チートで雑な召喚士もどき(TS済)の長い旅路―なお原作知らず―   作:葛城

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暴力的・グロテスク要素あり、注意要


第5話: 酒ばっか種類があるじゃん(主人公より)

 

 

 ──悲しいお知らせ(Part.2)である。

 

 

【帝国の味】敵側の飯も、けっこう微妙だった【味が濃い】

 

 

 帝国領の食糧庫から『取り寄せバッグ』にて引っ張った食糧だが、まずは帝国の味付けとやらで食べることにした。

 

 いくら原材料が同じ小麦だからといっても、調味料や調理法をこっちのやり方でやってしまえば、いつもの味付けにされてしまうのは目に見えている。

 

 幸いにも、食料品の中には向こう(つまり、帝国領の)の作り方が記載されているのもあり、キッチンスペースを少しばかり借りて、作らせてもらった。

 

 不思議なことに、同じ料理……たとえばミートスパゲティでも、茹で時間とか調味料を入れるタイミングやフライパンでの火加減とかが違っていた。

 

 まあ、同じパスタでも、国によってはまるっきり別物になる……というのは、なんら珍しくはない。

 

 私が以前暮らしていた世界の、『味噌汁』がそうだろう……で、そんな感覚で、とりあえずは裏に書かれているとおりに従って、一品作ってみた……わけなのだが。

 

 

 ……悲しい事に、帝国領の飯は、どうやら味が濃い目らしい。

 

 

 なんというか、塩が多いとか、ソースがたっぷりとか、そういうのではなく、濃いのだ。

 

 たとえば、トマトソースは同盟国のそれよりも長めに煮詰めて濃い物を使用したり、ドレッシングは油分多めで腹に溜まる感じがすごくて。

 

 パスタ自体も、別に不味くはないのだ。

 

 ただ、妙にモチモチしているというか、身が詰まっているというか……上手く説明できないが、妙に腹に溜まるというか、カロリー爆弾な気配がある。

 

 結論としては、『味が濃い』というのが一番しっくりくる感じで……数値で表すなら、帝国領の飯も星2つか3つぐらいな感じであった。

 

 正直、この中間は無いのかという気持ちになった私は悪くないだろう。

 

 こう、どっちも不味くはないのだ。ただ、どっちも私にとっては致命的に足りてない部分があって、どっちも手放しに美味しいとは言えない程度である。

 

 言うなれば、五角形グラフで表すとどちらも三角形になる感じ。

 

 二つを足して2で割れば、程よい五角形になるのに……そうでなくとも、もうちょっとこう……なんとも、口惜しいと私は思った。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、そんな感じで、だ。

 

 

 早く作戦終了してくれないかなあ……レストランの飯を食いたいなあ……と、思っていたわけだけども。

 

 

「……あ~、その、コマチ?」

「支援は一度まで。なんで、余裕があるわけでもないのに他所に回しちゃったの?」

「御意見はもっとも。とはいえ、見捨てるわけにはいかないわけで……」

「なら、その結果は甘んじて受け入れなければ。一度は助かったのを、自ら放したのは自分たち……溺れる道を選んだ以上は、溺れなさい」

 

 

 まさか同盟軍が、せっかく支援した(ぶんどったとも言う)物資を占領下の人々に配るとは、さすがの私も想定していなかった。

 

 いや、まあ、理屈としては分かるのだ。

 

 この戦争……その始まりは、そう複雑ではない。

 

 言うなれば、支配から逃れ人々の意思で物事を決める民主主義と、国王を始めとした貴族階級が全てを決める帝国主義とが喧嘩別れをして、どちらの思想が正しいのかを争っているだけなのだ。

 

 民主主義である自由惑星同盟にとっての最大の目的は、帝国の占領下にある惑星を速やかに開放して同盟に組み込むというもの。

 

 反対に帝国は、離反した逆賊である自由惑星同盟を速やかに打倒し、再び帝国の占領下に置くか、あるいは処刑して自国の者を置くかというものだ。

 

 なので、たとえ帝国領の惑星とはいえ、その住民たちが帝国からの離反を望み、同盟に加わりたいと望むなら、それを同盟国は支援しなければならない……というわけだ。

 

 

 ……理屈としては、分かる。

 

 

 同盟国が戦争を始めた大義名分がソレであり、ここで見捨ててしまえば、その時点でこの戦争は侵略者である同盟に抵抗する帝国という図式になってしまうからだ。

 

