チートで雑な召喚士もどき(TS済)の長い旅路―なお原作知らず―   作:葛城

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グロテスク描写注意


第7話: 米の恨みは深い……!!

 

 

 

 わっせ、わっせ、そんな感じでジェノサイバーのやらかしの後始末をしていた私だが、これがまあ大変であった。

 

 

 それは、労力の問題ではない。単純に、『待ち』の時間が長いという問題だ。

 

 あらゆる事柄においても同じだが、作るよりも壊す方がはるかに楽である。

 

 それこそ、3歳児であろうと壊すだけなら可能だが、作るとなれば20歳を超えていてもできない事もある。

 

 ましてや、それが生き物ともなれば、もっと難しい。

 

 素人が家庭菜園に手を出して、実らせるどころか枯らしてしまうなんてのは良くある事だし、血の通った生き物でも同じ事。

 

 私が持つ魔法やスキルの中には『成長促進』などがあるけど、当然ながら、副作用も大きい。

 

 後先考えずに今だけを求めるならまだしも、これから先、10年先、20年先、30年先を考えるなら、どうしても『待ち』を避けては通れない……というわけだ。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、まあ、それなりの日数が経って……とりあえず、後は放置しても……ん? 

 

 

 ──なんでそんなに掛かったのかって? 

 

 

 そりゃあ、ジェノサイバーが暴れたからである。

 

 というのも、ジェノサイバーの攻撃は基本的に周囲への被害をまったく考慮していない。

 

 『ヴァジュラ』を放射すれば、それだけで並みの人間は圧力に耐え切れずミンチ状に弾けて潰され、大地にクレーターを作る。

 

 口から放出される業火は、ただの火炎放射ではない。

 

 無限にも等しい『ヴァジュラ』の力を熱に変えている。

 

 言うなれば無限に燃料が追加され続ける火炎放射であり、放射時間が長ければ長いほどに高温かつ広範囲に広がる。

 

 そう、これこそが破壊神『ジェノサイバー』の恐ろしさ。

 

『ヴァジュラ』による驚異的な防御能力だけではない。ただ移動するだけ、それだけでも放出される『ヴァジュラ』で周囲に壊滅的な被害をもたらし、焼け野原にしてしまうのだ。 

 

 実際、ジェノサイバーが暴れた後は酷かった。

 

 人間はおろか、周囲の動植物もそうだが、地形とて無事なところは一つも無い。

 

 人間は1人の例外もなくジェノサイバーに殺され、巻き添えを食らった動植物も死に、何十年、何百年、何千年と月日を掛けて形成されていった森林が一つ、灰になった。

 

 むしろ、それだけの被害を元通り……さすがに失った命までは完全に回帰させられないが……少なくとも、再び命のサイクルが出来るようになるまで戻せた私、すごいと思わない? 

 

 

 ──とまあ、ひと段落ついたので、私は……今度は帝国の方へと向かうことにした。

 

 

 なんでかって、それは奇跡的にも被害を免れていた宇宙船……おそらく地球教の者たちの私物と思われるが……それが、一隻有ったから。

 

 もちろん、使い方は知らない。さすがの『ライブラ』でも、用途とか製造型番とかは分かっても、操縦技術までは習得できない。

 

 たとえるなら、『ハンドルを目的に合わせて動かし、アクセルを踏めば車は進む』というところまでは分かっても、実際にそれだけで熟練パイロットのようにいきなり乗りこなせられるかといえば……というやつだ。

 

 あと、付け加えるなら、この宇宙船めたくそにデカい。さすがに軍艦ほどではないが、広すぎて内部の居住スペースを一部屋一部屋順番に使おうと思ったら、何カ月かかるか……それぐらいにデカい船だった。

 

 だからまあ、調べるだけでもけっこう時間が掛かる。そうして頑張っても最低限の部分だけ……それでも『ライブラ』で……とりあえず、丹念に丹念に調べた結果。

 

 

「……オーディン?」

 

 

 どうやら、宇宙船は自動操縦装置があるようで、行き先は決まっているが、ボタン一つで自動的に全てやってくれるようだ。

 

 で、それならそれで、良いのだけど。

 

 なんだっけ、『オーディン』。なんか聞き覚えがあるような……どこで聞いたっけ……レストランだっけ……ヤンさんたちの軍艦だっけ? 

