チートで雑な召喚士もどき(TS済)の長い旅路―なお原作知らず―   作:葛城

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雑な、オリ主来訪系二次創作というやつ

どの作品の世界に行くかは、その都度記載します




プロローグ

 

 ──あっ、私ってば転生してるじゃん。

 

 

 そう、彼女……『小町(こまち)』が己の転生を自覚したのは、幼稚園に入園をした日の翌日であった。

 

 

 ──女の子になってる……。

 

 

 そして、自覚して間もなく、当たり前だが色気なんて欠片もない子供パンツ(3枚で30%OFF)を捲って目で見て、手で触って……こんな形で性転換(100%)を体験するとは思わなかった。

 

 いや、体験というか、現在進行形で己が再び命を落とすまでは『性別:女』が確定しているので、体験なんて生易しい言葉ではないのだが……まあ、いい。

 

 なんで自覚出来たのか、キッカケは正直に言うとさっぱり分からない。ただ、不思議と混乱はしなかった。

 

 なんと言えば良いのか……アレだ、前世の記憶があるだけの幼女、といった感じだろうか。

 

 多少なり思い出したことで影響が出たかもしれないが、だからといって、今生の記憶が全てデリートされるかといえば、そんな事はなく。

 

 相変わらず、毎週日曜日に放送されていた戦う魔法少女アニメが大好きだったし、お気に入りのヌイグルミが枕元に無いと悲しかったし、ちょっとした事でビービ―泣いていたし。

 

 食事のメニューにニンジンが入って嫌だったし、オヤツ時にカルピスが無いと悲しくてむくれてしまっていたし、お気に入りの靴が汚れたら、そりゃあもう一歩も家から出たくなくなったし。

 

 俺だった時にはけっこう無頓着だった『お洒落』に関しても、なんかこう、前世にはなかったこだわりがあるというか……とにかく、そんな感じで。

 

 嫌いなモノは嫌いなままで、好きなモノは好きなままで。

 

 こう、上手い具合に混ざり合ったというか、コーヒーに牛乳を入れた感じになったというか……とりあえず、そこまで困った感じにはなかった。

 

 

 ──転生が実際に起こったわけだし、これはもうチャクラとかそういうのがあるんじゃね? 

 

 

 ただ、己が転生したという自覚と記憶があるならば、幼女であろうとも、そんな事を考えるのが必然で。

 

 まったく何も無かったかと問われたら、『う~ん、有ると言えば、ありまぁす!』みたいな感じで、有るには有った。

 

 その名も、『妄想世界』、である。

 

 いわゆる想像上の友人、イマジナリーフレンドというやつの亜種なのかもしれないが、幼女の脳裏には……こう、『空想上の箱庭』があった。

 

 この箱庭、当然ながら、幼女の頭の中にしかない。

 

 だって、その名の通り空想上の箱庭だし……ただ、幼女の頭が考えたにしてはずいぶんと細部にまで空想が行き届いていた。

 

 例えるなら、テレビ画面に映し出された映像を見ている……そんな感じだろうか。

 

 脳裏に表示されている箱庭の大きさは、せいぜい一辺が50cmの正方形。箱庭内部の状況は日によって異なるが、中心には必ず幼女が考えたアバターが居る。

 

 そう、アバター。空想上の自分、もう一人の幼女である。

 

 この幼女が、まるでゲームのプレイ動画よろしく、テクテクと箱庭の中を歩く。普通ならばそのまま端にぶつかるが、これまたゲームのように箱庭内部が合わせてスクロールされる。

 

 言い得て妙というか、本当にゲームのプレイ動画を眺めているような感覚である。

 

 

 ……で、だ。

 

 

 100人中100人が『それって、どうよ?』って言われそうなアレだが、この『妄想世界』……見ている分にはめちゃ楽しい。

 

 なにせ、めたくそにリアルである。

 

 変な部分でアニメ調だったりデフォルメ調だったり、それらを除けばあまりにもリアル過ぎて、マジで起こっている事ではと錯覚してしまうぐらいにリアルである。

 