 そうなれば、事はこの戦いだけではない。

 

 同盟内には反戦運動を行っている者が相当数いるが、その者たちに大義名分を与えるだけでなく、同盟そのものが内部より瓦解しかねない。

 

 あくまでも、自由惑星同盟は『帝国によって自由を奪われている帝国民を開放する』という大義名分があってこそ、この戦争を続けられるのだ。

 

 言い換えれば、ここで和平や停戦、あるいは終戦とは大義名分を失ってしまえば、誰かが戦争の責任を背負わなければならない。

 

 それは一個人に留まらず、もっと大勢の……それこそ万単位の……戦争を賛美しながら絶対に自ら戦うことだけはしない、政府高官は軒並み……だからこそ、何が何でも大義名分だけは守ろうとするのだろうけど。

 

 

 まあ、なんにせよ、だ。

 

 

 ヤンさんたちの主義主張、その性質と、この問題は別だ。

 

 私は別にヤンさんたちに賛成してこの船に乗っているわけではない。降りろというなら降りるだけだし、命令に従う義理はもう果たしたから。

 

 なので、私としては、もうそれで終わった話だし、『非協力者に食わせる飯はねえ!』って対応を取られたなら、『そうですか、バイバイ』というだけの話……だったのだけど。

 

 

 それから、しばらくして。

 

 

 なにやら青ざめた顔で部屋に入って来たヤンさん(それ以外の人達も)に連れられて、見知らぬディスプレイの前へ。

 

 画面に表示されている、なんか神経質そうでプライド高そうで頭でっかちで……学校の成績だけは良かったような雰囲気が漂う男は、私を見るなりこう言った。

 

 

『──単刀直入に言おう。協力しないのであれば、君は軍事作戦のスパイとして処刑する。どちらかを選びなさい』

「あんた、だれ?」

 

 

 なんとも失礼な話だが、そんな事はどうでもいい。

 

 まずは初対面であることを告げれば、画面の向こうに居る男は明らかに気分を害した顔をした。

 

 それを見て、なにやら私の背後で様子を伺っていたヤンさんが「アンドリュー・フォーク中将です」と教えてくれたので、私は一つ頷いてから答えた。

 

 

「協力はしません。私に協力を強制するのであれば、貴方は私の敵です」

 

 

 私の言葉に、ヤンさんたち……ではなく、他の軍人さんたちがレーザー銃を構えた。

 

 おそらく、事前にそのように話を通しているのだろう。「──良さないか、相手は子供だぞ!」その中で、ヤンさんたちは……そうなる可能性は察していたけど、実際にそこまでするとは……と思っていた感じかな? 

 

 とりあえず、無視して帰ろうとする。途端、軍人さんの1人が、私に向かって引き金を引いた──のを見て、私はわざとそこへ身体を滑り込ませた。

 

 

 瞬間、レーザーは私の肩に直撃し、貫通した。

 

 

 今はいつもの防弾なども兼ねた衣服ではなく、この世界に合わせた見た目だけの衣服だから、防御性能なんて期待するだけ無駄な代物である。

 

 おかげで、私の肩から大出血だ。

 

 撃った軍人さんも、脅しのつもりでしかなかったのだろう。「そ、そんな、当てるつもりじゃ……!!」狼狽を露わにし、持っている銃をその場に落とすほどに動揺していた。

 

 というか、その軍人さんだけではなく、ヤンさんたちも動揺してい……いや、なんでヤンさんたちまで動揺しているのだろうか。

 

 軍艦には、大勢の人が乗っている。私自身は特に他者と積極的に交流しているわけではないので、知らない人が居ても不思議ではない。

 

 ただ、ヤンさんたちには、私から直接説明したはずなのだが。

 

 まあ、ヤンさんが館内の人達に告知しているとしても、『異世界人』だとか、『魔法使い』だとか、新手の冗談かと思ってしまっても不思議ではないけど。

 

 私としては、スキル『生命の泉』にてすぐに自己修復するだけだから、そんなに気にしなくていいと思うのだが……いや、まあ、逆の立場だったら私も気にするから仕方ないけど。

 

 

「どうしましょう、ヤン中将」

「……なんだい?」

 

 

 まあ、それはそれとして、だ。

 

 

