後方支援者面で行く宇宙世紀   作:乾燥海藻類

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第07話 「転換点」

ギレンの野望というゲームがある。これは歴史のifを体験できる人気作だ。

例えば、ランバ・ラルにドムを支給すると、なんとホワイトベースを撃破するという快挙を成し遂げてしまう。

 

シャアがガンダムとホワイトベースを鹵獲したらしい。

今のシャアの乗機は高機動型ザクというかなりの高性能機だ。原作だとS型のザクでそこそこいい勝負をしていたので、まあありえるのかもしれない。

 

ただマシンガンとバズーカで、ガンダムの装甲を抜けるとは思えないんだよな。たぶんジラソーレが協力したのだろう。ビットのビーム砲なら貫けるし。

と思ったのだが、どうも違うらしい。ジラソーレはファルメルで待機していたようだ。

 

詳しい経緯はわからんが、とにかくシャアがガンダムとホワイトベースを鹵獲したのはマジのようだ。

鹵獲したガンダムとホワイトベースはソロモンに運ばれ、リバースエンジニアリングされた。

そして解析されたガンダムのデータが、この研究所にも送られてきた。

 

「ルナ・チタニウム合金ってそこまで頑丈じゃないんだな」

 

ガンダムやホワイトベースの装甲にはルナ・チタニウム製の複合装甲が使われている。マシンガン程度で貫通はできないが、バズーカだとそれなりにダメージは与えられそうだ。ただ加工方法がわかっていない。別の素材で代用するしかないな。

 

V作戦の全容が明らかになっていれば、加工方法もわかったのかもしれないが、なんかホワイトベースのブリッジがまる焦げになっていたらしい。たぶん、機密を奪われるくらいならと、自爆したんだろう。

気骨のある連邦軍人もいたものだ。

ホワイトベースの艦長といえばブライトのイメージが強いけど、たぶんパオロ艦長だろう。ブライトは自爆するより降伏しそうな気がする。まあ俺の勝手なイメージだけど。

 

一番の収穫はエネルギーCAPだろう。喫緊の課題であったジェネレーターの小型化がこれで解決できた。

二番目は教育型コンピューターかな。電子回路ではなく光結合回路を使用した非ノイマン型コンピューターであり、クルスト博士が開発しているサポートシステムの上位機といってもいい出来だった。

三番目はガンダムの駆動システムに使用されているフィールドモーターだ。

ジオン軍のMSの駆動系は流体パルスシステムを採用している。しかし連邦軍はこれを模倣することなく、別の駆動システムを採用した。それがフィールドモーターシステムだ。

 

ジオンの技術者にとっては慣れないシステムではあるが、構造としては流体パルスシステムよりも単純だ。またその構造上、動力パイプやパルスユニットコンバーターを必要としないので、重量と体積を小さくすることもできる。

だが良いことばかりではない。デメリットもある。要するに精密な電気製品のようなものなので、過酷な環境に強いとは言えず、些細な故障でも駆動ユニットを丸ごと交換しなければならない。

 

しかしそれを差し引いても、フィールドモーターには最大のメリットがある。マグネット・コーティングだ。レム少佐と連携して、マグネット・コーティングを開発する。目指すはアクトザクだな。

 

こうしてガンダムのデータを活用して新たなMSを開発していた頃、総督府から指令が下った。

新型のMSを1機用意しろというものだ。どうも、木星から帰ってくる男の乗機として使うらしい。

木星帰りの男……シロッコかな? いや、年代的にそれはないか。となれば、シャリア・ブルだな。原作での乗機はブラウ・ブロだが、いまさら有線式のサイコミュを造ってもなぁ。

 

いや、有線式にも利点はあるのだ。ジェネレーターと直結しているから、エネルギーを補充する必要がないし、無線式よりもパワーがある。

だが有線式は、技術者連中に言わせれば美しくないらしい。

まあ気持ちはわからんでもない。機能美というのかな、そういうのをあまり感じないのだ。

 

「スマートに行くか」

 

色々と話し合う必要はあるが、せっかく小型化の目途が立ったのだ。あえて逆行する必要もあるまい。

そうしてシャリア・ブルの専用機を開発していると、本国からガンダムの量産化計画書が届いた。グラナダの支社でも生産ラインを確保するためだ。

 

まさかジムを連邦ではなくジオンが開発することになるとは、わからんものだな。俺の記憶にあるジムと少し違うが、まあ設計者がジオンの人間だから……ん? ゲルググ?

ゲル……ゲルググ!?