 

 しばし、う~ん……と考えた私だが、考えるのが面倒になった私は……思い出すのを諦めると、さっそく宇宙船を起動させ……オーディンなる星へと向かったのであった。

 

 ちなみに、地球教の船に積んだ食糧だが、ぶっちゃけると不味かった。

 

 なんというか、アレだ……自然的なアレというか、添加物は悪というか……よく言えば、素朴的な味だった。

 

 悪く言えば、味が薄かった。

 

 薄味は嫌いじゃないけど、もう少し香辛料、そうでなくとも塩は使えと思ったが……なんだろう、ナチュラル思考になるとそうなるのだろうか……不思議な気分になた。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、船の中にある教義たっぷりなPV動画を見ていたある時……問題が生じた。

 

 

 悲しい事に、航行途中で宇宙船の推進装置が故障してしまい、慣性運動による……すなわち、進み続けるだけの箱舟になってしまったのだ。

 

 さすがに、予想外である。

 

 しかし、冷静に考えたら、起こるべくして起こる事でもあった。

 

 なにせ、整備はおろか操縦すらまともにできない者が、本来は最低でも何十人の人員が必要な規模の船を、1人で乗っているのだ。

 

 そんなん、途中で故障してもなんら不思議じゃない。

 

 ていうか、『ライブラ』で調べてログを見てみたら、なんかめっちゃ長々とエラーが……搭載されたAIからも、『はよ対処せい(半ギレ)』みたいなのがめっちゃ届いていて、ほんともう、うん。

 

 ごめんね、と思わず謝った私である。

 

 そんなわけで、プラプラと宇宙空間を漂うわけだが……幸運なことに、天は私を見放していなかった! 

 

 

「……お~、なんだあれ、星か? いや、なんか違うっぽいな」

 

 

 幸いにも、壊れたのは推進装置なだけで、電力を作ってくれる動力部分は正常に制御されているので、私はポチポチと宇宙船のコンピューターで調べた。

 

 

「……ガイエスブルグ要塞? なんでもいいや、飯を食おう」

 

 

 また軍事施設か。

 

 何処も彼処も要塞だらけかと思いつつも、いいかげん自然派食品(物は言い様)に飽き飽きしていた私は、さて、どうしたものかとちょっと迷う。

 

 なんで迷うのかって、この宇宙船だ。

 

 放置して単身で向かうのは簡単だが、この船を放置して良いものか。推進装置は壊れているが、それ以外は正常に稼働しているし、寝泊まりするには十分だ。

 

 なんというか、気分は空き缶のポイ捨てだ。

 

 完全に使い物にならなくなっているならともかく、まだ使える部分があるのに捨てるのは……ちょっと、もったいない気持ちになる。

 

 正直、今すぐこの場に商人が来てくれたら、1000ディナール(同盟の通貨)どころかタダであげちゃうぐらいなのに……っと、思っていると。

 

 

 ──突然、船が揺れた。

 

 

 常人ならその場で転倒してもおかしくないほどの揺れだが、反射的に『レビテト』で揺れから逃れたのでノーダメ―ジである。

 

 『レビテト』とは要は自陣の身体を浮かす呪文だ。

 

 空を飛ぶというほどではないが、身体が地上より浮いているので、どんな悪路でもスイスイ進むことができる──お? 

 

 再び、とてつもない振動──その直後、光と熱波が一気に私の視界を埋め尽くし……しばし後、私は残骸と成り果てた宇宙船だった物の中で、目を瞬かせていた。

 

 

(……あ、撃沈されたのか)

 

 

 しばし困惑していた私だが、要塞の方より感じ取れた熱気というか、先ほどまでなかった点滅を見て、察した。

 

 そりゃあ、そうだ。

 

 どんな世界であろうと、所属不明の乗り物が軍事施設に近付いて来たら、拿捕されるか撃沈されるかのどちらかである。

 

 もしかしたら、私が気付かなかっただけで、『所属不明の船、止まりなさ~い!!』とか通信が来ていたのかもしれない。

 

 

 ……なら、悪いのは私か。

 

 

 そう諦めた私は、とりあえず眼前の……眼前にしては遠いだろうけど、『ガイエスブルグ要塞』なる人工の星へと向かった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、中に入った私だが……なんだろう、軍事要塞だからなのかもしれないが、なんか物々しい雰囲気をしていた。

 

 

