元捜査官の終着点   作:すとろまとらいたー

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第10話 継承

そして藍達が24区で手合わせを行った数日後。CCG本部では「20区掃討作戦」の準備が着々と進められていた。

 

「山辺班にはこの作戦で現れる可能性のある20区のその他の喰種を駆逐してもらいたい。」

 

和修吉時が山辺に頼む。

 

「例えば?」

 

「有名なのだと美食家(グルメ)、大食いと言ったところか。どちらも最近は大人しいが20区全体が戦場となりうる。予測されうる襲撃は可能な限り対処しておきたいのだ。」

 

「了解!!」

 

「最近、赤坂君の様子はどうかね?」

 

「打倒『黒鴉』に燃えているって感じだな。そのおかげなのかどうかは知らんが最近は駆逐数が班のトップでよぉ。」

 

「ソイツは期待できるな。」

 

と、そこで間を置いて山辺が尋ねる。

 

「……そういえばよぉ、その『黒鴉』はこの20区掃討作戦での襲撃が予想されうる喰種に入ってないのか?」

 

「奴が20区で目撃されていないことと、20区の喰種との関わりが薄いとみてリストからは外してある。要は奴がわざわざ20区に出向く理由が見当たらないんだよ。」

 

「そうか。赤坂には残念だが、その意気込みで頑張ってもらうとするか!!そんじゃ、失礼しますっと。」

 

「あぁ。」

 

そうして山辺が局長室を出て行くのを確認すると、吉時は顔を顰めて壁を殴った。

 

(……『黒鴉』と『キマイラ』(イレギュラー共)和修家(われわれ)の秘密を知っている。しかし消そうとしてVをぶつけようにも暴露されかねん上、2人ともVと実力がほぼ同等。数をぶつけるにしても時間がかかる……。指をくわえて見ることしか出来ないのが悔しいところだ。)

 

和修家の秘密を藍はCCG離脱時に、璃奈はエトから知った。その上で2人は情報を交換したためCCG上層部の多くの秘密を握っている。これに対してVは1度2人を引き込もうと対話になりかけたことがある。

 

しかし2人の目的が人間と喰種の和解に近しい物だと知るやいなや手のひらを返して攻撃するしか無くなった。その時の戦闘でも多くの構成員を殺された上2人を捕らえることは出来なかったのである。結果、海野藍を喰種「黒鴉」とすることでCCGを通して追うことにした。こうすればVに直接的な被害は出ない上、CCGを内側からより強固なものにすることが出来るからだ。

 

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「ッッッッ!!!」

 

「ゆっくり深呼吸してぇ、吸ってー、吐いてー。よし、取れたぞ。」

 

「ふぅー、ふぅー、ふぅー。取れた?」

 

璃奈は顔を歪ませながら藍に尋ねる。

 

「あぁ。しかしだいぶ痛かっただろうに痛いの1つ言わないなんて大したやつだなホント。」

 

「これくらいは今まで受けた傷に比べたらまだまだだよ。」

 

「んで、頼まれて渋々取ったはいいがこれどうすんだ?」

 

藍は璃奈自身に頼まれて璃奈の血肉、皮、骨を取り出していた。

 

「あとはあたしに任せてくれれば良い。というか藍はクインケ作ってたんだから喰種の解体やったことあるんじゃないの?」

 

「死んでる喰種の解体ならなんとも思わん。自分の大切な人を本人に頼まれたとはいえ切り刻むのは誰でも嫌だろ……。麻酔もないなら尚更な。」

 

それを聞くと璃奈は顔を赤らめてぼそっと呟いた。

 

「……それもそうか。」

 

璃奈は起き上がると藍から切り出したモノを受け取り、部屋を出ていった。藍は何となくテレビを着ける。するとその画面には20区に住む人間への避難指示が示されており、ニュースキャスターがそれについて触れている。

 

「明日から20区に潜む喰種を駆逐する為、CCGは20区にいる人間の避難指示を開始しました。また、20区は現在外部からの侵入はできません。繰り返します。……」

 

それを見て藍は拳を握りしめると同時に悲しみにくれた。

 

(無意味な奪い合いの末流れるのは多く血。得られる物は何も無く徒に失い続ける。これのどこが正義なのか……。)

 

そしてテレビの中継映像が流れ出す。アナウンサーが現場にいる喰種捜査官にインタビューしている様子だった。藍はそのインタビューを受けている人物の発言に耳を傾けた。

 

「我々CCGが20区に蔓延る屑共を明日、駆逐することを約束致しましょう。これを喰種への宣戦布告とするのです!!! 親や兄弟、友達、親族、大切な人を喰種に奪われた皆さん。明日我々があなた方の恨みを代わりに晴らします!!」

 

「クソがッッ!」

 

思わす怒りで壁を殴り付ける。

 

「……20区に行く理由がクインケ調達以外にも増えるかもしれねぇな。」

ポツリと1人悲しげに呟いた。

 

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「山辺特等、今回の作戦に「黒鴉」は来るのでしょうか?『白の裁き』以降も24区で確認されたりしているそうですが。明らかに以前より活発になっているかと思います。」

 

「吉時は多分来ないって言ってた。確かに奴は最近活発だが、20区に出向く理由らしい理由を確認できていない。」

 

「……またしばらく情報が集まるまでステイってこ「だがな、赤坂。」

 

「は、はい!?」

 

いきなり話を遮られたので思わず驚く赤坂。

 

「オレは奴は来ると思う。」

 

「何でですか?」

 

「……直感だ。だからこそお前に託すものがある。」

 

そう言ってひとつの薄黄色のアタッシュケースを手渡した。

 

「これは……クインケ?ですか?」

 

「そうだ。名前を[アヤネ弐式]。クインケの練習は試しに開くぐらいで大丈夫だと思う。お前ならすぐ使いこなせるだろう。」

 

「しかし、何故これを今僕に?」

 

「言っただろう。私の勘ではあるが恐らく『黒鴉』は20区掃討作戦にて現れると。もし奴と出会ったら、コレを使え。」

 

「……何故そこまでわかっていて僕に頼むんですか?」

 

赤坂は率直に思ったことを聞いてみた。山辺の方が明らかに実力は赤坂よりも上だ。山辺が戦う方が良いはずである。なら、どうしてこんな回りくどい方法を取るのか?、と。

 

「……理由を聞いても笑わないか?」

 

「……はい。」

 

山辺は絞り出すように言葉を吐き出す。

 

「オレは……『黒鴉(かつての相方)』をどうしても殺せない…。わかっている、奴はもう人間ではなく我々の敵である喰種だと言うことは。それでもダメなんだ。どうしても躊躇ってしまう。捜査官失格だぜ、全く……。」

 

それを聞くと赤坂は真顔でこう返した。

 

「特等。あなたの代わりに自分が奴に引導を渡してきます!!!」

 




[アヤネ弐式]については近々後書きにて触れます。ChatGPTでクインケの名前を参考にしようとお試しで調べたら色々出てきて性能に驚かされました。(一応書いておきますが、ChatGPTを参考にすることはありますが、ChatGPTからそのまま内容をコピーしたりすることはありません。人物名、クインケ名、その他もろもろ全て自分が考えています。)
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