 おまけに、集中していると臭いや息遣いまで感じるようになるのだから、映画なんて比べ物にならないリアルな感覚……己がなんちゃって幼女でなかったら、中毒になっていただろう。

 

 

 で、話を少し戻そう。

 

 

 このアバター幼女だが、妄想上なだけあって、時間と共に成長しているっぽい感じがする。感じがする、なんて曖昧な言い回しをするのは、あくまでも感覚的な部分だからだ。

 

 なにせ、このアバター幼女。

 

 どういうわけか、己の妄想だというのに、現時点ではこちらからの操作らしい操作ができないのだ。将来的には出来るようになるかもしれないが、今は無理だった。

 

 なんというか、スマホの放置ゲームが近しいかもしれない。

 

 辛うじてテクテク歩く方向を指示することはできるし、時々だが指示を出すことができる時はあるけど……基本、それだけ。

 

 アバター幼女は勝手にテクテク歩いて行くが、走らせるとか立ち止まらせるとかはできない。

 

 だから、テクテク歩いているうちにモンスターっぽいナニカに遭遇してバトルが始まっても、幼女は基本的に何もできない。

 

 放置ゲームよろしく、バトルもまた全自動で進む。

 

 アバター幼女は色々な手段を使う。だいたいはそこらに転がっている木の棒とか石ころを使うが、時々なんか魔法っぽい事をする。

 

 なので、勝つ時もあれば、負ける時もある。

 

 ただ、放置ゲームっぽいアレなので、負けてもすぐさま復活して戦闘続行。最初から仕切り直しではなく、アバター幼女が死亡した時点での再開なので、敵HPは引き継ぎ。

 

 なので、最終的には必ず幼女が勝つ。

 

 毎回1ポイントしかダメージを与えられなくとも、それを数百万回と繰り返せば、というやつだ。しかも、それだけではない。

 

 ご丁寧に、この『妄想世界』。なんと、課金によってアバター幼女をパワーアップさせることが可能だったのだ! 

 

 

 ……いや、まあ、うん。

 

 

 冷静に考えて、脳内妄想なのに課金とは……という感じのアレだが、それもまあ、脳内妄想というやつで、考えるだけ無駄なのだろう。

 

 なにせ、この課金……現実なら現金(あるいは電子マネー)だが、妄想なだけあって使用するのは金銭ではなく……『良い子ポイント』というやつだ。

 

 なら課金じゃねえじゃんと言われそうだが、細かい事は気にしてはいけない。

 

 とりあえず、この『良い子ポイント』……どうやら、幼女が現実で『良い事』をすると、ポイントが溜まる仕様であるらしい。

 

 なんとも、分かりやすい。

 

 しかし、このポイントだが、己の妄想だというのに、どうやら落とし穴というか、そう簡単には溜まり難い仕様になっていた。

 

 いったい、どういう仕様なのだろうか……我が事ながら考えるだけ無駄だから、とりあえずは、そういうモノだと受け入れるしかあるまい。

 

 で、話を『良い子ポイント』に戻そう。

 

 試しに地面に落ちていたゴミをゴミ箱に入れたら、妙に発音の良いネイティブな感じで『Good!』って声が頭に……すると、なんか『良い子ポイント』が増える。

 

 つまり、良い事をしたからポイントが増えた。

 

 しかし、ちゃんと増えるのは一日1回だけ。

 

 なんとも面倒臭い仕様になっており、2回目以降は、それはもう微々たる数字であり、効率性を考えたら他の事をした方がずっと良いだろう。

 

 それに、どうも基準が一般常識と違う。

 

 たとえば、このゴミ拾いだが、場所によって増え方が全然違う。規則性がサッパリ(もしかしたら、ランダム?)なので、実際にポイントが増えるまで分からない。

 

 他には、とっても良い事をしたと思ったら1ポイントだけ、大したことしてないのに500ポイントとか……貰えるだけ有り難いけど。

 

 でもまあ、アレだ。

 

