元捜査官の終着点   作:すとろまとらいたー

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赫者化した璃奈の見た目・性能について
・赫者特有の赫子を鎧のように纏う(これを見て藍は「アラタ」同様の物が作れると思った。)ことで高い防御力を持つ。
・顔に出るマスクについては、たてがみがついたゴーグル状の仮面が額から鼻にかけて顔を覆う。(仮面のイメージとしては原作のヤモリみたいな感じ。)
・全ての赫子の長所がより大きく伸ばされる。具体的には羽赫のスピード、甲赫の堅牢さ、鱗赫の威力と再生力、尾赫のバランスの良さ等。
・消耗が激しく、解除後は空腹になる。



※因みに璃奈は自分の異名の由来が自分の赫子だと思っていますが、前話にある通り本来の由来は璃奈の仮面と喰種を好んで食す特徴からです。



第15話 沈黙

回想~海野藍~

 

その日、藍は山辺上等捜査官と共に11区に来ていた。目的は「アオギリの樹」の監視及びその構成員の喰種の駆除である。

 

「本部からの資料によると、このビルらしいな。見えるか、海野。早速野郎どもがお出迎えらしい。」

 

目先のビルから数人の喰種が現れる。2人はアタッシュケースの持ち手のスイッチを入れ、クインケを展開し応戦し始めた。多方面から迫り来る喰種の攻撃を交わしながらクインケを振るう。頭部を狙った攻撃を屈んで避けると同時に喰種の脚部を[アルト1/4]で切断し、倒れた上半身にそれを突き刺す。

 

間髪入れずに迫り来る喰種を見てクインケを構え直す。それを見て山辺が口を開く。

 

「おう、だいぶそのクインケに慣れてきたみてぇだな。ここらでちょいと話なんだけどよ。」

 

複数の喰種をたった2人だけで互角に戦う中、山辺は会話を始めた。

 

「海野はよぉ、何でこの仕事をしてるんだ? 別に金に困ってるわけでも誰かの敵討ちって訳でもねぇんだろ?」

 

喰種を切り伏せながら海野は返答する。

 

「ふう。唐突ですね。」

 

赫子を受け止め、喰種ごと赫子を切断する山辺。

 

「いや、お前さんの親父さんも捜査官だったことを思い出してな。」

 

その言葉を聞き、藍の眉が少し上がった。

 

「父を知ってるんですか?」

 

 

「親父さんはオレの憧れの捜査官なんだ。それに強くて毎年のように何らかの賞をCCGから受賞していた。」

 

全ての喰種を倒し切ると、2人は建物へ向かって歩き出す。

 

「捜査官としての父はどんな人物だったんですか?」

 

「何時も仏頂面で中々覇気のある人だった。喰種と相対したらその顔を見てビビる喰種がいたくらいには。だが、中々話がわかる人でな。時々突拍子もないことを言い出すことがあった。」

 

「……父にそんな一面があったとは……。」

 

藍自身が知る彼の父親は何時も笑顔で優しい父親だった。「父親」としての父しか知らなかった子供の頃は「こんなに優しい父が喰種と戦い、殺している」ことを嘘半分くらいにしか思っていなかった。そして父が捜査官であることが理由で過去に藍が喰種に襲われたのを機に喰種捜査官を引退した時に本当に喰種捜査官で会ったことを知ったのだ。

 

「自分は…父が喰種捜査官だったことをかなり長い間疑っていたんです。引退した時に初めて本当に捜査官だったことを知って……。それで興味を持ったんです。父がどんな仕事をしていたのかについて。」

 

建物の中に入り、周囲を探索しながら話す藍。机の引き出しの中の書類を漁っていた山辺が返答する。

 

「家でも仏頂面だと思ってたから思っていたのと全然違うな。てっきり昭和の頑固オヤジみたいなのを想像してたよ。そんで仕事に興味を持った後どうしたんだ?」

 

