今回から()を心情表現、内心で考えていることの表現として使います。
「今日はこの辺で休もうか。」
「分かった。」
「明日には着くと思うけど、璃奈はお腹すいてない? 無理そうだったら考えるからさ。」
「今は平気。というか、あたしが肉あんまり食べないのわかって言ってるでしょ。」
「今向かってるところはアオギリの樹とか他の喰種集団が多いから、璃奈も久々にお肉食べれるんじゃないと思ってさあ。」
(未だに仕組みは分からんが、何故か人肉を食わなくても生きれるのは璃奈の不思議なところだ。彼女の消化構造が他の喰種とは大きく異なっていて、どうも人の血液からRc細胞を取り出し、それをちょっとずつ取り込むようになっているらしい。それで本人は血を飲まなくても1年は生存可能って言ってた。ホント喰種ってのは色々不思議な身体してんだよなぁ。)
(璃奈が肉を食べる時はだいたい喰種の肉を食べてるけど、美味いのかな?オレは人間だから美味しいとか分からないけど。)
などと思考をめぐらせていると、ホテルに着いた。そのままチェックインして荷物を置く。
「オレはこの後なんか食べに行くんだが、その間どうする?」
「藍の事待つよ。またナンパされたりしたらめんどくさいから。」
「そうだね。じゃ、行ってくるけどそのカバンの中のクインケ食べていいからね?」
「分かった。気を付けてね。特に白鳩とアオギリには注意しなよ?」
「おう!」
そう言ってオレは部屋を出た。
藍が部屋を出ていったのを確認すると、璃奈はおもむろにカバンの中身を取り出して、金属の棒状のものや、アタッシュケースをテーブルの上に並べた。
「どれどれ。それじゃ、起動してみよっか。ポチッとな!」
それらについていたボタンを押すと、金属の棒状のものからは赤みを帯びた白刃が、アタッシュケースからは黒い鞭のようなものが3本現れた。
「ふんふん。今回は甲赫と鱗赫かぁ。本当は尾赫が良かったんだけど、文句言ってたらクインケ取ってきてくれなくなっちゃうかも。」
そうして璃奈は甲赫のクインケを手に取ると、
「それじゃ、いただきます。」
そう言ってクインケを食べ始めた。
「うんうん、これは中々イけるね。普通に美味しい! それじゃこっちはどうかな?」
次に鱗赫のクインケを口にする。
「あ、こっちもこっちで美味しいじゃん! 後でお礼言わないとなぁ。」
そうして黙々とクインケを食べていると、あっという間に食べ終わってしまった。
「ふぅー。久々に美味しい赫子だった。これならあと1ヶ月程は何も口にしなくても動けそう。」
食事を終えて、璃奈は満足気にソファーでくつろいでいた。ふと、藍のことを思い出す。
(藍くんは何食べてるんだろ。私も人間の食べ物の味が知りたいなぁ。)
璃奈は時々、自分が喰種であるがために人間の食べ物を食べることが出来ないことを悔やむことがある。
(藍くんが言うには、味にも色んな種類があるって言ってたな。喰種は美味しいっていう感想しかないけど、それも喰種の舌の構造上の問題だとか。)
「そうだ!いつか藍くんの舌をあたしに移植してもらえばいいんじゃない?」
「誰の舌を移植するって?」
「あら、おかえり。冗談よ冗談。ただ私も人間の食べ物を美味しく食べてみたいなぁって。」
「それでその発想に至ったのか。夢物語だか、いつかそいつができるようになることをオレも望んでるよ、本気で。」
「嬉しい! やっぱりあなたはあたしのたった1人の理解者だね。でも…。」
「どうした?」
「ダメじゃん、あたし達の愛の巣に邪魔者を連れてきちゃ!」
「あれ、やっば付けられてたか?」
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「こちら山辺班。作戦通り『キマイラ』と『
「了解。そちらにアオギリの樹と思しき喰種の集団が接近中。アオギリとの交戦も考慮して任務を遂行せよ!」
藍と璃奈のいるホテル周辺に続々と喰種捜査官が集まり始めた。ほとんどがクインケを持っている。CCG作戦本部の丸出斎がスピーカーを通して連絡を入れる。
「全捜査官に継ぐ。これより『第4次白の裁き』作戦を開始する!目標はSSレート4種持ち喰種『キマイラ』及び
本来、「クインケ」は喰種捜査官のみ所持が認められた正義の武器であり、製造方法は秘匿されている。しかし、この「黒鴉」によりそれが崩される恐れがある。しかし、指名手配として世間に公表することはCCGの信用を失墜させ、却って喰種が活発になる可能性が極めて高い。そのため、CCGは元捜査官である海野藍の個人情報を一切明るみに出さず、軽蔑と悪を込めて1体の喰種「黒鴉」として扱うことにした。
そんなCCGにとっての爆弾とも言える人物と行動を共にする喰種が現れた。捜査官達はその喰種の特徴である「4種類の異なる赫子を混ぜ合わせて攻撃してくる」戦闘スタイルからその喰種を「キマイラ」と呼ぶようになった。血眼になってこの2匹の喰種を探すのはこういった裏事情があるからなのだ。
「にしてもCCGの元捜査官が喰種に肩入れってどういうことなんすかね? 捜査官だったってことから喰種への憎悪はあると思うんすけど。」
不思議そうにボヤくのは山辺班の一等捜査官の赤坂淳介。
「さあな。だが、”喰種対策法”の『喰種を蔵匿・隠避したものは死刑又は無期懲役に処する。』に違反する大罪人であり、人類の敵だ。一切の情状酌量の余地はない。故に同情は無用だ。」
毅然として答えるは山辺班班長の現役特等捜査官、山辺光汰。
「赤坂君は『白の裁き』に参加するのは今回が初めてみたいだから予め説明しておこう。『黒鴉』は元喰種捜査官兼元クインケ開発者であるが故、CCGの組織内部の情報を持っている。普通に辞職する分には問題ない…。だが、喰種の肩を持つなら、話は別だ。何が言いたいか分かるだろ?」
間を置いて山辺は言う。
「あいつの存在そのものがCCGにとって大きな脅威になったって事だ!」
※白の裁きの白はCCGを指しています。
次回、本格的に戦闘が始まります!