機体の名称がゲルググになっているが……誤植か? いやでも、ジムをゲルググと間違えたりするか? ガンダム(G)マスプロモデル(M)だからジム(GM)だろ?

 

……そういえば、ガンダムの量産化が決まって、ゲルググの量産化計画が白紙になったと聞いたな。生産ラインにも限りがあるから、これは仕方のないことだが、名前だけでも残そうという最後の抵抗なのかもしれない。

そう思って見ると、顎のラインにゲルググみがある。これも設計者たちの抵抗のひとつなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0079年10月。

テレビではオデッサがどうのこうのと報じている。

そういえば、シャアがガンダムを鹵獲した影響か、ガルマは死なずに済んだようだ。死なずにというか、なんか除隊したらしい。

 

詳しいことはわからんが、原作から考えるとイセリナと結婚して政治家にでもなったのかもしれない。

もしそうなら、よくギレンが認めたな。いや、デギンがごり押ししたのかもしれない。ガルマを前線に送ることは本意ではなかったような描写もあったし。

 

地球の情勢がどうなっているのかは、よくしらないんだよな。報道されている程度のことしかしらない。まあ知ったところで何かできるわけでもないんだが。

それはともかく、シャリア・ブル大尉がこちらに赴任してきた。

今はニュータイプ能力を測るために、様々なテストに付き合ってもらっている。

 

「素晴らしいデータです。さすがは、木星帰りなだけはありますね」

 

記録係のシムス中尉が感嘆の言葉を漏らした。彼女は先日派遣されてきた女性技術士官だ。

シャリア・ブルのニュータイプ能力は、マリオン以上だった。

これならば用意した機体も、十分乗りこなせるだろう。

 

「これが私の機体ですか」

「機体名称はルドベキア。ガンダムのデータを使用していますが、装甲素材が違うのでガンダムほどの防御力はありませんのでご注意を」

 

ガンダムフェイスではあるが、ガンダリウム合金(ルナ・チタニウム合金)を使用していないので、識者に見られたら「これはガンダムではない」と言われそうではある。

 

「ガンダム……シャア大佐の乗機ですな」

 

シャアはガンダムとホワイトベースを鹵獲したことが高く評価され、2階級特進して大佐となった。

 

「頭部に60mmバルカン砲、肩部にビームキャノンを2門、腕部にガトリング砲、胸部に閃光ビーム砲、腰部にビーム・サーベルを2本装備しています。サイコミュ兵器は無線式を採用しました。携行武装としてビームライフルとバズーカを用意しています」

「ずいぶんと重武装ですな」

「なんでも積みたがるのは、うちの連中の悪いクセです」

 

ちなみに機体色(パーソナルカラー)は特に必要ないと言われたので、塗装はしていない。灰色がベースとなっていて、外見はG-3ガンダムに近い。ついでにステルス塗料も塗っておいた。シャアが目立つ機体だからな。対比として、こちらは目立たない機体だ。後ろにも目がついているニュータイプ相手だと、大した意味はないのかもしれないが。

 

「……所長、ここにいる()たちは、幸せのようです」

 

なんでいきなり子どもたちの話に? 滞在中に交流していたのは知っているが。

 

「そうかな? そうであれば、私も嬉しいが」

 

家庭環境に問題を抱えた子ばかりだからな。うちの人間はニュータイプにある程度理解を示しているから、多少突飛な行動をとっても、ニュータイプだからな、と納得してしまう。

自らの脳にメスを入れるというトンチキなことを言いだしたセリーヌ博士は、今のところ落ち着いている。許可をもらえて心に余裕ができたのだろう。まだ手術は行われておらず、信頼できる医師を選定している状態だ。

ローレン博士もクルスト博士も、協力するとは言ったが脳外科医ではないしな。

 

俺たちがシャリア・ブルの能力テストをしている間に、ジオンはオデッサの放棄を決定した。オデッサの鉱物資源はほぼ採掘を終えており、死守する価値はないと判断した戦略的撤退らしい。

なんか言い訳っぽいが、大本営発表ってのはそういうものだろう。

 

間を置かずにジャブロー攻略作戦が開始されたが失敗に終わる。

ここでついにジオン軍は地上からの撤退を決定した。

連邦は疲弊したジオンに追い打ちをかけるように、ソロモンに強襲をかけた。地上の兵力が戻らぬうちに、ソロモンを制圧してしまおうというのだろう。

ソロモンのドズルから出撃命令が下った。マリオン、アルマ、アンネローゼ、そして機体を受領したシャリア・ブルを乗せたザンジバルが、ソロモンに向かって出発した。

 

 

 

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