 たとえば、道端に落ちているゴミが10個落ちているとして、1個だけ捨てて後は放置……なんていうのは、正直なところ、かなり気持ち悪い。

 

 さすがに小一時間も掛かるとか、幼女ボディでは厳しすぎな話ならばともかく、ちょろちょろっと済ませられるならば、キリが良いところまでは済ませておきたい性格なのが私だ。

 

 なので、効率性なんて皆無でも、幼女の私はテクテク歩いて『良い事』をするわけだ。

 

 これがまあ、たいへん気持ちが良い。ポイントは別にしても、自分が善行を成しているって感覚がするからだ。

 

 おかげで、幼女の私はたいへんに評判が良かった。

 

 事実は私の都合(『妄想世界』楽しい!)でしかないのだけど、何も知らない第三者からしたら、私はさぞ良い子に見えたことだろう。

 

 しかも、それを小学生、中学生、高校生になってまで……惰性的な感覚で続けるのだから、そりゃあもう善人と周りから思われるのは当然である。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………だから、と言えば、あまりにも救いが無い話になるのかもしれないが。

 

 

(……あ~、こりゃ死んだわ。ていうか、死んでるな、これ)

 

 

 ある日、ちょっとシャーペンの芯が切れたからとコンビニからの帰り道、通り魔に刺された。

 

 それはもう、ぐっさりと。

 

 死体となった身体を見下ろしている、幽霊となった私は、なんか唾を飛ばしながらわめいている眼前の狂人を見やり……心底あきれ果てた。

 

 なんてことはない。

 

 すっかり愛着が湧いている『妄想世界』のアバター幼女……いや、私の成長に合わせて今ではすっかり『アバター女性』になっている、それのポイント稼ぎのための行為が、眼前の狂人の気に障ったようだ。

 

 なんでも、当たり前のように善行を成す私の事が心底気色悪かったらしい。

 

 で、よりにもよって何年も片思いしている意中の男が、どうやらそんな私に恋の矢印を向けているのが非常に気に食わなかったらしい。

 

 

 ……そう、驚きなのが、この狂人……なんと、女性だったのだ! 

 

 

 見た目は完全に、出不精で不潔で小太りの男……といった感じである。体臭も酷く、まともに風呂も入っていないようで、100人中99人が男性だと思うような風貌である。

 

 そのうえ、どうやらこの狂人(女)……意中の男とは幼馴染らしく……え、なんでそんなのが分かるのかって? 

 

 そんなの──眼前の狂人自身が、ペラペラ……いや、ブツブツと呟いているからだ。

 

 おそらく、人を殺したという事実を受け入れられず、現実逃避の意味もあるのだろう。おかげで、知りたくもない事を死後に知る羽目になってしまった。

 

 

(あ~、やっぱり幽霊だと触れないのか……)

 

 

 半透明な身体を動かし、なんとか一矢報いてやろうとへたりこんでいるそいつの頭や背中を蹴ろうとするが、全部すり抜けてしまう。

 

 そうして、何も出来ないでいると……徐々に沸き起こってくるのは、怒りである。

 

 そう、怒りだ。

 

 何故ならば、私にはもうこの世界で十数年生きた歴史があり、前世の記憶とは別に、積み重ねてきた思い出があるからだ。

 

 幽霊となった手足でタコ殴りに出来たなら、しばらくは気を逸らすことができただろう。

 

 でも、それが出来ない以上は……空しさばかりが募り、そうして、自分の現状を理解し……後に残るのは、どうしようもない現実だけであった。

 

 そう、現実なのだ。

 

 私はもう死んでいて、二度と家族に気付いてもらえないということ。仲が良かった友人に挨拶することだって、もうできない。

 

 仮に、幽霊らしく呪い殺せるような呪いパワーが今の私にあるなら、この眼前のくそバカアホゴミ屑不潔女を100億回呪い殺してやるところだが、それもできない。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………なにも、できない。

 

 

 私が刺された場所は、時間帯によっては人通りが少ない場所だ。そんな場所でも、5分10分と時間が経てば、1人ぐらいは通る。

 

 

 ──ひ、ひぃやああ!!!! 