 着ている衣服も真っ黒で、なんか葬式に出ているかのような感じがする。

 

 とりあえず、私を見るたび『子供? いやいや、そんなはずは……』といった感じで瞬きしたり目を擦ったりしているのを尻目に、私は自らの嗅覚を頼りに歩き続け……無事に、食堂らしきところを見付けた。

 

 

「日替わり定食、ある?」

「ひがわ──え、日替わり?」

 

 

 たまたまテーブルを拭いていたコックらしき人に尋ねたら、そのコックさん、私を見て心底驚いたかのように目を瞬かせ……次いで、青ざめた顔で屈んで視線を合わせてくれた。

 

 

「あの、家名をお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「家名? そんなの無いよ、私は小町だ」

「コマチ……ええっと、コマチちゃん。落ち着いて聞いてね」

 

 

 当たりを見回してから、コックさんは真剣な眼差しで告げた

 

 

「ここはもうすぐ戦場になります、今すぐお父様に謝りに行って、オーディンに引き返しなさい。いったいどうしてこんな場所に……」

「う~ん、そう言われても船は爆散しちゃったし……」

 

 

 まあ、撃沈されなくても推進装置壊れていたから、どのみち行けるわけがなかったのだけど……っと、思っていると。

 

 

「──どうしたのかね?」

「あっ、メルカッツ様!」

 

 

 なにやら、紳士っぽい初老の男と、年若い男性が食堂に入って来た。

 

 そして、おそらく帝国式の敬礼を互いにした後で、コックさんは短い経緯を説明し……メルカッツと呼ばれた紳士さんは、一瞬ばかり大きく目を見開いた後。

 

 しばし、何かを考え込むかのように沈黙を続け……それから、コックさんと同じく屈んで私の視線の高さに合わせてくれた。

 

 

「お嬢さん、コレから行う私の質問に、正直に答えてくれないかな」

「はい、なんでしょうか?」

「君は……アムリッツァ会戦の時、同盟に物資の提供を行ったという少女かね?」

「アムリッツァ会戦というのはよく分かりませんが、物資の提供は行いました」

 

 

 素直に答えたら、なにやら年若い方が懐より銃を「シュナイダー! よさないか!」取り出した途端、紳士さんは怒鳴って止めて……再び、私を見つめた。

 

 

「どうして、助けたのかな?」

「義理です。もう義理は果たしましたので、助けませんけど」

「……なるほど。では、どうしてこのガイエスブルグへ?」

「たまたまです。乗っていた宇宙船の推進装置が故障して、たまたまこの近くに着いたから、それだけ」

「……もしや、先ほど撃沈したという話が出ていた、所属不明の……」

「あ、それです。ビックリしましたよ、ほんと」

 

 

 私の言葉に、紳士さんは一言お礼を告げると、「これは……とんでもない事になったな」それはもう気難しい顔で考え込むかのように唸った。

 

 

「どういう事ですか?」

「私にも、それなりの伝手はある。この件は後で説明しよう。今は、この子に対してどのような対応を行うか、だが……」

 

 

 シュナイダーと呼ばれた年若い男が困惑しているのを尻目に、紳士さんは、またもや沈黙した後で……おもむろに、私に尋ねてきた。

 

 

「率直にお伺いしよう。仮に、私が君に協力を要請したとして、君は私たちに協力してくれるか?」

「嫌かな。別に義理でも何でもないし、取引に応じるほどの間柄でもないし……あなた達のことは嫌いじゃないけどね」

「……そうか」

 

 

 一つ、溜め息を零した紳士さんは……それから、すまなそうに私を見つめた。

 

 

「意趣返しというわけではないが、お嬢さんは本来直ちに捕縛される立場にある。また、ここに許可なく立ち入ることも許されていない」

「うん、それは、そう」

「しかし、腹が空いているのに放り出すのは気の毒だ。なので、食事を取ったら速やかに要塞より退避してもらえるとありがたい。君なら、できるのだろう?」

「……ありがとう」

「お礼は必要ではないよ。ここはいずれ戦場になるのでな」

 

 

 私が頭を下げれば、紳士さんは。

 

 

「私にも、娘が居る。軍属でもない、お嬢さんのような年若い子が巻き込まれるのは、あまりに忍びない」

 

 

