後方支援者面で行く宇宙世紀   作:乾燥海藻類

11 / 26
第08話 「決戦準備」

ソロモンの失陥、そしてドズルの戦死は、ジオン軍に大きな動揺を与えた。

それを払拭すべく立案されたのが、ルナツー攻略作戦だった。

その決戦に備えて、多くのジオン艦艇が補給、整備のためにグラナダを訪れていた。

 

その中には改修されたホワイトベース、ソドンの姿もあった。オデッサ作戦を終えたソドンが宇宙に上がってきたのだ。

ソドンはジオニック支社の工廠へ送られたが、ガンダムとルドベキアは研究所(うち)の工廠が面倒を見ることになった。

 

「ガンダムのことだが、どうも遅くてな」

「それは反応が、でしょうか?」

「それもあるが、単純にスピードの問題だ。一度ジラソーレの加速を味わってしまうとな……」

 

いや、あんなほぼMAなMSの加速を求められても困る。MSと名乗ってはいるが、実質MAだからな、アレ。まあやれるだけのことはやるが。

 

「了解しました。ではこの機会に、徹底的に整備、改修しておきましょう」

「頼む」

 

アクトザクが完成して、マグネット・コーティングの技術は確立された。

俺のうろ覚えの知識を形にしてくれたのだから、本社にはレム少佐を筆頭に優秀な技術者が揃っている。

この機会にガンダムにも施しておこう。ついでだからルドベキアにも施しておくか。

改修にはスタッフ総出でかかり、なんとか3日で仕上げた。

 

「頭部バルカンの増設。シールドは大型化して対ビームコーティングを施しました。脚部にはブースターユニットを取り付け、機動力と加速力をアップしました。爪先部分からはビームエッジが出力されるため、蹴りと連動した斬撃も可能です。背部のジェネレーターはサイコミュ兵器(ビット)の基部となっていますが、ビームライフルの補充にも使用できます」

 

技術者たちが張り切りすぎて、積めるものは全部積むというトッピング全部乗せラーメンみたいになってしまった。まだ続きがあるぞ。

 

「脇下に2基のグレネード・ランチャーが内蔵されています。掌にはビーム砲が仕込まれていて、掌部を飛ばして有線式ビットとして使用することも可能です」

 

これは簡単に言うとデスティニーガンダムのパルマフィオキーナだ。戦場では一瞬の遅れが死を招くこともある。ビームサーベルを抜くよりも早く攻撃に移れる。

理論上だが、相手のビームサーベルを受けることもできる。

 

「エネルギーが尽きた時のために、腰部に実体剣(ヒート・ダガー)も装備していますが、最終手段だとお考え下さい」

「……ふむ」

 

選択肢が多いということは、必ずしも良いこととは限らない。咄嗟の時にどれを使っていいか迷ってしまうからだ。選択肢が多くても、それを判断する脳はひとつしかないのだから当然だな。

しかしこれは、凡人の話だ。エースパイロットならば、普通に使いこなせる。

 

あとアルファ・サイコミュという感応波(サイコ・ウェーブ)の増幅器も載せている。フラナガン博士が主導して開発したもので、まだ試作段階らしい。試作段階のものを積むのはどうかとも思ったが、まあシャアなら大丈夫だろう。適応力高いからなこいつ。どんなトンチキシステムでも使いこなせそうな、妙な信頼感がある。それにたぶん、逆シャアまでは死なないだろうし。

 

「ルドベキアも多少変わっているようですが?」

 

指で髭を撫でながら、シャリア・ブルが訊いてくる。彼はシャアの部下になったようだ。

 

「肩部キャノンを有線式のサイコミュ端末に変更しました。射出せずに固定砲台として使用することもできるので、使用感はそれほど変わりないと思います」

「……なるほど。了解しました」

 

シャリア・ブルがシャアの方を見て、シャアは小さくうなずいた。ふたりの間にあるのは、友情か絆か、あるいはニュータイプ同士の感応か。

 

ルナツー攻略戦には、研究所からも戦力を出すことになった。

だがソドンは、直前になって待機命令が下ったらしい。指揮官がマ・クベだから、なにかあったのかもしれない。シャアとマ・クベって、なんか仲悪そうだし。

噂ではオデッサ作戦の時にひと悶着あったらしいが、あくまで噂だ。

 

果たしてジオンは勝てるのだろうか? 正直、戦争が長期化した時点でジオンの勝利は難しいと思っていた。

なにせ国力差が30:1だ。時間が経てば経つほどジリ貧になっていく。

短期決戦こそが、唯一勝利の道だと思っていたが……。

 

国力差もそうだが、まとまりがないってのが致命的だと思う。連邦も連邦で派閥くらいはあると思うが、ザビ家よりはマシだと思うぞ。

ギレンとキシリアの対立は公然の秘密みたいになっている。

戦後に権力闘争が引き起こされるのは必至と誰もが考えているからな。それでも秩序が保たれているのは、ギレンの手腕か、あるいはデギンの存在か。

まあ、政治的なことは俺にはわからん。

 

「さて、どうなるか」

 

ルナツーへと向かうマ・クベ艦隊を見送りながら、俺は独りごちた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。