任務の合間に立ち寄った惑星アル=ジャノスは、かつては貿易で栄えたが、今は惑星全体が廃棄処理場のようになっていた。
夕暮れの空の下、赤銅色の瓦礫の丘が広がる。
ジェダイ・パダワンのリナ・ソレイユは、補給部品を探すクローン兵たちと別れて、ふと足を止めた。
「……ん?」
視線の先に、瓦礫の影に沈んだ丸い金属の頭部が見えた。
半ば地面に埋まり、片方のレンズが割れていたが、どこかで見たことがあるような古いモデル——エクスプローラー・ドロイドだった。
「こんなところに……」
リナは膝をつき、そっとその小型ドロイドを掘り出した。
彼の胴体には焼けた痕跡、腕は一本折れていた。それでも、胸の小さな識別ランプがかすかに明滅していた。
—
野営地に戻ったリナは、ドロイドを分解し、部品を清掃し、古いリレー装置を修復した。
次の瞬間、ドロイドの瞳のようなセンサーがぼんやりと光を取り戻した。
「……÷<%€÷゜゜+÷〆%…?」
電子音のような声がかすかに発せられた。
リナは小さく笑った。
ドロイドは首を傾げながら、音声調整を行い、ゆっくりと再起動する。
「…<÷・€3+々……><・・%・÷〆<々$」
「じゃあ……君には、名前が必要だね」
リナはドロイドのボディにそっと手を置いた。
「BD-4ってどう?」
ドロイドは短くノイズ音を鳴らし、それから微かに頷くようにボディを傾けた。
#
ある夜。キャンプの焚き火の前で、リナは静かに尋ねた。
「君は記憶が残ってないって言ってたけど……怖くないの?」
「>€#÷・→€!……#÷・\÷÷→#?」
「……どうして?」
「>÷€##・→€#÷÷・→€3÷・・!!」
「新しい記憶をくれる毎日をくれるから?そう…よかった」
その夜、リナは深く眠れなかった。
銀河の戦争は冷たく、理不尽で、たくさんの命を飲み込む。
けれど、その中で生まれたこの一つの絆は、何よりもあたたかかった。
#
任務を終えた夜、リナは久々に姉・レナと再会した。
赤い髪をなびかせ、漆黒のローブを着たレナは、以前よりも沈黙が多く、目の奥にかすかな影を宿していた。
「おかえり、リナ」
その声は優しかった。けれど、リナの心の奥にわずかな違和感が芽生えた。
(……何かが違う)
彼女のフォース感応は鋭い方ではない。それでも、姉に対してだけは、いつだって直感でわかるはずだった。
だが今は、それが“霞んで”いた。
—
訓練場で、姉妹はライトセーバーを交えた。
リナはド=ジェムソの型で、レナはアタロの鋭く速い型を好んだ。
しかし、この日のレナの動きは何か違った。
「はっ!」
レナの刃がリナの顔すれすれを掠め、リナが転がって避ける。
「……ちょっと、レナ、今のは——」
「手を抜く方が失礼だと思ってね」
笑っているようで、その瞳は笑っていなかった。
リナは立ち上がり、セーバーを収めた。
「何か……あったの?」
「ないよ。ただ、戦うことが前よりも“楽”になっただけ」
その言葉に、リナの胸が冷えた。
—
翌朝、リナは意を決して姉に尋ねた。
「ねえ、レナ……何か悩んでる? フォースの流れが……乱れてるように感じるの」
レナはほんの少しだけ目を見開き、それから静かに笑った。
「……リナ、あなたには分からない。世界がどれだけ理不尽か。
どれだけ、守ろうとしても、崩れていくものがあるか……」
「それでも、怒りに呑まれたら、自分を失っちゃう。姉さんが、姉さんでいられなくなるよ……!」
「自分を失ってでも、守れるものがあるなら、私はその選択を否定しない」
リナは、言葉を失った。
その瞳に宿る光は、かつてレナが語っていた“希望”とは違う色だった。