チートで雑な召喚士もどき(TS済)の長い旅路―なお原作知らず―   作:葛城

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※ ちょい、バイオレンス描写注意


第6話: 飯を食っているだけなのに……

 

 

 ハイネセンへと到着した私が、しばしの滞在をしてからそれなりの日数が経った。

 

 

 正直なところ、最初の頃は宇宙を行き来する軍艦なんてのが何万隻もあるわけだから、SFちっくな街を想像していた。

 

 なんかこう、街の中をデカいガラスの排水管みたいなのが通っていて、その中を車などが走っていたり。

 

 なんかゴルフピンに乗せたゴルフボールのような、丸いカプセル状の家が立ち並んでいたり。

 

 全身タイツのような服を着た男女が、なんかSFちっくな感じで機械を使って仕事をしていたりとか。

 

 そんなのを想像していたのだが……いや、まあ、冷静に考えたらそんなわけなかった。

 

 だって、ヤンさんたちの恰好が、そうではなかったから。

 

 最新設備である軍艦がそうなのだから、庶民の暮らしがそんなSFみたいなアレではないのは明白で……とにかく、私は拍子抜けすることになった。

 

 まあ、あまり拍子抜けられている時間はなかったけど。

 

 その間、色々な問題が起こったが、幸いにも事は静かに集結し、私の懐ばかりが温まって、私はとってもホクホクな顔をするばかりであった。

 

 

 ──なにより、ハイネセンの飯は美味いのだ。

 

 

 いや、さすがに首都星(?)なだけはあるようで、お金をちゃんと払えば、普通に美味い飯が食えるのは有り難い。

 

 ステーキ一つとっても焼き方が実に絶妙で、レアでもウェルダンでもキッチリしてくれるし、どの店もソースなどにこだわりがあるようで。

 

 パンでも、市販品(ただし、高級)を使っている店もあれば、コックが自ら手作りしている店もあり、なんとも個々の趣があってよろしい。

 

 あと、客層も良い。金を払っているだけあって、本当に落ち着いて食事がとれる。

 

 たしか、マネーカーテン、マネーウォールだったかな? 

 

 金銭の壁というやつで、要は、安い店には質の悪い客が集まり、高い店には質の高い客が集まる、というものだ。

 

 例外はあるだろうが、この考えは概ね当たっている。だいたいの例外を除いて、安い店というのは客層が悪いのだ。

 

 私としては、飯が美味ければ多少なり客層が悪かろうがどうでもよいのだが……さりとて、まったく気にしないわけではない。

 

 食事というのは、こう、厳かで、優しくて、寂しくて、それでいて楽しくて……穏やかな自由の中で行われる営みなのである。

 

 だから、ハイネセンでのレストランの食事は、とっても私を満足させるものばかりであった。

 

 

(──ただし、方向性としては洋食だけど)

 

 

 とはいえ、だ。

 

 言い換えれば、そういう美味なのは、レストランのように大衆が日常的に利用しないような店に限る。

 

 日本のように、安価で多種多様に美味い飯が食えるなんていうのは、世界的に見ても非常に稀なのだ。

 

 やはり、グレードを下げるとメニューはだいたい似たような物が増えるし、味のランクもまた、同様に下がる。

 

 その中でも美味い店があったりするのだけど、そういう店はだいたい常連客が列を作っていたり、コックが徴兵されてまだ帰って来ないとか……う~ん。

 

 

(──ついでに、元帥とやらの首も落としておくべきだったか?)