 そう、言い残し、コックさんに私のご飯を用意するよう命じ、食堂を出て行ったのであった。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………あ~、う~ん、も~う、これは……ねえ。

 

 

「この世界、何処へ行っても戦争してんの?」

 

 

 短い間とはいえ色々あったけど、移動するたび戦争に巻き込まれたり、なんか騎士団とやらが殺しにきたり、宗教がらみのやつらが来たり。

 

 

「……ここのご飯を食べたら、この世界とはおさらばしよう。正直、なんかもう色々と疲れるな、この世界」

 

 

 次にこの世界にやって来れる保証はないけど、せめてもう少し情勢が落ち着いている世界が良いかな。

 

 この様子だと、オーディンとかに行ってもドンパチ巻き込まれそうだし、他の星に行っても巻き込まれそうだし……ていうか、そらく巻き込まれる。

 

 別に、情勢が乱れているぐらいなら私は構わないのだ。

 

 ただ、けっこう金が要るレストランに行かなければ美味い飯が食えないというのは、私にとっては中々のマイナス評価。

 

 イクールの時はもう情勢どころではなかったので、別の世界へGoしたわけだが……飯を食うだけなのに、こうも次から次に戦火に巻き込まれるのはうっとうしい。

 

 まあ、仕方がない、次があるさ。

 

 そう、結論を出した私は、この世界における最後の食事が出て来るのを待つのであった。

 

 ……なお、そうして待ってからコックさんが出してくれた食事は、レストランのそれに引けを取らないぐらいに美味かった。

 

 で、コックさんにお礼を言ってから、私は再びゲートを開いて、別世界へと渡った。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、だ。

 

 

 饒舌にし難い不可思議な景色を通り越せば、ガラリと世界が切り替わって……私の前には、なんだろう、とても懐かしい景色があった。

 

 時間は、夜だ。真っ暗だが、街灯やらネオンやらがいっぱいあるのでけして暗くはない。

 

 立ち並ぶビルに、嗅いだ覚えのある排気ガスの臭い。古びたアスファルトのヒビ割れや、等間隔で並ぶ薄汚れた電柱。

 

 見覚えのある名称のコンビニに、見覚えのあるCDショップに、見覚えのあるチェーン店に、見覚えのある人々の恰好……そう、人々だ。

 

 眼前には……人、人、人。

 

 しかも、先ほどまでのなんか西洋系の顔立ちではない。『The・日本人』みたいな風貌の人達がごった返しており、時間帯によるものか、観光地かと見間違うほどに人が多かった。

 

 

(……よ、よっしゃぁああああああ!!!!!! なんか見覚えのある日本に来たぁぁああああ!!!!!!!)

 

 

 あまりの歓喜に、思わずその場で歓声をあげなかった私は、本当に己自身を褒め称えたい気持ちでいっぱいであった。

 

 だって、だって、だって、日本である! 

 

 世界一安価で品質が保証されていて、幅広いジャンルの飯が食える国である。しかも、眼前の景色からして……おそらく、年代は『平成中期』だとみて間違いない。

 

 これまで何回転生したのか思い出せないぐらいに記憶はあるが、『日本』というのは最近(というか、直前の記憶が小町だし)だから、けっこうしっかり覚えている。

 

 まあ、ちょっとばかり小町として生きていた年代は外れているが、それでもまったく外れていないわけではなく……まあ、つまり、だ。

 

 

「換金……換金ショップに行かなきゃ……!!!」

 

 

 細かい事は抜きにして、まずは金である。

 

 さすがに、食い逃げをするつもりはないのだ──が、金が無いので、この世界での通貨が必要である! 

 

 

 急げ、急げ、急げ!! 

 

 

 今の私の恰好は魔女といった感じのアレで、そのせいでチラチラ視線を向けられているが、構っている暇はない。

 

 見つけた換金ショップに飛び込むようにして入る。

 

 それから、すばやく店員に魔法的説得を行い、『異空間』より取り出した金の延べ棒を売りとばし、現金にして150万円を手にする。

 

 もちろん、偽物ではない、ちゃんとした黄金である。

 

 まあ、黄金の品質を表わす刻印などは無いので、そういう点での不安はあるが……とはいえ、この世界のレートで換算すると500万円以上にもなるので、勘弁してもらう。

 

 

 ──で、軍資金が手に入れば、行き先は──ただ一つ。

 

 

 走れ、走れ、走れ! 

