神風怪盗ジャンヌ vs鬼の第四機動隊   作:山さん

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米空母艦載機部隊を、率いてあの男が参戦!


同盟の翼

 

航空自衛隊百里基地ブリーフィングルームは、沈黙と緊張に包まれていた。壁面に設置された大型スクリーンには、米空母ジョージ・ワシントンの作戦室がライブ映像で映し出されている。

 

緑のフライトスーツに身を包んだ航空自衛隊第8飛行隊のパイロットたちは、背筋を伸ばし、静かにその瞬間を待っていた。隊長である響祐介1等空佐が、前方の演台に立ち、凛とした声で口を開いた。

 

「今から有名人を紹介する。おそらく、ここにいる者なら誰もが名を知っているはずだ」

 

スクリーンに映った男の姿に、ざわめきが起こる。

 

「マジかよ……本物……」「レッドフラッグで会ったって話は本当だったのか」「実戦で4機以上撃墜してる伝説の男……」

 

画面に映るのは、米海軍第102戦闘攻撃飛行隊、ピート・"マーヴェリック"・ミッチェル大佐。その隣には、若きエース、ブラッドリー・"ルースター"・ブラッドショー大尉の姿もある。

 

「百里の皆さん、ご機嫌よう」

マーヴェリックがモニター越しに柔らかな微笑を浮かべて挨拶する。

 

「お久しぶりです、大佐。レッドフラッグ以来ですね」

敬礼を交えながら高山ユミ2等空尉が応じる。

 

「その節はどうも、ユミ中尉……いや、もう2尉か。昇進おめでとう」

 

ルースターが訝しげに尋ねた。

「大佐、彼女と知り合いなんですか?」

 

「彼女の曽祖父さんと、俺の爺さんが太平洋戦争のミッドウェーやマリアナで戦った間柄でな。戦後は旧敵国同士としてではなく、同じ空の仲間として交流があった。彼女はその精神を今に受け継いでいる。レッドフラッグでは、彼女のF-2を振り切るのがやっとだったよ」

 

「へえ……。F-2、愛称はバイパーゼロでしたっけ?曾祖父と同じ“ゼロ”の名がつく機体に乗るなんて、粋ですね」

 

「そうそ曾祖父は、命のすべてを機体と共にあったと父に語っていました。“空を愛し飛べと言ってました。」 と、ユミが静かに答えた。

 

響が進行を戻す。

「それでは作戦の説明に入る。問題ないか、大佐?」

 

「どうぞ」

 

スクリーンに作戦図が映し出され、響が指し示す。

 

「本作戦名は“破魔雷作戦”。東京都港区臨海美術館に神風怪盗ジャンヌが現れるとの情報を警察から受け、出動が発令される。第8飛行隊は千葉県上空で、第102飛行攻撃飛行隊は神奈川県上空でそれぞれ待機。魔王が東京湾に出現した際、二方向から、目標の50キロまで接近し液体窒素を搭載したミサイルで冷却後、陸自チヌークが鉄球を投下し破砕する」

 

伊奈斗が手を挙げる。

「50キロまで接近するとのことですが、リスクが大きいのでは?」

 

「目標は精神体が実体化した存在であり、照準が非常に難しい。現状、赤外線・レーダー反応が安定する距離が50キロ以内との見解が統合幕僚監部より示されている」

 

ひと息置き、響は背筋を伸ばして言った。 「名目は“有害鳥獣駆除”だが、自衛隊にとって初の実戦任務であることに変わりはない。だからこそ、原点に立ち返ろう。服務の宣誓!」

 

「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感を持って専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応えることを誓います」

 

 全員が声を合わせて読み上げる。

 

その言葉が静謐なブリーフィングルームに鳴り響いたとき、画面の向こうのマーヴェリックも、静かに帽に手を添えて敬礼していた。

 

「そして、現場には警視庁第四機動隊が投入されている。指揮を執るのは白峰あかね警視。彼女の祖父は、あさま山荘事件で殉職した機動隊員。そして父も第四機動隊の精鋭。彼女は“鬼の姫君”と呼ばれ、法と正義の矛を受け継いでいる」

 

響が静かに語る。

「我々が空から守るのは、この国の大地と民。だが地上にも、同じ信念で戦う者がいる。あかね警視のような者がいる限り、この国の背骨は折れない」

 

マーヴェリックが、短く深く息を吸った。

 

「今から話すことは、私にとって誇りであり、そして願いでもある。私たちの祖父や曾祖父たちは、かつて太平洋で戦った。敵として、空で命を削り合った。だが今、彼らの孫や曾孫が肩を並べて、同じ空を飛び、同じ敵に立ち向かっている」

 

「歴史は過去のものじゃない。選び取る意思と、未来に繋ぐ覚悟があれば、それは血の継承ではなく、魂の進化だ。今日、この任務を共に果たすことで、我々は過去を越え、未来を創る。祖先の名に恥じない行動を、そして後に続く者たちの礎を刻もう」

 

響も頷いた。 

 

静寂が再び支配した室内。しかしその静けさは、恐れからくるものではなかった。

 

それは決意。

 

空を翔け、未来を切り拓く者たちの、沈黙の覚悟であった。

 




空自のパイロットとそのモデル

祐介(ひびき・ゆうすけ)
1等空佐/隊長
モデル:ヒビキ・ゴウスケ(ウルトラマンダイナ)
性格・特徴:
・熱血かつ頼れる現場主義のリーダー。
・部下思いで「隊は家族」を信条とする。
・判断力・操縦技術ともに一級品。


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■ パイロット

高山 ユミ(たかやま・ゆみ)
2等空尉
モデル:篁 唯依(トータル・イクリプス)
性格・特徴:
・空自パイロット家系のエリート。曽祖父は帝國海軍零戦パイロット。
・寡黙でストイック、冷静な判断力を持つ。
・米海軍パイロット“マーヴェリック”の祖父と空戦経験がある曽祖父を尊敬している。


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■ パイロット

浦城 航(うらき・わたる)
3等空尉
モデル:コウ・ウラキ(ガンダム0083)
性格・特徴:
・真っ直ぐで正義感の強い新人パイロット。
・空戦では熱さが出るが、時に慎重すぎる面も。
・響隊長に憧れ、理想のパイロット像を追う。


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■ パイロット

貝塚 伊奈斗(かいづか・いなと)
3等空尉
モデル:界塚 伊奈帆(アルドノア・ゼロ)
性格・特徴:
・理知的で無表情な天才型。
・複雑な状況分析・戦術立案が得意。
・仲間への思いは人一倍強い。
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