 

 

 まあ、過ぎたことは仕方ないし、わざわざ戻って首を落としに行くのは面倒だし、その責はもうフォーク中将が命で支払った。

 

 これ以上は私の私怨でしかないので、これもまあ運の巡り合わせか……改めて、今日も同じ結論を出した私は、最近贔屓にしている店を後にした。

 

 本当はもっとゆっくりしていきたいのだが、最近になって、なんか色々と変なやつらに絡まれる機会が増えてしまったので、そうも言ってられないのだ。

 

 そいつらは私の財布、もとい、収入源になっているのであまり邪険にはできないが、あいつら、時と場所をまったく選ばないから、そういう面では非常に面倒である。

 

 だって、せっかく見つけた贔屓の店が無くなるのは嫌だ。

 

 どうでもいい人たちが何百人死のうが本当にどうでもいいが、美味しい飯を作れるモノが1人でも減るのは私にとって悲しいことなので、そりゃあもう面倒でもやらなくてはならない。

 

 なので、最近は常にサーチの魔法であいつらの位置をマークしており、常にその動向を把握せざるを得ないようになっている……私はストーカーか? 

 

 だからこそ、先ほどの店はそんな私のストレスを解きほぐす意味でも最高なのだ。

 

 特に、朝の9時まで提供されるモーニングセットが本当に絶品なのだ。

 

 内容はいたってシンプル、トーストにポテトサラダにコーヒーだが、これがまあ美味い。

 

 コックが特にこだわっているコーヒーは、もうこれを飲むためだけに来ている客が居るのでは……と思うぐらいで、今度ヤンさんに会えたら是非とも招待してやろうとすら思ったぐらいに美味かった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、だ。

 

 

 マークしているあいつらが近付いてきているのは分かっていたので、あえて人通りの無い場所を通り……待っていると、なんか装甲車っぽいのがやって来て、私の退路を塞ぐ形で止まった。

 

 中から、なんかフルアーマーっぽい防護服を着た者たち(中には、顔を隠している者だけも居る)がぞろぞろと出てくる。

 

 

 こいつらは……なんだったか、そうだ、『憂国騎士団(ゆうこくきしだん)』だったか、愛国主義を気取る無法者、ならず者たちである。

 

 

 こいつらは私がハイネセンに滞在し始めてからけっこうすぐに襲撃してきたやつらだ。

 

 初回は全員返り討ちにしたし、なんか色々理由をつけて私を逮捕しようとした警官もミンチにしたから、少しの間は静かになったけど……最近では、なんかこう意図的に狙われているっぽい感じだ。

 

 魔法にてこいつらから情報を搾り取ったおかげで、こいつらの後ろにいる黒幕というか、関係者は分かっている。

 

 

 というか、関係者マジ多過ぎ。

 

 

 だいたい仄暗いヤベーやつもそうだけど、警察はおろか軍人さんもそうだし、なんなら相当数の官僚もけっこうガッツリ関わっているというか、お仲間っぽいのだ。

 

 

 なんか、『自由惑星同盟』さん、ヤバくね……と思った私は悪くないだろう。

 

 

 だって、問題は『憂国騎士団』だけじゃないのだ。

 

 犯罪率が高いとか、治安が悪いとか、悪徳こそ美だとか、そういう事じゃない。

 

 こう、説明は難しいが、感覚的に人々の意識が腐敗しきった国って、こんな感じになるんだなあ……っていうのが、けっこう日常的に感じ取れてしまうのだ。

 

 とにかく、何を決めるのも自分は悪くない、他人に責任を押し付けることしか考えていないし、それに無自覚が過ぎるのだ。

 

 これはもう、どのみち遅かれ早かれ滅亡するのでは……と、部外者の私が思うぐらいなのだから、いかにこの国が根っこからヤバいかが窺い知れるというものだ。

 

 

 ……まあ、私には関係ないことだけど。

 

 

 話を戻すが、既にこいつらを通じて仄暗い資金をちょろまかした後だから、お財布的な意味でも、既にこいつらは私にとってなんら重要ではない。

 

 別に私は警察でもなければ、正義の使者でもない。

 

 この世界の事は、この世界の人達が頑張れば良いことで、私はただの異邦人……なんとかしてやろうという理由がないので、基本的には放置している。

 

 

「おじさんたち、物騒な装備で来るのは構わないけど、手を出して来た以上は絶対に逃がさないけど……それでも来るの?」

 

 

 なので、せめてもの慈悲を込めて、そう忠告をした……わけなのだが。

 

 

「──行け!」

 

 

