神風怪盗ジャンヌ vs鬼の第四機動隊   作:山さん

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少しでもストレスが減るようにとw


番外編 強制排除任務:官邸立てこもり事件

それは、あかねがジャンヌと出会う前に経験したどうしようもない呆れたような事件

 

第一章 夜明け前の出動

 

 深夜四時。警視庁本部地下駐車場では、第四機動隊の隊員たちが出動準備に追われていた。厚手の出動服に身を包み、プロテクターを装着し、ライオットシールドと警棒を手にする姿は、誰もが沈黙を貫いていた。

 

 白峰あかね警視――第四機動隊の隊長として、この国家的異常事態に臨むことになった彼女は、黙って配備表を見つめていた。現場は首相官邸。標的は、前代未聞の“居座る元総理大臣”。

 

 与党民自党は衆院選・都議選・参院選と三連敗し、党内のリコール規定により党総裁を解任。それを受けて与党が提出した異例の「与党自身による内閣不信任案」は可決された。国会議決により新総理が指名されたにもかかわらず、現職総理(モデル=石破茂)は「俺はまだ総理だ」と言い張り、官邸の執務室にバリケードを築いて立てこもっているのだった。

 

 この国の秩序の象徴である総理官邸で、民主主義と法治の否定が起きている。あかねはそれを、警察として終わらせなければならなかった。

 

第二章 執務室の前にて

 

 午前五時。官邸西側入口に着いた特殊車両が停止し、機動隊が展開する。警備は報道陣に気取られないよう非公開で行われていた。

 

 執務室の手前、重い木製ドアの前に立ち、あかねは一歩踏み出す。

 

「隊長……ホントにやるんですか……?」  不安げな声を漏らしたのは、若手の壬生沙さやか。手元の盾をぎゅっと握りしめていた。

 

「私、こんなの初めてですよ、トホホ……」  千葉エリカが苦笑混じりに呟いたが、手は震えていた。

 

「俺もだよ」  副隊長の榊圭介が短く言い、肩をすくめる。 「まったく……政治の責任を俺たちに押しつけんなっての」

 

 あかねは静かに前を見つめていた。 「私だって想定外よ……警察人生で、こんな仕事を命じられるなんて思ってなかった」  そして、深く息を吸って言った。 「でも、やるしかないの」

 

「やりますか」榊が問う。 「……ええ」

 

第三章 説得と拒絶

 

 バリケード越しに拡声器で呼びかける。 「あかねです。前総理、これ以上の抵抗は無意味です。議会はあなたを退陣させ、新総理を指名しています。民意はあなたを選んでいません」

 

 中から怒鳴り声が返ってきた。 「ふざけるなぁ! 総裁の座を追われただけで、俺はまだ内閣総理大臣だ! 憲法にも、総理は議会で決まるとしか書いてない! 辞表を出さなきゃ、辞めたことにならん!」

 

 あかねは目を閉じて言った。 「これ以上、法と秩序を弄ぶことは許されません」

 

 元総理の声は続く。 「俺を追い出したら国が壊れるぞ! 日本の舵は俺が取るんだ!」

 

 その言葉に、あかねの堪忍袋の尾が切れた。

 

「いい加減にしなさい!!」

 

 その声は、階段の奥まで響いた。

 

「あなたは、国民の信頼を失ったんです。議会の決定を無視し、民主主義を否定し、法の執行を拒む――それは、国家の根幹を冒す行為です!」

 

 室内が静まり返る。やがて、冷笑のような声が返ってきた。 「信頼だと? 国民はバカだ……メディアに踊らされ、俺の真価も知らずに、すぐ見限る……」

 

第四章 突入命令

 

 沈黙の後、榊が静かに言った。 「隊長、時間です」

 

 あかねは頷いた。 「突入準備、完了しなさい。盾を前面。声かけは最後まで丁寧に」

 

 電動カッターの音が廊下に響き渡る。ドアの蝶番が切り落とされ、バリケードが揺れる。中からの抵抗もあったが、訓練された隊員たちは冷静だった。

 

 五分後。ドアが破られ、突入が開始された。

 

第五章 連行

 

 バリケードの奥には、机を盾にして叫ぶ元総理の姿があった。ヨレたスーツに寝ぐせのついた髪。権力の座に固執するあまり、威厳も失われていた。

 

「離せ!俺はまだ終わってない!歴史が証明する!」

 

 榊が押さえ込み、手錠をかける。白峰が静かに近づき、顔を見下ろす。

 

「歴史は、あなたを“法の敗北者”として記録するでしょう」

 

 その目に、警察官としての厳しさと、国家の崩壊を食い止めた者の責任が宿っていた。

 

第六章 夜明けの空の下で

 

 元総理が護送車に乗せられると、あかねはようやくヘルメットを外した。夜明けの光が彼女の頬を照らす。

 

「これが、私たちの正義……誰かがやらなきゃ、国家は壊れる」

 

 壬生と千葉が隣に立つ。エリカがぽつりと呟いた。 「これから、歴史の教科書に載るんでしょうかね」

 

 白峰は静かに答えた。 「載らなくていいの。だけど、この国の形は、誰かが守らなきゃ」

 

 朝焼けが、東京の空を染めていった。

 

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