスター・ヨーダのライトセーバーをも作ったアーキテクト・ドロイドだった。
「ようこそ、若きジェダイたち。これより、諸君は自身のライトセーバーを築き上げることになる。フォースが導かんことを…それにしても最近来るジェダイはどんどん若くなってる気がするな」
その声は鉄の喉から出たにもかかわらず、どこか温かかった。
組み上げの始まり
ヒュイヤンは、パダワンに素材を選ばせた。古代惑星シャイリに由来するブラックウッド、ドゥリン合金、銀河戦争前のレプリカ・エミッタ。ベスカー合金すら存在した。どれも魅力的でなかなか決まらない。
「これでいいはず……」
リナは、長く悩んだ末に選んだ素材を作業台に並べ、フォースで浮かび上がらせライトセーバーの柄を組み立て始めた。だが、いざカイバー・クリスタルを挿入しようとすると——
異音と共にスパークが走り、刃は起動しなかった。組み立ては失敗した。横のパダワンたちはすでに次々と完成させ、鮮やかな刃を発しているのに——。
「なぜ……」
リナはうつむいた。額には冷や汗が滲み、手が震える。
そこへヒュイヤンがゆっくりと近づいてきた。金属の腕が優しく彼女のライトセーバーを持ち上げる。
「構造はエミッターを逆さに着けた程度の失敗だな、ライトセーバーを組み立てるのは技量の問題ではない。まだフォースに心を開いていないのだ」
「心が……?」
ヒュイヤンは小さくうなずいた。
「カイバー・クリスタルはただの石ころではないし、ライトセーバーには説明書はない。君のフォースに共鳴し、自然に最も自分に合う形に合致する。君と共に戦う仲間だ。君は……まだ、自分自身の声を聞き取れていないのではないかね?」
リナの心に、イラムでの幻影が蘇る。両親の幻、拒絶、そして叫んだ自分の声。
「私は……捨てられた。でも、それでも……私には、この道がある」
ヒュイヤンはその言葉に反応して静かに頷いた。
「その思いを、セーバーに込めなさい。恐れも痛みも、全てを受け入れて」
深呼吸し、再び組み立てに向き合う。リナは目を閉じ、カイバー・クリスタルに手を添える。
(私はひとりじゃない。フォースがある。私自身が、この光を選んだ)
その瞬間、クリスタルが淡く輝き出した。青白い光が指先から伝わり、柄の内部へと流れ込んでいく。
リナは柄を閉じ、起動スイッチを押した。
そこに現れたのは、青色の刃だった。まるでリナの心をそのまま刃に変えたような、静かで鋭い光。
パダワンたちが思わず振り向き、ヒュイヤンはうむ、と納得の音を立てた。
「見事だ、リナ・ソレイユ。いい出来だ」
リナは刃を見つめながら、ふっと微笑んだ。
銀河へ還る
《クルーシブル》の窓に広がる星々は、無数の選択と可能性を象徴していた。
彼女の旅は、今始まったばかりだった。