 なにやら、彼らの中でもひと際背丈の低い、ローブとマスクで全身を隠した者が小走りに駆け寄ってきて……私に抱き着いて来た。

 

 

「……あれ、もしかして」

 

 

 こいつ、まだ子供か……と思った瞬間、ローブの下に隠していた爆弾による自爆によって……私の全身は、爆風と熱気と破片に晒されたのであった。

 

 

「──やったか!?」

「あの距離だ、即死で間違いない!!」

 

 

 歓声をあげる彼ら。

 

 まあ、それが普通だ。

 

 いくら防護服を着込んだところで、0距離からの自爆特攻。運悪く即死しなかったとしても、致命傷は免れないような状況である。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………でもまあ、うん。

 

 

「『グラビデ』」

 

 

 既にそう来ると分かっていた私は、『プロテス』にて全身防御済み。服以外は無傷の私は、すっぽんぽんのまま……彼らを火達磨にすることに決定である。

 

 そのために、まずは動きを止める。全員、ドシャッとその場に崩れ落ちた。

 

 『グラビデ』は重力魔法であり、動きを封じるにはもってこいだ。特に、重火器なんて一瞬で重さが数十キロにも跳ね上がりから、鍛えた軍人でも構えるのが困難である。

 

 

「『ライブラ』」

 

 

 もちろん、1人も残さず彼らの秘密を素っ裸にして、取る物を全部根こそぎ奪ってからである。

 

 別に金に困っていないが、迷惑料を取らないという選択肢は私にはない。しかし、こいつら(というか、バックか)もバカではない。

 

 これ以上の資金を奪われるのは嫌なようで、私を襲いに来るのはすっかり何も知らない鉄砲玉か、薬漬けの狂人ばかりだが……その程度、なんの問題もない。

 

 ある日突然天啓が降りて動いた……なんてあるわけがないのだ。

 

 必ず、彼らに指示を出した者や、控えている者が居る。

 

 生きてようが死んでようが、関係ない。私には『サイコメトリー』能力もあるから、それを追いかけるだけの事。

 

 そう、糸を手繰り寄せるように、辿り着くだけ。

 

 いいかげん、鬱陶しさを覚え始めていた私は……中には若い子も居たけど、欲しい情報を得た後は構うことなく火達磨にしてから……彼らの住居へと急いで『テレポ』した。

 

 

 ……なんで急ぐのかって? 

 

 

 急がないと、こいつらのカードとか止められてしまうのだ。前に、それで引き出せなくて悔しい思いをした。

 

 既に止められている可能性は高いけど、金は無くて困ることしかないけど、有って困る事はあっても有益なのも多いので、まずは資金の補給を最優先である。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、まあ、そんな感じで私は、糸を辿るようにして黒幕を追いかけていた……わけなのだが。

 

 

「……『地球教』?」

 

 

 これがまあ、もっと面倒臭いことに、宗教が絡んできたのが発覚して、それはもう私のやる気をこれでもかと削がれてしまった。

 

 なにせ、この『地球教』。お題目は『地球を聖なるものに』なんて程度だが、やっている事はカルト宗教真っ青な、ヤベーテロ集団である。

 

 同盟と帝国両方で禁じられている薬物をバンバン売りさばいているし、要人暗殺や誘拐、秘密裏に仲間を増やしているっぽくて、それはどうやら双方の深いところにまで入り込んでいるっぽいのだ。

 

 め、めんどうくせぇ~~……と、堪らず顔をしかめた私は悪くない。

 

 宗教……これがまあ、本当に面倒臭い。特に、カルト染みているやつは、とにかく関わりたくないぐらいだ。

 

 でも、教の敵みたいな立場にされてしまっているっぽいのは確かなようで……やれやれ、仕方がない。

 

 

「とりあえず、地球に居る地球教のやつらを根絶やしにするか……」

 

 

 何時までも命を狙われ続けるのを面倒に思った私は。

 

 

「ベルクロスは……いかんね、惑星が粉々になってしまう……じゃあ、アレだな」

 

 

