蒼く静かな闇の中、リナはカーヴェスの古代遺跡の最深部にたどり着いた。そこに存在していたのは、禍々しく蠢く、赤黒い血の塊――。
「……これは……一体……?」
凝視するリナの前に、銀髪で神秘的な輝きを湛えたフラナが現れた。
「これがシスの遺産よ」
フラナの声はどこか遠く、静かだが揺るぎない確信がこもっていた。
「ダース・ベインは、“二人の掟”の影に隠れて、新たな継承法を創り出した。
それが、この“血の記憶”――古代の強力な13人のシスの記憶と力を複製した存在。
この血を飲めば、皇帝に匹敵する力すら得られるの」
リナは血の塊を見つめながらも、身体が震えた。
「もうそんな力は、私には必要ない」
決然と拒むリナに、フラナは苦しげな笑みを浮かべる。
「私はこの未来を予知していた。
あなたがこの力を拒むことも、そして私と相対することも」
光を帯びた青いダブルブレードを手に、フラナは構えた。
「貴方が血を継承しないのなら、私が奪う」
リナは緑のライトセーバーを抜き放つ。
二つの刃が空気を切り裂き、激しい火花を散らす。
剣技は熾烈を極めた。
幾度も交錯する刃の閃光、フォースの衝撃が遺跡の壁に響き渡る。
しかし、戦いの果てにフラナは膝をつき、息を切らして倒れた。
「……あなたが選んだ道は……正しいのかもしれない」
リナは息を整え、フラナの肩に手を置いた。
「私は、仲間たちと共に生きる。
シオネ、マシュー、ルミ、ケイン……彼らとなら、未来を切り開ける」
フラナは静かに頷いた。
「あなたの旅路に……フォースの導きのあらんことを」
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カーヴェスの遺跡、崩れかけた天井から差し込む柔らかな光が、血の塊のあった祭壇を静かに照らしていた。
リナは振り返らなかった。
その場に残された力にも、歴代のシスの囁きにも、未練はなかった。
代わりに――彼女には、帰る場所がある。
遺跡の外で待っていたのは、かつて敵だったが今は信じる仲間たち。
最初に口を開いたのは、赤銅色の髪を風になびかせるシオネだった。
「戻ったのね、リナ。選んだのね、自分の道を」
「私はあれを拒んだ。血に支配される力じゃなくて、自分で切り開く力を信じたい」
傍らのマシューが大げさに肩をすくめた。
「そう言うと思ってたよ。じゃあ、次はどこだ? 帝国の暗号通信を解析したら、数カ所異常エネルギーの発生地があった。怪しさ満点だ」
「また危険な場所?」
ルミが頬を膨らませながらも、背負ったブラスターの安全装置をカチャリと外す。
「でも、私たちならきっと大丈夫。ね、ケイン?」
ケインは無言で頷いた。
彼の腰にはライトセーバーがあった。まだ発展途上たがリナの教導を受けジェダイとしての道を歩み始めている。
リナは皆を見渡し、小さく笑った。
「そうだね。どこへ行くとしても――」
彼女は腰の緑のセーバーを確かめるように握り、続けた。
「もう、私はひとりじゃない」
マシューが笑いながら背伸びし、シオネがフードを深く被り、ルミは小さなBD-4とじゃれあう。
ケインは彼らの後ろを静かに歩く。
6人の影が、カーヴェスの遺跡を背に遠ざかっていく。
フォースの流れは、彼らを導く。
銀河のどこかで、また新たな光と闇が交わろうとしていた。