 

 

 甲高い悲鳴が、響く。

 

 当たり前だ、死体を生で見た者なんて、日本ではそう多くはない。ましてや、誰かに刺し殺された死体と、明らかに異様な雰囲気を放っている犯人がセットならば、余計に。

 

 そして、演技では絶対に出せない鬼気迫る悲鳴に、何が起こったのかと様子を伺いに来る者が現れ……そして、騒ぎは爆発的に広がり始める。

 

 しかし、犯人は逃げられない。というか、逃げるという思考が働かないのだろう。

 

 先ほどまでブツブツ呟いていたのに、今ではボーっと虚空を見つめるばかりで、殺した私の死体すら見ていない。たぶん、己が人を殺したという認識すら、今は無いのだろう。

 

 本当に、腹立たしい限りである。

 

 私を殺しておいて、ポカンと呆けるばかり……仮に今の私が他者に触れられて、ナイフを手にする事ができたなら、原形をとどめないぐらいにグシャグシャにしてやれるのに。

 

 でも、できない。だって、死んでしまったから。

 

 そうやって1人憤慨していると、スーッと……意識が、いや、身体が地上から遠ざかっていく感覚がする。

 

 ──あぁ、これで終わりか。

 

 死ぬ時も理不尽だったが、死んだ後も有無を言わせず理不尽な終わりのようで……その事に悲しさを覚える間もなく、私の意識はスーッと白くなってゆき。

 

 

 …………。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、次にハッと我に返った、その瞬間。

 

 

「──私ってば……え、何回転生したん、これ?」

 

 

 己がいま居る場所は、天国でもなければ地獄でもない。

 

 空は青く、穏やかな風が吹いていて、暑くもなければ寒くもなく。地平線の彼方にまで広がる草原の中で、私は……草むらより身体を起こし、理解した。

 

 己は……そう、私が、三桁、四桁、五桁、六桁、いや七桁八桁でも収まりきらない回数の転生を繰り返しているという事実に、気付いたのだ。

 

 そう、前回の死亡時、私は始めて転生したのではない。

 

 数えることすら馬鹿馬鹿しくなるほどに繰り返した転生の果てに、ちょっとばかり『己が転生した』というのを思い出しただけのこと。

 

 そして、今……こうして思い返したということは、ただの偶然ではない。

 

 おそらく、前世の『妄想世界』が原因だ。アレは、ただの妄想ではなく、なにかしらのスキルだったのだろう。

 

 そのおかげで、私は……永劫に繰り返されていた、記憶を保持したまま行われる転生の螺旋から一時的に抜け出し……狭間の世界である、この場所に弾き飛ばされたようだ。

 

 はたして、『妄想世界』とはどのような……死んでしまったので詳細はもう分からないが……前世の世界では『技能(スキル)』という言葉しかなかったが、本当は違う。

 

 スキルとは、超能力の事。

 

 前世にあったサブカルチャーの言葉を借りるなら、生まれ持ってのギフテッド……あるいは、物理法則では説明がつかない、神の御業にも等しい奇跡のこと。

 

 ……あまりにも繰り返し過ぎた転生のせいでハッキリとは思い出せないが、おそらくは最初の時……私には、転生に関するスキルを持っていたのかもしれない。

 

 最初の命の時、私は何も知らずに命を落とし……そして、転生した。

 

 毎回、転生した事を思い出すわけではなかったが、それでも思い出す事もあり……今回のように己が……とにかくいっぱい転生していたことを思い出したのは、数えられるぐらいであった。

 

 

(……う~ん、4000回ぐらい前の時の私かな? 黒髪に黄金色の瞳……顔立ちは……整っている形?)