 『神器エーテルフローズン』を取り出した私は、それを天に掲げると。

 

 

「──来なさい、ジェノサイバー」

 

 

 虚界の構成元素が集結し、実体化した破壊神『ジェノサイバー』を召喚した──。

 

 

 

 “Topics! ”

 

 “『ジェノサイバー』とは、『ジェノサイバー 虚界の魔獣』というOVA作品に登場する破壊神のこと”

 

 “スーパーカルトアニメーションと外国で呼ばれるだけあって、内容は暴力&血飛沫&内蔵プシャー&グロテスク&悲惨MAXであり、グロすぎてR-18指定されたぐらいなので、生半可な覚悟で検索してはいけない”

 

 “本来は内部に居る双子の姉妹が身体と心を制御しているのが、この破壊神は『私』が彼女たちを人間として分離させているので、今では指示に従うロボットのようなものである”

 

 

 

 ──それは、全長2m強、重量250kg以上の人型をしており、他の生物を殺すことに特化した、禍々しい姿をしている。

 

 こいつは、中々に強い。

 

 まず、物理攻撃がだいたい効かない。

 

 ベルクロスのような存在自体がやべえやつの攻撃とか、ゲッターエンペラーのような存在自体がやべえやつの攻撃ならともかく、貧弱な対人間用レーザー銃程度では100万発撃ち込んだところで無傷である。

 

 というか、それ以前に、ジェノサイバーは普通の攻撃では倒せない。コイツの身体からは常に『ヴァジュラ』と呼ばれるエネルギーが放出されていて、それがシールドの役割を果たしている。

 

 この『ヴァジュラ』は、異界より流れ出てくる風みたいなもので、この『ヴァジュラ』を破るには、同じ『ヴァジュラ』をぶつけるのが有効である。

 

 いちおう、『ヴァジュラ』にも限界はあるらしいので、一定以上の火力ならば打ち破れるらしいが……それこそ、軍艦の主砲クラスでなければ、まず不可能である。

 

 しかも、コイツはやろうと思えば戦車を一瞬にして溶解させるほどの膨大な炎を吐くし、なんか超能力的なオーラを飛ばして攻撃するし、そもそも『ヴァジュラ』無しでも強固なボディだ。

 

 星をぶっ壊さない程度に強く、地球教のやつらを皆殺しにしてくれる……まさに、痒いところに手が届くようなやつである。

 

 

「それじゃあ、お掃除に行きましょう」

 

 ──キシャ―!! 

 

 

 準備ができた私は、さっそく『テレポ』にて地球へ……この世界の地球へと、『テレポ』をしたのであった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………結果は、どうなったかって? 

 

 

 そんなの、皆殺しである。

 

 

 なにせ、ジェノサイバー……中に居た姉妹の名残なのかもしれないが、邪悪な心や悪意の心を持つ相手は特に念入りに皆殺しにしようとする。

 

 しかも、一度暴れ出したら、私が止めない限りは老若男女、善人悪人の区別なく、生きている者全てを殺し尽くすまで止まらないのだ。

 

 さすがに、無関係な人まで殺すのは駄目なので、その時は止めるつもりでいた……が、しかし、さすがは地球教の本拠地。

 

 無関係な者なんてマジで一人もおらず、それ以外の人も麻薬によって極度のジャンキー、あるいは廃人になってしまっている者しかいなかったので……速やかに、焼却処分となった。

 

 

 ……とりあえず、事は済んだ。

 

 

 なんか、総大司教なる人物が居たが、ブツブツと呟く様がなんか気持ち悪かったので、ジェノサイバーの火炎放射によって骨すらのこらず散り散りになった。

 

 そうして、だ。

 

 巻き添えで壊してしまった大地を放りっぱなしにするのはなんなので、しばらく魔法でボロボロになった大地の修繕に勤しむとしよう。

 

 

「なので、君は少し反省するように」

 

 ──キシャ―……。

 

 

 もちろん、興奮のあまり暴れすぎたジェノサイバーを叱っておくとも、忘れずに。

 

 

 

 

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