終末世界で最強になった。よし、自己犠牲のふりで美少女たちの脳を灼こう。 ~魔法に重い代償が伴う世界で、俺だけ魔法使い放題~   作:大仙古墳

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13話 王選騎士の疑心

 

 そうして、朝から二人で魔力操作の練習をした後。

 

 メイドさん経由で評議会に渡りをつけた俺たちは、軍に見つからないようこっそり移動して。

 

 こうして、評議会の拠点である巨大な建物――議事堂までやってきたのだが。

 

「ほんとにここで合ってんのかな。なんの反応もないぞ」

 

「合ってるはずなんだけど……」

 

 正面の荘厳な入り口じゃなく、裏口みたいな場所。評議会側に指定されたのはここのはず。

 

 けど、ノックしてもだれも出てきてくれないし。

 

 外套ですっぽり頭まで隠したスノウさんも、ちょっと不安げだ。俺たち軍からのお尋ね者だしはやく匿って欲しい……。

 

 もっかいノックした方がいい? なんて思ってたら。

 

「おっ。開いた……!」

 

「――アイシール様に、件《くだん》の竜殺し様ですね。テイラー様のもとにお連れするよう言われておりますので、どうぞ中に」

 

 女の人が迎えに来てくれた。めっちゃかっちりした服装の女性だ。

 

 テイラーっていうのは評議会メンバーである評議員の一人だから、うまく俺たちの話は伝わってたみたいだな。

 

 女性に促されて中に入ってみると……おお、廊下なのにすごい豪華な内装。

 

「ご足労いただきありがとうございます。私はテイラー様の秘書をしている者です。……ご無礼を承知で申し上げるのですが、念のため身分証明できるものをお見せいただけませんか?」

 

「じゃあ、これでいいかな。うちの家紋が入ってる」

 

 スノウさんが取り出したのは、なんかイカす短剣だ。細かい装飾がついてて、格好いいシンボルも刻まれてる。あれがスノウさんちの家紋か。

 

「失礼いたしました、たしかにご本人ですね。では、テイラー様のもとに案内させていただきます」

 

「うん、お願いするよ」

 

「では、こちらに」

 

 最近ずっと一緒だから忘れかけてたけど、やっぱスノウさんってめちゃくちゃお嬢様なんだよなあ。

 

 深々と頭下げた秘書さんへの言葉も、すごい慣れてる人感あるもん。今の短剣も、格好いいけどめちゃくちゃ高そうだし。

 

「どうかした? エドガーくん。私のことじっと見て」

 

 これで住む世界違うよなとか言ったら、スノウさんめっちゃ怒るんだよな。一回それ言って、スノウさんの目から光が消えた。

 

「あのー、ほら。今の短剣、めっちゃカッコいいと思って」

 

「そうかな? じゃあ……良かったらエドガーくんにもあげようか?」

 

「えっ。そんな格好いいやつくれんの!?」

 

 貰えるなら欲しい! 男のロマンがくすぐられる。

 

「エドガーくんは命の恩人だし、強いし。お父さんにも文句は言わせないよ」

 

「うん? なんかそういう……お父さんに許可貰わなきゃいけないやつ?」

 

「それはもちろん。家紋というのはそれだけ重いものだからね。アイシール家の証を持つにふさわしいか、本来なら厳しく見られるよ」

 

「へ〜。見られるって、例えばどんなことを?」

 

「うーん、そうだね。色々あるけど……やっぱり一番は強さかな。うちって昔から王選騎士を輩出してる家だし」

 

「ふむ」

 

「あとはもちろん人格も。家の威光を悪用するような人はダメ。でも性格がいいだけじゃ足りないかな? 家を取り仕切るリーダーシップに、都市から許されてる稼業の運営、その他にも――」

 

 うん? なんかよく分からなくなってきた。短剣受け取ったらスノウさんちに取り込まれるみたいに聞こえるんだけど。

 

「――と、まあ少なくともこれくらいは見られるんだけどね、ほんとうは。でも! エドガーくんなら私が押し通して――」

 

「あ、やっぱり止めとく」

 

「え? ……どうして?」

 

「なんかあの、俺にはまだ早いかなって」

 

「うーん、そんなことないと思うけど。まあ、エドガーくんが言うなら……この話はまた今度にしようか」

 

「あ、はい」

 

 にっこりと笑うスノウさんだけど、目が笑ってない。

 

 おかしいな。ちょっと前までは、穀潰しの俺を面倒見てくれるという話だったのに。

 

 まあいいや、この辺りの認識合わせはまた腰を据えて今度……。今日のスノウさんからは圧を感じる。

 

 お、くっちゃべってる間に着いたかな?

 

「――ご歓談中にすみません。こちらがテイラー様の執務室です。テイラー様、お二人をお連れいたしました」

 

「ありがとう。入ってくれ」

 

 中からそう返事が聞えると、秘書さんは扉を開けて俺たちを促す。

 

 じゃあ、俺はスノウさんの後ろからついていこっと。

 

「失礼いたします」

 

 おお、スノウさんのこのきれいなお辞儀よ。俺も真似して奥に進む。

 

 で、このでっかい机で書類仕事してる渋いおじさんが――。

 

「ようこそ、この議事堂へ。軍に追われているというのに呼び出してしまってすまない。私から動くとどうしても目立ってしまうものでね」

 

「いえ、こちらからお願いしないといけない立場ですから。……では、ぶしつけで恐縮ですが、手短かに自己紹介を。――スノウ・アイシールです。お会いできて光栄です、テイラー閣下。そしてこちらが――」

 

 あ、俺? はいはい、できるだけ恭しく……。

 

「エドガーです。卑しい生まれなもので、姓はなく……」

 

 すいやせんと鼻の頭を掻く。低姿勢といえばこれだぜ。

 

 ひえ、テイラーさんの後ろのおっかない男に睨まれた。どうみても堅気じゃないんだけど。

 

「なるほど、君が例の竜殺しか。あいにく、私は戦士の力を判断する目を持ち合わせていないが」

 

「お言葉ですが閣下……エドガーくんの力を信用できないと? 昨日、軍を相手に大立ち回りした話も聞こえていると思っていましたが」

 

 スノウさんの眉がかすかにぴくりと動いたな。顔には全然出てないけど、気に入らなかったみたいだ。

 

 どうどう、落ち着いて。

 

「私が……騎士アイシールの娘が、その実力を保証すると言っても信じられませんか?」

 

「ふむ。たしかに昨日のことは聞いておるし、王選騎士のご令嬢の言葉を嘘とは思わんが。……では、アイシール嬢の父君と同じ王選騎士として。どう見る? 騎士ハスターよ」

 

 王選騎士。この後ろのおっかない男が、都市最高戦力のひとりだって?

 

 うお、とんでもなく胡散臭いものを見る目を向けられてる。

 

「閣下。未だ若輩の私では……少なくともただ対峙しただけでは、この少年に竜を滅ぼす力があるか見抜くことはできません」

 

「なるほど。エドガー君の力を見抜けぬのは、何も私に武芸の腕がないからではなかったわけだ。ではハスター、如何にしてエドガー君の力を確かめる?」

 

「人がこの世に生まれてより、強さを推し量る方法など一つです、閣下。――直に剣を交わす。それしかありません」

 

 ええ。王選騎士と俺が? それも、こんな刺すような視線向けてくるやつとかよ。

 

 やんなきゃダメ?

 

 あ、ダメそう。スノウさんの顔、俺を心配しつつも、やむを得ないかと諦めてる感じだ。

 

 ……え〜もう、分かったよ。俺が戦えばいいんだろ、戦えば!

 

 

 

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