チートで雑な召喚士もどき(TS済)の長い旅路―なお原作知らず―   作:葛城

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第9話: 所詮は、地球規模の雑魚よ……

 

 

 次にあのちん○怪獣が現れた時、今度は宇宙空間に放り出してからビッグバンパンチで葬り去ってやろうかと……ん? 

 

 なんで、宇宙空間に、なのかって? 

 

 そりゃあ、あのちん○怪獣、『ライブラ』で調べた感じ、この星の基準だとかなり強いっぽいのだ。あと、なんかアイツが、『超神』というやつっぽい。

 

 

 正直、めちゃくちゃ驚いた。当然、悪い意味で。

 

 

 いや、だって、神をも超越した神というわけだから、いったいどんな化け物が出てくるかと思ったら、ちん○怪獣である。

 

 数千兆を超える宇宙怪獣とやりあった経験があるし、なんか次元の狭間にて卑猥な寝言を繰り返している寝坊助をタコ殴りにもしたし、なんかキレ散らかしてリセットかまそうとするイデをぶん殴ったりもした私だ。

 

 そんな私に、せいぜいこの星ひとつを滅ぼすだけで相当な年月をかけるちん○怪獣とか……見た目のインパクトだけだと思った私は悪くないだろう。

 

 実際、実力的にもそんなに強くない。もちろん、私に比べたらの話だが、マジで雑魚過ぎて話にならない。

 

 私を倒そうと思ったらゲッターエンペラーとか、因果律を操るマジンガーとか、天地創造して未来を予知する黄金の種族とか、そういうレベルでなければ勝負にすらならない。

 

 

 超神とか、見かけ倒しにも程があるだろ。

 

 その程度で破壊神を名乗るとか、辞めたら? 

 

 

 因果の果てから無限湧きしてくるゲッター軍団とか、因果を操って相殺しなければ100%負け確定な魔神0とか、そういうのを知っていると……こう、ね? 

 

 

 でも、このちん○怪獣……厄介なんだよね。

 

 

 だって、半端に強いし、そのうえ……内部に、人間の魂があるみたいなんだよね。

 

 しかも、その人間……南雲(なぐも)って名前なんだけど、たぶん普通の人間。

 

 いや、正確には、『超神』の本体はその人間の中に居て、宿主である人間を自覚なく操っているっぽい。

 

 つまり、南雲っていう人間の中に『超神』が居て、『超神』は必要に応じて南雲を操っている。当の南雲は気付いていないけど……いや、違和感みたいなのは気付いているっぽい。

 

 厄介だよなあ……普通に殺すと、南雲って人も死んでしまう。

 

 つまり(Part.2)、南雲を殺さず『超人』を殺さないと駄目なんだけど、その『超神』を殺すだけの攻撃をしたら、南雲の身体も消滅しちゃうってわけだ。

 

 

 ……う~ん、なんとも面倒臭い。

 

 

 しかも、重火器程度ではどうにもならない。下手にブッ倒せる威力の攻撃をすると、周囲への被害が大きくなりすぎるから……ん? 

 

 

 今さらだけど、ビッグバンパンチとは、なにかって? 

 

 

 それは、アレだ。指パッチンと同じ系統の、アレ。幾度目かの転生の時に習得した技で、その威力は地上最大の破壊力を誇る。

 

 本来の使い手ならば、命と引き換えに放つしかない最後の技だが……私ならば、ぜんぜんそんなことなく連発できる。

 

 ただ、この技……その名前からして想像が付くと思うけど、周囲への被害が洒落にならないのだ。

 

 ぶっちゃけると、核弾頭を数十発同じ場所に落としたぐらいの破壊力である。街中で放てば、建物はおろか、その地帯が向こう50年は草木も生えぬ荒野になるぐらいの影響を及ぼすだろう。

 

 なので、少なくとも地上ではまず放てない。

 

 地上最強の破壊力というのに、地上での使用が厳禁というのはなんとも……いや、まあ、それほどの破壊力だから、地上最強と言われるほどなのだが……で、だ。

 

 ぶっ殺すのは簡単だけど、周囲への被害が大変。かといって、周囲への被害を抑えた半端な攻撃ではダメージが通らないだろうし、そもそも、内部の南雲とやらを死なせるわけにはいかない。

 

 

 それに──どうやら、やつは勘が働くようだ。

 