 

 

 パチンと指を鳴らして、眼前に出現させた姿見で、己の今の姿を確認する。

 

 

(おっぱいがある。この感じ、股も……あ~、女ね)

 

 

 己が裸のままなことを思い出し……今回も女として転生している事が分かり……一つため息をこぼした私は、パチンと指を鳴らした。

 

 途端、私の身体は……たしか、36578回前の時に日常的に着ていた、魔法の服を身に纏っていた。

 

 この服の見た目は、まさしく『魔女』という印象をそのままにした、上下一体型の長袖ワンピース(フード付き)。

 

 見る者が見たら正気を失うレベルの高度な魔法が仕込まれており、身に着けている限りはあらゆる不浄とは無縁になり、飲食を始めとした生きるための行動の一切が必要なくなる反則級の衣服である。

 

 つまり、これを着ている限りは一切の飲食不要、排泄不要、睡眠不要、身体の洗浄不要、その他諸々全て不要、汗は掻かないし身体は汚れない……そういう衣服なわけだ。

 

 ……なお、服が無くても似たような状態には成れるので、そこまで着る意味はないのだけど……まあ、着心地が良いのは確かである。

 

 

(数えきれないほどに繰り返した人生の中には、とんでもねえ才覚に恵まれた事もあったし、記憶を持ったままの転生サイクルから逃れようと、人生全てを研鑚に注いだ事も10万回20万回どころじゃないからなあ……)

 

 

 そして、この魔法の服だけではない。

 

 パチン、と指を鳴らせば、眼前に現れるはテーブルに椅子に、温かいティーポッドとカップ一式……オヤツの、ドーナツ。

 

 前世で得た所持品を『異空間(アイテムボックス)』に溜め込んでいて……眼前のそれらも、溜め込んだモノの一つである。

 

 

「……これから、どうしようか」

 

 

 モソモソと、どこか懐かしさを覚えるその味を堪能しつつ……はてさて、と考える。

 

 特に、目的は無い。何故ならもう、目的は果たされているのだから。

 

 今の私が命を落とせばもう、次に記憶が持ちこされる事はない。他の人達と同じく、まっさらな状態で輪廻を繰り返し……こうしている自我も消え去るだろう。

 

 

(……せっかく自由になったわけだし、何かしようかな)

 

 

 そう考えれば、今の己の立場は……ある種の、余生なのではないだろうか……そんな考えが脳裏を過る。

 

 今の私は、不老不死に近しい。死を望まない限り、間違いなく自然死することはない。

 

 でもまあ、このまま数百年と時を過ごすのも悪くはない……まあ、悪くはないのだけど……ん? 

 

 ふと、視線が手元のドーナツへと向かい……あっ、と忘れていた事を一つ思い出した。

 

 

(そうだよ……食べ物、このまま消費していったら1,2年で使い切っちゃうじゃん)

 

 

 『異空間』に放り込んでいる物資は、基本的に私自身の魔力というか、ミラクルパワーを消費して作り出すことができる。

 

 しかし、作り出してもまったく同じに……というのが難しい場合もあり、その代表例みたいなのが、食品(食材含む)である。

 

 見た目や食感こそ似せることは出来るが、味や香りまでは再現できない。

 

 仮にたった今食べているドーナツを作っても、非常に薄味で小麦の味すらしない、ただモサモサ食感なドーナツが出来上がるだろう。

 

 原材料である食材も同様だ。

 

 仮に食材を作って、それを使用して調理してナポリタンを作ったとしても、見た目はナポリタンで味は無味無臭の粘土……といった感じになってしまう。

 

 

 ──それは……いくら何でも嫌かなぁ。

 

 

 感覚的に余生みたいな状態で嗜好品を切らしてしまうのは余りに辛い。

 

 たとえるなら、このまま何もしなければいずれは、休日なのに遊ぶ金も飯食う金も尽きている給料日前が永遠に続く……といった感じになってしまう。

 

 

(……そうだね。せっかくだし、グルメツアーと行こうか)

 

 

 本当に、それは嫌だなあ……と思った私は、えいやと指を振って──異世界への扉である、黒い穴を空間に出現させると。

 

 

「うな重、食べたいなあ」

 

 

 特に気負う事もなく、そいや──と、飛び込んだのであった。

 

 

 

 




なんか、こういうのが読みたくなったけど少ないから書いた

気が向き続けるまで続きます
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