元捜査官の終着点   作:すとろまとらいたー

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9月になりましたがまだまだ暑い!!




第13話 投げられた賽

「オレは自分では自分のことを喰種捜査官だと認識しているが、アンタらはオレのことを喰種と認識してるんだろ? だとしても、オレはオレの信念を貫き通す。例えアンタらに攻撃されようと、世間から後ろ指を指されてもな。」

 

向かってくる細長く分離したクインケを避けながら赤坂に近づいていく。足元に攻撃してきた1本を踏み台にして飛び上がると、赤坂の[アヤネ弐式]を握る右手を狙って斬りつける。赤坂は黙ってクインケを振り、空中で身動きの取れない藍に叩きつける。赤坂の右腕から出血するのと同時に藍の体が地面に激突する。

 

「ガアッ……!」

 

すぐさま追撃を浴びせようと赤坂は8本の鱗赫を向けるが、右腕の出血のせいで動きが緩慢になる。その隙を見て藍は距離を離した。

 

あちらこちらが破損した[アラタ改]を握る赤坂の右腕からは血が滴り、息切れをしている。藍も[キマイラ1/2]こそ損傷していないものの至る所から出血している。[パッチワーク]も鱗赫の再生力の高さ故に損傷は少ないものの、先の強烈な一撃で完全に破壊された甲赫は使用できない。

 

(……[パッチワーク]は4種の赫子が使える代わりに特別な機能などは何も無い。故に使える赫子が減ることは手数が減ることと同意義。長引くとマズイな……。)

 

内心焦りを見せる藍とは対照的に、赤坂は冷静を保っていた。

 

(ヤツのクインケ、[パッチワーク]の甲赫は破壊した。この調子で残りの3種を破壊していけば勝機はある。こちらはダメージが大きいが、それはあちらも同じ。防御力と手数では劣るものの決定力・瞬間火力ではこちらが上……。ここを上手く利用出来るかどうか……。)

 

互いに睨み合い続けること20秒。その沈黙を破ったのは赤坂だった。鱗赫を[パッチワーク]へと差し向けながら甲赫で藍を狙う。藍は[パッチワーク]で攻撃を受け止めようとするが、鱗赫が迫ってきているためそちらへの対処を余儀なくされる。

 

「鬱陶しい!!!」

 

甲赫は藍の頬を掠めながら三日月形の軌道を描く。何とか甲赫を躱し、鱗赫を全て捌いた藍は視線を赤坂へと戻す。

 

(露骨にクインケの破壊を狙ってきやがった……。かと言ってオレ本体への攻撃はしっかりと[キマイラ1/2]から露出している部分を狙ってくるあたり飽くまでもクインケの破壊は二の次らしい。)

 

休む暇もなく、再び鱗赫が迫ってくる。先程と同様に一部は[パッチワーク]を攻撃しようとするものの、残りは藍を狙った攻撃だ。それらを避けたり弾いたりしながら藍は自らが赤坂へと仕掛けるタイミングを窺う。そして、藍へ向かってくる鱗赫が間隔を狭めて藍を穿とうと纏まった。その時、藍が動いた。

 

「……今だ!」

 

そう叫ぶと、赤坂の方へと駆け出した。赤坂は甲赫を構えずに鱗赫のみで応戦する。が、纏まった鱗赫では攻撃範囲が狭く、中々藍に命中しない。

 

「鱗赫を纏めて本数を少なくしたのは失敗だったな! 貰ったァ!!」

 

藍は[パッチワーク]を鱗赫にして赤坂がやったように纏めて太くする。それをそのまま至近距離まで近づいて、赤坂の左脇腹へと射出した。バネの如く力強く伸びた鱗赫はしっかりと赤坂の纏う[アラタ改]を破壊し、左脇腹を抉りとる。

 

が、ここで痛みに悶えながらも赤坂は不敵に笑う。

 

「……」

 

「何が可笑しい? [アラタ改]が己を喰らい始めておかしくなったのか?」

 

損傷した部分を直そうとして[アラタ改]が赤坂にくい込み始めたのを見て藍は哀れみの視線を向ける。

 

「……ここなら。この距離なら確実に当たる。山辺特等の痛みを知れ!」

赤坂は甲赫を構えると藍の心臓を狙って右手を突き出した。

 

突き出された甲赫の剣は[キマイラ1/2]に阻まれて刺さらない。しかしその衝撃は心臓にダメージを与え、[キマイラ1/2]を伝わって全身に響く。

 

「ゴハッ!」

 

藍は血を吐き出しながら真後ろに吹っ飛んだ。心臓に大きなショックを受けたため、藍はそこで意識を失った。

 

赤坂は抉られた左脇腹を抑えながら藍に近づく。

 

「やっと意識を手放したか、ゴホッ。」

 

そう言って藍の顔を狙って[アヤネ弐式]を振り上げた。

 

────────────────────────

 

~藍と璃奈が別れた直後~

 

璃奈は藍と分かれると赤坂が来た方向へと駆け出した。

 

(奴らが向こうから来た時、若干ではあったけど戦闘した痕跡が見受けられた。クインケをしまっていたとはいえ、『あんていく』一帯は喰種が沢山いるはず。無傷で現れたってことは喰種の死体がどこかしらにあるはず…。)

 

そして道路を左右確認しながら「あんていく」方面へと近づいていく。そして璃奈は立ち止まった。

 

「はぁ、はぁ。あった! 喰種の死体。」

 

その道路には夥しい数の喰種の死体が転がっていた。殆どが黒い犬または赤い猿をあしらった仮面をつけており、体のどこかしらから血を流して倒れていた。璃奈は周囲に気配を感じないことを確認すると、片っ端から死体を捕食し始めた。

 

ものの15分程で周囲にあった死体を食べ尽くすと璃奈は後ろを振り返り、走り出した。と、突如空が暗くなる。

 

「!?」

 

驚いて上を見上げると空に巨大な四足獣が浮かんでおり、すぐ近くのビル屋上に止まった。かと思えばこちらへと近づき、璃奈の20メートルほど前へと着陸した。

 

「……久しぶり、エト。」

 

そう声をかけると、化け物の1つしかない赤い眼がこちらを捉えた。瞬間、璃奈目掛けて高速の貫手が放たれる。璃奈は顔色一つ変えることなくその抜き手を回避。回避しながらも応酬と言わんばかりに羽赫を飛ばす。四足獣は羽赫のブレードで璃奈の攻撃を防ぐ。その隙に璃奈は羽赫を引っ込め、甲赫を足に纏わせて四足獣の頭部に回し蹴りを放つ。その攻撃は四足獣の上顎を横一文字に切り裂いた。するとその残った下顎部分から緑髪の女が姿を現す。

 

女は微笑みながら璃奈を見下ろす。

 

「こんな所で会うとはね、リナ。」

 




更新遅くなり申し訳ありませんでした。8月は休みは沢山あったのですが時間が中々取れず……。
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