 

 嫌がらせの意味も兼ねて指パッチンの刑に処したのが、よほど堪えたのか……アレから、姿を見せていない。

 

 おそらく、私を警戒しているのか……しかし、何時までもそうしているわけにはいかないだろう。

 

 水角獣が言っていた、『超神伝説』というのが真実であり確定している未来なら、必ず、どこかで『超神』はよみがえろうとするはずだ。

 

 どのような形でよみがえるかは知らないが、よみがえるということは、なにかしらの手段で実体を得ようとするはず。

 

 そうなれば、おそらく南雲とやらの身体から出る。ただの幽霊ならともかく、アレほどの力ならば、実体を得た瞬間を探知することは容易いだろう。

 

 叩くとしたら、そのタイミングが最適だ。実体を得たのであれば、ぶっ殺せば終い……南雲とやらも助けられるかもしれない。

 

 

(と、なると、私が下手に南雲に近付くと感づかれるな……ずっと監視するつもりもないし、動きを見せるまでは静観──)

 

 

 そこまで思考を巡らせた時であった。

 

 

「──お待たせしました、餃子2人前と生ジョッキ(中)のセットです」

「はい、ありがとうございます」

 

 

 頼んでいた料理が届いた。

 

 そこで思考を一旦切り上げた私は、逸る気持ちを抑えながら、餃子のタレにラー油をたっぷり垂らした特性タレを小皿に……そして、焼き立ての餃子を……パクリ。

 

 そして──濃厚なうま味とラー油の絡みが程よく混ざり合い、喉を通るに合わせて──生ビールを、グビグビッと喉奥へと流し込み。

 

 

「──くぅ~~!!! は、犯罪的だ……!!!」

 

 

 あまりの幸福感に、私は堪らずジョッキを叩きつけるようにテーブルに置いたのであった。

 

 そう、ここは現代に誕生した、中国4000年の歴史が生み出した、中華料理チェーン店。

 

 餃子を売りにしているだけあって言葉にはできないぐらいに美味であり、私はこの日もグビグビと餃子とビール、締めに胡麻ダンゴという無敵ループを堪能するのであった。

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、そんな感じでしばしの月日が流れた……ある日の夜。

 

 

 その日はまあ、けっこう蒸し暑い日であった。

 

 時期的には夏場というよりは梅雨……いや、梅雨というのは早い時期だったが、とにかく、けっこう温かい日であった。

 

 

(……今日もサウナと水風呂のコンボを決めて整った後で、天ぷらに冷酒でキメよう)

 

 

 そして、時刻は夜。

 

 まだまだ資金には余裕がある。何時ものように、今日の晩御飯を真剣に考えていた私だが……その時であった。

 

 

「──むっ?」

 

 

 それは、赤子の声であった。

 

 いや、もしかしたら赤子というよりはもっと……とにかく、この世界に誕生を告げる、産声を私は関知した。

 

 しかし、周りの通行人は誰一人として気付いた様子はない。

 

 あたりまえだ、この声は音ではない。

 

 もっと原始的で、あるいは、もっと高位の……力ある者だけが感じ取れる、巨大な力が込められた『声』で……ああ、それも少し違うな。

 

 

(これは、宣告だな)

 

 

 そう、それはただ伝えるのではない。

 

 圧倒的な上位者が、地を這う虫へ一方的に告げるかのような……もう猶予は終わったのだと、そのように告げているように私には──っと、その時であった。

 

 

 ──お、おい、見ろ! 

 

 

 誰かが声を張り上げ、彼方を指差した。

 

 つられて、周りの人たちがそちらを見やり……私もそちらへと視線を向け、思わず目を見開いた。

 

 視線の先、距離にして20kmほど先に、全長100m近い巨大な人型怪獣が……そう、あの日、指パッチンの刑に処した『超神』が姿を見せていた。

 

 だが、それだけではない。

 

 

(ち、ちん○が増えているうえに、なんかビクンビクンとケイレンしているぅぅぅ!?!?!?)

