神風怪盗ジャンヌ vs鬼の第四機動隊   作:山さん

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神の眼、法の檻

東京都永田町・総理官邸 地下第2危機対策室

午前10時27分

 

壁面に設置された大型モニターには、上空数百キロの軌道から送られた偵察衛星の画像が静かに映し出されていた。

 

そこには、廃教会跡地のような建物。

そしてその中心に――“ジャンヌ”と呼ばれる少女の姿。

ただし、彼女はひとりではなかった。

 

衛星搭載の高感度赤外線センサーは、周囲に奇妙な**“熱源の空白”**を捉えていた。

まるで、そこに「何かがいるのに、温度が存在しない」。

 

「……これが、先ほどの衛星画像か?」

総理・高城遼子が、冷静に口を開いた。

 

「はい。昨日の夜間撮影分。栃木県内、廃村近くの旧礼拝堂跡地。

ジャンヌと思われる対象が、未確認存在と交戦した直後のものと見られます」

報告するのは内閣衛星情報センターの職員。

その横に、公安委員長と警察庁長官、警視総監、そして警備部長・鳴神修の姿が並ぶ。

 

画像はさらに拡大され、白い髪の少女の姿が解析される。

 

「この時点での服装は――例の“変身後”のものと一致しています」

 

「変身、というのは一体…?」

官房長官が小さく目を細めた。

 

「科学的には説明不能です。ただ、現場近隣の複数の監視カメラも同様の変化を捉えており、

衣装・髪色・体型・身体能力のいずれもが、平時と異なっています」

 

「……つまり、人間ではないかもしれないということか?」

 

「いえ、肉体的構成は人間と一致しています。

ただし、筋肉反応・関節可動域・跳躍性能に常人を大きく逸脱したデータが見られます。

――ジャンヌは“人間”としての物理限界を超えた存在です」

 

一瞬、会議室に静寂が走った。

 

だが、次に発言したのは――総理だった。

 

「……構いません。調査は継続。だが、捕縛の方針は変えない。

どんな理由があろうと、予告を出し、現実に侵入・盗難行為を繰り返している。

正義か悪かは問題ではない。“力による現状変更”は、法治国家が許容すべきではない」

 

官房長官が口を開く。

 

「模倣犯のリスクも依然として高い。“何かと戦っている”という印象が広まれば、

個人による私的制裁――つまり“ジャンヌごっこ”が始まる」

 

「それが“悪魔”でも“魔王”でも関係ない。

この国の治安は、ジャンヌという名前の少女ひとりに、委ねるわけにはいかない」

鳴神修の言葉は、重く静かだった。

 

総理はうなずいた。

 

「第四機動隊の白峰隊長には引き続き捕縛指揮を委ねる。

もし“敵”がいるなら、それが何かは我々が突き止める。

だがジャンヌは――“我々の手”で止める。それが、責任だ」

 

会議室の空気が引き締まる。

 

目には見えない“神秘”の影が、国家の中枢に迫る。

だが、彼らが掲げるのは「法の光」だった。

 

たとえその先に、“神”や“魔”が待っていようとも――。

 

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