スターウォーズ:シスの遺産   作:yumui

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師の裏切り

惑星アンバラ。

霧深いジャングルに、青と青のブラスターが閃いていた。

 

リナ・ソレイユは、クローン部隊「501部隊」とともに、急襲任務に参加していた。

マスター・ポング・クレルの命令は冷徹だった。

 

「敵は共和国の装備を奪っている。撃滅せよ。生かしておくな」

 

(でも、何かがおかしい)

 

敵の布陣はあまりにも正確で、共和国の通信暗号を完璧に解読していた。

リナはセーバーを振るいながら、敵兵にどこか見覚えがあることに気づく。

 

「——ヘルメットのマークが……?」

 

霧の中、倒れた敵兵の顔が見える。

 

「……クローン!?」

 

「全員、攻撃中止! ブラスターを下ろして!」

 

リナが叫ぶが、戦闘はすでに泥沼だった。クローンたちは混乱しながらも、命令を重んじて戦い続けている。

 

そのとき、リナの目前に味方のクローン兵の姿が現れた。

 

そして彼は、叫んだ。

 

「もうやめろ! 俺たちは同じ共和国軍だ!」

 

名はレックス。501の隊長だった。

 

#

 

リナはセーバーを納め、大きく息を吐いた。

 

先ほどまで同士討ちを行い死にかけていた小隊長ワグナーは答えた。

 

「私たちは、クレル将軍の命令で……」

 

「俺たちもだ…敵は自軍の装備を奪っていたと」

 

二人の言葉が重なる。

 

その瞬間、すべてが繋がった。

 

「クレルは両方に“敵を叩け”と命じていた!」

 

霧の中に、混乱と怒りが渦巻いた。

 

ワグナーは仲間たちに停戦を命じ、リナも501に撤退と説明を伝える。

 

「これは……作戦じゃない。虐殺だ」

 

レックスが唇を噛み、言った。

 

「奴は、俺たちを同士討ちさせようとしてる……ジェダイが、そんな命令を……?」

 

リナは震える声で応えた。

 

「……私は、ジェダイとして、それを認められない」

 

彼女は立ち上がり、静かに言った。

 

「行こう。将軍に、直接聞きに行こう。なぜこんな命令を出したのか、答えてもらう」

 

 

作戦司令塔に向かう一行。

クローンたちの顔には憤怒と、悲しみと、失望があった。

 

それでも、彼らはリナを信じてついてくる。

霧を裂いて進むその背中は、ただのパダワンではなかった。

 

塔の中、マスター・ポング・クレルがまま彼らを見下ろしていた。

 

「……ようやく来たか。パダワン」

 

その声は、もはやジェダイのものではなかった。

 

 

司令塔の最上階。

中央に立つのは、四本の腕を持つ巨躯のジェダイ、ポング・クレル将軍。

彼の背は大きく、目には一切の迷いがなかった。だが、そこに温もりはなかった。

 

「将軍。……どうして、あんな命令を出したんですか」

 

リナ・ソレイユは、震える声で問いかけた。

 

「味方同士の部隊を……ぶつける必要なんてなかった。私たちは味方だったはずです!」

 

隣に立つクローン・キャプテン、 レックスも、怒りを隠しきれなかった。

 

「俺たちは兄弟を撃ったんだ、将軍。

あんたの命令で……同士を」

 

クレルはゆっくりと振り返った。その顔に、冷たい微笑が広がっていく。

 

「よく気がついたな…大したものだ」

 

「貴方を拘束します、将軍」

 

クローン兵達が近づいたその時。

 

クレルが手をかざしフォースを解き放った瞬間、リナとクローン兵達は宙を舞い、背中から壁に激突した。

壁がきしみ、リナのセーバーが転がった。

 

レックスが、ブラスターを構える。

 

「発砲許可! 撃て!」

 

数十人のクローン兵が一斉にクレルに向けてブラスターを放つ。

だが、クレルの腕が広がり2本の両刃のセイバーを抜くと、光の乱舞と共に、全てのブラスターの射撃を弾いた。

 

「負けるものか、実験室で生まれたクリーチャーなどに!」

 

塔のガラス張りの外壁。クレルは窓の前に立つと、振り返って言った。

 

「この戦争の結末を、愚かな評議会も共和国も知らぬ。

だが、私は知っている。新たな秩序の胎動を。

ジェダイは滅び、力が支配する世界が来るのだ」

 

「逃がすな! 包囲しろ!」

 

だがクレルは、窓にライトセーバーを突き立て、粉砕するとそのまま飛び出しで霧の夜へと飛び出した。

 

外に着地したクレルはクローン兵達のブラスターの一斉射撃を全て凌ぎ森へと逃走していく。

 

#

 

アンバラの深い森。

赤黒く染まった大気と濃霧の中、一本の影が森を切り裂いて走る。

 

リナ・ソレイユはクレルを追っていた。

跳躍し、枝を掴み、崖を越えて——その先に待つのは、かつて“ジェダイ・マスター”と呼んだ男。

 

彼の姿は、濃霧の奥に一瞬だけ見えた。

四本の腕を広げ、セーバーを両手に構え、まるで悪鬼のように。

 

「貴様か、リナ。まだ私を追うか。愚かだ」

 

「貴様も感じているはずだ。この戦争に未来はない。

ジェダイは滅び、我らに力をもたらす者が現れる。私はその到来に備えているだけだ」

 

「……あなたは、未来ではなく、恐怖に跪いたんだ!」

 

リナは腰のセーバーを引き抜き構える。

アナキンから教わった「ド=ジェムソ」第5の型——

攻勢を貫く、決闘の剣。

 

クレルの四本のライトセーバーが炎のようにうねる。

二重のブレードが回転し、森の木々を切り裂いて空間を支配する。

 

リナは足を止めず、接近戦に飛び込む。

 

クレルのセーバーが斜めに振り下ろされる。

リナはフォースで滑るように回避し、セーバーを交差させて反撃。

斬撃の衝突が、空気を振るわせた。

 

「お前ごときが、私に届くとでも?」

 

「いいえ。でも“私たち”の意志は届く。

あなたに殺されたクローンたちの、怒りと悲しみが——私を動かしてる!」

 

リナの斬撃が強く、速く、正確になっていく。

 

霧が晴れ、朽ちた木々のあいだから月光が差し込む。

 

クレルが全力で斬り下ろした刃を、リナは受け止めた。

 

その時、肩に乗っていたBD-4のプラズマがクレルの目に放たれる。

 

その隙をつきリナが踏み込み、全身をひねるように放った斬撃が、クレルの右上腕を切り落とした。

 

クレルの悲鳴が霧に響き、バランスを崩したところへ——

リナのフォース・プッシュが放たれ、彼の巨体を吹き飛ばす。

 

クレルは岩に叩きつけられ、呻き声と共に倒れた。

残る腕でセーバーを握るが、リナが静かに首を振る。

 

「もう終わりです。マスター・クレル」

 

その目には怒りはなく、ただ静かな悲しみだけが宿っていた。

 

「そうか…だが」

 

クレルはセイバーを放した。

 

「ジェダイは武器を持たない者を殺せない」

 

「ええ…ですがマスター」

 

「ああ、俺はジェダイじゃない」

 

いつの間にかそばに立っていたレックスのブラスターがクレルの眉間を正確に撃ち抜いた。

 

 

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