 

 

 なんと、ちん○怪獣から伸びるちん○の本数が増えていたのだ。そのうえ、あの時よりも妙に造詣がリアルというか、まるで実物をそのまま大きくしたかのようだ。

 

 堪らず、キッショと零した私は悪くない。

 

 あの時とは違い、『超神』は慣らしとして姿を見せたわけではなく、本気で暴れるようで、感じ取れる気配も敵意も、あの時とは桁違いで……あ、マズイ。

 

 

(ワームホール、形成)

 

 

 力が膨れ上がり、それがちん○触手へと充填されるのを感じ取った私は、すぐさまワームホールを『超神』の前に設置する。

 

 それは、言うなれば『どこでもドア』のようなもの。ホールの先は宇宙空間に通じており、とりあえずそこへ流してしまえば周囲への被害が──って。

 

(うっ、うわぁぁ……見た目のせいで、アレにしか見えない……)

 

 堪らず、私は一歩引いた。

 

 というのも、だ。

 

 『超神』の身体より伸びているちん○触手から放たれた、極太レーザー。それは見た目も相まって、射精にしか見えなかったのだ。

 

 もちろん、射精ではない。見た目がアレなので『超神』の射精にしか見えないが、そんな生易しい射精(?)ではない。

 

 そのレーザーは当たればアスファルトどころか地面をえぐり、余波で爆風を起こし、浴びれば一瞬にして溶解してしまう、中々にえぐいレーザーである。

 

 当然ながら、私がなんとかしていなかったら辺りは大惨事……誇張抜きで、一瞬で数百人、数千人の死者を出していたぐらいの、凶悪な攻撃であった。

 

 

(う~ん、見境なし……ということは、水角獣さんが言っていた、超神は世界を破壊し尽くすってのが正解だった……おや?)

 

 

 さて、どうしたものかと考えていると、なにやら超神の眼前にて漂う人影が……アレは、天邪鬼さん? 

 

 

(……知り合いなのかな?)

 

 

 さすがに『超神』ではないだろうから、おそらく内部の人間(南雲)とだろうが……仲が良いのだろう。

 

 他人のプライバシーなのでそこまで盗み聞きする気はないが、どうやら破壊行動を止めるよう説得しているようだ。

 

 しかし……私は、やるせなくため息を吐いた。

 

 残念ながら、天邪鬼さんの想いは届かない。何故なら、南雲の意識は完全に奥深くに押し込められており、もはや自力で目覚めるのは不可能。

 

 おそらく、天邪鬼さんが100万回声を張り上げて説得したところで……そのうえ、肉体の主導権は完全に『超神』に奪われている。

 

 奇跡が起こって意識を取り戻したところで、指一本、それだけの制御を奪うことすら不可能。

 

 悲しいかな、人間自身の力はそれほどに弱く、瞬く間に再び意識を奪われ、また破壊活動をし続けるだけだろう……っと。

 

 天邪鬼さんの姿に呼応したのか、なんか獣人とか魔族とか、それっぽい姿をしたやつがどこからともなく、次から次へと『超神』の下へと殺到する。

 

 殺気立っている気配を感じ取れたから、おそらく『超神』を殺すつもりなのだろう。

 

 

 まあ、そりゃあ、そうだ。

 

 

 獣人たちからすれば、『超神』は新しい世界(おそらく、良い世界?)を作ってくれる存在だと思っていたのに、蓋を開けたら周り全部を破壊しまくる怪物である。

 

 実際、私が間に入ってガードしていなかったら、数千人……もしかしたら、人に紛れていた獣人たちも巻き添えになっていたのだから、考えを改めるのは当然だろう。

 

 また、魔族たちからしてみたら、『超神』はそもそも滅ぼさなければならない存在という認識だったっぽい。

 

 それで実際に姿を見せた『超神』は、伝説の通りに見境なく全てを破壊しようとしていたし、その事に欠片の罪悪感も抱いていないっぽいのだから、そりゃあ動いて当たり前だ。

 

 結論から言えば、おそらく初めて、獣人と魔族の意見が一致して動こうとしている瞬間なのかもしれない。

 

 ただ、その際に、魔族だけは、つまみ食いと言わんばかりに人間を襲っては食っている姿が見られるが……まあ、そいつらは後で〆るとして、だ。

 

 

(お~、駄目だなアレは……デカいのが来るぞ)

 

 

 続々と集まってくる者たちを前に、うっすらと全身に光を灯らせ始めた『超神』。淡い光なので、頭に血が上っている者たちはほとんど気付けていない。

 

 当然ながら、ただ光っているわけではない。

 

 注意深く感じ取れば、『超神』より滲み出ているパワーが……まるで、今にも噴き出さんばかりのマグマのように蠢いているのが分かるだろう。

 

 でも、分かったところで、もう遅い。

 

 気付いて距離を取ろうにも、既に射程範囲内。生半可なバリアでは数秒とて耐えられないほどの膨大なパワーが、『超神』の全身──。

 

 

(……うっわ、キモォ!? よく見たら、人の顔がビッシリ全身に浮き出ているじゃん!? あれ、取り込んだ人間を砲台代わりに!?)

