スターウォーズ:シスの遺産   作:yumui

8 / 20
友人

任務の合間に立ち寄った惑星アル=ジャノスは、かつては貿易で栄えたが、今は惑星全体が廃棄処理場のようになっていた。

 

夕暮れの空の下、赤銅色の瓦礫の丘が広がる。

ジェダイ・パダワンのリナ・ソレイユは、補給部品を探すクローン兵たちと別れて、ふと足を止めた。

 

「……ん?」

 

視線の先に、瓦礫の影に沈んだ丸い金属の頭部が見えた。

半ば地面に埋まり、片方のレンズが割れていたが、どこかで見たことがあるような古いモデル——エクスプローラー・ドロイドだった。

 

「こんなところに……」

 

リナは膝をつき、そっとその小型ドロイドを掘り出した。

彼の胴体には焼けた痕跡、腕は一本折れていた。それでも、胸の小さな識別ランプがかすかに明滅していた。

 

 

野営地に戻ったリナは、ドロイドを分解し、部品を清掃し、古いリレー装置を修復した。

 

次の瞬間、ドロイドの瞳のようなセンサーがぼんやりと光を取り戻した。

 

「……÷<%€÷゜゜+÷〆%…?」

 

電子音のような声がかすかに発せられた。

 

 

リナは小さく笑った。

 

ドロイドは首を傾げながら、音声調整を行い、ゆっくりと再起動する。

 

「…<÷・€3+々……><・・%・÷〆<々$」

 

「じゃあ……君には、名前が必要だね」

 

リナはドロイドのボディにそっと手を置いた。

 

「BD-4ってどう?」

 

ドロイドは短くノイズ音を鳴らし、それから微かに頷くようにボディを傾けた。

 

#

 

ある夜。キャンプの焚き火の前で、リナは静かに尋ねた。

 

「君は記憶が残ってないって言ってたけど……怖くないの?」

 

「>€#÷・→€!……#÷・\÷÷→#?」

 

「……どうして?」

 

「>÷€##・→€#÷÷・→€3÷・・!!」

 

「新しい記憶をくれる毎日をくれるから?そう…よかった」

 

その夜、リナは深く眠れなかった。

銀河の戦争は冷たく、理不尽で、たくさんの命を飲み込む。

けれど、その中で生まれたこの一つの絆は、何よりもあたたかかった。

 

#

 

任務を終えた夜、リナは久々に姉・レナと再会した。

 

赤い髪をなびかせ、漆黒のローブを着たレナは、以前よりも沈黙が多く、目の奥にかすかな影を宿していた。

 

「おかえり、リナ」

 

その声は優しかった。けれど、リナの心の奥にわずかな違和感が芽生えた。

 

(……何かが違う)

 

彼女のフォース感応は鋭い方ではない。それでも、姉に対してだけは、いつだって直感でわかるはずだった。

 

だが今は、それが“霞んで”いた。

 

 

訓練場で、姉妹はライトセーバーを交えた。

 

リナはド=ジェムソの型で、レナはアタロの鋭く速い型を好んだ。

 

しかし、この日のレナの動きは何か違った。

 

「はっ!」

 

レナの刃がリナの顔すれすれを掠め、リナが転がって避ける。

 

「……ちょっと、レナ、今のは——」

 

「手を抜く方が失礼だと思ってね」

 

笑っているようで、その瞳は笑っていなかった。

 

リナは立ち上がり、セーバーを収めた。

 

「何か……あったの?」

 

「ないよ。ただ、戦うことが前よりも“楽”になっただけ」

 

その言葉に、リナの胸が冷えた。

 

 

翌朝、リナは意を決して姉に尋ねた。

 

「ねえ、レナ……何か悩んでる? フォースの流れが……乱れてるように感じるの」

 

レナはほんの少しだけ目を見開き、それから静かに笑った。

 

「……リナ、あなたには分からない。世界がどれだけ理不尽か。

どれだけ、守ろうとしても、崩れていくものがあるか……」

 

「それでも、怒りに呑まれたら、自分を失っちゃう。姉さんが、姉さんでいられなくなるよ……!」

 

「自分を失ってでも、守れるものがあるなら、私はその選択を否定しない」

 

リナは、言葉を失った。

 

その瞳に宿る光は、かつてレナが語っていた“希望”とは違う色だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。