「当時、捜査官という仕事は名前しか知らなくて、具体的に何をしてるかは全く知らなかったんです。だからまずは仕事について父に聞こうとしていたんですよ。」

 

「『していた』ってのは?」

 

「……聞こうとしたその日に母諸共何者かに惨殺されました。」

 

「何者か? 喰種じゃないのか?」

 

「断定はできないんですけど。喰種と思える痕跡がなかったそうです。」

 

ふむ、と一息つくと山辺はこう語った。

 

「悪かったな。嫌なこと思い出させて。だが、尚更どうしてそうなったにも関わらずCCGに入った?」

 

「その話には続きがありまして。遺品整理していた時に父の捜査官日誌?のようなものを発見したんです。」

 

「それ、読んだのか?」

 

「ええ、それの最初の頁に書いてあったんですよ。『自分を信じる道に進まんとする者にこそ未来は現れる』と。」

 

山辺はフフフと笑った。

 

「確かに親父さんらしいな、ソレ。」

 

「その言葉がきっかけですね。」

 

「じゃあ、いつか親父さんと同じ特等捜査官になるのか?」

 

藍は即答する。

 

「ええ、もちろん!」

 

そう言って藍はサムズアップして見せた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

赤坂の振り下ろした[アヤネ弐式]は藍に命中した。しかし、その刃は防がれてしまった。

 

「こ、これは!?」

 

防いだのは藍の着用していた[キマイラ1/2]である。これが勝手に伸びて攻撃を遮ったのだ。

 

「馬鹿な、クインケが自立して動く訳が……。いや、このクインケは「アラタ」を参考にしているハズ。であれば……。」

 

考え込む赤坂の正面に何者がか現れた。

 

「おっと、そこまでだ。白鳩の坊や。」

 

「っ! 『キマイラ』! 」

 

唐突に現れた新手に驚くも、瞬時にクインケを伸ばして攻撃を仕掛けた。

 

「今更遅かったな。黒鴉(コイツ)はオレとの戦闘と身につけたクインケに体を食われて虫の息だ。それとも何だ、死体でも食いに来たか?」

 

「……。」

 

璃奈は口を付けた赫子で赤坂を食い殺そうと赫子を伸ばした。が、先の戦闘でのダメージが嵩んでいるのかフラフラである。赤坂はそれを避けると璃奈へとクインケを再度伸ばした。

 

「すっとろい!」

 

その攻撃は璃奈の体に命中し、貫通した。璃奈の口から血が噴き出す。その口は……笑っていた。

 

「何がおかしい?」

 

赤坂の疑問はすぐに解けた。

 

璃奈は口を付けた赫子で攻撃を回避した赤坂の先にあった藍の体を飲み込むと、すぐに赤坂から離れ出す。

 

「『黒鴉』を飲み込んだ!? 逃がさん!!」

 

赤坂は駆け出し、[アヤネ弐式]を繰り出す。璃奈は心臓と頭部を甲赫で隠すと反撃することも無く走り出す。[アヤネ弐式]は甲赫を割りながら璃奈の体を突き刺すも、璃奈の主要器官までは届かなかった。大量の血を流しながらも赤坂から逃れることだけを考えて、璃奈はその場から撤退した。

 

その脱兎の如き後ろ姿を目で追いかける赤坂。

 

(ダメか……。だが、チャンスはいくらでもある! 生きていさえすれば!)

 

そうして赤坂は作戦本部へ向けて歩き出した。その目には固い決意と確かな確信が篭っていた。

 

(「黒鴉」には事実上勝利した。勝てる、殺せる! 次相対した時には必ず仕留めてみせる!)

 

「こちら山辺班赤坂。予想通り『黒鴉』が出現、仕留め損ねはしましたが撃退に成功。これより帰還します。」

 

「こちら山辺班山辺。よくやった、生きているなら結構よ!」

 

ほんの少しだけ嬉しそうな丸手特等の声を聞くと赤坂は本部へと戻る道を歩み始めた。新たな決意と目標を添えて。

 

 

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