 

 

 ──それはまるで、人の顔をした鳥肌のように見えて、私も思わず鳥肌を立てた。

 

 

 なんだろう、『超神』さんってあまりにも肉体のデザインが……そこまで考えたところで思考を切り替えた私は、『テレポ』にて天邪鬼さんの眼前にワープすると。

 

 

「『時空魔法:ストップ』」

 

 

 とりあえず、『超神』とやらの動きを止めた。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、だ。

 

 

「あ、あんた、あの時の……」

「またお会いしましたね、天邪鬼さん」

 

 

 突然のことに呆気にとられている天邪鬼さんに、私はそう言って会釈して……次いで、『超神』を指差した。

 

 

「アレ、ぶっ殺しても大丈夫?」

「──ま、待ってくれぇ! あれには南雲が……『超神』は南雲なんや!! 頼む、南雲を殺さんとってくれ!!」

 

 

 『超神』をぶっ殺す。

 

 事態を分かっている者からすれば、失笑どころか冷笑されても不思議ではない発言だが、天邪鬼さんはそこには触れなかった。

 

 たぶん、天邪鬼さんは獣人としての優れた本能的な直感によって、分かっているのかもしれない。

 

 私が、本気になれば誇張抜きで『超神』を殺せる存在であることに。

 

 そして、そうなれば『超神』の中に……正確には、『超神』になってしまっている南雲を殺すことになる。

 

 たぶんだけど、天邪鬼さんにとって、南雲という人は友人みたいな間柄だったのだろう。少なくとも、こんな状況でも南雲を助けようと動くぐらいには。

 

 

「……なら、南雲さんを助けてから、アレをぶっ殺しましょう」

「──っ!?」

 

 

 私の提案に、天邪鬼さんは心底驚いたようで──っと。

 

 

「──お兄ちゃん!」

(めぐみ)!? なんで来たんや、はよ逃げんかい!」

 

 

 なんか、天邪鬼さんの妹っぽい人がやってきた。

 

 

「──アニキぃ! 無事ですかい!?」

黒子(くろこ)!? 何でおまえまで!?」

 

 

 なんか、弟……ではなく、舎弟っぽい感じの小人(比喩じゃなくて、30cmぐらいしかない)も来た。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………う~ん、この。

 

 なんか内輪もめ(というか、兄妹喧嘩?)しているので色々と面倒臭くなった私は、彼らを放置して……眼前の『超神』を見やる。

 

 

(──なるほど、やっぱ近くで見るのが一番だね。『超神』の本体は、このデカブツじゃないのか)

 

 

 そして、改めて『ライブラ』で『超神』を調べた私は……ほ~ん、と、センスが酷ければ性根も酷い『超神』のやり方に、ちょっとイラッときた。

 

 結論から言えば、眼前の巨大なちん○怪獣は、厳密には『超神』ではなかった。

 

 言うなれば、破壊神の形をしたロボットみたいなものである。

 

 南雲という男は、あくまでも『超神』の手で仕込まれた器であり乗り物であり道具であり、役割を与えられた依り代である。

 

 

 その役割とは、『超神をこの世によみがえらせる』というモノと、『破壊神』というモノ……この二つ。

 

 

 ハッキリ言えば、南雲という男はたまたま『超神』に選ばれてしまった種馬なのだ。

 

 ちゃんと『超神』が肉体を得てこの世界に復活するためには、生物としての営みを経て生まれ出る必要がある。

 

 すなわち、南雲という人間は、この世に生を受けた瞬間から、母体となる雌とセックスして受精させ、『超神』を孕ませるためだけの存在でしかなく。

 

 それが終われば、後はもう南雲という生き物は必要ではなく……おそらく、母体に移動する前に、置き土産としてもう一つの役割である『破壊神』の身体に作り替えたうえで活動させた……というわけだ。

 

 