「とりあえず、やられたらお返しするのが私の信条ですので、このフォーク中将とか言う人のところにベルクロスを向かわせようかと思います」

「ベルクロスと言うと、君が先日、甲板にて出現させた……あの人型の物体かい? そういえば、どこへ飛んで行ったのかは聞いていなかったが……」

「そもそもの原因である、補給物資の運送を妨害した帝国軍へ向かわせました。5万、6万隻ぐらい居たっぽいですけど、ベルクロスの敵ではありませんでしたね」

「なんだって?」

 

 

 下手な冗談だ……そう言わんばかりに苦笑するヤンの姿に、「……あ、でも、こんなヤツのために死ぬのは嫌ですよね」、今更ながら私は気付いた。

 

 

「なので、ちょっくら私が直接ぶち殺しに行きます」

「は?」

 

 

 目を瞬かせるヤンさん(他の人達も)に、私は告げておく。

 

 

「ヤンさん、老婆心ながら忠告しておきますけど、この戦いは私が知る限りでもトップクラスに馬鹿げた戦争です。さっさと中止して戻らないと、どんどん状況は悪化していきますよ──なんか、帝国領の方から、強烈な殺意が伝わってきますので」

「それは──」

 

 

 それ以上聞くつもりが無かった私は、『テレポ』にてその場を後にした。

 

 行き先は──正確な場所は分からないが、映像越しに感じ取れる『気』を頼りにして、フォーク中将が居る場所の辺りへ。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………その結果、私は宇宙空間を漂うことになったのであった。

 

 

 

 

 

 ──まあ、考えてみたら、当たり前である。

 

 

 宇宙の規模で考えたら、惑星一つ分離れた場所に転移してくるぐらい、僅かな誤差でしかない。

 

 むしろ、目視にて確認できる距離に転移できただけでも、ヨシとしなくてはならないだろう。

 

 

 で、だ。

 

 

 私の眼前(距離にして数十万キロメートルはあるけど)にある、なんだろう、銀色の惑星……かな? 

 

 なんだっけ、なんか軍人さんたちが話していた会話にあった……ええ~っと、イゼル……イゼル、ああ、『イゼルローン要塞』だ。

 

 なんか、『雷神(トール・ハンマー)』なる主砲が搭載されているらしい。無策に突っ込めば、何万隻、何十万隻の軍艦を用意したとしても、突破は不可能な難攻不落な要塞とのことだ。

 

 それが、私の眼前にある。感じ取った『気』からして、要塞内部にフォーク中将とやらが居るのは間違いない。

 

 

(……来なさい、ベルクロス)

 

 

 とりあえず、ベルクロスを召喚する。

 

 ベルクロスの全長は100mぐらいしかないが、その強さは人知を超えている。

 

 御自慢の雷神がどれほどの威力かは知らないが、超新星爆発クラスの威力でなくば、ベルクロスにダメージを与える事は不可能に近いだろう。

 

 なので、ただ破壊して皆殺しにするだけならベルクロスを向かわせるだけで済むが……さすがに、上のとばっちりを一方的に受けろというのは可哀想すぎるので、私はベルクロスと共にイゼルローンへと向かう。

 

 すると……こちらに気付いたイゼルローンは、どうやら練習を兼ねて、主砲にて私諸共未確認生命体を消し飛ばすつもりのようで……私たちに向かって、雷神が放たれた。

 

 それは、光の束であった。

 

 確かに、これなら何万隻あろうが瞬く間に蹴散らしてしまうだろう。少なくとも、ヤンさんたちが乗っていた軍艦なら、一瞬で蒸発してしまうほどの火力である。

 

 

 ──グォオオオ!! 

 

 

 が、しかし……その火力も、ベルクロスの前ではそよ風にも等しい。

 

 私の指示に従ったベルクロスは、迫りくる雷神を真正面から受け止め……無傷のまま、雷神は何一つ仕留められないまま、放射を終えた。

 

 

(ベルクロス、そのまま適当にイゼルローンの注意を引き付けておいてちょうだい)

 

 ──グゥオオオオ!! 