 

 見覚えがあるとは言っても、別世界。土地勘など無いので、ウロチョロさ迷いつつ……ついに、私は辿り着いたのだ! 

 

 

「らっしゃっせ~」

「牛丼おしんこセット、味噌汁で」

 

 

 自動扉を開けて、券売機にて注文&着席して3分後……私は、目の前に置かれた牛丼おしんこセット(味噌汁付き)に、思わず感涙しかけた。

 

 

(う、うっめぇぇぇ……コレだよ、やっぱ米だよ……ジャパニーズ・ソウルは何度転生しても忘れられないのだ……)

 

 

 だって、めちゃくちゃ美味かったからである。

 

 正直、1万円払っても良いぐらい美味いと思えた。

 

 なにせ、味噌汁に漬物まで付いているのだだけではない。店内には私と店員を除いて人影はおらず、なんとも物静かで……こんなの、勝ち確定以外の何物でもなかった。

 

 

(くぅ~……あ、そうだ、紅ショウガも……!!)

 

 

 そんな感じで、半分ぐらい食べた辺りで、お好みで自由に使えるトッピングで味変しようとした……わけなのだが。

 

 

『グゥエヘヘ!!』

「は?」

 

 

 その前に、なんか店員がいきなり奇声をあげたかと思えば、ボンと爆発した。

 

 飛び散る鮮血、飛び散る臓腑、牛丼おしんこセットに万遍なく降りかかる惨劇。

 

 感動に浸りきっていた私を現実へ引き戻すかのように起こったスプラッターは、そこで終わらなかった。

 

 具体的には、店員だったモノの身体がメキメキと蠢いて変形し……触手が飛び出したかと思えば、先端より目玉がギョロッと顔を見せた。

 

 

『グハハハ、美味そうな女の匂いだ!! いただきま──』

「死ね」

 

 

 私、ガチのぶちギレである。

 

 指パッチン、それだけで眼前の糞ウンコ化け物は悲鳴一つあげる前に細切れになり、直後に業火に包まれ……ものの数秒で、灰になるまで燃やし尽くされた。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………なんだろう、感動を返してほしい。というか、今のはいったい何なのだろうか? 

 

 

 ほとんど反射的にぶちのめしてしまったうえに、『ライブラ』でも調べられないぐらいに完全に消し炭にしてしまったので、もうさっきのやつが何者なのかは分からない。

 

 いや、この際、さっきのやつはどうでもいい。問題は、今ので食欲が失せてしまった、という点だ。

 

 さすがの私でも、いきなり眼前に臓物をぶちまけられた状態で食欲を維持できるかと言えば、そんなわけもない。

 

 

(……騒ぎになる前に、逃げよう)

 

 

 なんか面倒臭い事に巻き込まれる予感を覚えた私は、心からの溜め息を零して店を出る。

 

 なんか変な力が働いているのか、外を歩く者たちは内部の異変にはまだ気付いていないようで……誰も見咎める気配はなく、私はそのまま近場のホテルへと向かった。

 

 幸いにも、魔法的説得は非常に有効で……身分証明書無しで部屋を借りられた私は、明日に備えて今日は寝ようと部屋の扉を開けた。

 

 

「──よう、悪いが、先回りさせてもろたで」

 

 

 直後、部屋の中に居る不審者……オールバックの髪型が特徴の、なんか頬に左右3本ずつの痕がある……男を見て、私は。

 

 

「……誰かは知らないけど、今の私は相当に機嫌が悪いのだけど、それを覚悟しているのね?」

「すまんのう、怒らせるつもりはないんや。ただ、あんたが魔族をアッサリ倒した手練手管……それに加えて、尋常ではないその力……どうしても、無視してはおけんのや」

「なら、争いに来たの?」

「そういうわけやない、ただちょっとだけ話をしに来ただけや。ワイは天邪鬼(あまのじゃく)。半分だけやけど、獣人の血を引いとる」

「……はあ、私の名は小町よ」

 

 

 それはもう、我ながらこれ以上ないぐらいに深々とため息を吐いたのであった。

 

 

 




嫌気が差した『私』は銀河英雄伝説の世界から、別の世界へと移動しました
いったん、銀河英雄伝説の世界とはおさらばです、どこ行っても戦火に巻き込まれるからね、仕方ないね


次の世界は、『超神伝説うろつき童子』になります

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