 ……悪趣味にも程がある。

 

 

 それが、私の正直な感想である……が、同時に、私は『超神』が犯した致命的なミスを前に、思わずフフフッと笑った。

 

 ──だって、眼前のちん○怪獣の中にはもう、『超神』が居ない。つまり、こいつの中にはもう、南雲しかいない……というわけで。

 

 

「『時空魔法:リターン』」

 

 

 私は、さっさと南雲の身体を人間に戻すことにした。

 

 対象は、南雲という人間だけ。この魔法、ちょっと使い勝手が悪く、そこまで対象を細かく分けられない。

 

 『超神』を宿していた時は、『超神』も含まれてしまう。

 

 しかし、今は居ない。居ないのであれば、置き土産によって南雲の身体がちん○怪獣になる前の……ただの人間でしかなかった南雲という人間に戻せるわけだ。

 

 調べてみて分かったことだが、どうやら南雲という人間そのものは、あくまでも人間であるらしい。

 

 ちん○怪獣の姿は、『超神』の力によってそのように作り変えられただけでしかなく。

 

 見方を変えたら、肉体を作りかえる前は普通の人間であり、怪我もするし腹も空くしうん○もする、ただの人間というわけで。

 

 

(……おお、けっこう上手くいったぞ)

 

 

 想定通り、見る間に小さく原形を失くし……無事に、私の眼前には素っ裸の南雲少年(いや、年齢的に青年か)が現れた──で、だ。

 

 

「天邪鬼さん」

「──ん? って、南雲か!?」

「パ~ス」

「ちょ、うぉわ!?」

 

 

 放り投げた南雲……南雲くんをちゃんと受け止めたのを確認した私は……こちらの様子を伺っている気配を見付け、クイッと手招きした。

 

 ──途端、私の眼前に現れたのは、裸の女性である。

 

 言うまでもなく、南雲くんとセックスして『超神』を孕んだ女性である。意識は無いようで、空中で静止しているという状況だというのに、ぐったりとした様子で目を瞑っていた……と。

 

 

『──何者だ、おまえは!?』

「しがない旅人です」

 

 

 女の口から……ではなく下腹部の、子宮がある辺りから響く声に、私はそれだけを答え──クイッと手招きすれば、光の玉が女性の胎より飛び出した。

 

 

「天邪鬼さん」

「ちょ、おい待て、人を呼ぶから──」

「パ~ス」

「聞けや、人の話を!?」

 

 

 放り投げた女性を受け止めた天邪鬼さんたち(妹さんも手を貸した)を見やった私は……視線を戻し、眼前の光の玉……いや、『超神』を見つめた。

 

 

「ちん○怪獣さん、貴方って強いんですよね?」

『──動けな──ど、どうして──』

「ちん○怪獣作れるぐらいだから、ちん○怪獣より強いんですよね?」

『──放せ──僕を──くそぉ──なんでだ──』

 

 

 なにやら焦っている『超神』……そりゃあ、そうだ。

 

 感じ取れる力からして、この星では絶対的な存在。

 

 機嫌一つで人類を、獣人を、魔族を、皆殺しにしてもなんの罪悪感もない……そういう存在なのだ。

 

 そんな存在にとって、まさか自分が何者かに身動き一つ取れない状態にさせられるだなんて、想像すらした事がないのだろう。

 

 私だって、同じ立場になったらそりゃあ焦る……あ、いや、死んでもどうせ転生するだろうし、そんなには……まあ、とにかく、だ。

 

 

「一つ、気になっていた事がありまして」

 

 

 こいつのせいで街を滅茶苦茶にされてしまったら、グルメツアーなど出来なくなる……なら、情状酌量の余地などまったくない。

 

 

「三つの世界を破壊するアナタと、星々を壊しまくる英雄の種族……はたして、どちらが強いのかな~って」

 

 

 それに、せっかくの機会だ。

 

 

「だから──来なさい、ベルクロス」

 

 

 たまには、ベルクロスにも運動させなきゃなあ……と思った私は、ベルクロスを召喚した。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………その時、その場に居た誰もが、知ってしまった。

 

 

 魔族が恐れていた『超神』が、獣人が望んでいた『超神』が、実はちっぽけな存在だったということに。

 

 何故ならば、実際に居たのだ。

 