 

(良い子ね、頑張って)

 

 

 私は『テレポ』にて、要塞内部へと飛ぶ。

 

 瞬間、無限にも等しく広がっていた宇宙の光景から、人工物でのみ構成された光景へと……合わせて、私の身体は調整された大気と重力を受けて、床に着地した。

 

 

 ……さて、と。

 

 

 転移に合わせて、服をこの世界の物から、私が用意した服へと着替え済みなわけだが……どちらにせよ、私の姿は目立つ。

 

 なにせ、イゼルローンは軍事要塞である。

 

 すなわち、ここには軍人と、その軍に雇用された身元がハッキリしている者たちしかない。

 

 そんな中で、この世界基準では11歳ぐらいにしか見えない私に周りが気付けば……そりゃあもう、不審な目で見られるのは当たり前である。

 

 ……まあ、もっとも。

 

 途端、鳴り響く警報。見ている者たちの大半は、要塞の外で注意を引き付けているベルクロスの対応に追われ、私から意識を逸らして各々の役割を果たすために離れて行く。

 

 いくら私が気になるとはいえ、私の見た目は子供だ。

 

 ましてや、未確認のナニカが要塞に迫って来ているばかりか、雷神すらも通じていないのが分かっている今、私に構っている暇などないのだろう。

 

 迷う素振りを見せた者も、『誰かが対応してくれるだろう』と判断するのは、ある意味では仕方がない事で……思っていたよりも、私へと向けられる注意は少なかった。

 

 

(とりあえず、『気』を頼りに向かうか)

 

 

 さて、今の内に、やる事を済ませるだけである。

 

『異空間』より、刀を取り出す。名は、『絶刀・鉋』。 

 

『世界の何よりも固き、折れず曲がらず刃こぼれ一つしない、永遠に切れ味を保ち続ける』という性質を持つ武器だ。

 

 これを片手に、歩き出す。

 

 ある程度奥へと進めば、そこが持ち場の兵士たちが私に向かって大声を発する。私はそれを無視して、『テレポ』にて短距離転移を繰り返して移動する。

 

 私は別に、シリアルキラーではない。落とし前をつけるのは、もう決めている。

 

 そうして、最奥の部屋……というのはかなり広いスペースへと到着した私は……先ほど、画面越しに私を見ていたフォーク中将を見付けた。

 

 

「──っ!? 君は、そこで何を──」

 

 

 と、同時に、私に気付いた兵士たちが私に向かってレーザー銃を構え──が、遅い。

 

 

「『日の呼吸──烈日紅鏡(れつじつこうきょう)』」

 

 

 左右に素早く刀を振るう二連撃──。

 

 

 

 “Topics! ”

 

 “『日の呼吸』とは、『鬼滅の刃』という作品に登場する呼吸法(剣技)の一つであり、作中では『始まりの呼吸』とも呼ばれている”

 

 “作中において、この呼吸法の使い手は2人だけ。耳飾りを付けた剣士と、生まれつき顔に痣を持っていた『私』だけである”

 

 “いやあ、あの時は大変だった……鬼舞辻マサキなる鬼の王が操る、次元連結システムはもう本当に大変だった”

 

 “次元連結システムのちょっとした応用とかで『冥王の呼吸:ゼオライマー』を放たれた時はもう、マジで死を覚悟したよ……”

 

 

 

 ──これにより、こちらに向けていた銃のみを切り落とした私は……まだ状況が呑み込めず唖然としているフォーク中将の横を通る。

 

 

「あ、まだ映っているんだ、やっほ、ヤン中将」

『えっ!? コマチ、本物か!?』

「はい、本物です。とりあえず、フォーク中将には落とし前をつけます。機会があれば、また会う事もあるでしょう」

 

 

 すると、まだ画面にはヤン中将が映っていた。

 

 感覚的にはビデオ通話だ……とりあえず、『コマチ! 早まった真似はよせ!!』こちらを止めようとするヤン中将を無視して──フォーク中将へと向き直り。

 

 

「──ま、待て!?」

「それでは、また来世」

 

 

 ようやく我に返ったようだが、全ては遅い。

 

 大きく上段へと振り上げた、必殺の一撃にて──その身体を真っ二つに両断した。

 

 人が、上から下へと切り落とされる。別れた身体が左右に離れてボトリと落ちる。その異様さは、軍人ならなおさら理解してしまうだろう。

 

 ふんす、と。

 

 満足げに鼻息を吹いた私は、凍りついたかのように誰もが動けなくなっているその場を後にすると。

 

 

(……せっかくだ、首都とやらに向かうとしよう)

 

 

 自由惑星同盟の首都である、バーラト星系第4惑星『ハイネセン』へと向かう事にしたのであった。

 

 

 




いやあ、次元連結システムのちょっとした応用で生み出された無限城は……大変でしたね(by『私』)
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