 『超神』などという、名前だけの雑魚とは比べ物にならない、圧倒的な……もはや、比べることすら不可能なほどに隔絶した、絶対的な存在を。

 

 恐怖とか、そんな言葉では言い表せられない。

 

 あまりにも比較対象が強大過ぎて、ぶっちゃけてしまえば、そこらの石ころと太陽、そういうレベルの話になるから。

 

 

『──ひっ──ひっ──』

 

 

 そして、ベルクロスという……惑星をスナック菓子のように次々に粉々にしてしまうだけでなく、超新星爆発を受けても耐えられるようなやつを前に、神を超えた神と恐れられた、その姿はもう……無かった。

 

 

「……抵抗しないなら、そのまま潰されちゃうけどいいの?」

『──っ!!!!』

 

 

 だから、その言葉を聞いた『超神』は……そこまできて、ようやく自分が殺される現実を認識出来たようで。

 

 

『──な、なめるなぁぁぁあああ!!!!』

 

 

 それからの変化は、速かった。

 

 光の周囲に、どこからともなく肉が現れ……臓腑が現れ、骨が現れ、体表が現れ……あっという間に、そこにはちん○怪獣が姿を見せた。

 

 

 ……だが、しかし。

 

 

 改めて、顔を突き合わせたちん○怪獣(in超神)とベルクロスだが……悲しいかな、向かい合ったからこそ、その圧倒的な差が浮き彫りになってしまった。

 

 直感的に、理解してしまう。ああ、これは偽物だ、と。

 

 その証拠に、何本もの極太射精レーザー(笑)を連発で撃ち込まれているベルクロスには、まったくダメージが見られない。

 

 やせ我慢とか、そんなレベルじゃない。言葉通り、そよ風程度にしか感じていないようで、怯む気配もまったくない。

 

 それはあまりに印象的で、余波だけで死にかねないので離れている者たちから見ても、まるで子供が大人に向かって一生懸命拳を振るっている……そのように見えるぐらいであった。

 

 

 ──対して、だ。

 

 

 そのまま攻撃すると地上が大変なことになるので、『レビテト』にて浮かせてから、ベルクロスの頭上へと放り上げ──そうして放たれる、ベルクロスのパンチ。

 

 パンチは、直撃していない。だが、ベルクロスのパンチは、そんな生易しいほどではない。

 

 直撃しなくとも、パンチから放たれる衝撃波だけで、体長が10メートル以上はある敵を数千体近く粉砕し、宇宙戦艦であろうと撃沈するほどの破壊力がある。

 

 そんなのを、まともに受けたちん○怪獣は──瞬時に肉片一つ残らず粉々になり、上空の雲を吹き飛ばし、宇宙空間の彼方まで飛ばされ……文字通り、宇宙の塵となった。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………伝説となりて。

 

 本来ならば『人間界』を、『獣人界』を、『魔界』を、これ以上ないぐらいに破壊して破壊して破壊し尽くす、それだけの力を持っていた『超神』の。

 

 最後の言葉一つ残せなかった──本当に、呆気ない最後であった。

 

 

 

 

 

 ──そうして、世界の命運……なのかは些か判断に迷うところだが、とにかく、この世界においては、運命の一日を終えてから……半年ほどの時間が経った頃。

 

 

「……うっとうしくなって来たなあ」

 

 

 私は、ここ一ヶ月ぐらい前から、来る日も来る日も『獣人界』と『魔界』から押し寄せてくる派閥への勧誘に、嫌気が差していた。

 

 理屈を考えればまあ、理解は出来る。

 

 世界を滅ぼす『超神』を瞬殺できるような存在が野放しになっているだなんて、恐ろしくて堪らないのだろう。

 

 『超神』なんてのは、本当に存在しているのかどうか……という考えで居た者が多かったらしいが、私の場合は実在して、しかも行動しているのだ。

 

 そんなの、意思を持って活動する核弾頭のようにしか思えないのは当たり前だ。

 

 むしろ、排除に動こうとしないだけ……いや、勝てないと分かっているだけなのかもしれないけど……まあ、とにかく、だ。

 

 

「この世界には、特に親しくなった者はいないし……ここらが潮時かな」

 

 

 それに、理由はそれだけではない。

 

 なんか知らないけど、天邪鬼さんとか水角獣さんとかに相談しに行くとき、高確率でセックスしている場面に遭遇してしまう。

 

 天邪鬼さんの方は、まだいい。なんか妹とセックスしているっぽいけど、人間じゃないし、私の知ったことではないし。

 

 でも、魔族の方は……なんだろう、なんで途中で触手になったり、なんか化け物になったり、食べちゃったりしちゃうんだろうか? 

 

 

 正直、普通に気持ち悪くて嫌になる。

 

 

 かといって、南雲さんとかの様子を見に行く時ですら、そうなのだ。見たくもないのに、どういうわけか、あの時母体になっていた女性とのセックス場面にばかり遭遇する。

 

 これはもう、こういう世界なのだと思ったわけで、1回や2回ならともかく、こんなにしょっちゅう鉢合わせになるのはなんかやだなあ……と、私は思ったわけである。

 

 

「……飯は名残惜しいけど、また次があるわけだし、まあいいか」

 

 

 そう、結論を出した私は……本当に名残惜しい気持ちをそのままに、ゲートをくぐって別世界へと渡ったのであった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、新しい世界に来た私だが……どうやら、私の運はまだ続いているようだ。

 

 

 なにせ、景色は……先ほどの世界と、そう変わらない。

 

 強いて挙げるなら、もうちょっと落ち着いた雰囲気というか……気のせいか、人々の姿もちょっとばかりデフォルメちっくというか、子供にも見せらせそうな感じになっている。

 

 まあそれは、住宅街のど真ん中に転移してきた影響なのかもしれないが……とにかく、ちん○怪獣のような気配はまったく感じられなかった。

 

 

(おお、またもや日本……いいね、この静かな雰囲気。気分転換がてら、温泉にでも行くかな?)

 

 

 そう思った私だが、そこでふと、思い出す。

 

 そう、お金である。

 

 いくら見た目が似ているとはいえ、お金までまったく同じである保証はない。なので、前回と同じく換金する必要があるわけ……だが。

 

 

「……無いよなあ、こんな場所に」

 

 

 住宅街ゆえに、換金ショップなどあるわけもなく。

 

 こりゃあ、まずはそっちを探しに手間が掛かるかな……と、思っていた……そんな時であった。

 

 

「──おやぁ、お困りのようですなぁ」

 

 

 なんか、いきなり背後からネッチョリした口調で話し掛けられた。

 

 ちん○怪獣が居ないと分かって気を緩めていたとはいえ、まるで突然背後に出現したかのようで、私は少しばかり警戒して振り返り……思わず、目を瞬かせた。

 

 と、いうのも、だ。

 

 私に話し掛けてきたのは男性であったが、その風貌があまりにおかしかった。

 

 まず、全身が真っ黒のスーツに、黒の帽子に、黒と灰色のシマ模様のネクタイ。背は高くないが恰幅が良く、まるで達磨に顔と手足が生えたかのよう。

 

 目はたれ目で、鼻は潰れぎみ。福耳と、口紅を塗っているかのような真っ赤な唇と、大きな口が特に特徴的で。

 

 

「……誰ですか?」

「おやぁ、これは失礼。名乗るのが遅れましたなぁ」

 

 ──わたくし、こういう者です。

 

 

 その言葉と共に、率直に渡された一枚の名刺。

 

 

「……『ココロのスキマ、お埋めします』? えっと、どういう意味ですか、喪黒福造(もぐろふくぞう)さん?」

 

 

 そこに記された、名刺とは思えない簡素なソレに、胡散臭い者を見る目を向ければ、その男は「お~ほっほっほっほ」実に特徴的な笑い声をあげると。

 

 

「わたくし、セールスマンをやっておりまして……つまり、ボランティアで人々のお助けをしているだけです」

「はぁ……?」

「貴女が、どうにも困っているように見まして、声を掛けた次第であります、はい」

 

 

 ほっほっほっほ……どう見ても怪しさMAXのその男は、なんとも不気味な笑い声をあげて、そう私に言ったのであった。

 

 

 

 




超神伝説うろつき童子 編

超神死んだら残るのはエロだけっすからね
超神など、ベルクロス、ゲッターエンペラー、マジンガー0、鬼舞辻マサキの前では最弱に過ぎないのだ……


魔族や獣人からちょっかい掛けられることに嫌気が差した私は、新たな世界へと向かう

次回、笑ゥせぇるすまん 編 です

お~ほっほっほっほ……

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